現在、最新の主演ドラマ『100番の思い出』が話題を呼んでいるキム・ダミ。1980年の韓国を舞台にした本作では、バスの案内人としてはつらつとした家族思いの女性を演じています。大ヒットした『梨泰院クラス』では、人気インフルエンサー役を演じ、一躍ブレイク。そんな彼女の出演作のなかでも、特におすすめの作品をご紹介します。
不思議な能力を持つ少女が繰り広げるバイオレンス・サイキック・アクション映画。遺伝子操作を行っている特殊な施設で育ったク・ジャユン(キム・ダミ)は、8歳の時に施設を逃げ出すが、すべての記憶を失ってしまう。倒れているところを酪農家の夫婦に助けられたジャユンは、この家の娘として暮らすこととなる。すくすくと成長し、何事もなく10数年の歳月が過ぎた。
ある日、ジャユンは激しい頭痛に見舞われるようになる。手術がしたくとも家計は厳しく、手術費用と経済状態が厳しい養父母のためにも、賞金が出るオーディションに出演することを決める。テレビ番組に出演したジャユンは、両親に禁じられていた、物に触れずに動かす能力を“手品”として披露。番組で彼女の存在を知った謎の男たちに追われることとなるのだった。
見どころは、ジャユン演じるキム・ダミの変貌していく姿と、後半で繰り広げられる血しぶきが飛び散るアクションシーンだろう。田舎で素朴に育てられたジャユンには、仲の良い女友達の存在もあり、普通の高校生として平穏に暮らしていたが、テレビ番組で披露した手品がきっかけで日常生活が一転すると、次第に不穏な生活となっていく。
平凡な少女が“魔女”となり、アサシンとして覚醒していくさまを見事に演じ切ったキム・ダミは、本作で「ファンタジア国際映画祭」主演女優賞、「大鐘賞映画祭」と「青龍映画賞」の新人賞など、賞レースを総なめに。ジャユンの追手役で出演しているパク・ヒスンは現在、日本の人気ドラマの韓国リメイク版『コンフィデンスマンKR』でも活躍中だし、のちに『その年、私たちは』で恋人役となるチェ・ウシクは本作で激しく対立するため、本作とのギャップを見比べるのも面白い。
ソウルの国際色豊かな街・梨泰院を舞台に、不屈の精神の主人公が仲間と奮闘していくヒューマンストーリー。飲食業界のトップである大企業・長家(チャンガ)グループに務める父親の転勤にともない、田舎町に引っ越してきた高校三年生のパク・セロイ(パク・ソジュン)。転校したその日に同級生のいじめ現場を目撃し、正義感の強いセロイは加害者の長家グループ会長の息子、チャン・グンウォン(アン・ボヒョン)を殴ってしまう。
会長から土下座で謝罪することを要求されるセロイは断固拒否し、退学となり、セロイの父親まで辞職を迫られる。さらに、グンウォンの起こした交通事故で父親を失ったセロイは、彼に暴行して刑務所行きとなるも、つらい過去を背負いながら再起を目指す。出所したセロイは梨泰院に小さな居酒屋「タンバム」を開店。ソシオパス(反社会性パーソナリティ障害)でIQ162を誇る人気インフルエンサー、チョ・イソ(キム・ダミ)ほか個性豊かなメンバーが集まってくる。
壮絶な出来事が次々と降りかかるセロイを支えるイソ役を務めた、キム・ダミの好演が光る。世間はコロナ禍だったこともあり、おうち時間として本作を観たという人も多く、日本でも大ヒットしたことは記憶に新しい。長家グループの会長親子により、何度も理不尽極まりない状況に陥れらるセロイをアイデアと大胆さで助けるイソだが、ときどき共感性に欠ける言動をするものの、キム・ダミが持つキュートさも相まって魅力的なキャラクターに仕上がっている。店名「タンバム(甘い夜)」の由来を話すシーンで、セロイを見つめるイソは恋する乙女そのもの。たまにセロイがイソの頭をポンポンとなでるなど、キュンとさせられる女性は多いのではないだろうか。
しかし、セロイが高校生の時に初めて恋をしたオ・スア(クォン・ナラ)は、長家グループにいながらもずっとセロイを気にかけ、イソの前にも度々登場。やきもきするイソもまた人間らしい。そんなイソに片想いする長家グループ会長の愛人の息子、ギャング出身者、トランスジェンダー、ギニア人と韓国人の血を受け継ぐ者といった背景を持つメンバー=仲間たちを信じるセロイ。セロイや仲間に触発されて、純化していくイソを演じるキム・ダミに惹きつけられる。ドラマ初出演ながら、本作で彼女は「百想芸術大賞」の女性新人演技賞を獲得した。
揺れ動く男女の心の機微を描いた成長ラブストーリー。高校時代、成績1位のクク・ヨンス(キム・ダミ)と、学年で成績が最下位のチェ・ウン(チェ・ウシク)は、ドキュメンタリー番組に出演する。対照的なウンとヨンスの学校生活を1ヵ月間にわたって撮影した番組は、世間から高評価を得る。撮影中、10年後どうなっているかと聞かれ、「成功した人生を送っている」と応えるヨンスと、「何もせず平和に暮らしたい」と言うウン。
真逆の性格である二人だが、「10年後、顔を合わせたくない」という意見だけは一致。しかし、二人はこの撮影がきっかけで5年付き合うも、別離を迎える。10年後、ヨンスは広告代理店のチーム長として働いていた。一方、人気画家コオとして人気者となるも、その正体は隠して活動しているウン。まったく環境が異なる二人はもう二度と会いたくないと思っていたが、再びドキュメンタリー番組出演の話が来たため、5年ぶりに再会することとなる。
学業や仕事ができる優秀な女性だからといって、恋愛まで上手だとは言えないのが世の常。しかも、学生時代に付き合っていた相手との思い出は、胸にしまっておきたいと考える人も少なくないだろう。そんなヨンスの複雑な心境を巧みに表現しているキム・ダミ。学生時代からの甘酸っぱくも苦い思い出を共有する相手と大人になって再会した時に、いったい何が生まれるのか?
彼らを取り巻く人間関係において、友人のドキュメンタリー監督キム・ジウン(キム・ソンチョル)や、アイドルのNJ(ノ・ジョンウィ)の存在も気になるところ。ヨンスとウンとの四角関係になるかと思いきや、それぞれが懸命に自身の道を生きて、もっとも自分にとってかけがえのない人は誰か、大切なものは何かを考える。ほっこりするラストも微笑ましい。
済州島を舞台に、幼い頃からの親友同士が成長していき築き上げていく友情ストーリー。小学校から仲の良いミソ(キム・ダミ)とハウン(チョン・ソニ)は、性格も育ってきた環境も異なっていたが、絵を描くことが好きということが唯一の共通点だった。ずっと一緒にいようと約束するのだが、17歳の夏、ハウンにジヌ(ピョン・ウソク)という恋人ができたことによって、少しずつミソとハウンの気持ちがすれ違う。
ミソは済州島を離れてソウルへと旅立つが、都会暮らしで心身ともに疲弊していく。それから5年。再会したミソとハウンは釜山旅行へ出かけるも、離れていた間の価値観の違いが明らかとなり、大喧嘩となったことをきっかけに、ハウンは姿を消すのだった。ある日、絵画の公募展で大賞に選ばれた一作は「作者・ハウン」による高校生のミソがモチーフの絵画で、ギャラリーの担当者からハウンとコンタクトを取りたいと連絡を受けるミソだった。
タイトルのように“ソウルメイト”だと思うほどの女友達との絆を体現するミソ役を務めるキム・ダミの、侘しさを内包する佇まいにグッとくる。対するハウン役のチョン・ソニの芯のある感じも良く、二人の奥底に秘めたお互いへの強い想いが画面からあふれでる。一時はどうなるかと思わせるミソの荒れ具合と相変わらずのマイペースっぷりなのだが、やはりハウンの存在がキーポイントとなり、復活。
ジヌ役のピョン・ウソクが『ソンジェ背負って走れ』(2024年)でブレイクする前年の公開作品となるが、17歳の夏に出会った時のいい加減なジヌから、やっとハウンを幸せにする大人の男になったかと思いきや、どこまでいっても上から目線。幸せの絶頂であるはずの花嫁ハウンがあんなにつらそうだなんてやるせない。ストーリー後半で明かされる秘密に、なるほどそういうことだったのか、とミソとハウンの友情が本物であることに気付かされる。
1980年代にバスの案内員として働く二人の女性の友情と初恋を描く青春ロマンス。チョンア運輸の100番バス案内員として働くコ・ヨンレ(キム・ダミ)は、乗り物酔いをしながらも、母親との生活を支えるために働く責任感の強い女性。会社の寮で案内員たちは共同生活を送るなか、新人のソ・ジョンヒ(シン・イェウン)が仲間入りする。先輩たちに気をつかいながらも、上下関係もソツなくこなすヨンレとは反対に、受け入れられないことには従わない勝ち気なジョンヒ。
ある日、ヨンレはキセルをした学生を追いかけて反撃に遭いかけたが、とっさにハン・ジェピル(ホ・ナムジュン)に助けてられてから、彼に想いを寄せるようになる。しかし、ジェピルはジョンヒに気持ちがあるも、ヨンレの気持ちを知りジェピルと疎遠になるジョンヒ。そんななか、幼い頃に両親を亡くしていたジョンヒは暴力をふるう兄から逃げてきたものの、執拗に追いかけてくる兄に見つかり、姿を消すのだった。
ヨンレは案内員をしながら教師を目指し勉強をしたり、上司の不正に屈せず闘おうとしたりと、前向きで健気な女性だ。キム・ダミは、そんなヨンレのチャーミングさを倍増させ、はつらつと演じる姿にほっとさせられるのだ。7年後、ヨンレは美容師に、ジェピルは研修医に、ジョンヒは財閥令嬢になっているのだが、ジョンヒ演じるシン・イェウンの美しさが際立つ。
シン・イェウンは、昨年配信された女性国劇団員たちの成長を描いた『ジョンニョン:スター誕生』でのエリート研修生役も素晴らしく、本作のジョンヒ役もハマっている。ジェピルは裕福な家庭に育つも家父長制が色濃く、幼い頃に母を亡くして父への憎しみを抱えて育ち、クールに見えて心は燃えるジェピルをホ・ナムジュンが好演。三者三様の想いを抱えた三人が、これからどんな選択をしていくのか? 今後の展開から目が離せない。
若手実力派として、その演技力に注目が集まるキム・ダミ。一つの作品に全力投球した後は、しっかりと休んでコンディションを整えてから次作に挑むタイプの女優だからこそ、多くの作品に出演するというよりも、納得できる作品を選びベストを尽くした演技を見せている。12月19日からはパク・ヘスと共演したNetflix映画『大洪水』の配信も控えているキム・ダミの今後の活躍にも期待したい。
3年ぶりとなった主演ドラマ『鬼宮』でも話題に。2025年に30歳を迎えたユク・ソンジェが出演してきた注目のドラマをご紹介します。