報われる保証のない戦いの中で「心の支え」になるものとは… 張本智和、アジア覇者が強行日程でTリーグに出場し続ける理由
アジア卓球選手権で、日本勢としては50年ぶりとなる優勝を果たした日本卓球界のエース、張本智和。悲願の五輪金メダルに向け、国際試合を転戦して腕を磨き続ける一方で、Tリーグへの出場も可能な限り続けている。その理由とは
今週11月18日(土)午前7:00より開催される(予定)「BELLATOR 301」のプレリミナリー・カードにて、群雄割拠の日本人フェザー級のなかでも「最強」と謳われる、第8代フェザー級キング・オブ・パンクラシスト、ISAO選手が参戦します。
怪我での長期離脱もあり試合自体が2年以上ぶりとなるISAO選手に試合に向けて、そして新しい挑戦に向けての意気込みを語っていただきました!
──いよいよ『BELLATOR 301』のファイトウィークとなりました。試合を控える現在の心境をまずはお聞かせください。
ISAO:久しぶりの試合なんですけど、いよいよ近づいてきて、わくわくしている気持ちが大きいです。しっかり変わらず、冷静に試合ができればと思っています。
──久しぶりというお言葉通り、じつに2年半ぶりの試合というなかで、わくわく感に気持ちを持っていけているのは、試合間隔が開いてしまった不安よりも、それだけの準備をしてきたことへの自信が大きいということでしょうか。
ISAO:はい、しっかりいい練習もしてこれましたし、格闘技と向き合っていい生活を送ることができて充実していました。
──不安な気持ちはないですか?
ISAO:不安はないので、もう試合始まったら集中してやり切るだけですね。
──試合が開くなかでも切らさずに練習を続け、現在はどういった部分に自信を持っていますか。
ISAO:打倒極、全体的にレベルアップを図って取り組んできたので、どれが一番いいかっていうのは試合してみないとわからないのですが、ずっと練習をしてきた成果を、試合のなかで出せればいいと思っています。
──BELLATORには7年越しに再デビューということで、今回どんな気持ちで新たに挑戦していきますか?
ISAO:自分の中では、すごく縁があると感じていますし、「ストーリー性も高いな」と勝手に思ってます。一度目の挑戦で負けて、それから日本のPANCRASEでやり直して勝ち続けて、そしてまた同じBELLATORへ。借りを返しに行くというわけではないですけど、とにかく勝ちを取りにいく気持ちで思っています。リベンジしたい気持ちが強いですね。最初に行った時と今の自分では違うっていうことは自分自身も感じているし、成長した姿を見せられればと思っています。
──かつては負け越したBELLATORに再び挑むにあたって、当時とはどういう部分が変わっていますか?
ISAO:うーん、細かいテクニックだったり、まあなんか練習に対する気持ちとか、前はただ決まった練習をこなしてとかだったんですけど、今はしっかりやることを決めたりとか、終わった後はしっかり反省してとかのインプットとアウトプットをしっかりできるようにしてこれたかなっていうのは思います。
──今回参戦する『BELLATOR301』はバンタム級王座統一戦(いずれも堀口恭司を倒したセルジオ・ペティスvs.パッチー・ミックス)や、AJマッキーの復帰戦をはじめとして人気選手の名前も数多く並び、日本でも注目の高い試合が並んでいます。
ISAO:そうですね、ビッグマッチの並んだ大会に出させてもらえて、すごい光栄に思ってます。
──そういうなかで、現在発表されている試合順では第1試合の可能性が高いですが、長い間メインを張ってきたISAO選手がプレリミナリー・カードのトップバッターで試合をするというのは新鮮です。そもそも経験したことはありますか?
ISAO:経験はありますが、多分、PANCRASEに出て最初の頃とかだと思うので、本当にかなり久しぶりですね。逆にフレッシュな気持ちで「初心に帰れる」と思っています。
──ちなみに、入場曲はやっぱり『天城越え』ですか?
ISAO:はい。そこは変わらずですし、世界に向けて、日本男児ということで。シカゴのお客さんたちにジャパニーズソングを聞かせてきたいと思います!
──対戦相手のイーブス・ランドゥー選手の印象は?(*1)
ISAO:独特のリズム感と、黒人の選手特有のすごいバネのあるような戦い方で、結構やりづらさはあるのかなという印象ですね。
──ブレイクダンスがバックボーンの選手というのは経験上、他にご存知ですか?
ISAO:うーん……多分いなかったです(笑)。映像があったので、いくつか見てどういった動きやどういったパターンがあるか、何個か自分なりには分析とかはしたりしてますが、やっぱり(試合を)見ているとリズミカルというか、跳ねたりしてくるような攻撃もあるので、まあ、びっくりしないようにしておきます(笑)。何をやってくるのかはある程度でしか予測がつかないので、しっかり見極めてっていう感じですかね。バネとか組んでみてのブリッジ力みたいなものは、ちょっとやってみないと力量がわからないところですね。
──再デビュー戦の相手としてはいかがですか?
ISAO:誰とやってもきつい試合にはなるだろうなっていう覚悟はあったので、全然申し分ないです。
──どんな試合をしたいと思っていますか?
ISAO:やっぱり「勝ちたい!」って気持ちが一番大きいので、もう泥臭くてもいいから。最終的には勝ちをもぎとりたいです。もう、ドロドロの、お互いスタミナ切れでドロドロになっても最後は取り切って勝つっていう気持ちです。
──ところで、「フェザー級 日本人最強」と謳われるISAO選手は、BELLATORとの契約が発表されるまで、よくRIZIN参戦が噂されていましたね。朝倉未来選手の対戦相手として榊原代表がお名前を挙げたこともありました。ご自身としては世界に挑戦する前にRIZINに参戦して、国内で名を上げるという選択肢はなかったのでしょうか?かつて拳を交えた選手たちが活躍している舞台でもあります。
ISAO:でも、そこはやっぱりブレずに、自分の目標とするところ(海外進出)に向かって進むだけのことを考えていました。RIZINについては、違う競技とは言わないまでも、ルールセットが全く違ってしまうので、戦い方がいろいろ変わってくるだろうなというのもあって、自分が目指している世界はケージでやっていてユニファイドルールなので、そこで戦えるように準備を続けていたかったので。
──PANCRASEのお話も少し。最後に試合をした中島太一選手とのタイトル防衛戦が2021年5月、アキラ選手とのワンマッチが2020年7月と年1回ペースでした(*2)。いずれもISAO選手が勝利していますが、その後、中島選手はバンタム級王者、アキラ選手はライト級王者になりましたね。
ISAO:やっぱり両者ともにすごい強い選手でしたので、チャンピオンにふさわしい選手だなっていうのは肌で感じました。
──でも自分がいる以上、フェザー級の王者にはさせないぞと。
ISAO:もちろん、自分の階級で戦うのであれば(笑)そうです。
──PANCRASEフェザー級、ひいてはRIZINも含めて国内のフェザー級戦線はいま活況だと思いますが、どのように見ていましたか。
ISAO:PANCRASEも選手がものすごく増えてきていてレベル自体もどんどんレベルアップしてきているなかで、やっぱり自分がずっとチャンピオンでいたので、もっと1ランク、2ランク上のレベルでやっていきたいなっていう思いがあって。だから高見の見物じゃないけど、そういう感じで見てました。自分は海外との契約を進めたかったし、試合をするかもしれないという想定もしていませんでしたし。
──ただ、BELLATORファイターになったということで、関係性のあるRIZINとの対抗戦で、巡り巡ってこれまで対戦の可能性があった選手と、ISAO選手が外敵として交わることになるかもしれません。
ISAO:そうなったらそうなったで、やるしかないですね(笑)
──同門の菊入正行選手が同じBELLATORに契約し、2023年4月のデビュー戦(*3)で見事な初勝利をあげたことは、ISAO選手にとっても励みになりましたか。
ISAO:はい、同じ所属の後輩がしっかりKO勝ちして結果を出したことはすごく刺激になりました。自分もやっぱりKOか一本、フィニッシュを狙いたいです。でもまあやっぱり勝ちは欲しいので、判定でもしっかり勝とうと思っています。
──今大会はフェザー級の試合は少ないですが、BELLATORの上位ランカーたちについてはどんな印象を持っていますか?
ISAO:本当にハイレベルな選手ばっかりなんですけど、かといって、やり合えない相手たちではないかなっていうのは思っていて、全然。しっかり作り上げればやりあえるなっていう思いはあります。
──先ほど「ストーリー性がある」というお言葉がありました。それはつまりBELLATORでのリベンジストーリーということになると思いますが、まずこの1戦を勝って、そこからどんな物語を自分では思い描いていらっしゃいますか?
ISAO:着実に一個一個勝っていって、ゆくゆくはやっぱりランキングにも入る。それで、ちゃんと狙えるところまで行ったらタイトルをかけて勝ち、チャンピオンになる。そういう気持ちです。
(インフォメーション)
ISAO(Isao Kobayashi)
PANCRASEフェザー級の絶対王者にしてライト級との二階級覇者
2018年4月にフェザー級 KING OF PANCRASE 暫定王座を獲得し、2019年5月に正規王者ナザレノ・マレガリエに勝利を収め王座統一を果たした。同年10月「PANCRASE 309」での2度目の王座防衛戦では、現在RIZINに参戦しているカイル・アグォンとの再戦で判定勝利を収めた。その後2020年7月「PANCRASE 331」でのノンタイトル戦で現ライト級王者のアキラに判定勝利すると、2021年5月の前戦「PANCRASE 321」で現バンタム級王者・中島太一を相手に判定勝利で3度目の王座防衛に成功し、6連勝目を飾った。
今回再挑戦となるBELLATORの舞台。1度目は2015年10月に現ウェルター級4位のゴイチ・ヤマウチを相手に3R 一本負け、2016年6月のジャスティン・ローレンス戦で2R TKO負けの2連敗でリリースされた。
●プロMMA戦績:27勝5敗2分(9KO・TKO/2SUB)
BELLATOR 301
■日程:2023年11月18日(土)午前7時プレリム開始|午前11時メインカード開始予定
■開催地:アメリカ・イリノイ州シカゴ
■会場:ウィントラスト・アリーナ
メインカードでは、BELLATORバンタム級タイトルマッチで堀口恭司選手をKO、防衛戦にてパトリシオ・ピットブル選手を倒した正規王者セルジオ・ペティスと、BELLATORバンタム級ワールドグランプリ 1回戦で堀口恭司を破り、トーナメント優勝を果たした暫定王者パッチー・ミックスが王座統一戦に臨むほか、BELLATORライト級ワールドグランプリ準決勝に、『超RIZIN.2』で1回戦に緊急参戦したホベルト・サトシ・ソウザを破ったパトリッキー・ピットブルが登場するほかAJマッキーが復帰戦を行うなど、日本のファンにもお馴染みのスター選手が多数出場
(※1)ISAO選手のPANCRASEでの過去の対戦をU-NEXTで見放題配信中
(*2)対戦相手の過去試合を、U-NEXTにて見放題配信中
(*3)菊入正行選手のBELLATORデビュー戦、見放題配信中
アジア卓球選手権で、日本勢としては50年ぶりとなる優勝を果たした日本卓球界のエース、張本智和。悲願の五輪金メダルに向け、国際試合を転戦して腕を磨き続ける一方で、Tリーグへの出場も可能な限り続けている。その理由とは
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