報われる保証のない戦いの中で「心の支え」になるものとは… 張本智和、アジア覇者が強行日程でTリーグに出場し続ける理由
アジア卓球選手権で、日本勢としては50年ぶりとなる優勝を果たした日本卓球界のエース、張本智和。悲願の五輪金メダルに向け、国際試合を転戦して腕を磨き続ける一方で、Tリーグへの出場も可能な限り続けている。その理由とは
10月8日(日)午前5時より開催される(予定)『UFCファイトナイト・ラスベガス80』のプレリミナリー・カードにて、女子ストロー級の村田夏南子選手が2019年6月以来のオクタゴンに復帰、待望のUFC3戦目でバネッサ・デモポロスと対戦します。
前戦で試合中に腕を負傷し、悔しいTKO負けを喫した村田選手は現在UFC1勝1敗。再起戦となる今回の対戦相手との思わぬ遭遇などエピソードを交えつつ、試合を控える現在の心境を語ってくれました。
━━久しぶりのファイトウィークですが、いかがですか?
村田夏南子(以下、村田):2年4ヶ月空いていますし、試合のことを考えると結構緊張しています。ファイトウィークが始まって、UFCでいろんな手続きをしている中で、「ああ、試合が来るのかあ」って。ただ緊張はしていますが、やっぱり久しぶりの試合なので、楽しみでもあります。
━━緊張しているということですが、9月24日に開催された『UFCファイトナイト・ラスベガス79』(見逃し配信中)で同階級の魅津希選手のセコンドとして帯同して会場入りし、実際に試合にも立ち合ったことで、ご自身の試合に向けて感覚を取り戻すような良い面もあったのではないでしょうか。
村田:そうですね。 魅津希ちゃんのことは普段 “ボス” って呼んでいるんですけど、ボスのファイトウィークに一緒にホテルに入って流れを一緒に味わったり、 試合当日も一緒にアップしたり、周りの雰囲気とかを感じることができて、空気に触れてみたことで「ああ、こんな感じだったか」と思い出すというか、自分の時もこうなんだ」というイメージはなんとなく掴みました。
━━その試合で魅津希選手が勝利したことは大きな励みになっていますか。
村田:はい。私が2年4ヶ月ですけれど、ボスは3年ぶりという長いブランクを経てケージに戻って、そこで勝ったので、本当に嬉しかったし、次は自分がやらなきゃっていう気持ちになりました。
━━試合が決まるまでは、どんなことを意識して日々の練習に取り組んできましたか?
村田:“全部” ですね。レスリングも、打撃も、グラップリングも、MMAとして、全ての底上げをして、総合力を上げてきました。
━━トータルファイターを目指した練習という感じですか。
村田:そうです!
━━ところで、タイでの練習中のアクシデントで歯を折ったという経緯をソーシャルメディアに投稿していました。かなり痛々しい様子が記録されていましたが……。
村田:(前歯を指し)1本、差し歯になりました。4本折れてしまい神経が全部死んでしまって、そこを治療して、2ヶ月くらい歯の矯正器具のようなものをつけて固定して口がそんなに開かないようにしたりしていました。
━━そういう偶発的な怪我で復帰が遠のいてしまったことは辛かったのではないかと思います。
村田:そうですね。試合中なら仕方がないことだと思えるのですが(苦笑)。練習でああいうことが起きて「本当にダメなんじゃないかな」とは思ったりしました。でも多分、心は強くなりました!
━━前回の敗戦につながった怪我も乗り越え、アクシデントも乗り越えた新しい姿が見られるのを楽しみにしています。では、今回対戦するバネッサ・デモポロス選手について、プロフィールの前職の欄に「ストリッパー」とあり、ポールダンスを得意としている異色のファイターですね。どんな印象ですか?
村田:“クセ強” だなと思いました(笑)。
━━それは、試合動画の印象ですか?あるいは何かあったのですか?
村田:UFCのPI(パフォーマンス・インスティテュート)に行くと、 フロントデスクの担当者が対戦相手とは極力合わないように、「対戦する選手があっちにいるから、この時間はあっちには行かないように」というような感じで試合前の選手の動きを管理してくれているのですが、練習する場所と関係のない休憩スペースのようなところで待機していたら、対戦相手がパパッとやって来て、なんか「ハロー!」みたいな感じのことを言ってきて(笑)。こちらは「会わないようにしてる(し、UFCもそうしてくれている)のに……」と思いながら(ペコリと頭を下げて)「ハロー」って返しました(笑)。
━━特に絡まれたりしたわけではないならよかったですが、それはびっくりしますね。
村田:そうですね。 ちょっと、斜め上ぐらいから握手する手が伸びて来るのを感じました(笑)。
━━斜め上から(笑)。とはいえ、図らずも向き合ってみたことで想像していたイメージとの違いなど確認できたのでは?もともと1階級上でやっていた選手なので、たとえば「ごつい」と感じたとか、斜め上の握手に応じてみて、立ち合いも組み合いも、問題なさそうだな?とか。何かありますか。
村田:そこは実際やってみないとわからないことではありますけど、でも(相手のデータでは)身長が自分よりもちょっと高く、リーチがすごい短かい、というものだったのですが(※)、初めて会った時に「ちょっと、ちっちゃいな」と思ったことは印象的でした。(データで見るより)身長も小さいな、と感じて。
(※)デモポロス選手:身長 157.48 cm/リーチ151.13cm。村田選手:身長154.94cm/リーチ157.48cm。
━━対デモポロス選手対策もしてきましたか?
村田:打撃に関しては、今回の相手も含めて、あまり対戦相手どうこうは関係なく、いつもボスにアドバイスをもらいながら、「自分が何をするか」という部分を練習してきています。あとは今回の相手は柔術が得意(黒帯)なので、そのあたりの対策はしてきています。
━━デモポロス選手が一本勝ちをしている試合は、打撃でダウンを喫して相手が上になった状態で、下からセットして逆転勝利しているものが多い印象です。その点も含めて、村田選手がテイクダウンしてトップを取った状態からの下からの攻めには注意していますか?
村田:はい!ゲームプランはしっかり考えてあります!
━━そのプランについては多くは語れない、と言う感じですか。
村田:はい(笑)。
━━前戦の、ビルナ・ジャンジロバ戦は腕の怪我によるTKO負けという結果に終わりましたが、あの経験を経て、どういった部分が成長した点だと思いますか。
村田:全部ですね。 だから打撃においても、レスリングももちろん、柔術も、すべてにおいて前回よりいいパフォーマンスが見せられるのではないかと思います。
━━今は日曜の復帰戦に集中している状況だとは思いますが、上位陣(ランカー)についてはどんなふうに見ていますか?前戦の対戦相手であるジャンジロバ選手は同階級の現在6位です。
村田:それぞれの相手との相性もあると思うのですけど、それ次第で「今勝てるかな」と思っている選手もいるし、これからどんどん自分がもっと強くなっていってから倒さなくてはいけない相手もいるとは思っています。
━━つまりトップどころの試合は「もし戦わば」という意識で見ているのですね。
村田:そうですね。「ここが強みだな」とか、逆に「ここが弱点なんだな」、そういうふうに見ています。
━━そうやって村田選手が世界の上を目指している一方で、これまでの村田選手の試合を観戦して憧れていた若手の女子選手もプロMMAで活躍し始めています。そういう選手と練習で手を合わせる機会もあると思うのですが、キャリアを重ねるなかで下の世代をどんなふうに見ていますか?
村田:刺激ももらえますし、これは自分が言うことじゃないとは思うのですけど、頑張ってほしいですね。これから強い若い子が育ってくれれば、自分も練習相手も増えるし。「日本人の選手は強い!」と思われるように、じゃないですけど……。
━━自分が先陣をきって、それを引っ張っていきたい!というような?
村田:あはは。いや、そうでもない(笑)。私は、ボスの次くらいで。大きいことはそんなに言わないです(笑)。
━━我が道を行くという感じでしょうか。では最後にひとつ、トレードマークで、桜庭和志選手ゆずりの“カナコマシン” マスクについて。UFCでの入場時には着用していませんが、禁止されているのですか?
村田:今日また「ダメだ」という話になりました。デイナ(・ホワイト代表)さんが、入場の時に顔が見えないとダメだということらしく。でも、またお願いしてくれるそうです。
━━おお、では乞うご期待ですね!
村田:そうですね。新しいマスクを持ってきましたので!
━━その入場も含めて、村田選手の復帰戦を楽しみにしているファンの皆さんにメッセージをお願いします。
村田:2年ぶりにケージに帰って来ました!試合は3試合めで朝早いのですけど、起きれた方は是非応援よろしくお願いします!
UFC ファイトナイト・ラスベガス80:ドーソン vs. グリーン
10月8日(日)午前5時よりプレリミナリー・カード開始
詳細な対戦カードはUFC.COMにてご確認ください。
村田夏南子:UFC公式サイト内プロフィール
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