報われる保証のない戦いの中で「心の支え」になるものとは… 張本智和、アジア覇者が強行日程でTリーグに出場し続ける理由
アジア卓球選手権で、日本勢としては50年ぶりとなる優勝を果たした日本卓球界のエース、張本智和。悲願の五輪金メダルに向け、国際試合を転戦して腕を磨き続ける一方で、Tリーグへの出場も可能な限り続けている。その理由とは
アジア全域から集結した最も才能あるMMAアスリートがUFCとの契約をかけて競い合うトーナメント、『ROAD TO UFC シーズン2』。今年5月に行われた1回戦では各階級から1名ずつ、4選手が勝ち上がり、今週27日(日)、『ROAD TO UFC シーズン2 準決勝』がシンガポールのインドアスタジアムで開催されます。
シンガポールでファイトウィークに突入した4選手=鶴屋怜(フライ級)、上久保周哉(バンタム級)、神田コウヤ(フェザー級)、原口伸(ライト級)から準決勝3日前の心境を聞きました。
━━シンガポール入りして、気分はいかがですか?
鶴屋:前回上海で『ROAD TO UFC (以下、RTU)』の試合をした時はわからないことだらけで不安も多かったのですが、シンガポールは慣れたというか、気持ち的には楽ですね。
━━試合3日前の現在の心境は?
鶴屋:いつもと別に特に変わった様子はなく……いつも通りです。普通に、「ああ試合なんだな」というくらいで平常心を保っています。逆に試合のことを考えすぎちゃうと、そうなって眠れなくなったりするので、特に考えずに、試合になったら戦えばいい、という感じです。
━━前戦では圧勝しました。
鶴屋:自分の思う動きができてかなりよかったので、今回も前回のようにいい動きができればいいかなと思っています。
━━今回対戦するマーク・クリマコ選手の印象は?
鶴屋:全体的にバランスのいい、全体的にできる選手だとは思うのですが、特にここがズバ抜けているというところはないという印象です。
━━どのような試合にしたいですか。
鶴屋:一方的に攻めて、1ラウンドか2ラウンドぐらいでフィニッシュできればいいかなと思います。今までもそうですが、どんどん攻めて相手が何もできないような状態で終わるようにしたいです。特に何で決めてやろうとかはないのですが、感覚で、気づいたら入っていたというようなことになると思います。そしてUFCに出場するまでの試合は全て一本かKOで決めたいと思います。
━━U-NEXTで試合をご覧になる方に、メッセージをお願いします。
鶴屋:シンガポールで2回戦目が行われます。しっかりフィニッシュして勝つので、応援よろしくお願いします!
━━シンガポール入りして、気分はいかがですか?
上久保周哉(以下、上久保):まあ日本と同じ夏。いつも夏だから暑いなとは思うんですけど、何回も来ていますが、散歩もしやすいし。いい国ですね。
━━前戦(1回戦)、上久保選手への期待の大きさの分だけ「あの上久保選手が苦戦するとは……」という空気になっていました。ご自身としてはその点をどう感じていますか?
上久保:まあ、苦戦はしたけれど、あの試合は絶対に勝っていたと今でも思うし、試合が終わった時に自分が勝ったと思ったし。トーナメント全体を通して「お前、油断するなよ」っていうメッセージだったんじゃないかと思います。すべてちゃんと吸収して、もう1回準備してきました。まあ相手が強いのはある程度想定はしていたし、弱い奴が出てくるわけないだろうと。むしろ自分は強い奴と試合がしたいなと思って、ここに来たので初っ端からああいう相手とやれたのは自分にとってはありがたいかな、みたいな。まあ、でも単純に強い人と試合できるのは楽しいですよね。
━━前回の経験から学んだことは?
上久保:当然相手は自分のことを100%警戒して、100%対策を立ててくるんだなって言うのが改めてわかったかなという感じです。常に相手も自分の方が強いって思ってる中でやる試合の方が多かったから、前回の相手はチーム全体で何が何でも「100回に1回(の勝利)」を持ってこようとしてたんじゃないかなと。100%対策してきたところを越えなきゃいけないというのは、実際に体感したことです。「どんな内容でも勝つことがすべてだな」と。とにかく目の前の一勝をみんなが取りに来ている。当たり前ですけど。
━━対戦相手のシャオ・ロン選手の印象は?
上久保:トップキープは強いし、パンチも強いな、とは思います。本当のところはグラップラーなんじゃないかな?っていうのは見た感じの感想です。触れてみないとわからないところはあるんですけど、ここを越えないととは思っているしまだ自分が感じる「強い人」の試合はまだシャオ・ロンは見せていなかな?と。それが自分の時に来るかもしれないし、それはそれで自分は現場でそれを越えていきたいから、こんなところで負けるわけにはいかないよ、と思っていますよ。
━━何か警戒している点があるとすれば?
上久保:警戒……をしているとすれば、相手が自分を警戒していることに警戒しています。
━━ではご自身が上回っている点は?
上久保:うーん、どうだろうなあ。まあ、全部っていうのが一番かっこいいんじゃないですか。「全局面で上回る」ってみんな好きな言葉だし。でもなあ、何が一番かな。ケージの中で相手に対してイジワルな部分が出せるっていうことに関しては自分のほうが上じゃないですか。
━━そうやって“地獄”に引きずりこんだ上で、やはりフィニッシュは目指していきますか。
上久保:いつもフィニッシュは目指しています!
━━最後に、U-NEXTで試合をご覧になる皆さんにメッセージをお願いします。
上久保:準決勝の試合しっかり勝って決勝に上がれるようがんばりますので、応援よろしくお願いします!
━━試合まであと3日となりました。現在の心境は?
神田コウヤ(以下、神田):試合に向けてもそうなんですけど、これから水抜きが待っているのでしっかりそれに備えて、今日は休んで、体の疲労を抜いていくっていう感じでリラックスさせるようにしていきます。
━━前戦を振り返って、フルラウンド通してしんどい試合をやりきったことの手応えはありましたか。
神田:今まで16戦やっていて、一番気持ちよかったです。自分の中のMVPでした。前回の戦いを乗り越えて、自分の中のマインドが変わったことを今回の試合で証明できたらと思っています。
━━対戦相手であるリー・カイウェン選手の印象は?
神田:ものすごく豪腕で殺傷能力のある選手だと思うので、前回以上にスリリングな展開になるんじゃないかなと思っています。
━━相手は「中国の五味隆典」とも言われていて、お客さんにとって分かりやすい爆発力があって沸かせるタイプの選手だと思います。そういう意味で相手に呑まれないかの不安はありますか。
神田:もちろん試合が決まってずっとそういう不安と闘ってきたので、本当に怖い日々を過ごしてきましたし、そういう日々から逃げずに自分は今日この日まできているので、今更怖気付くことはないので、腹は括れています。
━━どんな試合展開になる、あるいはしたいですか?
神田:理想を言えば1ラウンドで、テイクダウンして一本でフィニッシュできればいいと思うんですけど、そういうふうにいかないのが現実だと思うし、相手も必死にテイクダウンを防いでくるだろうしテイクダウンしても立ってくるだろうし、負けていたら強引に振り回してくるだろうし、それでも根負けせず15分間集中して、前回のようなタフファイトも自分の中では上等だと思っているので。期待してくれる人たちを悲しませたくないし、自分も今の生活に満足しているわけじゃない、人生このまま終わりたくないので、勝って人生変えたいと思います。
━━U-NEXTで試合をご覧になる方にメッセージをお願いします。
神田:自分の試合はエピソード5で、16時から16時半の間が開始予定時刻なので、その前に鶴屋怜の試合もあるので、それも含めて生配信で見ていただきたいです。
━━シンガポールの雰囲気はいかがですか?
原口:前戦は『ROAD TO UFC(以下『RTU』)』だけの大会だったんですけど、今回は前日に『UFCファイトナイト』があるということで、UFC選手たちと同じホテル空間にいるので、ちょっと違うなと感じました。あと、レスリング時代の頃から海外遠征を繰り返してたので、その頃と比べたら比較的いいところだなって感じがしています。UFCはレベルが違いますね(笑)。
━━試合まであと3日という現在の心境を伺えますか?
原口:『RTU』が決まってからは、もう本当に優勝するとことだけを頭に入れて、ずっと心の中でプレがあんまりなく、今もリラックスして落ち着いて、本当にいい緊張感を持って取り組めています。精神的にもそうですし、身体的にも特に大きな怪我もなくいい感じです。減量幅もあまりないので、いつも通り問題ないです。
━━前回のトーナメント初戦、原口選手はTKO勝利を収めたにもかかわらずフィニッシュに不満そうでしたね。
原口:自分の中では、終わった瞬間「ああ、またパウンドに頼っちゃったな」とか、スタンドの打撃をもうちょっと見せられたらなと思ったりしたんですけど、周りの方々から「今回はトーナメントだから勝つのが第一」と言われて。「あの戦い方でいいから」と。「ああ、じゃあ、もう自分の持ち味を発揮して、この戦い方でいいんだ」と自分を肯定することができました。それまでは一本とかで勝ちたいなって、それで「パウンドってどうなんだろう」って思ってたんですけど。でも、終わってから肯定してくれる人がいっぱいいたから「これでいいんだ」と振り切ることができました。
━━準決勝の対戦相手であるバテボラティ・バハテボラ選手の印象は?
原口:前回の試合だけだと、1ラウンドは相手にずっとプレッシャーかけて押したりしてたんで、結果は相手の反則による勝利ですけど、打撃とかは侮れないというか、普通に強いなって思って見ていて、それ以前のLFAの試合とかも結構見返して、打撃は強そうだなと思いました。
━━打撃を強みとする選手と、グラウンドを強みとする2人の戦いという印象もあるかと思いますが、ご自身ではどのように見ていますか?
原口:そうですね、自分もそうだと思います。それで、どっちの得意分野が勝つかみたいな勝負になると思うんですけど、そういう時になんか意外と打撃が当たったりとかするのかなとか思いながらしっかり打撃の練習をしてきました。
━━どんな試合を見せたいですか?
原口:自分の得意なところ、まあタックルだったり、パウンドだったりをガンガン出してしっかりフィニッシュできるように頑張ります。
━━最後に、U-NEXTでご覧になる方にメッセージをお願いします。
原口:僕は28日のエピソード6の一番最後で、日本人選手としても大会としても一番最後のトリなので、しっかり締められるように頑張りたいと思います。よろしくお願いします。
*4選手ともに6月24日取材
エピソード5
<フェザー級 準決勝>神田コウヤ(日本)vs. リー・カイウェン(中国)
<フライ級 準決勝>ジー・ニウシュイエ(中国)vs. チェ・ソングク(韓国)
<フェザー級 準決勝>イー・ジャー(中国)vs. キム・サンウォン(韓国)
<フライ級 準決勝>鶴屋怜(日本)vs. マーク・クリマコ(フィリピン)
<非トーナメント戦:フライ級>ピーター・ダナソー(タイ)vs. ニャムジャルガル・トウメンデムベレル(モンゴル)
エピソード6
<ライト級 準決勝>原口伸(日本)vs. バテボラティ・バハテボラ(中国)
<バンタム 級準決勝>ダーエミィスウ・ザウパースー(中国) vs.イ・チャンホ(韓国)
<ライト級 準決勝>ロン・チュー(中国) vs. キム・サンウク(韓国)
<バンタム級 準決勝>シャオ・ロン(中国)vs. 上久保周哉(日本)
<非トーナメント戦:ライト級>パク・ジェヒョン(韓国)vs. クイラン・サルキルド(オーストラリア)
8月27日(日)17時~
U-NEXTオリジナル日本語解説版
実況:鈴木芳彦
解説:髙阪剛
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