『ウェディング・インポッシブル』で初のラブコメドラマ主演に!話題の韓国俳優チョン・ジョンソとは?
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『ウェディング・インポッシブル』で初のラブコメドラマ主演に!話題の韓国俳優チョン・ジョンソとは?

2024.03.07 18:00

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  • ウエディング・インポッシブル
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「特にラブコメが好き」という韓国ドラマファンにとって、チョン・ジョンソの存在を知るのは『ウェディング・インポッシンブル』が初めてかもしれない。

ジョンソは、つり目がちで大きな瞳のキツネ顔と高く柔らかな声にギャップのある、可愛さと妖艶さをたたえる俳優。映画『バーニング』で新人ながら主演としてデビューを飾った彼女は、その後、殺人鬼、超能力者、泥棒、元警備員など、独特の存在感と鬼気迫る演技で刺激的な作品の核を担ってきた。

売れない俳優役を演じる『ウェディング・インポッシンブル』の序盤でも、これまでの経歴を活かした“様々な作品のエキストラ役”を披露し、既存のラブコメ主人公とは一風異なる雰囲気を醸し出している。今回は、そんなジョンソのキャリアについて紹介したいと思う。

変貌ぶりが衝撃的だった『ザ・コール』は、実は2本目

チョン・ジョンソを初めて見たのは2020年、パク・シネ主演のサスペンス映画『ザ・コール』だった。

ジョンソが演じたのは、1999年に生きるヨンスク。霊媒師の継母に幽閉され、命の危険を感じて知人に連絡をしたところ、電話口に出たのは2009年に生きる主人公ソヨンだった。とうの昔に父を事故で亡くし、大病を患う母を抱えるソヨンは、過去と未来を繋ぐ固定電話を通じ、同じく孤独なヨンスクと急速に仲良くなっていく。

2人の間に亀裂が入るのは、ヨンスクがソヨン父の事故死を未然に防ぎ、ソヨンが家族との時間を優先し始めてからだ。嫉妬心や執着心を露わにしたヨンスクに怯えたソヨンは、彼女を助けて恩を返すことに。

だがその一件でヨンスクは殺人鬼として目覚めてしまい、ソヨン一家を追い詰めていくようになる。可愛らしい甘い声に人懐っこい性格のヨンスクが態度を一変させ、感情を爆発させながら残虐行為を繰り広げる姿が衝撃的。彼女の表情や振る舞い一つひとつに背筋が凍った。

狂気じみたキャラクター演技に惹かれて調べると、当時26歳のジョンソにとって『ザ・コール』が2本目だったと知り驚く。デビューは2018年、事務所契約の3日後にオーディションを受けて抜擢されたという巨匠イ・チャンドン監督の『バーニング』だった。

『バーニング 劇場版』
©2018 PinehouseFilm Co., Ltd. All Rights Reserved

同作は、小説家を目指すフリーターのジョンス(ユ・アイン)が、日雇いコンパニオンで生計を立てる同級生へミ(チョン・ジョンソ)と再会して男女の仲になるも、へミがアフリカ旅行中に出会ったという職業不明の富豪ベン(スティーヴン・ユアン)が登場して関係性が変わり、最終的にヘミが失踪するというミステリー。

アフリカ文化やパントマイムなど様々な事柄への興味を活きいきと話すヘミは、無邪気で愛らしい人物だ。しかし、夕陽の美しさに喜びを噛み締めたすぐ後に「消えてしまいたい」と涙を流すような繊細な面も持ち合わせている。

そんな掴みどころのない存在を、ジョンソは自然体でのびのびと演じており、これがデビューとは思えないほどであった。ちなみに、最も鮮烈なダンスシーンは元々脚本にあったものの、動きに関しては事前に計画やリハーサルされたものではなく、彼女の自発的なものだったという。ジョンソは本作で「アジア映画批評家協会賞」の最優秀新人賞を受賞している。

ハリウッドデビューを果たし、アクションシーンにも挑戦

『バーニング』で米エンタメメディアHollywood Reporterの「2018年の海外ブレイクタレント15人特集」にも選出されるなど、国際的な評価を集めていたジョンソが3作目に選んだのは、『モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン』。

精神病院から脱走した超能力者役の主演でハリウッドデビューを果たした。残念ながら筆者は劇場公開を見逃したので詳しく紹介できないが、「第78回ヴェネツィア国際映画祭」でプレミア上映され、彼女の演技も高評価だったという。

独自の道のりを行くジョンソだが、次の一手は意外にもラブコメディ。ソン・ソックと共に『恋愛の抜けたロマンス』でダブル主演を務める。

『恋愛の抜けたロマンス』
© 2021 CJ ENM Co., Ltd., TWELVE JOURNEY ALL RIGHTS RESERVED

片やコラム執筆のため、片や性欲を満たすため、とそれぞれ思惑を抱く男女がアプリでマッチング、割り切った関係になるも惹かれ合っていくという物語で、ジョンソはこれまでのぶっ飛んだ感じではなく、ただ欲求不満な凡人を愛らしく演じている。


幅広い役をこなせることを証明した彼女が次に挑んだのは、リメイク作品における演技だ。2022年に配信された『ペーパー・ハウス・コリア: 統一通貨を奪え』は、5シーズンまで続いたスペインの人気ドラマ『ペーパー・ハウス』がベース。

造幣局を襲う強盗集団の物語で、キャラクター構成などほぼ同じである。本家ファンとして厳しい目で視聴したが、ジョンソの演じた殺人指名手配犯トーキョーは、ウルスラ・コルベロ版と甲乙つけ難いほど美しくクレイジーで、その解像度の高さに感謝すら覚えた。赤いつなぎ姿で銃を使いこなし、アクションシーンも完璧。

続いて『ザ・コール』のイ・チュンヒョン監督との2度目のタッグとなったノワール映画『バレリーナ』でも、運動神経の良さを存分に発揮している。元警備員の主人公が大切な友人を殺されて報復する、というストレートな復讐劇なのだが、ネオンカラーの効いたスタイリッシュな映像、重厚感とスピード感を持ち合わせたアクション、大量の血しぶき、そして圧倒的存在感のジョンソが掛け合わさったことで、唯一無二のかっこいい作品に。ジョンソと公開恋愛中の監督にとって、彼女がミューズになっていることは間違いないだろう。

意外な選択『ウエディング・インポッシブル』!予測不能な作品選び

『ウエディング・インポッシブル』
© STUDIO DRAGON CORPORATION

今後も激しい描写の作品が続きそうだと思いきや、先日tvNで放送が始まったのが、ジョンソ主演のドラマ『ウエディング・インポッシブル』。偽装結婚の準備を進める無名の女性俳優と、義理の弟になる予定で結婚を反対する男性のラブコメディだ。

ウエディング・インポッシブル
© STUDIO DRAGON CORPORATION

「ジリ貧主人公」「偽装結婚」「財閥」など定番キーワードが散りばめられた韓国ラブコメドラマをジョンソが選んだことに心底驚いた。

『ウエディング・インポッシブル』
© STUDIO DRAGON CORPORATION

ちなみに演技も直感型ながら、出演作も「面白い!」と感じたら即決するタイプだという。

ウエディング・インポッシブル
© STUDIO DRAGON CORPORATION

また、これまで刺激的な作品が好みだったところ、『ウエディング・インポッシブル』への出演をきっかけにラブコメドラマ好きとなり、現在は明るいストーリー作品への出演欲が高まっていると本国メディアで明かしていた。と言いつつも、次回作は初の時代劇『우씨왕후』(原題直訳:王妃ウ)。チ・チャンウク、チョン・ユミなどと共演し、主役の王妃ウを演じる。やはりチョン・ジョンソは予測不能、今後の展開から目が離せない。

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