全試合、全KO!怒涛のKOラッシュ!「WHO'S NEXT DYNAMIC GLOVE on U-NEXT Vol.26」観戦レポート!
11月2日開催のボクシング「第26回WHO'S NEXT」。増田陸、波田大和、高見亨介ほか全5試合をレポート
5月18日開催のボクシング「第16回WHO'S NEXT」は、日・中・タイ友好親善試合を団体戦形式で行われた。第1試合から、早いラウンドでのKO決着と国際大会さながらの大歓声に包まれ、後楽園ホールの熱気は最高潮に!
現在、特に中国の格闘技は、強靭なフィジカルとハードパンチ、そして決して折れない心を武器に、ボクシングをはじめ、キックボクシング、総合格闘技の分野でも世界を舞台に急成長中!アジア地域のスポーツ文化の発展とニュースター誕生が、このリングから始まる!
本記事では、“熱烈ボクシング応援団”目線での観戦レポートと対戦結果をお届け!
中野幹士は、WBOアジアパシフィックフェザー級5位、OPBF6位、日本7位にランクされる左ボクサーファイター。アマ7冠の実績を携え2018年プロデビュー。これまで9戦全勝8KOの高いKO率を誇り、伝説のチャンピオン、ロベルト・デュランのニックネームであるマノス・デ・ピエドラ(石の拳)からあやかった、マノス・デ・アセロ(鉄の拳)のニックネームを持つ。顔面でもボディでもワンパンチで試合を決める左の破壊力は驚異。1ラウンドから目が離せない。
対するサタポーン・サアートは、2019年8月のデビュー戦こそ判定で落としたものの、コロナ禍を経て2022年から年間6試合を消化し、これまで13連勝。がっちりとした体格を活かして、そうそう打たれてもシャープで重量感のあるワンツーで押し込む右のボクサーファイター。
試合は1回、中野のサウスポーから放つ左ストレートが、サタポーンのガードを割り頭を跳ねのける。2回には、中野の右フックがヒット!まるで、マニー・パッキャオがリッキー・ハットンを打ち落としたような強烈なフックでサタポーンをグラつかせる。3回、中野は左ボディ、左アッパーを打ち込むが、サタポーンも驚異の粘りを見せ、反撃の手は緩めない。4回、中野はこれまでの中間距離での打ち合いから、アウトボクシングにスタイルを変える。攻撃に緩急を加えて揺さぶりをかけ、引き出しの多さを感じさせる。5回、中野はサタポーンの右ストレートをかわしながら、コツコツとパンチを当て優勢に試合を進めているが、攻めあぐねている印象。6回、中野は左フックでサタポーンを効かせると、連打で押し込み見せ場を作る。そして7回、中野の力みなしにスッと出した左ボディが、サタポーンのみぞおちに突き刺さると、サタポーンは堪らずしゃがみ込みダウン!タフなサタポーンもダメージの蓄積に、耐えきれなかったといったところか。もはやここまでかと思ったが、サタポーンは立ち上がりハートの強さを見せた。しかし、再び中野のラッシュを浴びたところで、レフェリーが試合を止めた。
中野幹士選手、これまでダウン経験のないタフなサタポーン選手を攻略し、見事なKO勝利!途中、迷いが見えた場面もあったが、自分の拳=マノス・デ・アセロ(鉄の拳)を信じてパンチを打ち続ければ、倒れない相手はいない。それと同時に、防御技術の高さも見せつけた試合だった。
玉山将弥は、現在日本スーパーウェルター級1位。攻防兼備でバランスの良い右ボクサーファイター。2021年12月、小原佳太が持つ日本ウェルター級タイトルに挑戦するが5回TKO負け。再起戦では、足名優太に2-1判定負けし、キャリア初の連敗を喫した。しかし昨年5月、リングネームを将也から将弥に変更し、7月には左ひじの手術も行い心機一転、復帰戦の勝利を誓う。
ヅアン・ファンは2019年6月デビュー。これまで中国国内で8戦のキャリアを積み、今回が初の海外での試合となる。デビュー戦は三者三様のドローだったが、その後は6連勝。しかし昨年5月、韓国のキム・ジンスに1回KO負け、今回が再起戦となる。
1回、玉山は中間距離でジャブを突き、得意の右ストレートを打ち込もうとするが、ヅアンはガードを固めて接近し細かいパンチで応戦。激しい主導権争いが繰り広げられる。2回、ヅアンは豊富な手数で距離を詰めると頭を付けての打ち合いに。3回、ヅアンは至近距離でのショートアッパーを内側から連打。手数、ヒット数で玉山を上回る。4回、接近戦での打ち合いを嫌った玉山は、右ストレートでヅアンをロープ際まで弾き飛ばし、長いワンツーを巧打。この距離で試合をコントロールしたい。5回、突き放されたヅアンは、再び距離を縮めると、今日当たっている左右のショートアッパーを連打し、玉山の顔面を弾き上げる。6回、ヅアンは引き続き接近戦を繰り広げ、玉山に距離を取らせない。7回、玉山は再びワンツーでヅアンを下がらせ距離を作るが、ヅアンの手数も止まらない。迎えた最終8回、玉山は、今までより力の込めたパンチでヅアンをロープに押し込むが、決定的な場面を作ることができないまま、試合終了のゴングを聞いた。判定は、1-2でヅアンの勝利。至近距離での打ち合いに分があったヅアンの粘り勝ちだった。
玉山将弥選手、接近戦に巻き込まれ、コンパクトなショートアッパーを貰いすぎた。大きなダメージを与えられたパンチではないかもしれないが、ジャッジの印象は良くなかった。ジムメイトの豊嶋亮太選手は、先日、日本ウェルター級王者を獲得したばかり。お互いに刺激しあって、高めあっていくことを願う。
上野永吉は、2021年9月プロデビュー。回転力を活かした連打と気持ちの強さを合わせ持つ、サウスポーのボクサーファイター。打ちつ打たれつの打撃戦が持ち味だが、最小限の被弾での勝利を期待したい。
ダウス・リテは、2021年5月プロデビュー。現在6戦全勝、4連続KO勝利中のサウスポー。
試合は1回、身長で上回るダウス・リテが打ち下ろしの右ジャブを鞭のように放つ。ほとんど右ストレートのような重みのあるジャブで、上野は頭を弾かれて足元がグラつく。2回、上野はダウス・リテの懐に飛び込み、左右ストレートを強引に打ち込み先制攻撃。しかし、ダウス・リテは冷静に右ジャブで距離を作ると、再び右ストレートがクリーンヒット。上野に大きなダメージを与える。完全に足の踏ん張りが利かなくなった上野だが、それでもパンチを出し続けて前に出る。しかし、ダウス・リテの左アッパーがヒット、ポジションを変えての右フック、右アッパーのコンビネーションが追い打ちとなり、上野は真後ろにゆっくり崩れ落ち、その瞬間にレフェリーが試合を止めた。
上野永吉選手、試合後は大事を取って担架で運ばれたが、会場からは、健闘を称える拍手が巻き起こった。体格の違いをものともしない、勇敢なファイトスタイルに対する敬意の表れだ。ここで流した悔し涙を次の試合に活かしてくれることに期待する。
菊池音央は、2023年3月プロデビュー。アイドル“菊池風磨”の弟ということで話題が先行してしまっているが、恵まれた体格と運動神経で、1試合ごとに、1ラウンドごとに成長するポテンシャルの高さに注目したい。
ゴン・エンコンは、2023年4月にプロデビュー。以前は、中国のキックボクシング団体、クンルン・ファイトで活躍。
試合は、1回わずか47秒で決する。菊池はゴングと同時にワンツーを連打すると、左フックがクリーンヒット!上体を起こされたゴン・エンコンはロープを背負い防戦一方に。菊池は冷静にポジションを変えると、再び長い左ジャブでアゴを打ち抜くと、強い右ストレートをフォロー、最後は怒涛のラッシュでレフェリーストップを呼び込んだ。ゴン・エンコンは何もすることができないまま試合は終わった。
菊池音央選手、昨年11月の東日本新人王決勝戦に敗れて以来の再起戦を圧巻のTKO勝利で飾った。以前にも増して、バランス、パワー、連打の回転力が進化し、より攻撃的なボクサーになって帰ってきた。まだまだ伸びしろを感じさせる、菊池選手の次戦が楽しみ。
本多俊介は、2022年7月プロデビュー。182㎝の長身から繰り出すジャブと打ち下ろしの右ストレートで、これまで3戦全勝の右ボクサータイプ。射程距離の長いパンチで打たせずに打つボクシングを展開したい。
大橋侑太は、2022年7月プロデビュー。打撃戦を好む好戦的なボクサーファイター。接近戦に持ち込み乱打戦に巻き込むことが勝利へのカギ。長身のボクサータイプを攻略し、初勝利を目指す。
試合は1回、長身の本多は距離を取るのではなく、大橋と頭を付けて至近距離で接近戦を選択。お互いにガードを高く構えてショートパンチを出し合うが、リーチの長い本多の左ボディが、大橋のガードの外側を回り込みまともに突き刺さる。ボディが効いた大橋のガードが下がると、本多は顔面に右ストレートを連打。意識を上に持ってこさせたところで、すかさず再び左ボディを捻じり込むと、大橋は悶絶しダウン!レフェリーの10カウントを聞いた。
大橋侑太選手、接近戦でボディを攻めたかったが、先に貰ってしまったことが悔やまれる。
本多俊介選手、完璧な上下の打ち分けと、抉るような左ボディで秒殺KO勝利!新人王予選で大きなインパクトを残した。
※矢代棄権、試合中止
※山本棄権、試合中止
今回、日中友好親善試合は1勝2敗で中国が勝ち越し。どの選手もアグレッシブで攻撃的なファイトスタイルが共通していた。現在、日本のボクシング界は、軽量級を中心に隆盛を極めているが、フィリピン、タイに加えて、中国も大きなライバルになっていくに違いない。
またメインイベントに出場した中野幹人選手、圧巻KO勝利で10戦全勝9KOに記録を更新!タイトルマッチが期待されるが、帝拳ジムのフェザー級は、WBOアジアパシフィック王者の藤田健児選手をはじめ、嶋田淳也選手、金子虎旦選手とタレント揃い。同門なので対戦することはないが、まるで「はじめの一歩」のような、彼ら4人のライバル関係にも注目して、今後も追い続けていきたい。
次回6月1日の『WHO'S NEXT DYNAMIC GLOVE on U-NEXT vol.17』は、OPBF東洋太平洋スーパーフェザー級タイトルマッチ「坂晃典VS波田大和」、WBOアジアパシフィックフェザー級タイトルマッチ「藤田健児VSロデックス・ピアラ」の2大タイトルマッチをライブ配信!お楽しみに!
U-NEXTでは、今回レポートした『WHO'S NEXT DYNAMIC GLOVE on U-NEXT vol.16』を2024年6月17日まで配信中!
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