安定感ある演技力で人気!カメレオン俳優シン・ヘソン、おすすめドラマ&映画5選
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安定感ある演技力で人気!カメレオン俳優シン・ヘソン、おすすめドラマ&映画5選

2024.10.23 20:00

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去る6月の渡韓中。レイトショーに行こうと思い立ち、場所や時間などの条件から『그녀가 죽었다』(邦訳:彼女が死んだ)を選んだ。

主演は、『エンドレス 繰り返される悪夢』で夫婦役を演じていたピョン・ヨハンとシン・ヘソン。ヨハンは、顧客から預かった鍵を使って他人の家に入り、他人の私生活を覗き見ることを趣味とする不動産業者ジョンテを、ヘソンは、豊かな暮らしぶりを発信するも実態はかけ離れているSNSインフルエンサーのソラを演じている。

物語はこうだ。ジョンテがいつもの調子でソラの留守宅に侵入すると、何とソラが死んでおり、ジョンテは容疑者に。ジョンテは警察に追われながら真犯人を探すことになる……というサスペンス仕立てである。筆者の韓国語レベルは初級のため、その分、俳優たちの仕草や表情に頼って物語を追うことになったのだが、ヘソンの演技力の凄まじさにガツンとやられた。ネタバレになるので詳細は書けないが、その衝撃は、「彼女は、あの作品やこの作品にも出ていた俳優と同一人物なのか?」と混乱をもたらすほどであった。

ヘソンは2012年、ドラマ『ゆれながら咲く花』でデビュー。それから約3年は目立った役を得られなかったが、2015年、放送時期の近かった『ああ、私の幽霊さま』と『彼女はキレイだった』で全く性格の異なるキャラクターで登場し、注目を集める。

2016年には週末ドラマ『ドキドキ再婚ロマンス~子どもが5人!?』で主人公の妹役に抜擢。愛らしい演技が評価され、「KBS演技大賞」の助演女優賞、新人女優賞、ベストカップル賞にノミネートされていた。

そして2017年、ミステリーの傑作『秘密の森』で重要な役どころ、さらにはヒューマンドラマ『黄金の人生』で主役を演じきり、俳優としての地位を確立。

以降は、『30だけど17です』、『哲仁王后〜俺がクイーン!? 』、『生まれ変わってもよろしく』、『サムダルリへようこそ』、と定期的に主演作をヒットに導き、韓国ドラマ愛好家にとってお馴染みの俳優に。

最新作は、『私のヘリへ~惹かれゆく愛の扉~』。解離性同一症のキャラクターだが、これまた卓越した演技力を発揮している。2025年1月には、元ボクシング王者の教師を演じたアクションコメディ映画『勇敢な市民』が日本劇場公開予定。

このまま『그녀가 죽었다』(邦訳:彼女が死んだ)も日本で公開されてほしい……という願いも込めながら、今回はどんな役もモノにするカメレオン俳優、シン・ヘソンの名演が光る作品を紹介したいと思う。

① 黄金の私の人生

ヘソンアパレルの契約社員ソ・ジアンは、毎日必死に働いていたが、勤務中の追突事故により多額の借金ができてしまった上に、コネ入社した友人に横取りされて正社員の夢が破れる。同じ頃、自身の正体が25年前に行方不明になったヘソングループ一家の娘であることが発覚。人生どん詰まりになっていたジアンは、財閥家の娘として生きていくことを決意する。

新しい家族は愛情溢れるソ家とは異なり、厳格なルールが敷かれ、どこか他人行儀。さらに、追突事故の相手チェ・ドギョンが兄だった。それからまもなく、ジアンは前職に正社員として復帰し、“兄”ドギョンの指揮のもと、仕事に精を出す。最初はギクシャクしていたが、徐々に打ち解けていく兄妹。そんな中、ソ家とヘソングループ一家の両家を揺るがす新事実が明らかになる。

財閥と貧困家庭、正社員と契約社員、格差恋愛、後継者争い、誘拐、留学、不治の病……と、韓国ドラマ頻出トピックスてんこ盛りのヒューマンドラマ。全52話と超大作なのだが、その分、各登場人物の心情が丁寧に描かれており、徐々に感情移入していき視聴再生する手が止まらなくなる。

放送当時、最高視聴率47.5%を記録したというのも納得。例の新事実によってジアンは自暴自棄になるも新しい道を開拓し始め、一方ドギョンは財閥3世としての人生に疑問を抱き独立を目指すようになるのだが、2人が時に協力をしながら自分なりの幸せを追求していく姿に勇気づけられる。

また、家族仲が良すぎるソ家も、祖父に支配されるヘソングループ一家も、家族間で共依存のような状態だ。そんな中、全く異なる価値観の両家が入り混じったことを機に、各々が自身の存在意義を見つめて自立していき、その上で家族を大切にしていくようになる。まさに、“雨降って地固まる”過程がじっくりと描かれており、最終回は感涙必至。

ヘソンは本作が初主演。普段はハツラツとしていたが、苦渋をなめ続けたことで幾つか選択を誤り、徐々に生気を失っていくーー。そんな、人生のどん底期を経験した誰しもが共感できる姿を生々しく演じている。

特に印象深いのは、ジアンの父テスとのやりとりだ。ジアンの言動によって父テスは人生を諦め始め、ジアンは激しく後悔する。無性の愛を与えてくれる相手だから、と雑に扱って良いわけではない。チョン・ホジン(『私の解放日誌』など)と共に紡いだ父娘のドラマは、本作のハイライトと言ってもいい。また、ドギョンを演じたパク・シフ(『検事プリンセス』など)も魅力的。ジアンへのアプローチは正直しつこいのだが、曇りなき眼差しと爽やかな笑顔で何だか許せてしまうのである。

② 30だけど17です

30だけど17です
©SBS

バイオリニスト志望の女子高生ソリは順風満帆な人生を歩んでいたが、ある日交通事故に遭ったことで昏睡状態に。13年後に目覚めるも、保護者である叔父夫婦は一向にお見舞いにやってこない。不安に思ったソリは病院を抜け出して実家に戻るが、そこには舞台美術デザイナーのウジンが住んでいた。

途方に暮れるソリだが、ウジンの甥チャンの助け舟もあり、期限付きで居候をさせてもらうことに。そこからひとつ屋根の下、ソリ、ウジン、チャンの間に三角関係が生まれていく。

30だけど17です
©SBS

昏睡中に家族から見捨てられたソリに、交通事故を目撃したトラウマで心を閉ざしたウジン……と主役たちは気の毒な背景を持っているが、基本的には軽快なリズムで進んでいくラブコメディだ。

例えば、2人が出会った当初、ソリが大切にしていたチョコ菓子の上にウジンが誤って座ったハプニングで“うんこおじさん”が誕生するなど、全編通してユーモアが散りばめられている。また、この2人に加わるのが、底抜けに明るい高校生チャン、博識で家事能力も高い家政婦ジェニファー、ウジン宅に入り浸るチャンの部活仲間ドスク&ヘボム。賑やかな共同生活もドラマに彩りをもたらしている。

ヘソンが演じたのは、見た目は30歳、中身は17歳のソリ。あどけない表情で無邪気なティーンの役を違和感なくこなしている。

30だけど17です
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ツンデレ気質なウジンを演じたのは、ヤン・セジョン(『イ・ドゥナ!』など)。人との関わりを避けて常に無表情を保っていたウジンが、ソリの天真爛漫さに感情をかき乱されていく様子にはキュンとさせられる。

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猪突猛進タイプのチャンを演じたのは、アン・ヒョソプ(『いつかの君に』など)。ウジンとは真逆のカラッとした性格で、理想的な二番手を好演している。

③ 哲仁王后〜俺がクイーン!?

哲仁王后~俺がクイーン!?~
© STUDIO DRAGON CORPORATION

最年少で大統領官邸の料理長になったボンファンは、仕事もプライベートの女遊びも絶好調。しかしある日、同僚の仕掛けた罠にハマってしまい、逃亡中にベランダからプールへと落下してしまう。水中で気を失いかける中、韓服姿の女性とキスをしたボンファン。目を覚ますとそこは朝鮮時代の王宮で、キスをした女性=婚礼を明日に控えた王后ソヨンの姿になっていた。

哲仁王后~俺がクイーン!?~
© STUDIO DRAGON CORPORATION

朝鮮時代と現代を行き来する韓国ドラマ自体は珍しくないのだが、朝鮮時代を生きるおしとやかさの極みであるソヨンの体に、現代を生きるワイルドな女たらしボンファンの魂が入る、という設定が非常にユニーク。ボンファンの魂が入ったソヨンの発する朝鮮時代には存在しない言葉や仕草の連発に、周囲が「?」と困惑するシーンが笑いを誘う。特に王である哲宗のポカンとした表情は秀逸で、「ノータッチとは…」と王后の語録を作成し始めるなど、ひとつひとつの反応が面白い。

また、ボンファンが腕利きシェフであるという設定を活かし、厄介な相手である大王大妃の胃袋を掴み、偉ぶる料理長をギャフンと言わせて弟子にさせるなど、お料理シーンも痛快である。

哲仁王后~俺がクイーン!?~
© STUDIO DRAGON CORPORATION

爆笑史劇として大成功をもたらしたのは、主演ヘソンの力が大きいだろう。美しい身なりとは裏腹のガサツな振る舞いが突き抜けており、ボンファンの魂が本当に入り込んでいると思わせる大胆な演技で魅了する。

喜怒哀楽の激しい主人公と比べ、穏やかでやや天然な哲宗を演じたキム・ジョンヒョン(『愛の不時着』など)との相性も抜群で、2人の漫才のようなやり取りは永遠に見たくなるほど。

そんな視聴者の思いを成仏させてくれたのが、オムニバス形式のアナザーストーリー『哲仁王后 竹の森』(全2話)。本編では切ない最期を迎える登場人物も復活し、クスッと笑えて最後にはほっこり、ドラマ完走後の寂しさを癒してくれる作品なので、あわせて視聴してみてほしい。

④ 潔白

潔白
© 配給:「潔白」上映委員会

ソウルでエリート弁護士として活躍するジョンインは、ある報道を目にし、急いで実家へ戻る。それは、幼少期から自身を虐待し続けてきた父の葬式にて、農薬入りマッコリを使った集団殺人事件が発生したという内容だった。容疑者は、ジョンインの母ファジャ。ジョンインは、認知症を患っているファジャに計画殺人を遂行できるはずはないと独自調査を開始。幾多もの妨害に難航しながらも、平和な村に隠されていたおぞましい過去へとたどり着く。

早々に黒幕だと示唆されるのが、マッコリ事件の被害者でもあるチュ市長。カジノ計画や道知事選を控えており、事件の背景が暴かれぬよう、あらゆる場面で裏工作をする。ファジャの認知症、ジョンインの弟ジョンスの自閉症も利用し、証人喚問中のジョンスに混乱をもたらせて偽証罪による緊急逮捕へと持ち込み、「息子を釈放するから自白しろ」とファジャを恐喝。いくらジョンインが凄腕の弁護士でも打破できぬような困難な状況を作り出していく。それでも母の潔白を信じ、体を張って奔走するジョンインの姿に胸を打たれる。

ドラマ『哲仁王后〜俺がクイーン!?』では王妃役と大王大妃役をそれぞれ演じ、宮廷内バトルを繰り広げていたヘソンとペ・ジョンオクだが、その少し前に公開された同作では母娘役で共演。常に弟を最優先し父からの虐待も止めてくれなかった母を憎む娘が、母の愛を知ったことで、長年抑え込んでいた様々な想いが溢れ出す。一方で、ぼんやりとした世界に生きる母は、急に娘の存在を思い出し、後悔の念から発狂する。

ヘソンの繊細な目の演技や、ジョンオクの緩急ある芝居に泣かされる一本だ。

⑤ 私のヘリへ ~惹かれゆく愛の扉~

私のヘリへ ~惹かれゆく愛の扉~
© 2024 KT StudioGenie Co.,Ltd All rights reserved

テレビ局「PPS」に勤める無名アナウンサーのウノは、同期の人気アナウンサーのヒョノと長期恋愛の末に破局。そのショックにより、解離性同一症を患ってしまう。名声を得ることに貪欲で、性格のキツさが社内でも有名なウノだが、新しく現れた別人格のヘリは、情があって超ポシティブ思考。ライバル関係のテレビ局「メディアN」の駐車場でアルバイトをしており、さらには同局のアナウンサー、ジュヨンと恋愛関係へと発展してしまう。

私のヘリへ ~惹かれゆく愛の扉~
© 2024 KT StudioGenie Co.,Ltd All rights reserved

4年前に破局したのにも関わらず、ウノとヒョノがお互いに未練が残っているのは周囲にも明らかで、2人が復縁するだけならば話は早い。複雑なのは、別人格のヘリが恋に落ちてしまうこと。さらに、ウノの仕事が絶不調という状況が追い打ちをかける。「私の方がはるかに幸せだから主人格になるべきだ」とヘリが反乱を起こすのだ。

そんな現在進行中の物語と並行し、ヘリの正体や、ウノとヒョノの間で何が起こったのか、ヒョノにどのような事情があったのかがゆっくりと解き明かされていく。

私のヘリへ ~惹かれゆく愛の扉~
© 2024 KT StudioGenie Co.,Ltd All rights reserved

ウノとヘリを演じているのは、ヘソン。先に紹介した『30だけど17です』や『哲仁王后〜俺がクイーン!?』など、外見と中身の一致しないキャラクターを演じることにおいて右に出る者がいない彼女の演技は、もはや職人の域。2つの人格を行き来する1人の人物をごく自然に表現している。

ヒョノを演じるのは『ボイス』や『Sweet Home〜俺と世界の絶望〜』シリーズなどのベテラン俳優イ・ジヌク、ジュヨンを演じるのは『シスターズ』や『いつかの君に』などの注目俳優カン・フン。ジヌクの大人な色気、フンの誠実そうな雰囲気、それぞれの持ち味も発揮されている。


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