名古屋パルコ東館8Fのセンチュリーシネマで12月23日(土)、気鋭のスタジオA24の日本初上映作品11本を特集する「A24の知られざる映画たち presented by U-NEXT」の公開と、センチュリーシネマ開館23周年を記念したイベントが開催されました。
イベントではイギリスの名匠ジョアンナ・ホッグによるミステリアス・ドラマ『エターナル・ドーター』を上映。スペシャルゲストとして、数多くのA24作品のポスター・チラシ・パンフレットを手がけるグラフィックデザイナー、大島依提亜さんと、映画イベントMC、映画情報番組などで活躍中の映画ライター、SYOさんが登壇。A24の知られざる魅力を語りました。
『エターナル・ドーター』上映後のシアターに登場した大島さんとSYOさん。以前から同作の監督ジョアンナ・ホッグに注目していたという大島さんは、「70年代イタリアのホラー、ジャロ映画っぽい感じがしました。ティルダ・スウィントン演じる母娘の奇妙さと、屋敷に何かあるっていうダブルのミステリーが設定されていて、主軸がわからないまま観ていく不思議さがある」と本作の面白さを語り、「ホッグの監督作7本のうち3本をA24が製作、配給している」と、A24からの高い評価にも言及。
続けて「A24は気鋭の若い監督を引っ張ってくるイメージがあるけど、ホッグのようなキャリアのある監督の作品も多い」とSYOさん。また『ミッドサマー』のアリ・アスター監督が『エターナル・ドーター』を絶賛していることに触れ、大島さんが設定が似ている『ザ・ヒューマンズ』を薦めたエピソードも明かしてくれました。
そして話題は2人が好きな作品に。大島さんが「『ゴーストワールド』の主人公2人ではなく、たくさん出てくるダメなキャラクターたちだけの映画で、めちゃくちゃ好き(笑)」だという『ファニー・ページ』。
またSYOさんがファーストカットで「キタ!」と感じた『アース・ママ』。
バレーボールの元オリンピック選手という異色の経歴を持つ本作のサバナ・リーフ監督は「これから絶対に来る」と激推し。また2人とも泣いたというのが『ヴァル・キルマー/映画に人生を捧げた男』。
「A24のドキュメンタリーにはハズレがない」と大島さんも太鼓判。さらに星5つを付けた6本目の作品として、現在『ファースト・カウ』が系列の劇場、伏見ミリオン座にて公開中のケリー・ライカート監督の『ショーイング・アップ』もピックアップ。「日本ではあまり知られていない監督や映画、これから世に出る新人監督の最初に立ち会ったり、スター俳優が見せる違う一面を観るのも面白いと思います」と、特集上映の楽しみ方をアピールしました。
続いて観客からの質問タイムへ。数々の映画のポスター・パンフレットなどのグラフィックを手がける大島さんには、デザインについての質問が飛び、ここでしか聞けない裏話が披露されました。また「変なパンフを作ってやろうって気持ちはあまりないんですよ。ただ紙を選んでる時はピュアな気持ちで、これなら映画を観た後に違和感なく接してくれるんじゃないかなと考えてます」と話し、自ら持ち込んだ『カモン カモン』のパンフレットを手に「このちょっと温かみのあるモノトーンを見て、これだ!これじゃなきゃダメだ!と。実は紙を選ぶ時に一番、伝われ!って念じているんです」と、紙へのこだわりを明かしました。
さらにこの時期ならではの質問も。本年度のベスト作品を聞かれ『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』を選んだ大島さん。
「アカデミー授賞式でのキー・ホイ・クァンのスピーチが、映画を超えたムーヴメントになったのは、ローカリズムの末端で関わった身としてはなかなか熱くて。個人的に記憶に残る映画になりました」と振り返りました。一方、つい深く関わる藤井道人監督の作品を選んでしまうため、普段はベスト映画の依頼を受けないSYOさんが挙げたのは、クリストファー・ボルグリ監督の『シック・オブ・マイセルフ』。
ビジュアルデザインを担当した大島さんが「リップサービス?」と笑うと、SYOさんは「いやいや、アップリンク吉祥寺にポスターを買いに行ったんですよ(笑)。Tシャツも持ってます。自分が感じているようなSNS時代の痛みを当事者性を持って描いて、しかもオシャレな映画に出会ったことがなかったので、すごく幸せでした」とコメント。A24による同監督の次回作にも期待を寄せました。
A24の魅力を知り尽くす2人は40分以上も熱いトークを展開。最後に大島さんは「この特集上映は本当に当たりが多いし、幅広いジャンルが揃っているので、たくさん観れば好みの作品が見つかると思います。ぜひ通っていただきたいです」とPR。SYOさんは「この特集上映は本当に観るのが楽しかった。改めて自分がA24にハマる理由がわかったし、解像度も上がりました。皆さんにもハマっていただきたいです。特集上映の11本に加えて、今現在『ファースト・カウ』、『TALK TO ME トーク・トゥ・ミー』と、A24作品が13本も観られるあり得ない状況なので、ぜひ楽しんでください」と、トークを締めくくりました。
さらにイベント終了後には劇場のロビーでサイン会を実施。大島さんが手がけた様々な映画パンフレットを手にした多くの人たちと、気さくに会話しながらサインを行った2人。名古屋のA24ファンにはたまらないイベントとなりました。
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