林遣都&高梨臨&佐藤隆太がトリプル主演で、とある大学で発生した殺人事件を、事件を担当する所轄刑事と、殺人の容疑をかけられた女性、そしてスクープを狙う週刊誌記者が真犯人を追い詰めていくサスペンスドラマ『MALICE』。第1話は「刑事」、第2話は「容疑者」、第3話は「記者」…と物語の主人公が変わっていくなかで、事件の真相に迫り、登場人物たちの本音や生き様を浮き彫りにしていきます。そんなチャレンジングな作品で殺人事件の容疑をかけられる大学講師・谷村夏帆役を演じた高梨さん。今までにない役どころに取り組んだ本作の魅力、意気込みなどを語っていただきました。
━━初めて台本に目を通したときの感想を教えてください。
高梨:いつも台本は、作品と自分の役のことを考えながら読むんですけど、今回は視点が3つあるのですごく不思議な感覚になりました。私以外の星野、丸山の視点のところを読んでいると、こうも人の視点になって読むと変わるものなのかと、引き込まれてしまって。純粋に楽しく読んでしまいました。
━━それで、やってみたいと?
高梨:そうなんです。これまでにやったことのない役柄で、自分自身からもすごくかけ離れていますし。だから、すごくやってみたい。でも、やったら、大変に違いない。不安もあったんですけど、やってみたいという気持ちのほうが大きくて。
━━殺人の容疑者役ですよね。
高梨:はい。そして、ダークな部分がむちゃくちゃ多い。父親へのコンプレックスや、男性に対する偏見も持っているなど…。本当にいろいろな要素が詰まっていて、こんなキャラクターはなかなか出会えないと思ったんです。
━━具体的に、谷村夏帆はどういうキャラクターですか?
高梨:本当に冷たい女性で強烈な上昇志向があって、のし上がるためなら男性を当たり前のように利用する女性に見えるんじゃないかなと思うんです。それが第2話の「容疑者」で夏帆が主人公になると、彼女が父親に対するトラウマを抱えていることが見えてくる。また、夏帆は自分の信念をすごく強く持っている女性で、いい意味でも悪い意味でも、誰にも頼らず、自分だけで生きてきたという自負もあるし、これからも人に頼らず自分で成功したいという気持ちが強いんです。
━━演じる上で難しかったことはありますか?
高梨:今回は自分の中でもとても難しくて、いろいろ考えたし悩みました。夏帆は相手の言葉を100%信用せず、受け取らない。自分の中の思いが強くて、「人は自分のことしか考えてない」と言っているんですけど、そういう夏帆自身も自分のことしか考えてなくて。そんなところを、人と壁を置くということで演じていきました。
━━参考にした方はいるのでしょうか。
高梨:夏帆は要素が多すぎるんです。強い女性だけど、事件に巻き込まれて冤罪で捕まって、弱味も見せたり。あまりにいろんなことがあるので、こういう人っているよねというキャラクターではないですし、私自身、夏帆のような心境になったこともありません。だから、彼女の一つ一つの感情を探っていって、それに近い人の話をネットで調べたりしました。
━━何もかもチャレンジだったんですね。
高梨:そうですね、自分にとってすごくチャレンジングな作品でした。かなり前に台本をいただいて読んでいたんですけど、クランクインの日が近づいてきて「やばいやばい、あと1週間しかない」と何回も何回も台本を読んで、どうやって演じればいいのかと悩みました。ただ、そんな風に悩んでいる毎日が楽しくて、役者としてはとても充実した時間でした。
━━共演されたお二人の現場での印象を教えてください。
高梨:お二方とも共演したことはあるんですが、ちゃんとお芝居という形でご一緒させもらうのは初めてでした。とくに、(林)遣都くんは10年ぐらい前の話なので、すごくおとなしい印象で。今回もおとなしいんですけど、あれ、大人になった!みたいな(笑)。遣都くんと私はそんなに年齢は変わらないんですけどね。今回はしっかり共演できて、遣都くんのちょっと面白いところに気づけました。別の作品(『VIVANT』)でまたご一緒するので、その時にはもうちょっと突っ込んでみようかなと思ってます。
━━佐藤さんとの共演はいかがでしたか?
高梨:佐藤さんは、それこそ自然体というか。普段しゃべっているテンションで芝居もするし、現場でもすごく気さくに話しかけてくれて、一緒にいてとても落ち着けるんです。緊張もしないですし、そういう空気を作り出してくれる。本当に自然な方ですね。
━━タイトルの『MALICE』は悪意といった意味ですが、現場はとても和気あいあいとしてたんですね。
高梨:和やかでしたね。スタッフの方たちも面白くてノリのいい方が多くて、楽しくやりながら、撮影が始まるとビシッとやるみたいな、チームワークのいい現場でした。
━━今回、振り幅のある役を演じてみた感想はどうでしょう。
高梨:すごく感情の起伏が激しい人間で、怒鳴り散らしたり、当たり散らしたりする…。そんなことって普通の生活ではあまりできないじゃないですか。だから、最初はちょっと楽しそうかなと思いましたけど、やってみたら、すっごく気分悪くて、家に帰ってもなんかイライラするみたいなのを引きずってしまったんです。やっぱり、人間はポジティブに生きていったほうがいいなということを学びましたね。
━━最後に、この作品を楽しみにしている方たちへメッセージをお願いします。
高梨:普通のドラマだと、1つの視点から描かれる物語の中で、自分に近しい誰かに感情移入したり共感するじゃないですか。でも、このドラマは3つの視点で描かれるので、こんなにも人の捉え方は違うのかと感じさせられます。私が演じる夏帆は、傍から見たら上昇志向の強い、超冷たい女性に見えるけれど、星野と丸山の視点からでは違って見えていますし、夏帆が主人公になる2話と5話では彼女の葛藤や苦悩が見えてくるので、多角的な描写で夏帆の別の面が見えてくると思うんです。映像になったものは私もまだ見ていないので、どんな出来上がりになるのかわからないのですが、私自身もすごく楽しみにしています。
チャレンジングな作品にトリプル主演で挑んだ林遣都さん、高梨臨さん、佐藤隆太さんに、本作の魅力や撮影秘話などを語っていただきました。
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