KO必至!スーパーフェザー級頂上決戦!「第14回WHO'S NEXT」ボクシング観戦レポート!
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KO必至!スーパーフェザー級頂上決戦!「第14回WHO'S NEXT」ボクシング観戦レポート!

2024.04.24 20:00

4月20日、大阪で開催された「WHO'S NEXT DYNAMIC GLOVE on U-NEXT Vol.14」は、日本チャンピオンが、最強挑戦者と対戦する「チャンピオンカーニバル」の中でも屈指の好カード、日本スーパーフェザー級タイトルマッチ「原優奈VS奈良井翼」を配信!

戦前の期待を裏切らない熱いファイトと衝撃KOにエディオンアリーナは沸いた!

そして、次世代のチャンピオンを育成するため、WHO’S NEXT強化育成選手に指定された期待の新人、伊藤千飛選手の衝撃デビュー戦も配信。本記事では、“熱烈ボクシング応援団”目線での観戦レポートと対戦結果をお届け!

メインイベント 第7試合:10R/日本スーパーフェザー級タイトルマッチ

×原優奈(真正)vs 〇奈良井翼(RK蒲田)5回TKO

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日本スーパーフェザー級王者の原優奈は、OPBF4位、WBOアジアパシフィック級5位。2018年度スーパーバンタム級西日本新人王。豊富な手数と多彩なパンチで、打ち合いを好む好戦的なボクサーファイターだが、実戦から培った試合運びの上手さを合わせ持つ。言わば、心はホットに頭はクールに戦うクレバーな試合巧者。奈良井選手の左フックに、得意の右ストレートをカウンターで合わせ、KO勝利で2度目の防衛戦を飾りたい。

最強挑戦者、奈良井翼は、2020年度全日本スーパーフェザー級新人王とMVPを獲得、現WBOアジアパシフィック8位、OPBF11位、日本1位。今回、指名挑戦者として2度目の日本タイトル挑戦となる。分厚い筋肉から打ち込む強打、特に左フックがヒットすれば、KO勝利でのタイトル奪取の可能性は高い。

どちらが勝つにしても、KO必至の大一番のゴングが鳴る!1回、お互いにジャブの差し合いの中で、奈良井の方が右クロス、左フックとアクションが多かったか。2回、原がダブルジャブから右ストレートを伸ばすも、奈良井はスッとステップワークでかわし、攻撃を寸断する。それでも原はジャブを出し続け、得意の右ストレートにつなげたいが、逆に奈良井の右ストレートを被弾し後退が続く。3回、どっしりと構えた奈良井の周りを原が回る展開に。時折放つ奈良井の右ストレートが、原の顔面を捉えるが、返しの左フックは当てさせてもらえない。原も右ストレートを打ち込むが、奈良井のガードに弾かれる。試合が動いたのは4回、笑顔でコーナーを出た奈良井は、原の左アッパーに左フックをカウンターで合わせると先制のダウンを奪う!すかさず立ち上がった原は、ダメージを物ともせず、逆にダウンを奪い返そうと打ち合いに臨む。このスピリットこそが、原優奈がチャンピオンたるゆえん、以降の追撃を許さなかった。そして迎えた5回、原の右目の腫れが気になる中で開始のゴング!プレッシャーをかけて先に攻撃を仕掛けるのは原。ジャブ、ワンツーで奈良井を下がらせるが、奈良井のリターンジャブで顔面を跳ね上げられる!ダメージの蓄積量は、圧倒的に原が不利。しかし、怯むことなく攻める原を歓声が後押しする。しかし、原の右ストレートの返り際、奈良井のジャブ、右ストレートが顔面を真っ直ぐに打ち抜くと、原は尻もちをつくように後ろにダウン!この試合で2度目のダウンを奪われる。原は、すぐさま立ち上がったが、再び奈良井の右ストレートを浴びて3度目のダウン!レフェリーはその場で試合を止めた。奈良井翼が、2度目の挑戦で念願の日本タイトルを獲得した!

原優奈選手、好戦的なボクシングスタイル、倒されても倒し返す闘志、男気溢れるコメントにファンが多いのは事実。スリリングな試合で今回は敗れたが、強者揃いのスーパーフェザー級戦線の一角を担っているのは変わらない。再起を待っているが、まずはしっかり心身を休ませて欲しい。

新チャンピオンとなった奈良井翼選手、見事にビッグチャンスをものにしたメンタルと、右ストレートに賞賛を送りたい!てっきり奈良井選手は、得意の左フックがKOパンチで、その左にばかり注目していたら、原選手のお株を奪うような見事な右ストレートを見せてくれた!これには、かつてマニー・パッキャオがリッキー・ハットンを得意の左ストレートではなく、想定外の右フックでKOした試合を思い出した!

また、日本タイトルを手にした、奈良井選手の今後のマッチメイクにも目が離せない!今回勝利した原選手との再戦はあるのか?かつて敗れている坂選手へのリベンジマッチはあるのか?興味は尽きない!

セミファイナル 第6試合:8R/スーパーバンタム級

×クラウデバン・シーシー(比)vs 〇池側純(角海老宝石)0-3判定

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クラウデバン・シーシーは、2023年5月の島田淳也戦、2023年9月の原田海舟戦に続き、3戦続けて日本での試合となる、頭から飛び込んでくるようなラフなファイトスタイルが印象的なファイター。

池側純は、OPBFスーパーバンタム級12位、日本3位。2018年、2019年と国体3位の実力を持ってプロデビューした、テクニックのあるサウスポー。デビュー間もなくから、実力者とのハードマッチメイク路線で、経験と勝負強さを磨いてきた。

試合は1回、2回ともに様子見のラウンドとなる。池側は、シーシーの強打を警戒し、シーシーは池側のカウンターを警戒している。お互いにクリーンヒットはないが、ジャブで牽制していた池側が有利か。3回以降、池側は持ち前の右リードジャブが走り始め、アウトボクシングで支配し始める。5回、シーシーの左ボディがヒットし冷っとするが、池側が左ストレートを返し押し返す。6回、シーシーが勝負をかけ、攻勢を強め強引に攻め込むが、池側も一歩も引かずに応戦。上下を打ち分けるアウトボクシングで、シーシーの突進を防ぐ。7回、池側は、偶然のバッティングで右目上を出血するも、右アッパーからのコンビネーションがクリーンヒット。8回、池側の右ジャブが当たったタイミングで、シーシーがバランスを崩しリングに転がると、レフェリーはダウンを宣告。足を踏まれたというシーシーのアピールは聞き入れられなかった。そして、そのまま試合終了。0-3大差の判定で、池側が勝利した。

池側純選手、技巧派サウスポーの面目躍如となった試合。ちょっとやそっとの強打者では太刀打ちできない、対戦相手の戦力を無効化するテクニックが秀逸。これまで2度の引分はあるが、無敗。玄人好みの“負けない”ボクシングを極めていくことも興味深い。

第5試合:8R/フライ級

×アンソニー・ギブエラ(比)vs 〇小田切駿平(RST)0-3判定

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アンソニー・ギブエラは、左フックを振り回して飛び込んでくる攻撃的なファイター。大振りで迫力はあるが、その分、隙が多く、体が流れたところにカウンターを貰いがち。

対する小田切駿平は、アマ戦績37戦28勝9敗、全日本選手権準優勝の実績を残し、B級ライセンスでプロデビュー。カミソリのような切れ味鋭い左ストレートを自信満々に打ち込む、サウスポーのスピードスター。

試合は、想定通りギブエラの突進から始まる。1回、左フックを振り回すギブエラに臆することなく、小田切は右ボディを連打し応戦。2回には、もうギブエラの突進を空転させ、小田切の防御勘が冴える。3回、小田切は左ストレートをクリーンヒットさせると、ラッシュを見せ、4回も優勢に試合を進める。5回、6回は、小田切は手数を控え、下がりながら誘いこむボクシングでペースを変える。7回、やや疲れの見えてきた小田切だが、右ボディだけは常にクリーンヒットを続ける。最終8回も、小田切は、左右ボディからの右フックなど有効打を当て続け、試合終了のゴングを聞いた。判定は、3名のジャッジ全員がフルマークで、小田切の0-3判定勝利。ギブエラの突進を攻略した。

小田切駿平選手、KO勝利は逃したが、サウスポーからスムーズに繰り出す右ボディが、よくヒットしていたし、好戦的なファイターをコントロールできた試合。一方的な内容だけに、ダウンの1つでも取りたかったところだが、ここは最後まで立っていたギブエラ選手のタフさを讃えたい。

第4試合:6R/55.0kg契約

〇伊藤千飛(真正)vs ×ヨーティン・トンカン(タイ)1回TKO

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伊藤千飛は、WHO’S NEXT強化育成選手。アマ戦績21戦20勝1敗7RSC、2021年度全国選抜大会ライトフライ優勝、2022年度全国選抜大会フライ優勝、2023年度アジアユース選手権3位。5歳から始めたキックボクシングでは、200戦150勝50敗を誇り、数々のタイトルを獲得。また、Deep Kickでは、那須川天心選手の弟、龍心選手と2度対戦し、2度とも勝利している。満を持して、究極の“立ち技”格闘技、プロボクシングのデビュー戦を迎える。

ヨーティン・トンカンは、2023年7月プロデビュー。現在4連勝中だが、その4試合すべての対戦相手がデビュー戦という、デビュー戦キラー。今回、初めて自国タイを出て、海外の選手と対戦する。

注目の伊藤千飛のデビュー戦は、1回、わずか55秒で決着する!伊藤は、ジャブとフェイントでトンカンに左ジャブを出させると、そこに右ストレートを合わせる。スピードに差があるので、後に出しても先にヒットする。しかも右ストレートの後に右アッパーも織り交ぜる、ちょっと考えられないコンビネーション。ガードの隙間に捻じり込むような左ボディは、上体を傾け飛び込むように打つ!この動きも、ちょっと考えられない。そのボディに手応えを感じた伊藤は、すかさず左ボディをダブルで叩くと、今度は右ボディアッパーを突き刺し、最初のダウンを奪う。トンカンは悶絶しながらも、なんとか立ち上がり再開したが、伊藤の右ボディフック一発で再び崩れ落ち試合終了!伊藤は、これ以上ない勝ち方で、プロ初勝利を飾った!

伊藤千飛選手、WHO’S NEXT強化育成選手の中では最年少18歳。その年齢を感じさせない試合運びの巧みさは、豊富な格闘技経験があってこそ。結果的に、対戦相手の実力がミスマッチだったが、また次の試合を観たい!と思わせる、短いながらも濃い内容のデビュー戦だった。これからは、一戦一戦が注目され、勝利が義務付けられる立場。強敵相手に豪快なKO勝利で、ボクシングファンを魅了して欲しい!

第3試合:6R/フライ級

×清水翔太(TOUGH BOY)vs 〇森川祐輝(緑)0-2判定

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清水翔太は、2018年9月にプロデビュー。ガードを固めアグレッシブにプレッシャーをかけるボクサーファイター。接近戦での豊富な手数でダメージを与え、動く標的を捉えたい。対する森川祐輝は、2021年度中日本フライ級新人王。軽快なフットワークでリズムを作る長身のサウスポー。先手、先手と手を出しポイントアウトしたい。

ファイターVSボクサーの一戦は、1回、長身サウスポーのアウトボクサー森川が積極的に攻め込む。ワンツーからの左アッパーでスタートダッシュを切ると、2回は左ストレートをクリーンヒット。しかし、清水に右フックを返され右目上をカット。パンチによるカットなので、傷が悪化し試合続行不可能な場合は、TKO負けになるハンデを背負う。3回、森川は前後の動きを増やし、アウトボクシングを展開しようとするが、清水もボディ攻撃で食い下がる。4回、5回と森川は下がりながらも豊富な手数でアウトボクシングを継続。清水も右フックで応戦するが、いかんせん単発に終わってしまう。最終6回、ギアをあげた森川は、ダブルの左ストレート、右フックを振るい気迫を見せて試合終了。判定は、0-2で森川の勝利となった。

清水翔太選手、前に出続けて攻勢をかけていたが、左ストレートを打たれ過ぎた印象。もう少しブロック出来ていたら、より重たいパンチの清水選手が有利なジャッジが出ていたかもしれない。

森川祐輝選手は、もっと下がるボクシングをするのかと思ったら、グイグイ攻めるアウトボクシングで勝利をもぎ取った!KOこそ逃したが、連打をまとめるシーンも。好戦的な長身サウスポーは戦いにくい相手。ここから連勝が始まる!

第2試合:西部日本新人王予選 4R/ライト級

〇竹中るいじ(真正)vs ×早川遼太郎(升田)2回TKO

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竹中るいじは、2023年9月プロデビュー。元日本ウェルター級1位で、日本タイトル挑戦経験もある竹中義則を父に持ち、今年1月の寺地VSカニサレス興行のアンダーカードにも出場した、期待のボクサーファイター。早川遼太郎は、2022年11月プロデビュー。ガードを固めて接近し、右ストレート、左フックを放つ好戦的なファイター。乱打戦に巻き込み初勝利を狙う。

試合は1回、早川がジャブ、左右フックでプレッシャーをかけ、力強く強引に攻め込む。竹中は、バックステップしながら右ストレートをカウンターで合わせたかと思えば、今度は左ジャブでステップインする。パワフルな早川の距離とタイミングを計っている様子。2回、早川は、体を振りながらジャブとワンツーで距離を詰めるが、竹中の真正面に立った瞬間に、右ストレート一閃。竹中は、ウェイトの乗ったパンチを真っ直ぐ打ち抜き、早川を後ろにふっ飛ばしダウンを奪う。立ち上がった早川は、打ち合いでピンチを凌ごうとするが、竹中の右クロス、右ストレートが立て続けにクリーンヒット、クリンチで逃れようとしたところで、左ボディアッパーを突き上げられ、体がくの字に折れ曲がる。竹中は、フラフラと半身で後退する早川に、追い打ちの右ストレートでアゴを打ち抜き、左フックもフォロー。2度目のダウンを奪うと同時にレフェリーは試合を止めた。

竹中るいじ選手、鮮やかなKO勝利で、決定力の高さを印象付けた試合。ライト級新人王優勝候補の筆頭に踊り出た!そして、将来の日本チャンピオンを目指せ!

早川遼太郎選手、常に攻撃的なファイトスタイルは魅力充分!再起に期待!

第1試合:西日本新人王予選 4R/スーパーフライ級

×漆谷悠矢(森岡)vs 〇前田凪貴(RST)1-2判定

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漆谷悠矢は、2021年7月プロデビュー、これが3度目の新人王トーナメント挑戦。接近戦もアウトボクシングもできるサウスポーのボクサーファイター。対戦相手の前田が長身のアウトボクサーなので、懐に入りパンチをまとめて主導権を握りたい。

前田凪貴は、2023年6月プロデビュー。シャープなジャブと伸びる左ストレートを武器に、中間距離でのボクシングで真価を発揮するサウスポー。ストレートパンチで突き放すボクシングを展開し、打たせずに打ち勝ちたい。

試合は、距離を取りたい前田と、接近したい漆谷とのせめぎ合いに。1、2回は前田が右リードジャブと左ストレートを有効に使い、アウトボクシングで支配していた印象。しかし3回、漆谷は左ボディで距離を詰めるとパンチをまとめて流れを引き寄せる。最終4回、打ち気の漆谷に対し、前田の左ストレートが度々ヒット、主導権はシーソーゲームのように移り変わる。ラウンド終盤、漆谷が怒涛の攻撃で追い上げを見せるが、そこでゴング。試合は判定に持ち込まれる。判定は、1-2で前田の勝利、西日本新人王トーナメントの駒を進めた。

漆谷悠矢選手、強烈な左ボディで前田選手の脇腹が赤くなるまで叩きつけたが、あと一歩及ばず。しかし、アグレッシブな攻撃姿勢は評価された。

前田凪貴選手、突進してくる漆谷選手を迎え打った、長身から打ち落とす左ストレートが勝利を呼び込んだ!このパンチは、新人王獲得のための大きな武器になるに違いない。

2024年4月からリニューアルされた「WHO'S NEXT」シーズン2の最大の注目は、次世代の世界チャンピオンを育てていくプロジェクト「WHO’S NEXT強化育成選手」に指定された選手の成長や活躍を垣間見れるところ。

今回の大阪大会に出場した、伊藤千飛(真正)は1回KO勝利でデビューを飾ったが、19日にU-NEXT格闘技公式YouTubeで無料配信された後楽園ホール開催「WHO'S NEXT」では、髙橋麗斗(パンチアウト)が3回KO勝利、堀池空希(横浜光)が1回KO勝利と華々しいデビューを飾った!今後も「WHO’S NEXT強化育成選手」に注目し、応援しよう!

次回、5月4日『WHO'S NEXT DYNAMIC GLOVE on U-NEXT vol.15』日本ウェルター級タイトルマッチ坂井祥紀VS豊嶋亮太、日本ライトフライ級タイトルマッチ川満俊輝VS安藤教祐の2大タイトルマッチをお楽しみに!

U-NEXTでは、今回レポートした『WHO'S NEXT DYNAMIC GLOVE on U-NEXT vol.14』を2024年5月20日まで配信中!

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