次のヒーローは誰だ!全勝ホープが躍動!「第12回WHO'S NEXT」ボクシング観戦レポート!
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次のヒーローは誰だ!全勝ホープが躍動!「第12回WHO'S NEXT」ボクシング観戦レポート!

2024.03.06 18:00

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3月2日開催のボクシング「第12回WHO'S NEXT 」は、帝拳ジムが誇る全勝ホープが揃い踏み!アマチュアで培った技術力をベースに、プロ仕様の攻撃力を身に着けたホープたちは、もはやブレイク寸前!この中から、NEXT井上尚弥や、NEXT中谷潤人、NEXT寺地拳四朗といった逸材が誕生すること間違いなし!

本記事では、“熱烈ボクシング応援団”目線での観戦レポートと対戦結果をお届け!

配信開始前、または配信終了しています。

メインイベント 第6試合:10R/ライトフライ級

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©NAOKI FUKUDA

〇高見亨介(帝拳)vs ×堀川謙一(三迫) 6回TKO

高見亨介は、WBCライトフライ級17位、IBF15位、OPBF12位、WBOアジアパシフィック1位、日本2位と全方位的に評価の高い、全勝のボクサーファイター。アマ戦績43勝4敗という驚異のレコードを残してプロ転向、デビューから4連続KO勝利を飾る。

堀川謙一は、現在OPBFライトフライ級10位、日本8位。2000年プロデビュー、61戦のキャリアを誇るベテランの右ボクサーファイター。過去には、日本、WBOアジアパシフィック、OPBFのタイトルも手にした実力者で、今回対戦する高見亨介が生まれる前からプロで戦ってきた。倒されても果敢に立ち上がるファイトスタイルは、堀川のボクシング人生そのものだと言える。

この究極とも言える新鋭VSベテランの対戦の行方は、ジャブの差し合いから始まる。1回、スピードで勝る高見は、下がりながらも堀川のジャブの戻り際に右ストレートを合わせ、カウンターの左ボディ突き上げる。歴然としたスピードの差に驚きを隠せない。

2回、堀川は持ち味であるプレッシャーを強め、もう一歩踏み込もうとするが、高見が逆に押し返す。 高見は、カウンターの左ボディで堀川の動きを止め、右ストレートでグラつかせると連打で仕留めにかかる。堀川がバランスを崩し、ダウン寸前のところでゴング!

3回、高見は右ストレートをクリーンヒットすると、その右を連打。その時その場で一番有効なパンチを嗅ぎ分ける嗅覚の鋭さを感じさせた。4回、前に出るしかない堀川に対し、高見は誘いこむように下がりながらカウンターを狙う。思惑通り左フックがカウンターでヒットすると、堀川はバランスを崩しロープまで後退、再びゴングに救われる。

5回、高見は堀川のパンチにカウンターを合わせるという“待ち”のボクシングに戦法を変える。ラウンド終盤、高見の右クロスが堀川のテンプルにヒット。そして6回、高見は真っ正面からの打ち合いに挑む。右ボディストレート、左ボディでガードを下げさせると右アッパーを突き上げ、顔面に集中打!堀川は耐えきれずに崩れ落ち、コーナーからタオルが投げ込まれた。

堀川謙一選手は、これまで八重樫東、木村悠、寺地拳四郎、岩田翔吉、谷口将隆ら数多くのチャンピオン経験者と対戦。それは、時代、時代で最強の男と戦ってきた証。敗れても強くなってカムバックしてきた。そんな堀川選手だが、この試合の後「成長させていただきました。もう覆すことはない」と現役引退を表明した。

高見亨介選手、スピード、パワーはもとより、多彩なパンチと手数、急所を打ち抜く的中率、回転力のある連打はすでに世界水準。次戦は、日本タイトルか、それともWBOアジアパシフィックタイトルか。寺地拳四朗が世界王座に君臨するこのライトフライ級で、その王座を虎視眈々と狙う矢吹正道や岩田翔吉、谷口将隆らを、高見亨介はあっという間に抜きさって行くかもしれない!

セミファイナル 第5試合:8R/スーパーバンタム級

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©NAOKI FUKUDA

〇村田昴(帝拳)vs ×アレックス・サンティシマ(比)7回KO

村田昴は、WBAスーパーバンタム級13位、WBOアジアパシフィック4位。日本国内より先に、海外での評価が高まった元アマチュアエリート。2021年、ラスベガスで2回TKOでデビューを飾り、これまで5戦全勝全KO勝利中というサウスポーの倒し屋。対するアレックス・サンティシマは、OPBFバンタム級13位。思いっきりの良い右ストレートで飛び込み、連打をまとめる全勝の右ボクサーファイター。

攻撃的な全勝同士の対戦は1回、ジャブの差し合いでの主導権争いの中で、村田の左ボディストレートが有効か。2回、サンティシマはサウスポー対策として左に回り込もうとするが、そうはさせたくない村田とのせめぎ合い。村田はよりプレッシャーをかけ、右リードパンチを出し続けていた。

3回、村田はジャブで試合をコントロール、ここでも左ボディストレートを忘れない。4回、ペースを変えたいサンティシマはプレッシャーを強め、右ストレートで飛び込み、至近距離で打ち合う。お互いにクリーンヒットを許した拮抗したラウンド。5回、村田はギアを上げテンポアップした連打でサンティシマを攻め立てる。6回、単発のサンティシマに対し、村田はコンビネーションをまとめてロープに詰めるとボディを連打。クリンチで逃れようとするサンティシマの腕を振りほどき、上体を起こさせると更にボディを集中攻撃。偶然のバッティングによる左目上のカットすらものともせず、パンチを出し続けた。サンティシマのダメージは深く、ゴングに救われた。

そして7回、完全にボディが効いてしまっているサンティシマは足を使って距離を取るが、村田は徹底的にボディ攻撃。最後は、腰の引けたサンティシマのガードの外側から抉るような左ボディを叩きこむと、遂にサンティシマは膝をつき、10カウントを聞いた。

村田昴選手、海外での試合も多く、後楽園ホール凱旋は1年5か月ぶり。まだ6戦のキャリアながら、積み重ねた経験値と将来性は、同世代のホープの中でも群を抜いている。現在、スーパーバンタム級四団体全てのベルトは井上尚弥選手が持っているが、来年以降フェザー級へ転向したあかつきには、村田選手が後継者に名乗りを上げるに違いない!

第4試合:8R/ライト級

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©NAOKI FUKUDA

×プームリットデーット・チョンラトンダンムロンクン(タイ)vs 〇丸田陽七太(森岡)判定0-3

プームリットデーット・チョンラトンダンムロンクンは、OPBFライト級12位、WBOアジアパシフィック2位。80%を超えるKO率を誇る好戦的なファイターで、ガードを高く構え、すり足でじわじわ近づき重たい連打を叩き込む。丸田陽七太は、OPBFライト級5位、WBOアジアパシフィック12位、日本7位。元日本フェザー級王者。180㎝の長身にも関わらずバンタム級でプロデビュー、現在ライト級まで階級を上げ、これまでのスピードはそのままに、パワーが上乗せされた。ボディから顔面に返すコンビネーションが武器。

試合は、前日計量で700gオーバーしたチョンラトンダンムロンクンが、JBCが定めた当日計量をクリアしたことで予定通り行われる事となった。

1回、丸太はジャブと手数で慎重にたちあがる。距離が詰まった2回、丸太は左ボディから左アッパーを打ち込むと、チョンラトンダンムロンクンも右ストレートで対抗。3回、右ストレート狙いのチョンラトンダンムロンクンに対し、丸太は右ボディストレートと左ボディでスタミナを削る。4回、チョンラトンダンムロンクンは、これまでのラウンドより攻勢を強め右ストレートで飛び込む展開に。受けに回った丸太は打ち終わりに左ボディを返すが、チョンラトンダンムロンクンが優勢なラウンドか。

5回、丸太のワンツーがクリーンヒットするも、狙いすぎたのかやや手数は減った。6回、丸太はプレッシャーを強め前へ出ると強い左フックでダメージを与える。7回、丸太はジャブを上下に打ち分けながらリズムに乗ると、左フックからのコンビネーションがヒット。8回、KOしたい丸太は、回転の速いコンビネーションをまとめるが倒し切れず試合終了。判定は、0-3大差判定で丸太の勝利だった。

丸田陽七太選手、大幅に階級を上げたことが危惧されたが、スピードもパワーも気力も満ち満ちていた。また、フェザー級時代に対戦し敗れている阿部麗也選手は、この試合の翌日にニューヨークでIBF世界フェザー級タイトルマッチに挑戦。残念ながら阿部選手の王座奪取はならなかったが、かつて拳を合わせた選手が世界で活躍する事は、丸田選手にとっても勇気と自信に繋がるはず。ライト級で再び頂点を目指せ!

第3試合:8R/フェザー級

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©NAOKI FUKUDA

〇金子虎旦(帝拳)vs ×ジュンリル・カスティノ(比)4回KO

金子虎旦は、WBOアジアパシフィックフェザー級13位。アマで充分な実績を積み、大きな期待を受けて2022年プロデビューし、これまで無傷の4連勝。シェーン・モズリーやティモシー・ブラッドリーを思い起こさせる、日本人離れしたスピードスター。対するジュンリル・カスティノは、フィリピンスーパーバンタム級1位。右ストレートをリードパンチに多用し、打ち合いに持ち込むと左フックのカウンターを振るうタフなファイター。

試合は1回、静かな立ち上がり。お互いに様子を見るラウンドだが、金子がよりジャブと左ボディを当てていた。2回、カウンター狙いのカスティノは、金子のジャブに左フックを合わせる。当たりは浅いが、得意のパンチを振るってきたことでコンディションの良さが伺える。一方、金子も得意の左ボディからのコンビネーションでカスティノを後退させる。3回、カスティノはプレッシャーを強め、距離を詰めると左フックを強振、金子を後退させる。金子も右ストレートのカウンターを合わせるが、より前に出ていたカスティノが優勢に見えたラウンド。本来、攻撃的なカスティノは前に出ていくことで、持ち味である左フック、右ストレートが活きた。

そして4回、金子は強くて早いジャブで立て直し、打ち気のカスティノを左ボディで迎え打つ。それでも前に出るカスティノは、右ストレートで金子の顔面を弾き上げると、チャンスとばかりにワンツーで飛び込む。がしかし、そこにドンピシャのタイミングで金子の左ボディ一閃!これまで、何度もヒットしていたパンチだが、完全にカウンターのタイミングでヒットしたので、パンチの威力は2倍にも3倍にも増幅される。カスティノは膝から崩れ去り、足を投げ出し悶絶。レフェリーの10カウントを聞いた後もしばらく立ち上がることが出来なかった。

金子虎旦選手、今回はスピード以上にパワーを感じさせた試合。日本人離れしたボクシングセンスの高さは、同じ帝拳ジム出身のホルヘ・リナレスを見ているようだ。フェザー級は、アジア勢より中南米の選手がより多く活躍している階級。そこに金子選手が割って入る未来は近い。

第2試合:8R/スーパーバンタム級

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©NAOKI FUKUDA

〇福井勝也(帝拳)vs ×オー・サンフン(韓国)判定3-0

福井勝也は、WBOアジアパシフィックスーパーバンタム級1位、日本10位。高校総体ライトフライ級優勝などアマ戦績59勝16敗。プロ転向後も強いジャブと的確なコンビネーションでこれまで全勝。老獪なテクニックと安定感に加え、倒し切る決定力も持った技巧派ボクサー。韓国バンタム級王者のオー・サンフンは、接近して、打ちつ打たれつの打撃戦で真価を発揮するパワフルなファイター。

テクニシャン対ファイターの試合は、1回、福井のシャープなジャブからのワンツーで始まる。2回、福井は接近してくるサンフンに左フックを打ち込むと、カウンターの右ストレートも炸裂。3回には、福井の有効打でサンフンが右目上をカット。4回、福井の左フックがオープンブロー気味にヒットし、サンフンが倒れ一度ダウンが宣告されたが、パンチではなく押し倒した事となり、すぐにダウンの裁定は取り消された。しかし、その後も福井の左フックがヒットし続けてラウンド終盤には連打を畳みかけダウン寸前まで攻め込んだ。

完全にペースを握った福井は6回、ボディからの右ストレートでのけ反らせるとラッシュを仕掛けるが、サンフンが驚異の粘りを見せて踏みとどまる。7回、サンフンはコーナーで大きな声を発声し、気合いを入れ直して前に出る。しかし福井は、打ち気のサンフンをアウトボクシングでコントロールし、ロングレンジでクリーンヒットを放つ。そして8回、後のないサンフンは再びコーナーで気合いを入れると、逆転KOを狙いプレスを強め右ストレートで攻め込むが、福井のテクニックの前にパンチは空を切る。最後まで、まともにパンチを貰わなかった福井が、ジャッジ3者ともフルマークで判定勝利を手にした。

気になったのは、敗れたオー・サンフン選手が福井選手と顔を合わせることもなく、さっさとリングを降りてしまったこと。ボクシングは、殴り合いではあるけれど、れっきとしたスポーツ。試合が終われば、ノーサイドで健闘を讃えあうもの。そこに観客は感動し、この荒っぽいスポーツの美学だと感じるところ。最後までリングに立ち続けた勇姿が、台無しになりかねない振る舞いだった。

福井勝也選手、抜群の安定感で打たせずに打つボクシングを実践できた試合。多彩なパンチを的確に当てる攻撃力、クリーンヒットを許さない防御力、そしてスピードとスタミナを証明した。タイトルマッチの準備はもう出来ている!現WBOアジアパシフィック王者で世界ランカーのTJ・ドヘニーとの対戦が待ち遠しい!

第1試合:8R/55.0kg契約

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©NAOKI FUKUDA

×カルーン・ジャルピアンラード(タイ)vs〇 内構拳斗(横浜光)判定0-3

カルーン・ジャルピアンラードは、ペッチバンボーン・ゴーキャットジムの名前で活動していたタイのベテラン。2016年9月、WBOスーパーフライ級王者だった井上尚弥に挑戦した時は10回TKOで敗れた。昨年8月来日し、与那覇勇気と対戦したが2-1の判定負け。

対する内構拳斗は、ボクシングの名門、拓殖大学では主将を務め、アマ戦績39勝22敗の成績を残し、横浜光ジムの秘密兵器としてプロ転向。ジャブで組み立てる堅実なボクシングと、チャンスで畳みかける連打が特徴的なボクサーファイター。

試合は、終始手を出し続けた内構が、ジャルピアンラードを圧倒する内容となった。1回、左ボディから上下打ち分けるコンビネーションで優位に立ち上がると、2回には激しいラッシュでロープに釘付けに。内構は3回以降も左ボディを中心に、豊富な手数でクリーンヒットを重ねるが、上体の柔らかいジャルピアンラードは上手くダメージを逃がし倒れない。5回は、内構の左フックからのコンビネーションに、ジャルピアンラードが右クロスを合わせる場面も。内構が前に出て攻め続けたが、もしかするとジャッジの採点が割れているかもしれないラウンドだった。

6回、内構は誘いこむようにジャルピアンラードに手を出させ、カウンターを打ち込むと、7回には再びロープ際でラッシュ。最終8回、一方的な試合になり倒し切りたい内構は、右アッパーの連打でラッシュをかけ、レフェリーストップを呼び込みたかったが、ジャルピアンラードは巧みなクリンチワークで回避、最終回のゴングを聞いた。判定の結果は、内構の0-3勝利。ジャッジ2者がフルマークの大差が付いた。

内構拳斗選手、ダウンこそ奪えなかったが実力者相手に完璧な勝利。そんな内構選手、唯一の敗戦は昨年5月の穴口一輝選手に判定で敗れた試合のみ。日本バンタム級チャンピオンの座がかかった「井上尚弥杯モンスタートーナメント」準々決勝での事だった。穴口選手との再戦は叶わないが、日本バンタム級タイトルを獲得することで、かつてのライバルが記憶にも記録にも生き続けるに違いない。

今回は全6試合のうち、3試合がKO決着だった。中でも金子虎旦選手、村田昴選手ともにフニッシュブローは、左ボディブロー。そう言えば、2月に試合をした嶋田淳也選手も、1月に試合をした中野幹士選手も左ボディでKO勝利していた。この左ボディは、肝臓を打ち抜く事から“レバーブロー”と呼ばれ、かつてはメキシコのボクサーが得意としていたパンチ。帝拳ジムでは、このパンチを徹底的に教え込みトレーニングしているのだろう。顔面へのハードパンチャーが多いフィリピンの選手は、ボディ攻撃への耐性が出来ておらず、特に有効なようだ。


U-NEXTでは、今回レポートした『WHO'S NEXT DYNAMIC GLOVE on U-NEXT vol.12』を2024年4月1日まで配信中!

配信開始前、または配信終了しています。

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