2023年7月期に社会現象ともいえる大ヒットとなったTBS日曜劇場『VIVANT』──ついに待望の続編の放送決定が発表された。ここでは、主演・堺雅人と福澤克雄監督がによる続編放送決定会見(2025年6月11日)の模様を“ほぼ”全文掲載!第1作のラストシーンから直結するという続編の気になりすぎる情報を余すところなく紹介します!
MC:ご感想をあらためてお聞かせください。
堺雅人:はい。ようやく始まったというか。前回の終わりから、自分の中では次はきっとあるだろうと思っていたので、やるなら早くやってほしいなという思いがありましたので。1日でも早く、1年でも早くやりたいなと思っていたので、こういうお話をいただいてとても嬉しいです。今はもう本当にみんなで走り抜けることだけを考えているので、ゲームのホイッスルが待ち遠しいです。
MC:ありがとうございます。前作ラストは“別班”の招集を知らせる赤い饅頭が置かれて、展開が終わったと思います。今作は、そのラストシーンから直結するストーリーということですが、お答えできる範囲で、見どころをお聞かせいただきたいと思います。
堺:台本もほとんどいただいてるんですけど、見どころは、前回伏線として気になっていたところが、僕も台本読みながら、「あ、こういうことだったのか」と。前回解き明かされなかった謎が、謎だとも思っていなかったことが、言われてみればちょっと気になってたなあっていうことをあらためて気づくような内容だったので。もう1回前作見ていただくと、とても楽しいんじゃないかなと。
あの時、あの時間、あの時に、あの人たちが、あんなことしてたんだっていうようなことを、遡りながら楽しめる台本になっております。直結というか、本当に密な短い時間にいろんなことが繰り広げられてたんだなっていう。
もう1回気持ちを2023年5月に戻して、その物語を生きたいと思っております。
MC:福澤監督いかがですか?見どころを、お答えできる範囲で。
福澤監督:見どころはもう、見どころばっかりです。本当良かったですよ、続編ができて。テレビドラマはしょぼいしょぼいって言われてて、もうやるしかねえなっていう気持ちで考えて作ってですね。
『半沢直樹』の時もそうですけど、成功例を元にして作るのは絶対ダメ。視聴者の皆さんは僕らのはるか上をいってる。だから新しいものを出さなきゃいけない。こんなもん作っていいんだろうかってビビりながら作んなきゃいけないっていうのがあったので、思い切ってやったんですが。でも話が壮大なんで。色々考えてたんですよ。考えてたんですけど、10話までしか作れなくて…。
(小日向さんから)「僕このまま不倫親父で終わっちゃうの?」って言われて、「いやいや、これがヒットしたら次やろうと思います」と答えた。
堺:小日向さんとそんな話をしたんですか(笑)
福澤:まあ、勝負の年、本当やっとですね、次が作れるってことになって、がーっと(脚本を)書けてよかったなと。シーズン1は、よく使う手だなとおっしゃると思いますが、もう本当に序章です。本当の話はここからグッと。繋がった話が思いっきり繋がりますので、ぜひとも見ていただきたいなと。結構頑張りましたよ、僕は。
MC:ありがとうございます。ここからは媒体の皆様の質問に移らせていただきます。
──堺さんにとって『VIVANT』はどういう位置づけの作品ですか?
堺:そうですね、自分の全部を賭ける価値のある濃密な作品です。台本を読ませていただきながら、福澤監督が頭絞って、魂絞って書いた文字の一文字一文字っていう感じがとってもするんですね。頭だけじゃなく心も、深層心理まで全部入れて、その後の展開を色々考えた中でこれしかない、でもこれでいいのか?っていうのが、読んでて…、何て言うのかな…、エネルギーの影みたいなものがすっごく濃密に焼きついてる台本で、そんな台本をそうそういただくことがないと思ってるので──。
いいとか悪いとか、面白いとか面白くないとかって僕は正直判断できなくて、人ひとりが本当に魂かけて書いた物語を全身全霊で演じるっていう。それは本当に、お芝居の基本のような気もしているので、ああしようこうしよう、やりたいなってことはもちろんいっぱいあるんですけれども、精一杯そこにいるっていうのが一番だと思うので、今できるすべてをそこにぶつけたいと思っております。
──福澤監督、前回制作費がちょっと赤字だという話でしたが、今回も予算は度外視した作品ということでしょうか?
福澤:度外視と言われると困るんですけど。これ言いたくないですけど、やっぱ配信のドラマに比べたらもう、えっ?!てぐらい低いですよ。でも配信レベルの作品を作んなきゃいけないっていうところで、ある程度いっちゃったかなと。そういうものを作っていかないと、テレビもね、どんどん落ちていってしまうなっていうとこもあって、思い切ってやったかな。(撮影するのが)はじめての国で「ええっ!」ていうことがあって、どんどん掛かっちゃったってとこもありますけど。それはまあ、いいや…。
堺:円がもっと高くなればいいですよね(笑)
──堺さん、福澤監督の、演出の魅力、作品自体を創り出す魅力を教えてください。
堺:いやあ、魅力は…。魅力は、全力でぶつからないと、こちらが粉々になってしまうその迫力ですよね。そんなことできるのかなって思うようなことを毎回台本に書かれているので。でもやってみるとやれちゃう不思議さ。だから、小手先とか頭でこねくり回さず、本当にぶつかっていくだけだなと。
そういう、“ごまかし”が効かないところが福澤作品の魅力。ものすごい緻密に作られてる部分もあるんですけど、同じぐらい、言葉になってない熱量がすごく多くて。神話レベルです、僕の中で。神話って結構荒唐無稽だし、筋が通ってなかったりするじゃないですか。でもやっぱり、なんかあるんですよね。
今回もきっと何かあるんでしょう。それが今回わかんなかったら、きっと次回でわかるんじゃないですか、シーズン3で。それぐらいの信頼度というか。神話の登場人物を生きているような感じ。聖書を読むような気持ちで(脚本を)読んでおります、毎回。
その圧倒的な信頼度。それが魅力です。
──福澤監督、俳優としての堺さんの魅力、どういうところに惹かれるのか教えてください。
福澤:僕の中で、この乃木という役が堺さんじゃなかったらね、Fとか出さないの。これ大変ですよ、両方やるの。それを今回シリーズでやって、「あ、やっぱできる。この人はすごいな」と思いつつ、だから今度Fをもうちょい増やしてみようかなとか。
見ればわかるんですけど、もうちょっと大変なことがやれるんですよ。それ言うと全部バレるからあんまり言わないんですけど。
『半沢直樹』の時にですね、大和田常務の土下座の撮影シーンが30ページぐらいの台本なんですよ。あの時ね、30ページほとんどいっぺんに喋ってるんですけど、1回も間違えなかった。それも10回ぐらいやっちゃったんですよ。10テイクぐらいやって、頭から最後まで。それをね、1回も間違えずにやって、この人ちょっとおかしいなと。それが脳裏に焼き付いて、この人はすごい、特別で、役者になるために生まれてきた人なんだなと思って。今回、そのレベルにあった役を作ったっていうことなんですよね。
──福澤監督、ロケの場所のヒントを教えてください。
福澤:すぐバレるからな…。超親日国。だけど日本人はよく知らない。面白い神話がある国に行きます。
──そこを選んだ理由は何でしょうか?
福澤:それは、本当の話すると色々問題起きるんですけど。撮影するには最善の協力体制がいるんで。で、(協力体制が整うということで)そこに行って見て、ぐるぐる回ったら、すごい国だなと思って、いろんなことを思いついて決めたってこと。
日本みたいに神話みたいな伝説が残る、そういうすばらしい国なんで、撮影場所に決めました。
──堺さん、前回は砂漠でかなり大変な撮影だったと思いますが、今回の海外ロケに向けてどんな心境か、何か覚悟してることなどあったら教えてください。
堺:僕は大阪万博でそこの国のパビリオンに行きました。ああ、楽しみだなと思いました。僕は基本、楽しみしかないです。
福澤作品は名古屋行ってモンゴルとかね。名古屋行って緑山行ってモンゴルとかね、そういうスケジュールが平気であるので。僕の中では、そこの国もちょっと移動時間が長くなったぐらいの感じです。ちょっと、ロケバスではなく飛行機で移動するぐらいの感じ。
──堺さん、台本を読んだ時の“驚き度”を教えてください。
堺:驚き度はね、「ええ、こんなに喋るのか?!」っていう。それと、「ええ、わっからねえ!」ってのが、もう1個。意味がわからない。複雑に入り組んでるので。さらっとまず読めるんですよ。うわあ、面白かったって読めるんですけど…。
待てよ…。何月何日の何時の話だ?何月何日の何時は、あの人はどこにいるんだ?あの人がここにいるってことは、それ俺知ってるのか?知らないのか…?知ってるわ…。知ってるんだったら、これこんな顔してるのかな、とか。もうね、暇つぶしに持ってこいですね。
本当にずーっと読んでられます。ずーーっと読んでられます。ほいで、あれ?この人たちは僕がこの職業についてるのはどの段階で知ってたんだろうって、前のシーズンの台本を読み返したりとか。ああ、だからこの時に僕が2人いるってことに、この人は気づいてたのかとか。もうなんかね、多分コアなファンの方がDVD片っ端から見るような感じに近い。楽しくて、でも辛くて。辛いというか、掘っても掘っても、なんていうの、解剖しても解剖しても、生きた神経がまだそこにあるというか。
普通だったら、起承転結があって終わりなんですけど、裏にもう1個あって、どうやらもう1個ありそうな感じがあるんだかないんだか。複雑で、でもそれぞれに神経が生き届いていて、なんか生き物なのね。もう一大サーガですね。本当にすごいです。
だから頭だけでわかったつもりにならない、喋っただけで喋った気にならないっていうのは常に自分に、自分を戒めながら撮影をやるんじゃないかなと思います。
僕もう取り込まれてます、その世界に。どっぷり浸かってる感じ。今日、朝の番組でダイジェストを拝見した時に、『(劇中曲) Father's Land』が流れただけで、天に昇らす、誘うような旋律がまたグッときて。ああ、本当にすごいメンバーですごい作品作ったんだなって思ったのと、またそこの世界にどっぷり入るというか引き戻されるというか、終わってなかったんだ、みたいな。首根っこ掴んで「こっち来い!」みたいな感じの作品なので。
「よろこんで!」って言って、入りたいと思います。
──福澤監督、前作は元々考えていた物語の1/3しか描けなかったということですが、今回は残りの2/3を書き切った感じでしょうか?
福澤:それはまだまだ続くところあるんですが…。複雑怪奇っていうとあれなんですけどね、登場人物の相関表で物語を考えてたら、たぶん頭くらくらしちゃう。これをいかに、堺さんがパーっと読めたというように書くか。僕は漫画みたいな台本が一番いいと思ってて、バーっと読める台本が一番いい台本だと僕は思ってて、やっぱりテレビっていうものは、お金をかけて作る以上、面白くなきゃダメ。
すごい良いもの伝えたとか、良い作品より、まず面白いっていうことが大前提な気がして。そのためにはどうするかというと、大冒険。乃木憂助を元に、謎をどんどんどんどん上がっていくようなシステムに作っていくっていうことをやりまして。頭の中の、(アイデアは)まだまだまだ残ってるんですけど、大体今回のこのシリーズのあれ(構想)は描き切れるかな。
第1シリーズの登場人物たち、途中で消えちゃったような人も全部重要人物だっていうのがわかるようなシステムというか、台本になってると思います。(第1シリーズの登場人物たちを)もう忘れちゃってたら、もう1回見ていただいた方がいいと思いますよ。どんどんどんどん、途中から突然ね、その人の話になったりもするんで。
(堺さんに向かって)難しかったんだよね。
堺:今回の第2シリーズの最後で声が出ました、僕は。「ええー!どうすんの、この後は——?!」って思いました。最後は、「ええーー!!!」。楽しみにしててください。
──福澤監督、海外のロケはどれくらい行う予定ですか?
福澤:全部合わせて3カ月以上あると思いますね、分量的に。基本的に海外の話。日本もありますけど、舞台は海外の話ですよ。部屋の中とかは日本で撮りますけど、外は全部海外。
日本でドンパチあんまりできないじゃない。日本で銃でバンバンやっても、ちょっと嘘っぽくなるし。
──結構ドンパチみたいな話があるんですか?
福澤:僕アクションシーンそんな好きじゃないんですよ、実は。だから、長くはないですけど、ドンパチシーンも当然あります。
──(会場に)富栄ドラムさんがいらっしゃいますが、続編にも出演するということですか?
福澤:出たいっていうのがすごい(笑)まあ、当然出ますよ。
──堺さん、最後に続編を待ってるファンの皆様に、あらためてメッセージをお願いします。
堺:はい。やると決まっただけで撮影もまだなので、スタッフやキャストの中には、本当にやるのかなと思ってる人もいるんじゃないかな、と思うぐらいすごい台本です。これが形になったら、どんなになるんだろうと、いち読者として僕はワクワクしておりますが。いち演者としては、ワクワクとドキドキと…。いろんな想いがそこにあります。
前作を愛してくださった皆さんには本当に、そのご期待に、それを上回るような作品、それぐらいのエネルギーを持った作品を作っていければと思っておりますので、まだまだ先、来年の話になりますけれど、それまでぜひ、楽しみに待っていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
『VIVANT』復習はこちら
ネットをにぎわせた考察・舞台裏を、原作・監督の福澤克雄が語る副音声版『VIVANT』はこちら
『VIVANT 別版 〜副音声で福澤監督が語るVIVANTの世界〜』について、福澤克雄監督と演出陣が語る撮影秘話や作品に込めた想いなど、ここでしか聞けない貴重なお話を伺いました。
『VIVANT』ロスに応える見直しポイントを、飯田和孝プロデューサーの証言からピックアップしました。
今回、初共演となった松村さんと駒木根さんに、ドラマの見どころや意気込みを語ってもらいました!
長野礼子(江口のりこ)が所属する総務部の同僚・今井尚記を演じる松本怜生さんにインタビュー。演じる中で意識していることなどを聞いてみました!