若き人気政治家・清家一郎(櫻井翔)と有能な政務秘書官・鈴木俊哉(玉山鉄二)。清家の学生時代からの清家と鈴木の不可思議な関係に気付いた新聞記者・道上香苗(水川あさみ)は、清家の成功の裏で、いくつもの不審な死亡事故が起きていたことを知る…。清家の父を殺したのは、諸橋大臣の手下。では、そこに清家を裏で操っていると思われる黒幕・浩子がどう関係しているのか?浩子を直撃取材した道上は、彼女がなぜ清家の出世にこだわるのか、その過去を知ることに。やはり黒幕は浩子!?しかし、浩子は「肝心なところにはたどり着けていない」と道上に告げる…。浩子の正体、そして、さらに衝撃の謎が明かされる第10話をレビュー!
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
清家を裏で操っているハヌッセンは、浩子ではないのか?
道上は、さらに真相を探ろうと浩子の現夫で元医師の小松(堀内正美)を訪問。しかし、清家の学生時代のハヌッセンの論文については「知らない」と一蹴される。
浩子も「送っていない」という論文。では、鈴木宅に送ったのは誰なのか?
かつて、浩子が清家の部屋から持ち帰るのを見たと鈴木が言うからには、論文は浩子が持っていたことは間違いない。
いよいよ最終回まで、残すところあと1回。
今回は、この論文の送り主を探すことが最初のキーポイントに。
清家が着々と「首相公選制」の法案を通すための弁論を国民に発信する中、イケオジパラダイス♥…じゃなかった、山中(丸山智己)のオフィスに集まった山中、鈴木、青山(曽田陵介)の3人。そこへ愛媛帰りの道上が飛び込んでくる。
小松が元精神科医で開業医だったことを突き止めたと報告する道上。さらに、小松を介護するヘルパー・田所礼子(和田光沙)のことも調べていると言う。
確かに浩子、小松のほかに自宅に自由に出入りできる人物=論文を盗める可能性があるのは、田所だけだが…。
「さすがに関係ないだろう」と呆れる山中パイセンだが、愛媛で盗み聞きのような怪しい動きをしていたことを道上は見逃していなかった。
道上は、田所がヘルパーの資格を取るために通っていたという都内の専門学校へと再び取材に走る!
「すごいな、道上さん」とそのパワーにあっけにとられる青山くん。わかる。道上、タフすぎる。
しかし、それには理由があった。この夜、復縁話が出ている元夫・旗手健太郎(和田正人)の快気祝いがあり、息子・勇気とのつかの間の同居が終わり、送り出す予定があったのだ。
ママパワーでフル回転していた道上。頑張った!
道上の母・香織(筒井真理子)の「宝物」だという道上のスクラップ記事をめくりながら、「ママと一緒に暮らしたい。でも、カッコいいママも好き」と道上に語りかける勇気。再び同居したら仕事をセーブすると「勝手に決めないで」と言う彼に、道上の瞳はうるうる…。勇気、いい子や…。
「一緒に考えていこ!これからのこと」と勇気を抱きしめる道上。働くママの葛藤にほろり…。
しかし、のんびり感動している場合ではないのが、このドラマ。ここからが怒涛の謎明かしが待ち受ける!
まずは、浩子と通じていた佐々木(渡辺 大)の正体だ。清家の秘書を降ろされてから、鈴木は佐々木とは連絡を絶っていた。しかし、愛妻・由紀(真飛 聖)の勧めで「春吉」を訪問した佐々木は、彼の真意を知らされる。
佐々木は、鈴木を切った清家を許せず、後援会長を降りていた。「立場は違っても、俺達は友達だろ?」という佐々木は、誠実そのもの。あら、疑ってごめん!
ただ、佐々木が浩子と通じていたのは本当。「浩子に頼まれて、何年も前から清家のことを報告していた」という。
「ケンカでもして、直接連絡できない事情があるんじゃないかと思っとった」という佐々木。ということは、清家はすでに浩子と切れている?
そして、ここからは、また道上が調べた結果が驚きの展開をもたらすことに。
「これではっきりするかもしれません。清家一郎のハヌッセンが誰なのか」とつぶやく道上。
やっと黒幕にたどり着けるのか!道上は、その謎解きをすべく、山中、由紀と共に愛媛へ向かう。
松山の方の「春吉」に浩子、小松、そしてヘルパーの田所を招いた道上は、そこで小松への取材で知った浩子の真実を語る。
小松いわく「浩子は一郎が代議士になった年、縁を切られた」。そのせいで精神状態がめちゃくちゃになった浩子は、患者として小松と知り合ったという。心の傷から、道上には真実を話せなかったのだろうとも。
さらに衝撃の展開が…。道上は「浩子はもう、長うないんです」と小松に告げられてもいたというのだ。しかも、そのことを手紙に書いて送っても、清家からはなんの返事もなかったという。
「じゃあ一体、誰が清家一郎を?」といぶかしがる丸山に、道上はなぜかここに呼ばれた田所のところへ歩み寄る。そして放った言葉は…。「清家さんの論文を盗み出し、鈴木さんに送ったのはあなたですよね?…真中亜里沙さん!」
「犯人はお前だ!」とばかりに、ミステリードラマのお約束のクライマックスのように言い放つ道上に、同席者全員ボーゼン自失。観る側も「ええ〜!?」と声が出てしまったのは私だけではあるまい。
まさかの整形までして身分を隠した亜里沙は、母親の旧姓を名乗って小松宅に潜入していた!
田辺桃子演じる、若き日の亜里沙のいや〜な笑い方はそのままに、その理由を話し出す田所=亜里沙。(実際に田辺扮する若き桃子が幻想のように現れて語り出す演出は映像ならではのゾクゾク感!)
清家を焚き付けて失踪したふりをして鈴木や浩子を欺き、ずっと清家を操っていたのは亜里沙だった。代議士になった27歳で浩子を切り、鈴木は利用するだけして必要なくなったら切り捨てる。そして、官房長官になった暁には、晴れて結婚…。
実は、亜里沙が書いたシナリオ「最後に笑うマトリョーシカ」には続きがあったのだ。そして、そこまではそのシナリオどおりだった!
しかし、亜里沙は「なのに3年前、突然彼は私を捨てた」と手にしたシナリオをテーブルに打ち捨てて告白する。浩子が彼を奪い返したと勘違いした亜里沙は、浩子に近づくために整形して小松宅に入り込んだというのだ。
けれど、浩子にその気配がない。そこで鈴木を怪しんだ亜里沙は、彼に論文を送り、出方をうかがっていたら、予想外に道上が動き出したという顛末だった。
では、今の清家を操っているハヌッセンは一体、誰?
ここでもうひとつの疑問が…。武智議員の愛人になり、彼を殺したのは亜里沙らしいが、鈴木の事故を企んだのは「私じゃない!」と亜里沙は断固否定。
では、誰かが鈴木を事故に遭わせて、それを亜里沙のせいにしようとしていたのか?
その誰かとは、常に清家のそばにいる鈴木が邪魔だった人物…。
今、清家の周りにいる人物というと、一番怪しいのは羽生総理(大鷹明良)?
そんな視聴者の心の声が通じたかのように、場面は大人気の官房長官・清家の姿を映し出す。その活躍にほくそ笑む羽生総理。しかも、そのあと清家は総理の執務室に清家が現れるのだ!
黒幕は、総理?
しかし、その真相は最終回までおあずけ。
ここからは、浩子と道上の母親同士の会話へと場面が移る。
「一郎くんのこと、なんにもわかってなかったのね」と話す切なげな母・浩子の表情に、勇気とのエピソードを語る道上。
「自分の子だからって、何を考えているのか簡単にはわかりません。だから、もっと彼の声に耳を傾けなきゃいけないと気付かされた」と道上は浩子に話し、さらに清家からは「僕を見ていてください。僕もあなたを見ていますから」と告げられた件も打ち明ける。
それを清家の「コントロールから逃れたい」というSOSだと受け止めた道上の心情…。清家を怪しみながらも、観る側もそこにどんどん共感するようになっているのでは?
一方、限られた命の浩子もまた、道上に打ち明ける。
「過去のことや母のことを話したのは、あなたに知ってほしいと思ったから。一郎くんのことも…。現実を突きつけられて、フタをしていた悲しみにようやく向き合える気がする」と…。
そして、浩子が道上に渡した封筒の中には1本のカセットテープ。
そう、これは高校時代の鈴木に送られたのに浩子が奪い取っていた、BG株事件の重要な証拠!
浩子は、代議士になってからの清家の切り札として持っていただけで、諸橋とは会ったこともないという。これで、浩子がBG株事件に絡んでいるという疑惑は消えた!
とんでもない悪女だったはずの浩子だが、「お願い。彼を助けてあげて」と、涙ながらに道上にお願いする、その息子を思う人間らしさに触れるとグッと心を掴まれてしまう。
高岡早紀の緩急自在なお芝居には脱帽です。
さっそくカセットテープをオフィスで再生すると…事件には諸橋だけでなく、しっかり羽生総理が絡んでいたことが判明!
これは政権がひっくり返るとんでもない大スクープ!
しかも、清家のハヌッセンは現総理・羽生?
ここで場面は国会に。意味ありげに「あとはよろしく」と清家に告げて、「かしこまりました」と答える清家の真っ直ぐな瞳には、どんな決意が宿っているのか?
そんな清家から執務室に呼び出された道上。またまた不穏な空気が…。
取材から外したことを謝る清家の話を遮り、「ハヌッセンは誰?」と問いただした彼女は、さらに「僕を見ていてくださいという言葉の意味はなんですか?」と畳み掛ける。
ここで清家は意外なことを持ちかける。
「道上さん、僕のブレーンになってくれませんか?僕のそばにいてくれませんか?」
ここでもまた「ええ〜!?」と声を出してしまった人も多いのでは。どゆこと〜?
次回、最終回。意外なことを言いだした清家の真意=マトリョーシカの中身は明かされるのか?
どんな結末を迎えるのか、ドキドキしかない!
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