林遣都&高梨臨&佐藤隆太がトリプル主演で、とある大学で発生した殺人事件を、事件を担当する所轄刑事と、殺人の容疑をかけられた女性、そしてスクープを狙う週刊誌記者が真犯人を追い詰めていくサスペンスドラマ『MALICE』。第1話は「刑事」、第2話は「容疑者」、第3話は「記者」…と、警察、事件関係者、マスコミという3つの視点から、事件の裏に潜む「MARICE=悪意、敵意、恨み」に迫り、真相を暴いていきます。主要キャスト3名のうち、担当所轄刑事の星野尚人役を務めた林遣都さんに、本作の魅力を語っていただきました。
━━まず、出演が決まった経緯や率直な感想を教えてください。
林:実はプロデューサーの森安(彩)さんとチーフ監督の村上(正典)さんが手掛けられた作品に、10年ほど前に2回(『カラマーゾフの兄弟』『鍵のない夢を見る』)参加させていただいたことがあって、どちらも自分にとって大切な作品として残っているんです。それから年月が経った今、またお二人と御一緒できる。ぜひ僕の成長した姿を見てもらいたいと思いました。企画書と脚本を読ませていただき、重厚さがあって意欲的な作品で、すごくリアルなものを感じました。感情を揺さぶられたいなという思いを抱いて、やらせていただきたいとお伝えしました。
━━林さんが演じられる星野尚人は事件を担当する所轄の刑事ですね。どんなキャラクターで、物語のなかではどんな役を果たしていくのでしょうか?
林:星野は警察組織の中で刑事をやってきて、30歳を過ぎて中堅になって自分の状況や置かれている立場に少し諦めの感情を持っているんです。撮影に入る前に監督やプロデューサーさんたちとも話したのですが、星野も最初は情熱や志を持って警察という道を選んだけれど、経験を重ねていくにつれて自分が思い描いていたものや理想としていた刑事像と現実の間に、ズレを感じるようになって、どこか芯がぶれ始めている。たとえば、自分の信念や正義感が通用しなかったり、必要とされなかったりする場面に、ドラマでは描かれていないところで出くわしてきて、そのせいで諦めを持って日々を過ごしている…そんなところから物語が始まるんです。
━━今、ちょっと無精ひげをはやされていて、スーツも少し着崩していて、どことなくやさぐれた印象があるんですが、役作りの一環でしょうか?
林:それもありますが、星野という人間は仕事で忙しい日々を送っていて、自分自身のことを考える時間や家族を構う時間が持てなかったり。そんな生活感みたいなものが見えればいいかなと思っています。
━━本作は毎回主人公が変わり、3者の視点から物語を描くことで事件の裏に潜む「MALICE=悪意、敵意、恨み」に迫っていきます。第1話は林さん演じる星野が主人公となる「刑事」から始まりますが、演じるに当たって特に意識されたことはありますか?
林:第1話で星野が登場するシーンから、警察という仕事に、どこか諦めに近いものを感じながら日々を過ごしていることが印象的に描かれています。ただ1話では、星野が本当はこうしたいと思いつつ、できずに溜め込んできたものが爆発するシーンがあって。脚本を読んだ時、その爆発具合がかなり驚かされる描写だったんです。そこまでふさぎ込んだり、何かを溜め込んでいる人って、一体、どんな毎日を送っているんだろうと考え、意識して役を作っていきました。
━━実際に演じられていく上で、難しかったことはありますか?
林:すごく難しかったのは、ドラマでは描かれていない部分ですね。星野にはアルコール依存症の父親がいますし、母親は犯罪によって命を落としていて、家族は崩壊してしまっているんです。でも、そこまでに至る過去のエピソードはドラマでは描かれない。弟役の一ノ瀬颯くんと父親役の野添義弘さんとの撮影は2日間だけだったのですが、その2日間でいろんな出来事があった家族の空気感をいかに表現するか、これはとても難しいと思いました。でも、ちゃんと説得力を持たせたくて、一ノ瀬くん、野添さんといろいろ話し、思いを共有しあって、一つの家族になれたんじゃないかなと思っています。
━━それは見ものですね。ドラマでは描かれないけれど、キャラクターの抱えているものの大きさが見えてくるんですね?
林:僕が演じる星野だけじゃなくて、谷村、丸山の2人もそうなんです。それぞれ感情を抑え込んだり、何かを犠牲にしていたり。苦しめられていたりすることが当たり前なんだと思いながら生きている。今の時代、3人の生き様があらゆる人に刺さるというか、共感できるポイントがすごく大きく描かれているんじゃないかなと思います。
━━共演された高梨さん、佐藤さんとの印象は?
林:実は他の作品で一緒だったことはあるのですが、同じシーンがなくて。今回、ほぼ初めてだったので、共演できると聞いたときはとても嬉しかったです。お二人とも頼もしい方ですし、現場も楽しくて。
━━高梨臨さんは林さんから見て、どんな役者さんに感じられましたか?
林:高梨さんは、あまり見たことのないタイプの女優さんという印象がありました。普段、カメラが回っていないときは自然体なんですが、いざ呼ばれてカメラの前に立った瞬間、どこでスイッチを入れたんだろうとわからないぐらい、スーッと役に入っていくんです。
━━高梨さん演じる谷村夏穂は、かなり冷酷で殺人の容疑もかけられるなど、凄い役ですよね。
林:ええ、でも、いろんなことを淡々とやっていかれる方なんです。たとえば取り調べのシーンなんて、ものすごい分量があるシーンを1日で撮ったりするんですけど、セリフのミスなどなく、淡々とやっていく。ものすごくプロ意識の高さを感じるんですけど、カメラが回っていないところは本当に自然体だから、全然、切り替えがわからないし、見ていて面白い方だなと思います。なんというか、臨さんは潔いところがある。あんまり、小っちゃいことを気にしなさそうなカッコよさがあります(笑)。
━━佐藤隆太さんはいかがですか?
林:隆太さんは、役の膨らまし方が素晴らしいんです。演じられている丸山をしっかりと掘り下げて、人間味あるキャラクターにしていかれるんです。また現場では、演じてみてみんなで共有しなければならないことや、お互いの演技で確認し合わなくてはいけないことを先頭に立って突き詰めていってくださるので、本当に心強いです。あとはアドリブや、現場で生まれるものをお芝居に入れてくるんですけど、それがすごく面白くて。普段おっしゃっているジョークもむちゃくちゃ面白いんです。僕は隆太さんの笑いのセンスが大好きです。
━━最後に、本作を楽しみにされている方たちにメッセージをお願いします。
林:3人の登場人物はそれぞれに日常の中に生きづらさや息苦しさを感じていますが、現実にもそういった人は多いと思うんです。僕自身もそんな彼らに共感することはありますし、実際にドラマを観てくださる方の中にも共感される方がたくさんいらっしゃると思うんです。世の中には、悪意や敵意、恨みなどがあるけれど、登場人物たちは冷静に、いろんな人の視点で物事を見ることで、日常生活の中には希望や光が散らばっているということに気づいていくお話になっています。そういうところから何か感じてもらえたら嬉しいです。
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