日曜劇場『キャスター』第3話は、ノーベル賞を受賞した組織学研究所の所長兼教授・高坂正一教授(利重剛)のIda細胞を上回る新たな万能細胞「iL細胞」をめぐる騒動が描かれた。
登場人物それぞれの思惑、願い、希望などが描かれた回だったが、JBN『ニュースゲート』のアシスタントディレクター・本橋悠介(道枝駿佑)の葛藤や決意を感じる場面も多くあった。
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
帝都大学の研究員・篠宮楓(のん)がiL細胞を発表し、一躍時の人となった。本橋は取材をするなかで、ボストンにいたころ、同じアパートに住んでいた先輩・栗林誠(井之脇海)と思わぬ再会を果たす。栗林は研究に参加している大学の准教授だったのだ。
栗林との縁もあって単独取材することができたが、進藤壮一(阿部寛)は、「iL細胞はでっちあげだ」とSNSに書き込んでいる人物に接触し、取材を敢行。インタビューをしたVTRを流した。
勝手なことをした進藤に本橋が激怒するなか、「科学雑誌がiL細胞論文を取り下げ、実験データの改ざんを指摘した」というニュースが飛び込む。栗林を信じたい本橋は「不正じゃなくてただのミスかもしれない」、「栗林さんに限って不正なんてありえません」と訴えるも、進藤は「その発言はジャーナリストとしてか?それとも友人としてか?」、「ジャーナリスト気取りのADくん」とバッサリ。本橋はぼう然と立ち尽くす。
その後、栗林が自殺未遂を起こした。彼から実験の不正データを託された本橋は、教授の小野寺基子(花總まり)を問い詰めるも、彼女からは、あくまで栗林が個人的にやったことだとの返答があった。
状況を鑑みて、小野寺教授に改ざんを指示されていた栗林が、本橋に助けを求めた、と推理する進藤。そんな進藤とやりとりするなかで「僕は……報道マンです!」と原点に立ち返った本橋は……。
第3話は、進藤に振り回されつつも、本橋が人間的にも報道マンとしても成長していく姿が描かれた。組織学研究所と大学が手を組んで実験をするシーン、意識不明の状態から目を覚ました栗林とがっちり手を組んだシーン、大学への不法侵入で異動寸前だったが、進藤が取り計らってくれた場面など、取り上げたい本橋のシーンはたくさんあるが、特に小野寺教授、篠宮、進藤らに訴える場面は、目には見えない“栗林への想い”が感じられて胸が熱くなった。SNSでも「ジーンとした」「胸アツ」「(本橋の)今後が楽しみ」といった書き込みがあったほど、観る人に本橋の熱が届くかたちとなった。
本橋を演じるなにわ男子・道枝駿佑は、言わずもがなアイドル界のスーパースターであるが、長瀬智也×宮藤官九郎のTBSドラマ『俺の家の話』では、長田舞(江口のりこ)の一人息子・大州を、広瀬アリスと初共演した『マイ・セカンド・アオハル』では、謎の大学生・小笠原拓を、さらに『消えた初恋』、『金田一少年の事件簿』、『マルス-ゼロの革命-』、映画『今夜、世界からこの恋が消えても』では、主演を務めるなど、ドラマや映画でも引っ張りだこの存在に。
また、報道フロアからはじまる“成長”と“恋”を描く報道ラブコメディ『恋するキャスター』(『キャスター』本編のサイドストーリー)の主役にも抜擢。こちらは、本橋の胸キュンシーンが話題となっており、彼の新たな一面が垣間見える。
こうして、演技の面でも人気の面でも期待されている道枝だが、改めて第3話を振り返ると、視聴者の心を動かし、神回へと昇華させたのは、他のキャスト、物語の展開はもちろんのこと、多くの経験を積んできた道枝の力も大きいのではないだろうか、と感じる。アイドルのステージと同じく、演技の世界でも観る人を“巻き込む”力を持つ彼が、今後『キャスター』でどんな光を放つのか、非常に楽しみである。
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