『MALICE』林遣都×高梨臨×佐藤隆太インタビュー。3人の視点で展開する物語に「人と接していても、表面的なことしかわからない」と痛感
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『MALICE』林遣都×高梨臨×佐藤隆太インタビュー。3人の視点で展開する物語に「人と接していても、表面的なことしかわからない」と痛感

とある大学で発生した殺人事件を、事件を担当する所轄刑事と、殺人の容疑をかけられた女性、そしてスクープを狙う週刊誌記者が真犯人を追い詰めていくサスペンスドラマ『MALICE』。第1話は「刑事」、第2話は「容疑者」、第3話は「記者」という3つの視点から真相に迫りながら、事件の裏に潜む「MALICE=悪意、敵意、恨み」を描いています。オリジナルストーリーのチャレンジングな作品にトリプル主演で挑んだ林遣都さん、高梨臨さん、佐藤隆太さんに、本作の魅力や撮影秘話などを語っていただきました。

3人の主人公、1人ずつにフォーカスが当たっていく切り口が面白い

━━まず、オファーされたときの率直な感想から聞かせてください。

佐藤隆太(以下、佐藤):1人ずつにフォーカスが当たっていくという切り口が面白いと思いました。主人公1人の目線を主軸に物語が繰り広げられていく作品は多いですが、この作品は3人の目線を軸に進むので、それぞれの周りにいる人間にもフォーカスが当たるんですよね。1つの事件の真相を追いながらも物語をより広い視点で、違った角度からの発見や気づきが出てくるので、サスペンスとしての見応えを感じられると思います。

林遣都(以下、林):ちょっと個人的な話になりますが、プロデューサーの森安(彩)さんとチーフ監督の村上(正典)さんの作品に10年ほど前に出させていただいたことがありました。自分の中で思い入れのある現場だったので、今回またご一緒して、成長した姿を見ていただきたいという思いもあって参加したいと思いました。また企画書をいただき脚本を読んで、テーマに惹かれました。3人の視点からという手法を使いながら、いろんな立場の人、その中でも弱い立場の人に寄り添った作品になっているところが楽しみだと感じました。

高梨臨(以下、高梨):3つの視点で描かれるドラマがすごく興味深いと思いながら、本当に楽しくストーリーを読ませていただきました。また個人的に、今までに挑戦したことのない役柄なのですごくやり甲斐があるんじゃないかとも思いました。実際のところは不安もありましたけど、それよりも挑戦したい気持ちが強かったです。

MALICE_三者インタビュー_02
©U-NEXT・共同テレビ

限られた撮影時間ながら、現場での一体感は抜群

━━撮影現場のエピソードを教えてください。

高梨:現場はすごく明るく、和やかな雰囲気でした。ただこの3人で撮影できる機会って少ないんですよね。逆に言うと、それぞれの人となりのエピソードが充実していて。だから、3人で集まった時は、1人の時とはまた違った表情や演技をしたり、掛け合いなどもあり、その場その場で雰囲気も変わって、3人のときは楽しかったですね。

林:すごく印象に残っているのは、3人それぞれのクランクインのときにプロデューサーさんが毎回改めて、「こういう作品にしていきましょう。こういう現場にしていきましょう。コミュニケーションを取って、健康に気をつけて」って挨拶をしてくださって。それがスタートにあったことで、キャストやスタッフ同士がいつもより遠慮なく、いろんなことを言い合えるような風通しのいい現場になっているように思えました。撮影期間は限られていたのですが、会話をしながら、互いの作品に対する思いを共有することができて、すごくいい雰囲気だなと感じました。

佐藤:ホント、そうでした。臨ちゃんも言ってましたけど、2人での撮影はあるんですけど、3人で集まるのはなかなかなくて。途中から僕と遣都くんが2人で行動するんですが、遣都くん、とても気持ちがいい方なんですよ。お芝居に対してすごくまっすぐだし。だから、こっちもすごく刺激をもらいましたし、バディを組むのが遣都くんでよかったなと(笑)。

林:(笑)いやいや、ありがとうございます。

佐藤:すごいスピードで撮影が進んでいくから、あまりプライベートのことまで話す時間はなかったんですよね。でも、遣都くんとお芝居をやっている時、対峙している時、真摯な人なので気持ちがよくて。そういうところで、距離を縮められたんじゃないかと僕は思いました。

MALICE_場面写真_01
©U-NEXT・共同テレビ

━━みなさんが演じられたキャラクターについて、簡単に教えてください。

林:星野は警察組織にいて、最初は志を持って選んで入ってきたのですが、10数年いろんなものを見てきて、自分の思い描いていたものと違ったり、理想と現実のギャップを感じたり。自分が掲げていた信念や正義感や、職業に対する誇りみたいなものが必要じゃないことを何度も経験して、感情がふさぎ込んでしまって。結果、今は諦めてしまっているというところから始まります。

高梨:夏帆という女性は、全部ひとりでやってきたというか、誰も信じられず、自分のことだけを信じてのし上がってきた人間なんです。そして、夏帆はみんな自分のことしか考えていないと思っている。その中で、殺人の容疑者として世間にさらされて、周りの人間から悪意や敵意を向けられたりする。人間の滑稽さを感じながら、演じていました。

佐藤:僕が演じた丸山は、週刊誌の記者で、娘の親権をめぐって妻と闘っていて、親権を得ることが彼にとっての正義で大事にしていることなんです。ただ、僕も子を持つ親の立場から見て、演じながら、丸山は父親として詰めが甘いんじゃないかとか思いましたね(笑)。でも、人間的には好きですね。人は得意なこともあれば、不得意なこともあるし。誰よりも気持ちは強くても、うまくできない不器用さもある。そういうツッコミどころがあるキャラクターを演じることにやり甲斐を感じています。

MALICE_場面写真_03
©U-NEXT・共同テレビ

人って、そんな簡単に本当のところはわからない

━━3つの視点があるというこのドラマで、一番の魅力はなんだと思われますか?

佐藤:各話ごとでそれぞれが抱えているものが見えてくる。こんな問題があるからこういう行動になるんだと、キャラクターの深みや本音が見えてきて面白いです。あと僕が演じる丸山はどこか抜けているので、シリアスな事件を追っていくんですけど、どこかちょっとコミカルに見えてしまうところもあったり。

林:人って、そんな簡単に本当のところはわからないよね、ということを考えさせられる作品になっていたらいいですね。今、情報が大きな印象を与えるコンテンツになっているけれど、みんなそれぞれにいろんな理由や状況があって、他人には見えていない部分が8割9割あるよな、ということが見えてくる。現代社会に通ずるテーマだなと思います。

佐藤:ホント、そうだよね。表面的なところだけ拾われて決めつけられてしまうけど、よくよく冷静に考えると、人間ってそんな簡単じゃないよねと。そういうことが、物語がすべてつながった時に、うまく感じられるといいよね。

高梨:私もそう思います。夏帆のこともそうだけれど、夏帆も2人がどういう人生を送っているのか全然知らない。そもそも、人間って、普通にお互いのことを知らない。表面的なものは見えていても、本当にわかっていないんだなと。それって実生活でもそうなんだよなと、演じながら感じました。本当に、このテーマは現代っぽくて面白いですよね。

MALICE_場面写真_02
©U-NEXT・共同テレビ


「3つの視点で描かれる」という仕掛けを素直に楽しんで

━━最後に、このドラマを楽しみにしている方たちに、ドラマは楽しむためのアドバイスをお願いします。

佐藤:主人公がエピソードごとに変わるので、自然に気づきがあって楽しめると思います。遣都くんのファンだからって、1話を見て、次は4話という見方はやめてくださいね!臨ちゃんが主人公の2話、そして、僕が演じる丸山が主人公の3話もちゃんと見て、楽しんでいってください。

林:僕たち3人だけじゃなくて、いろんな登場人物が出てきます。事件を扱った作品なので、悪い人や、被害者の人たちも出てきます。ドラマのタイトル『MALICE』は「悪意」という意味ですが、本当に人を傷つけている人の悪意だけじゃなくて、やむを得ず悪意が生まれてきてしまう。自分の大切なものを守るために、そうせざるを得ない立場に立たされたり、弱い立場に立たされた人たちがたくさん出てくるんです。きっとこのドラマを見たら、想像力を持って人を見ていかないといけないなと思わされると思います。

高梨:普通にドラマや映画を観ていると、どこかの視点に偏ってしまう…。誰しも、自分が一番感情移入しやすい人物を中心に見てしまうと思うんです。でも今回は、一人一人に視点が向けられていくので、それぞれの視点から一つの事件を見ざるを得ない、見せつけられる流れがすごく面白いと思います。それによって、登場人物の見え方や、事件に対しての考え方も変わってくると思います。まず1回、3つの視点で描かれるこのドラマを素直に見ていただいて、考え方の違い、感じ方の違いを楽しんでいただけたらと思います。

MALICE_三者インタビュー_03
©U-NEXT・共同テレビ

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