若き人気政治家・清家一郎(櫻井翔)と有能な政務秘書官・鈴木俊哉(玉山鉄二)。清家の学生時代からの清家と鈴木の不可思議な関係に気付いた新聞記者・道上香苗(水川あさみ)は、清家の成功の裏で、いくつもの不審な死亡事故が起きていたことを知る…。学生時代の清家と関わりの深かった政治家もまた、道上の父と同じように不審な交通事故死をしていたことを突き止めた道上。彼女は鈴木を黒幕と睨むが、その鈴木までもが同じような事故で大怪我を負う…。鈴木は清家を操る“ハヌッセン”ではなかった!道上の疑惑の目は、新たに清家の元恋人の存在へ。彼女はその正体に迫れるのか?注目の第3話をレビュー!
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
執務室に佇む清家。キャビネットの上にはとマトリョーシカが置かれている。それを見つめる清家は、一体何を考えているのか…?
相変わらず本音がわからない清家のシーンから第3話は始まった。その真意を早く知りたい!という視聴者の思いとリンクするかのように、取材に走る道上。道上は「取材だ!」となるととにかく走り出すキャラクター。今回は、そんな彼女を終始、祈る気持ちで見守ってしまう展開になった。
今回クローズアップされたのは、田辺桃子が演じる清家の元恋人。清家の自伝『悲願』では美恵子という仮名で登場する女性だ。道上は、清家の大学の同級生女子に取材して、彼女の名前が三好美和子だと聞き出す。
「綺麗な子で、清家をいつもリードして。自信家で強い子だった」と語られる女性・美和子。さらに、脚本家を目指して、香川から上京していたということも判明する。
その頃、鈴木もまた、清家から初めて美和子を紹介された時のことを思い出していた。
「いつか僕の話を書きたいんだって」と無邪気に話す清家の横で、タバコを片手に「生き別れた父が官房長官なんてドラマチック!しかも息子は父を追うように政治家になろうとしてる」と話し、清家を踏み台にして脚本家になろうと野心満々の美和子。美人ではあるが、邪悪な笑顔が怪しさ満点のオンナである。「どこがよくてこのコと付き合ったの?」と思わず心でツッコミを入れてしまう。鈴木もまた、視聴者と同じなのだろう。そんな女性に心を許して自身の過去を話してしまった清家の脇の甘さに愕然とした表情を浮かべている。
その思い出の中で何かに気づいたのかハッとする鈴木。今回の鈴木は、このシーンのみならず「過去に一体、何があったの?」と見る側に思わせるような表情が多め。鈴木もまだまだ抱えているものが多そうだ。
ここで場面は、現代の清家の姿へと切り替わる。
相変わらず張り付いたような“爽やか笑顔”で身体障害者施設を視察中の彼。と、その向かい側で彼を睨みつける車椅子の老人の姿が…。それは、かつての武智の秘書・藤田則永(国広富之)だった。しかも、清家はそれに気づいていた。去っていく藤田の姿を見つめ、悲しんでいるのか、いぶかしんでいるのか、なんとも読めない表情を浮かべる清家…。
一方で、道上は美和子が学生時代にテレビ局のシナリオコンクールに応募していたことを知る。そのタイトルは、なんと『最後に笑うマトリョーシカ』!このドラマ自体のタイトルとも共通する意味深なタイトルだ。冒頭で清家が見つめていたマトリョーシカとも何か関係があるのか?
美和子の行方を探そうと、道上は「春吉」を訪れて佐々木に尋ねるが、佐々木はにべもない対応。さらに帰っていく道上の背中を鋭い目で見つめる…。そういえば前回、高岡早紀演じる謎の女性と謎の電話をしていた佐々木。彼もまた怪しさ満点なのである。
藤田に得意の直撃取材をかました道上は、藤田から鈴木はハヌッセンの「タマじゃない」との証言を得る。一方で、清家は「人に心の内を探らせない。いっそ心なんてない」人物であるとも聞かされる。しかも、それは清家の実の父・元官房長官の「和田島とそっくり」だとも。
さらに、藤田は美和子のことも知っていた。
「ジャニスジョプリン、ジミヘン、バスキア。時代を築いたアーティストは27歳で死んだ。私も一郎くんも惰性で長生きしたいとは思っていない。生きた証を残せたならパッと散りたい」と、武智に向かってヤバめな発言をかます美和子。
「27歳までに清家を立派な政治家にしてみせる」といい切る美和子を危険視した藤田は、鈴木に「別れさせたほうがいい」と進言したと振り返る。
そして、その後は清家と別れたのか「美和子は姿を見せなくなりました」と言う。これは、清家の同級生女子が語った「清家くんと別れたのか、途中から大学に来なくなった」という証言とも合致するが…。
しかし、ここから藤田はさらに気になることを道上に打ち明ける。事故当時、武智は「ある女性と不倫関係にあった。しかし、誰かは知らない」というのだ。その相手は美和子?と道上は疑念を抱く。
道上は藤田に「なぜ清家の秘書にならなかったのか」とも尋ねるが、彼は鈴木に断られたと話す。そして、それはおそらく清家の考えで、と。それもまた清家の後ろで彼を操る“ハヌッセン”の意向だったのか?
「おそらくハヌッセンは今も清家の近くにいる。あなたも寝首をかかれないよう気をつけて」と藤田は道上に忠告。ますます物語は不穏な空気をはらんでいく…。
一方で、取材の口実に息子・勇気を使い、さらにその勇気を取材にかまけて放置するという母親としてのダメダメっぷりを今回もさらしてしまった道上。家族への愛情はあるのに取材となるとすべてがふっとんでしまう彼女の家族問題も、続く展開に絡んでくるのか?一抹の不安もまた観る者をざわつかせる。
複雑な思いは多々あれど、父の事故現場に花を手向けて真相を探る決意を新たにする道上。
その足で鈴木の入院する病室へ向かい、またもや直撃取材!
「清家さんには人の所有欲を掻き立てる才能があります。だからこそ危機感を抱き、美和子と別れさせようとしたのでは?」と彼女は鈴木に迫る。
その言葉に当時を思い出す鈴木。美和子は清家と別れることを拒否し、シナリオのタイトルの意味を鈴木に告げていた。
「誰が一郎人形の一番芯の部分で大笑いしていられるのかという意味を込めた」と邪悪顔の美和子。さらに、鈴木は「もう彼には鈴木さんは必要ありません」と暴言も吐いていた…。
道上は鈴木と協力して美和子の行方を探すことを持ちかける。一度は断った鈴木だが、結局はテレビ局に美和子の書いたシナリオを道上に渡すように手を回して協力。
道上はシナリオを手に入れたが、その執筆者に記されていたのは真中亜里沙という全く違う名前。そしてペンネームは「劉 麗蘭」。これは一体どういうことなのか?
一方で、「なぜ自身の取材から自分を外したのか」と電話で迫る道上を、清家は赤坂の料亭の裏口に呼び出す。
そこで清家は道上に告げる。「今後、連絡は取らないようにします。あなたのために」と。
どういうこと?と聞く道上に「聞いてください。前にも言いましたけど、僕のことしっかり見ていて」と続ける清家。唖然とする道上。
「僕もあなたを見ていますから」。そう告げて、清家はじっと道上を見据える。
既視感あるこのシーンは、第1話の最終盤でかわされたやりとり。またもや「どゆこと?」の嵐が観る者の頭に吹き荒れる。
そして、最後の最後に登場したのは、高岡早紀が演じる謎の女。鯛めしのフタをあけて「これ、武智先生も好きだったなー」と意味深につぶやく。
この女性が美和子の正体なのか?それとも全く別の人間?または武智の不倫相手?
事件の黒幕との関係性は?
ニヤリとした邪悪な笑顔は、美和子を彷彿とさせるが…。
そしてもうひとつ、今回あるシーンで意味ありげに出てきた「生者必滅、会者定離」の書。これもまた清家の過去に関係があるのか?
とにかく黒幕の正体を早く知りたい!走れ道上!
「勇気くん、ごめんね」という気持ちで、次週を待つのみ!
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