放送を重ねるごとに話題を呼んでいるドラマ『御上先生』も、早くも中盤戦。このタイミングで、ドラマの舞台裏や制作過程を明かすトークイベント『課外授業2限目 〜裏側から学ぶ~』がTBS公式YouTubeチャンネルで生配信された。現役の高校生たちを招いたイベントに登壇したのは、生徒役の豊田裕大&山下幸輝、飯田和孝プロデューサー、宮崎陽平監督。放送直前の第5話の見どころや、すでに終盤近くを撮影しているという佳境を迎えた撮影現場の様子など、たっぷり1時間の興味深いトークを繰り広げた。
松坂桃李が文部科学省から派遣され、高校教師となった主人公・御上孝(みかみ・たかし)を演じる話題のドラマ『御上先生』。従来の学園ドラマでは理想とされていた熱血教師像を否定し、そのずば抜けた能力で生徒たちの自主性を引き出し、既存の権力勾配に飼いならされた教育のあり方を抜本的に改革することを目指す型破りな教師の姿が斬新だ。教育現場に長らく横たわる社会問題にも臆せず切り込み、観る者に衝撃を与えている。さらに、教師同士の不倫をきっかけにした殺人事件を縦軸に置き、サスペンスミステリーとしてもハラハラさせられる展開に。同時にあるべく報道の姿や正義という概念そのものについても、今一度考えさせられる奥深さも。そんな話題のドラマの舞台裏に迫るイベント。注目のその内容は?
まず語られたのは、第5話の見どころ。御上が担任する隣徳学院3年2組が高校生ビジネスプロジェクトコンクールに出場するというエピソードが紡がれる。
この回でクローズアップされるのが、豊田演じる宮澤涼と山下扮する冬木竜一郎。撮影の裏話を聞かれた豊田が「大変だったよね」と開口一番に切り出すと、山下も同意。コンクールシーンは、飯田プロデューサーいわく「このドラマでは最も多い、1000人くらいのエキストラさんに集まってもらった」そうで、豊田は「たくさんのエキストラの方々と1日中撮影していたので、僕たちもそうだけどエキストラのみなさんも大変だったろうなって。だから、みんなで作った回だなって思うので、ぜひ見て欲しい」とアピールしていた。また、飯田プロデューサーから「第5話は冬木で泣きたいんだ」と言われていたという山下は、「プレッシャーは感じつつ、飯田さんが割本(撮影当日用のスケジュールやカット割りなどを書いた台本)に書いてくれた“頭はクールに心は熱く”っていう言葉を意識してお芝居しました。その言葉に助けられた」と語った。
トークの中でお互いの印象も語り合った豊田と山下。山下が豊田に対して「裕大くんは、すごく考えるんですよ。『ここの芝居どうしようか』とか『この言葉は大切に伝えないといけないね』とか。その姿を見て俺もちゃんと考えなきゃと思ったし、一緒に考えたいと思わせてくれる」としみじみ話すと、豊田も山下に「山下くんの現場の居方のすごく素敵で。誰よりもお芝居に集中しているのが目に見えてわかるから、僕は逆にそれに刺激を受けてしっかりしなきゃと思ってる」と仲良く褒め合う姿も。「生徒役それぞれの現場での居方があるのが面白い。まちまちで集中の仕方が違う」と宮崎監督が語ると、飯田プロデューサーは豊田と山下のことを「特にこの2人はセリフをずっと練習している。で、それを松坂さんや(副担任・是枝役の)吉岡(里帆)さんがニコニコしてみている」と裏側の様子を明かしていた。
役作りに話が及ぶと、豊田は「(自分が演じる)宮澤はわりとズバズバ言う性格だったので、そこはまっすぐ言うキャラクターとして理解しています。あとは、難しい言葉が多い台本で、特に第5話は金融がテーマなのでファンドや投資といった経済用語が出てくるので、YouTubeの『コアラ先生の時事ネタ祭り』を見て自分の中に落とし込んだ」と裏話を披露。宮崎監督が「めっちゃ悩んでくれていました。顔合わせの時から相談をくれて」と、そのストイックな姿を明かすと、「自分の考えだけで進むのが不安だったので、ちゃんとすり合わせたかった」とその理由を打ち明けた。一方、山下は自身が演じる冬木について「(第5話では)彼の葛藤が見られると思う。いつも冷めた目で御上先生を見ているが、本当はちゃんと熱いものがある。そこを見てほしい」とアピールしていた。
生徒役のキャスティングは、飯田プロデューサーいわく「ストーリーをきっちりと伝えられるスキル、演技力を持っている」という基準で開催したというオーディションで決定。豊田と山下は、その時の振り返りトークも。「恥ずかしいんですけど、エレベーターで上がる階を間違えて遅刻のような形になってしまった」と豊田が失敗談を披露すると、山下は「普通は『山下幸輝です』と名乗ったら『大阪府出身です』みたいにプロフィールを話すけれど、このオーディションは名乗ったらすぐ『じゃあ芝居しましょう』と、すぐに芝居に入ったのでわぁ!と思った」とほかの現場との違いを語っていた。「マネージャーさんに『頑張って』と言われたオーディションは初めてだった」とも豊田は語り、それだけに受かった時は「ホッとした」と緊張感のあった当時の心境も振り返っていた。
実は、撮影はもう終盤戦に入っているという本作の現場。豊田も山下も口々に撮影が終わることを「寂しい」と語っていたのも印象的。「こんなに、濃かったな、あっという間だったなという感覚は初めて。しかも、ずっと一緒にいるし、その人数も多いし。学生という枠組の中のこの数カ月だったので、毎日刺激をもらったし、自分自身で考えることも増えたし。だから、これがもう終わっちゃうんだという寂しさはあります」と豊田が現場への熱い思いを語ると、山下も大いに頷き、「たくさん考えたからこそ寂しい。わからないことを自分なりに追求して、(脚本の)詩森(ろば)さんに聞いたりもして。そうやって考えるから、自分の中にこうしたい、ああしたいっていう思いも生まれてくる。だから、もっとやりたいし、寂しさも感じるから終わるのが嫌です」と、現場への愛着を口にした。
すると飯田プロデューサーは「やっぱり、寂しさを感じていただきたいのは視聴者の方。ドラマが終わったときに、『この子たちにまた会いたい』と思ってもらえるようなものを最終回まで届けたい。松坂さんがよく仰ってるのは、『この仕事は再会ができる』ということ。この現場で会った生徒と、また(違う現場で)再会したいねと。なので、寂しさもあるけれど、みんな次に向かって歩いていくんだろうな」と感動的にトークを締めくくった。
1月12日スタート、比嘉愛未×岩田剛典主演のサスペンスドラマ『フォレスト』の記者会見