因縁のリターンマッチ、勝つのはどっちだ⁉ 「WHO'S NEXT DYNAMIC GLOVE on U-NEXT Vol.15」観戦レポート!
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因縁のリターンマッチ、勝つのはどっちだ⁉ 「WHO'S NEXT DYNAMIC GLOVE on U-NEXT Vol.15」観戦レポート!

2024.05.10 13:00

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5月4日開催のボクシング「第15回WHO'S NEXT」では、チャンピオンカーニバル屈指の注目カード、日本ウェルター級と日本ライトフライ級の2大タイトルマッチが行われた。

というのも、日本ウェルター級王座を争う坂井祥紀VS豊嶋亮太、日本ライトフライ級王座を争う川満俊輝VS安藤教祐、どちらの試合もこれが因縁のリターンマッチ!

リベンジか?返り討ちか?手の内を知った者同士、戦いの続きが幕を開ける!

本記事では、“熱烈ボクシング応援団”目線での観戦レポートと対戦結果をお届けする!

メインイベント 第5試合:10R/日本ウェルター級タイトルマッチ

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©Naoki Fukuda

×坂井祥紀(横浜光)vs 〇豊嶋亮太(帝拳)判定1-2

日本ウェルター級王者で、OPBFでは3位にランクインする坂井祥紀は、高校卒業後、単身メキシコに渡り現地でプロデビュー。北米で10年近いプロキャリアを築き上げ、日本に戻ってきた逆輸入ボクサー。メキシカンのような激闘スタイルが持ち味で、常に熱い試合をするファイターだ。今回はメキシコのマリアッチ音楽で入場し、会場を盛り上げる。

対する豊嶋亮太は、日本ウェルター級1位の最強挑戦者。現在はWBOアジアパシフィック2位、OPBF6位、WBC27位。全日本新人王、第42代OPBF東洋太平洋、元WBOアジアパシフィックの王座を獲得した日本ウェルター級の第一人者。接近しても良し、離れても良しの器用さとフィジカルの強さが持ち味のボクサーファイター。

2021年12月に両者が激突した第1戦は、OPBFとWBOアジアパシフィック二冠王者の豊嶋に坂井が挑戦する形で行われ、両者一歩も引かない消耗戦の末、豊嶋が判定で勝利した。今回は、日本王者の坂井に豊嶋が挑戦する立場を入れ替えた再戦、勝敗の行方はいかに!

試合は1回、ジャブを放ちながらプレッシャーをかける豊嶋に対し、坂井は左右フックの外からのパンチで応戦。2回、3回は坂井が右アッパーで対抗し、ペースを渡さない。

4回から豊嶋は、得意の左パンチである左ボディ、左フックを巧打し、プレッシャーを強める。5回終了時の途中採点は、僅差の2-1で坂井がリード。7回、豊嶋のプレッシャーに対し、坂井は手数を増やして反撃を見せる。8回、豊嶋は拮抗した打撃戦の中で、右フックのカウンターがヒット。9回は豊嶋の左フックに、坂井は右ストレートで迎え打つ。

最終10回、やはり豊嶋の左フックに、坂井は右ストレートを狙い続けるが、お互いに決定打を打ち込めないまま、最終回のゴングを聞いた。判定の結果は、1-2で豊嶋の勝利!後半に盛り返しての逆転勝利だった!

坂井祥紀選手、日本王者となり2度の防衛を重ねて、3度目の防衛戦の相手は一度負けている豊嶋選手。結果としてはリベンジを果たすことは出来なかったが、最後まで真っ向から打ち合うファイトスタイルは、2度の防衛で付けた自信の賜物。まだまだこれから。

豊嶋亮太選手、かつて保持していたOPBF、WBOアジアパシフィックに続き、日本タイトルも獲得し、地域タイトル3冠を達成。しかし、ウェルター級は世界的に層が厚く、日本人は世界ランク入りすら困難な階級。日本ウェルター級の第一人者として、日本を含めたアジア地域全体のレベルアップのためにも、後進選手の大きな壁となり、勝ち続けて欲しい。

セミファイナル 第4試合:8R/日本ライトフライ級タイトルマッチ

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©Naoki Fukuda

〇川満俊輝(三迫)vs ×安藤教祐(KG大和)6回TKO

日本ライトフライ級王者の川満俊輝は、現在WBOアジアパシフィック5位、OPBF5位、WBC14位にランクイン。これまで敗れたのは、現IBF世界ミニマム級王者の重岡銀次朗のみで、階級を上げ、ライトフライ級で日本王者に登り詰めた。機関車のように突進し、バッタバッタとなぎ倒すパワフルなファイター。2021年1月に、1回46秒で倒している安藤教祐を返り討ちにし、タレント揃いのライトフライ級で存在感を示したい。

日本ライトフライ級1位の最強挑戦者、安藤教祐は、WBC32位、OPBF14位。2019年東日本ライトフライ級新人王。“ほほえみスナイパー”のニックネームが示すように、ターゲットを撃ち抜くような右ストレートのカウンターは、一発逆転の破壊力を持つ。くしくも現王者は、2021年1月に1回TKO負けしている川満俊輝。有言実行、倒して借りを返したい。

試合は、1回から川満の強烈なプレスで始まる。川満は左ボディを叩きながら距離を詰める。2回、川満は左ボディから左フックを返して、安藤をロープ際まで追い込む。3回、川満は、この日当たっている左ボディからの連打で攻め込むが、ここで安藤の右ストレートがヒット。川満はバランスを崩し、一進一退の打ち合いに。4回、5回と川満の手数とプレッシャーに安藤が耐える展開が続き、5回終了時点の途中採点は、川満の大幅リードが告げられた。そして迎えた6回、劣勢の安藤は、臆することなく左フックを振っていくが、フィジカルで勝る川満の左フックを被弾!大きく顔面がのけぞったところで、レフェリーは試合を止めた。

安藤教祐選手、絶対に倒されてなるものか、という決意がにじみ出た熱いファイトだった!右ストレートがクリーンヒットすれば、逆転KOもありえただけに悔やまれる。まずは、ゆっくり休んで心身の疲労を癒して欲しい。

川満俊輝選手、持ち前のパワーとプレッシャーでこれ以上ない勝利。ライトフライ級は、寺地拳四朗選手が世界王座に君臨し、岩田翔吉、谷口将隆、矢吹正道、山中竜也ら元チャンピオン経験者、高見亨介、尾崎優日ら無敗ホープがひしめく激戦区。この階級屈指のハードパンチャーとして、強烈なアピールとなったことに間違いはない。

第3試合:6R/58.0kg契約

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©Naoki Fukuda

〇高 優一郎(横浜光)vs ×ワン ユウチ(中国)判定3-0

これがプロデビュー戦の高優一郎は、石川県金沢市出身。拓殖大学ボクシング部で活躍し、全日本選手権3位の実績を携えてB級デビュー。帰省中の元旦、能登半島地震に遭遇し、救援物資の募集や仕分け作業で被災地を支えた。アグレッシブで力強いファイトで、地元に勇気を与えたい。

対するワン ユウチは、2021年7月プロデビュー。デビュー戦は2-0の判定負けだったが、昨年12月、およそ2年半ぶりのプロ第2戦では、初回に2度ダウンを奪い判定勝ち。今回が、初来日で初の海外での試合となる。

1回、事前情報が少なかったワンが、フィジカルの強さを活かして距離を詰めてくるが、高は冷静に左右ボディから右ストレートの連打でコントロール。2回には、高が上下を打ち分けたコンビネーションでクリーンヒットを連発するも、それでも下がらないワンのタフネスぶりが伺える。3回以降も高は、手数、的中率でワンを上回り、クリーンヒットを連発するが、決定的場面を作り出せず。最終6回、高は基本に忠実に左ジャブからのワンツーで、タフなワンにパンチを当て続け試合終了。判定は、フルマークで高が初勝利を手にした。

高優一郎選手、これがデビュー戦とは思えないほど冷静な試合運びで完璧なポイントアウト。対戦相手が、タフなワン選手でなければ、ダウンを奪ってのKO勝利もありえた内容だった。アマチュアの実績が遺憾なく発揮できたことは、日頃の練習の成果では。次は、もう一歩踏み込んだ、倒し切るボクシングに期待したい。

第2試合:東日本新人王予選 4R/フライ級

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©Naoki Fukuda

×中村翔氣(M.T)vs 〇鈴木丈太朗(帝拳)判定0-3

中村翔氣は、アマ戦績19戦13勝6敗。静岡県周智郡森町出身。フライ級にして172㎝という長身のサウスポー。憧れのボクサーは、同門のWBC世界バンタム級チャンピオン中谷潤人。デビュー戦とは言え、アマチュアで培ったテクニックに注目したい。

鈴木丈太朗は、アマ戦績28戦17勝11敗。愛媛県新居浜市出身。2021年全日本選手権3位、2022、2023年国体3位。元東洋太平洋ライト級王者の中谷正義に憧れて後を追うように、強豪の興国高ボクシング部に在籍し、帝拳ジムからプロデビュー。東日本新人王フライ級の優勝候補筆頭。

試合は、両陣営の大応援団の大歓声が響く中、またWBC世界バンタム級チャンピオン中谷潤人が見守る中でゴングが鳴った。1回、懐深く構えサウスポーからの右リードジャブを繰り出す中村に対し、L字ガードから飛び込むような右ストレートを打ち込む鈴木。鈴木は、中村の左ストレートをかわし、右アッパー、右ボディを巧打する。2回、鈴木は右ストレートのカウンターを合わせ、鈴木の顔面を跳ね上げると、出入りのステップも大胆になってゆく。揉みあいの中で、偶然のバッティングがあっても平然としている鈴木に対し、中村はやりにくさを感じさせる。中村は、ペースを変えようと果敢に先に手を出していくが、鈴木は右ストレートをヒット・アンド・アウェイ。

3回、中村はこれまで以上に手数を増やし、攻勢を強めるが、ラウンド終盤、鈴木に右ボディを返され形勢逆転、右ストレートを追い打ちされて反撃を許す。最終4回、前に出続ける中村は、ジャブからのワンツーなど手数で応戦。鈴木の右ストレートの被弾を最小限に食い止めて試合終了。判定は0-3で鈴木の手が上がった。

中村翔氣選手、これがデビュー戦とは思えない、打ちつ打たれつの好ファイトを演じた。豊富な手数とスタミナで最後まで攻め続けたが、サウスポーの利点を活かしきれず惜しくも敗戦。しかしプロキャリアは始まったばかり、翔ぶが如く人生をかけろ、拳と氣合いで夢を叶えろ!

鈴木丈太朗選手、新人王優勝候補筆頭に疑いの余地のない完成された隙の無いボクシングで、盤石の勝利。サウスポーを苦にせず、右ストレートを打ち込む技術と自信にみなぎったパフォーマンスは新人離れしている。日本ボクシング界に、ニューホープ誕生を目撃した!

第1試合:4R/54.5kg契約

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©Naoki Fukuda

〇佐藤竜冴(横浜光)vs ×上原慶仁(新日本木村)3回TKO

佐藤竜冴は、京都府出身。同じ横浜光ジムに所属する、デビューから8連勝6KOでWHO’S NEXT強化育成選手に指定された眞下公翔選手の友人。その眞下選手のデビュー戦を生観戦し、プロボクサーになることを決意した、叩き上げの右ボクサーファイター。遂に、眞下選手と同じ後楽園ホールのリングに立つ。

上原慶仁は、2023年10月デビュー。群馬県高崎市出身。デビュー戦では、ダウンを奪った右アッパーが、ゴング後の攻撃と判断され、ダウンの取り消しと減点1を取られ判定負け。しかしJBCは検証の結果、判定を無効試合に変更した。プロ第2戦は、すっきりと勝利を飾りたい。

1回、これがデビュー戦の佐藤は頭を低く構え、ややアップライト気味の上原の懐に入り込み右ボディからコンビネーションを上に返す。上原は、佐藤の左ジャブ三連打で、鼻血を出すと、腰を浮かされ下がる展開に。2回、ジャブで突き放したい上原は、前後のステップを上手く使い、佐藤のパンチの届かない位置でアウトボクシング。右ストレートを打ち込み、佐藤の左目上をカットした。しかし、佐藤の左ボディ、左フックを浴び、じわじわと距離を詰められる。そして3回、これまでのラウンドとは異なり、両者足を止めての打ち合いとなるが、佐藤の左フックがヒットし、鈴木は右目上を大きくカット!レフェリーは試合を中断し、ドクターチェックが入る。あまりに傷が深いため、試合はここで終了となり、佐藤のTKO勝利が告げられた。

上原慶仁選手、序盤こそ攻め込まれるシーンが目立っていたが、徐々に対応し正にこれからという時のストップ負け。初勝利はお預けとなったが、オールドルーキーの粘りが感じられた。

佐藤竜冴選手、リングサイドで眞下選手が見守る中、流血しながらも掴んだ初勝利。豊富な手数と多彩なパンチは魅力充分。激闘を演じるボクサーファイターとして開花する日が楽しみな選手。

今回、過去の試合から学び、より研究した方が有利と言われるリターンマッチは、日本ライトフライ級タイトルマッチは川満俊輝選手が、日本ウェルター級タイトルマッチは豊嶋亮太選手が勝利し、共に前回の勝者が再び勝利する結果となった。

しかし、敗れた安藤教祐選手、坂井祥紀選手が常にトップ戦線に留まり続けたからこそ実現したカード。まずは、両者の健闘を称えたい。

そして勝者は、日本タイトルから更なる高みを目指して好ファイトを見せてくれることに期待する!

次回5月18日は、『WHO'S NEXT DYNAMIC GLOVE on U-NEXT G.O.A.T.MATCH Vol.3 』と銘打って、日・中・タイ友好6VS6親善試合をライブ配信!

帝拳ジムの全勝ホープ中野幹士、矢代博斗がリングに上がるので、お見逃しなく!


U-NEXTでは、今回レポートした『WHO'S NEXT DYNAMIC GLOVE on U-NEXT vol.15』を2024年6月3日まで配信中!


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