寺岡呼人、5年ぶりの武道館に「ライブ本来の熱気ある空気感が戻ってきた」
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寺岡呼人、5年ぶりの武道館に「ライブ本来の熱気ある空気感が戻ってきた」

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シンガーソングライターで音楽プロデューサーとしても活躍する寺岡呼人さんと、Mr.Childrenの桜井和寿さんの共作として1992年に発表された「星になれたら」。

夢を追いかけるために、慣れ親しんだ街と別れ、新たな旅立ちを誓う心境を歌ったこの楽曲は、今もなお色褪せない“名曲中の名曲”として知られています。

そんな「星になれたら」のリリースから30年の時を経て、この曲名に呼応する名を冠したライブが2023年に開催されました。それが、『Golden Circle Special いつかの僕らの夢、星になれたかな』。

寺岡さん、桜井さんに加え、令和の新時代に活躍するマカロニえんぴつのはっとりさん、緑黄色社会の長屋晴子さんもゲストとして出演。東京と大阪の2都市で開催され、文字通りスペシャルライブが行われました。

今回は、東京公演を終えたばかりの寺岡さんにインタビュー。ライブの様子を振り返りつつ、今回にかけた想いと今後についてを伺いました。

次世代の若手ミュージシャンと繋がりを作りたかった

はじめに伺ったのは、ライブの企画背景。そのきっかけは「若手との距離感」にあったといいます。

寺岡:いつの間にか、周りに若いミュージシャンの知り合いがいなくなっていたことに気づいたんです。もちろん、その活躍は知ってはいたものの、なかなか出会うこともなければ、仕事で関わる機会もない。桜井とも2年ほど前から話すようになり、ライブを通じて若手ミュージシャンの方との繋がりを作れたらと考え、以前から定期的に開催してきた『Golden Circle』でやることにしました。

そのタイトルに、名曲「星になれたら」を想起させる『いつかの僕らの夢、星になれたかな』とつけたのは「ファンが一目見たらわかるように」という想いから。

寺岡さんと桜井さんが若かりし頃に作った名曲が生まれてから30年。各々活躍する姿を思い描きながら、それぞれの音楽人生を駆け巡ってきた2人が、その道筋を振り返りつつ、ここから新たな道筋を描こうとする若手の2人と場を共にし、お互いに新たな機会とインスピレーションを得る。

そんな、世代と積み重ねてきた歴史の交差点に、今回のライブは生まれたのです。

「緑黄色社会」と「マカロニえんぴつ」と共演した理由

今回ゲストとして呼ばれた若手アーティストが、マカロニえんぴつのはっとりさんと、緑黄色社会の長屋晴子さん。その選出はどのように進めていったのでしょうか。

寺岡:僕自身、新譜を聴いて研究するのではなく、自然と生活していたら耳に入ってくるだろうというタイプで。そのため、まずは桜井と何度か打ち合わせをしながら、最近の音楽を知ることから始めました。

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そして、桜井さんサイドから提案のあった何組かのアーティストの中に、緑黄色社会とマカロニえんぴつの名前があったそうです。

寺岡:緑黄色社会は、自分がラジオ番組のパーソナリティを務めていたこともあって馴染みのあったアーティストです。その当時から、とてもパワフルな歌声が特徴的だと思っていましたね。一方、マカロニえんぴつは今回はじめて聴き込んだのですが、1980年代のバンドブームの匂いがするというか。我々の世代とすごく親和性が高く、懐かしいと感じたんです。

両者に共通するのは、歌詞の世界観や楽曲のアレンジなど、まさに『今をときめく次世代のアーティスト』だと思わせるようなクオリティの高さです。すごく刺激になるなと感じ、オファーをさせていただきました。

スピーカーを持ち込み、音楽談義に花を咲かせた食事会

4人がはじめて顔を合わせたのは、2022年11月末のキービジュアル撮影の現場でした。その場で連絡先を交換し、「年明けに4人でご飯にでも行こう」という話に。

人気アーティストゆえ、多忙を極める面々。その合間を縫って開催された打ち合わせを兼ねた食事会では、親睦を深めるとともに、その場でセットリストを議論していきました。

寺岡:桜井がBluetoothスピーカーを持ち込んでて。その場でお互いの曲を聴きながら、何をやるか決めていったんです。自分たちの楽曲はもちろんのこと、カバーもやれたらいいよねという話もその場で出て。『今までどういう音楽を聴いてきたの?』と、各々が影響を受けた曲を出し合い、音楽談義で盛り上がりましたね。

世代こそ違えど、各々、音楽に身を捧げてきた面々。意図せずとも、話は盛り上がったといいます。

寺岡:特に記憶に残っているのが、僕以外の3人が“ボーカリスト”としての考えや意見を語り合っていたことでしたね。喉のケアや音の出し方など。キャリアも世代も音楽性も異なる3人が、同じ音楽に対して熱くなる姿はとても印象的でした。

コロナ禍を思わせない熱気あふれる会場の空気感が戻ってきた

その後リハーサルを経て、寺岡さんと桜井さんにとっては5年ぶりとなる武道館ライブ『Golden Circle Special いつかの僕らの夢、星になれたかな』の東京公演を迎えました。

寺岡さんは、ライブを終えての感想を、「『自由にライブを楽しんでいいんだ』という空気感が、会場からもすごく伝わってきた」と振り返ります。

寺岡:僕自身、コロナ禍でもライブに参加したり、開催したりしていましたが、やはりどこか制限があり難しい部分がありました。一方、今回のライブは今までの閉塞感や自粛ムードが幕引きしたというか。お客様それぞれが、自分の楽しみ方を爆発させていたので、ステージに立つ僕ら側からも会場の熱狂をものすごく感じましたね。

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「本来のライブの空気感が戻ってきた印象を受けた」と寺岡さん。

寺岡:会場の反応によって、立ち振る舞いや出方を有機的に変えていきながら、ライブの雰囲気を作っていくわけですが、この日は僕らも会場の感動と興奮に乗せられ、終始テンション上がりっぱなしでしたね。食事会やリハーサルも楽しかったですが、やはり1日限りの本番で味わえる達成感には敵わない。お客様を前にして、お互いの曲を聴き、パフォーマンスを見合いながらライブをやるのは全く別物だなと。そう感じましたね。

印象に残ったエピソードを伺うと、「桜井が今回のライブに対して、能動的に関わろうとする姿勢が伝わってきた」と振り返ります。

寺岡:桜井が主観的に『この曲はコーラスで参加したい』と自ら願い出るなど、とても前のめりに参加していて、その気持ちがはっとりさんや長屋さんにもすごく伝わったんじゃないかと思いました。ライブでは僕と桜井で作った『バトン』と『フォーエバーヤング』という曲を歌ったんですが、今度は2人が若い世代とセッションするとき、同じように伝えていってほしいなと思っています。

寺岡さんのインスピレーションの源泉は、言葉

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さまざまな音楽活動を行ってきた寺岡さんは、今年でソロ活動30周年を迎えます。

東京公演のMCでは「作風が年々変わっている」と語っていましたが、その変化の源泉はどこにあるのか?影響を受けたコンテンツという観点で聞いてみると、次のように答えてくれました。

寺岡:僕は音楽を作るために『何かをする(≒意図的にインプットする)』というのはなくて。ひとつの言葉に込められた意味から作曲していくので、日常生活での直感や感性を大事にしているんです。他方、制作とはあまり関係はないところでは、歴史が好きなので、歴史関係のYouTubeチャンネルはよく観ていますね。

そんな前置きの上で、最近関心を寄せるものとしては「韓国ドラマ」をあげます。

寺岡:僕らが中学生ぐらいの頃にTVで見ていた『3年B組金八先生』のような、ドキドキやワクワクをすごく感じるんですよ。また来週も見たくなるみたいな。脚本家の演出、秀逸なカメラワークなど“魅せるドラマづくり”を追求し、時代とともに成長している過程は目を見張るものがあって。なので、最近はもっぱら韓国ドラマばかり見ちゃってます。

音楽も映画も小説も、僕はエンタメで大事なのは『現実と違う世界に連れて行ってくれるかどうか』ということだと考えています。そんな『マジックボックス』のような体験こそ、究極のコンテンツだと思いますね。

最後に、今後の活動や目標を聞くと、寺岡さんは次のように語ってくれました。

寺岡:ソロデビューしてから今年で30年を迎えますが、あらためて『音楽を作るのが好き』だと感じていて。これからも、自分ができることを探していきたいと思っています。新しい曲のレコーディングもやっていきたいですし、若い世代のミュージシャンともどんどん繋がっていきたいですね。

ソロデビュー30周年という節目を記念し、2月には、新曲「馴染みの店」/「知りたくない」をリリース。そして4月にはソロツアーの『寺岡呼人ソロ30周年TOUR~馴染みの店~』を東京と大阪で控えている寺岡さん。

プロのミュージシャンとして、さらなる活躍が期待されます。

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