主将・高橋はな、10番・塩越柚歩が振り返る初戦の勝利。次節の韓国戦でも「気持ちからぶつかっていく姿を」|E-1サッカー選手権2025
E-1サッカー選手権2025の初陣となったチャイニーズ・タイペイ戦を、4-0の勝利で飾った女子日本代表。試合翌日の7月10日、チームを牽引するキャプテンの高橋はなと、10番を背負う塩越柚歩が、U-NEXT独占インタビューに応じてくれた。初戦の勝利とゴールシーン、現在のチームの雰囲気、そして次節“日韓戦”への意気込みを語る。
リヴァプールとブラジル代表のゴールマウスを守る世界最高のGKの一人、アリソン・ベッカー。その彼が「お手本」と慕うのが、元ブラジル代表の伝説的GKであり、リヴァプールのGKコーチを務めるクラウディオ・タファレルだ。
その縁はアリソンが11歳の頃、グローブをプレゼントされた日から始まった。時を経て、リヴァプールの地で師弟として固い絆で結ばれた2人。単なる選手とコーチという関係を超え、互いを深くリスペクトし合っている。
そんな2人が、それぞれの視点からGKの哲学を語り尽くす。複雑な状況をシンプルに捉える技術、信頼感を生む確実なキャッチング、試合の行方を左右する一瞬の判断。それらの背景には、アリソンとタファレルが共に培ってきた、たしかな技術と自信があった。
※このインタビューは、クラウディオ・タファレルの退任発表(2025年7月2日)以前に収録されたものです
──まず、お二人にとってお互いはどのような存在ですか?
アリソン:タファ(タファレルの愛称)は、僕にとってのお手本です。GKとして、ポジショニングや技術、難しいセーブをシンプルに見せるところなど、彼のスタイルが本当に好きなんです。僕自身も多かれ少なかれ、彼と同じタイプのGKだと思っています。そして何より、彼の人柄に強く惹かれていますね。
──お二人の出会いは、アリソン選手がまだ少年だった頃だと伺いました。
アリソン:ええ。GKを目指す少年なら誰もがそうであるように、僕も常にお手本を探していました。タファはブラジル代表のGKというだけでなく、僕が所属していたインテルナシオナル(ブラジル)のGKでもあったので、特別な存在でした。W杯で優勝したヒーローでもありますしね。
僕が11歳の頃だったと思いますが、彼が練習を見に来てくれたんです。当時、僕のGKコーチと友人だった関係で。偉大な選手と初めて会ったあの瞬間は、僕の心に深く刻まれています。 彼がプレゼントしてくれたグローブのことも、鮮明に覚えていますよ。
タファレル:練習を見に行った時、私の息子も一緒でしたね。
アリソン:はい、一緒でした。そして、僕にグローブをくれたんです。
タファレル:君が11歳ということは、私の息子は当時10歳か!年の差は少しですね。 あの時、たしか一緒に写真を撮りました。そして時を経て、代表チームで再会した。私たちの関係は、そこから始まったようなものです。
アリソン:GKコーチと選手が良い関係を築くのはごく自然なことです。 リヴァプールで一緒に働くようになってからは、代表チームの時よりもさらに毎日顔を合わせますし、そのおかげでより親密な関係になっています。
タファレル:彼は私が「こうありたい」と願い、そしてキャリアを通じて「そうであった」と思える理想のGK像を体現してくれている選手なんです。周りの人々が私のことを「テクニックがあり、安定感があって、チームに安心感を与えていた」と評価してくれるのを聞くと、彼もまさにそうだ、と。 その共通のアイデンティティが、私たちをさらに強く結びつけているのだと思います。 仕事でもプライベートでも良い関係を築き、今ではもう、永遠の仲ですね。
──GKのスタイルは国によって異なると言われますが、お二人が共有する「ブラジル流」とはどのようなものでしょうか?
タファレル:それぞれの国や地域には、独自のスタイルがあります。例えば、スペインはリアクション(反応)を非常に重視しますし、ここイングランドでは、クロスボールやあらゆる角度からのシュート練習が非常に多い。 それに対して、私たちのブラジル流はもう少しテクニックに重点を置いています。
──その「テクニック」がアリソン選手が活躍する秘訣である、と。
タファレル:ええ。それがアリソンを他のGKと一線を画すものにしているのだと思います。彼のプレーは非常にテクニカルで、複雑に見える状況をいとも簡単に見せてしまう力がある。 多くの人が、現役時代の私もそうだったと言ってくれます。「タファは派手に飛ばず、常に立ったままボールに追いつく」と。私はそのように教わりました。 それが、常に優れたGKを輩出してきたインテルナシオナルのスタイルであり、私たちを大きく成長させてくれたのです。
──技術の中でも、特にキャッチングを重視されているように感じます。
アリソン:キャッチングは、基礎の段階で徹底的に取り組む部分です。 イングランドでは、手でWの形を作る「Wシェイプ」が主流です。 一方で、ブラジルでは最初は三角形のような形で教わります。
僕はイングランドに来てから、徐々に肘を閉じるように適応させていきました。 僕は常に手のひら全体を使ってボールを捉える感覚を大事にしていて、そこに自信を感じています。
タファレル:先ほども言ったように、ブラジル流は非常にテクニカルです。その技術は、「確実なキャッチング」にこそ表れます。GKがしっかりとボールをキャッチし、安定したプレーを見せること、それ自体が最高のテクニックなのです。
アリソン:見ている人の目を引きますし、何よりチームに信頼感を与えますよね。
タファレル:その通り、信頼感です。たとえば、かつてメッシが2019年コパ・アメリカ準決勝で蹴った強烈なフリーキックを、アリソンがステップを踏んで力強くキャッチした場面がありました。 こういうプレーは、派手なダイビングセーブよりも、わかる人にはわかる価値がある。 それは監督やサポーターだけでなく、自分自身にも絶大な自信を与えてくれるのです。
──アリソン選手は、若い頃から順風満帆なキャリアではなかったそうですね。
アリソン:14歳から15歳の頃、身体の成長が遅かったことでかなり苦労しました。 周りのGKは僕より力が強く、背も高かった。 そのためレギュラーから外れ、試合にあまり出られない時期がありました。
ですが、幸いなことにコーディネーション能力には自信があったので、ステップワークやボールをキャッチする動きなど、常に正確な動作を心がけていました。 そのおかげか、1年間で17cmも身長が伸びた時も、急激にバランスを崩すようなことはありませんでした。
タファレル:昔は背の高いGKというと「動きが遅い」イメージがありました。ですが、今は違います。 現代のトレーニングが、長身選手にもスピードと敏捷性を与えてくれる。 彼のように、身体が出来上がる前から正しい技術を身につけておけば、後々それが大きなアドバンテージになるのです。
アリソン:身体的に成熟して他の選手に追いついた時、僕にはすでにテクニックという武器がありました。それが僕を際立たせてくれたんです。 年代別の代表に選ばれ始めたのも、ちょうどその頃でした。
──技術だけでなく、精神的な強さもGKには不可欠ですね。
タファレル:ええ。私が思うに、GKにとって最も大切なのはパーソナリティです。 決して落ち込みすぎず、かといって有頂天になって自分が無敵だと勘違いしないこと。 GKはチームで最も謙虚であるべきポジションだと、私は考えています。
アリソン:本当にその通りです。優れた才能があっても、プロになれない選手はたくさんいます。おそらく、プレッシャーに耐えうる強いパーソナリティがないからでしょう。 僕は20歳の時に、インテルナシオナルでチャンスをつかみました。その背景には、強いパーソナリティを示せたことがあったと感じます。
──実際の試合映像を見ながら、お二人の技術論をさらに深く伺いたいと思います。この信じられないようなセーブについて解説していただけますか?
アリソン:僕自身も信じられないセーブでした(笑)。 こうして映像を分析してみると、ヤマを張るのではなく、しっかりと手でボールに向かっているのがわかります。 体のどこかに当たった偶然のセーブではなく、意図して手で止めにいっていますね。
タファレル:ここで最も重要なのは、相手のシュートコースを予測して先に動かなかったことです。 相手をよく見て、状況を判断して動いた。その一瞬の判断が、このビッグセーブを生んだのです。
これは日々のトレーニングの賜物ですね。たとえば、コーンに触れてからシュートに反応する練習など、意図的に自分の平衡感覚を乱し、そこから正しいポジションに戻って反応する訓練を繰り返しています。
アリソン:ポジショニングはセーブの50%を占める要素と言っても、過言ではありません。 トレーニングのほとんどが、試合で起こりうる状況を想定したものです。 それを繰り返すことで、ゴールの中での自分の位置を、いちいち後ろを振り返らなくても把握できるようになるのです。
──至近距離からのシュートに対する反応速度も驚異的です。
アリソン:そういった状況では、純粋な反応速度が問われます。 腕の力で、ボールにアタックしていく意識が重要です。ボールが手に当たるのを待っていると、ボールの勢いに負けてゴールの中へ弾いてしまいますから。
タファレル:多くのGKが、至近距離で片手だけでいってしまい、ボールをゴールの中へ弾いてしまう。 しかしアリソンは、両手でボールに向かっていく。 そして、セーブする際は常に前へ弾く。これはイタリア流のテクニックでもありますが、ゴールの中へボールをこぼさないための鉄則です。
──1対1の状況では、どのようなことを意識していますか?
アリソン:様々なスタイルがありますが、僕が常に意識しているのは、アタッカーとの距離を最大限に詰めることです。 距離を詰めれば詰めるほど、アタッカーとゴールの角度は狭くなります。 時にはボールに触れなくても、距離を詰める動きだけで相手のシュートを枠外に打たせることもできる。これも一つの「セーブ」だと考えています。
──間合いの詰め方が重要だということですね。
アリソン:はい。そして、常にどんなボールにも反応できる体勢を保つ、その準備を怠らないこと。 構えが高すぎれば低いボールに、低すぎれば高いボールに反応できません。 相手がいつシュートを打つかはわからないので、常に完璧な体勢でいることが求められます。 僕は運に頼るのが好きではないので、状況を読み、自分にとって最も有利な状況を作り出すことをいつも考えています。
タファレル:アタッカーはシュートの瞬間、ボールから目を離せません。ということは、GKはその一瞬の隙を突くことができる。「相手が下を向いた、今だ」と一気に距離を詰めるんです。 試合を重ねることで、そうした駆け引きの経験値が蓄積されていくのだと思います。
──最後に、若いGKたちへメッセージをお願いします。
タファレル:まず「絶対に顔をそむけるな」と言いたい。 ボールを怖がって顔をそむけるのは、GKとして最もやってはいけないことです。 顔にボールが当たってもいい。ロッカールームで泣けばいいんです。 その“勇気”がなければ、このポジションは務まりません。 自分のスタイルを持ちつつも、GKの基礎を学び、日々ベストを尽くして向上心を持ち続けること。それが成功への唯一の道です。
アリソン:僕からは「楽しんで」と伝えたいです。 僕なりの言葉で言うなら「満喫して」とも表現できるかもしれません。若い選手には「楽しむ」という感覚が大切だと思います。 プレーすることに喜びを見出してほしいですね。
タファレル:私がもし現役に戻れるなら、完璧主義者になりすぎず、失点を恐れすぎずにプレーするでしょうね。 でも、「楽しむ」というのは少し違うかな。GKが楽しんでいたら、毎回ゴールの中からボールを拾うことになってしまいますよ!(笑) 満喫するのはアタッカーの仕事。GKは常に集中し、最高の準備をしなければなりませんから。
アリソン:なるほど、今の僕のアドバイスは忘れてください(笑)。
タファレル:そんなこと言わないで(笑)。でも満喫するのはアタッカー、GKは決して満喫できないと思うんです。だからこそ、やりがいのあるポジションだとも言える。GKは最高のポジションですからね。
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