『あのクズを殴ってやりたいんだ』クランクアップ! 奈緒「海里の顔を思い浮かべると重いダンベルが上がりました」
今夜いよいよ最終回を迎える、奈緒主演のドラマ『あのクズを殴ってやりたいんだ』。最終回の放送を目前に控え、 クランクアップコメントが届いた。
奈緒主演の話題のラブコメ『あのクズを殴ってやりたいんだ!』がいよいよ最終回目前!
懸命な努力が実を結んでプロテストに合格し、晴れてプロボクサーになったほこ美。そして、そんなほこ美の真っ直ぐな姿に触れて悲しい過去から立ち直り、スポーツカメラマンの仕事に真剣に取り組み始めた海里。共に夢へと進む中でついに想いを確かめあった2人だったが、ほこ美に片思いする市役所の先輩・大葉や、友達の顔をしながらほこ美を憎み裏切っていた撫、そして海里に対して恨みを持つ悟と、さまざまな要因が2人の恋路を阻み…。
いったいこの恋はどうなっちゃうの?ハラハラドキドキの展開で目が離せない“クズきゅん“ドラマの裏側や最終回の見どころを、プロデューサーの戸村光来さんに聞きました!
――「クズ男を殴りたい」という動機から、ついにプロボクサーになったほこ美。多様化の時代である令和らしいヒロイン像ですが、改めてどこからこの設定が生まれたのでしょうか?
男性ボクサーを女性が応援するというストーリーはこれまでに何回も描かれていますし、カッコいい女性像を描きたいという思いもあったので、この設定を提案しました。社内的にも「新しいラブコメに挑戦してみたら?」という声があったので実現できました。
男性のボクシングがテーマだと、どうしても友情や勝利に主軸が置かれがちですよね。例えば、過酷な練習で追い込むイメージが強かったり。だけど、実際にボクシングの現場を取材するとそんなことはなくて。家族や周りからの支えがちゃんとあってこそだし、強くなる中で、ちゃんと恋愛もしているし。特に女子ボクサーのそういった面って、今まで見たことがないし、面白いなと思って、女性のボクシングをこのドラマの真ん中に置いたんです。
――実際に放送されて、反響はいかがでしたか?
「海里がヒロインなんだな」みたいな意見があったのは面白かったですね。でも、まさにそういう作りの作品にしたいなと思っていたので、そこが伝わったのは嬉しかったです。
――最終回目前の今では、ほこ美もカッコいい女性像になりましたが、第1話では鼻血を出して倒れたりしてダサダサな面が大きかったですよね。そのギャップ感も、理想の恋愛に夢を抱けない現代らしいヒロイン像だと感じさせました。そういう設定はどういう発想から?
ほこ美がボクシングで変化していく要素を見せたかったからですね。最初はどん底にいて、そこから立ち上がっていくほうがドラマとして盛り上がりますから。
それから、ドラマの立ち上げの際に奈緒さんとも話したことなんですが「ラブストーリーっていい意味でも悪い意味でもノイズをきれいな部分を描くことを意識するよね」って。でも、今回はそういう鼻血だったり、汗だったりという人間らしい部分をあえて出していこうと。そこは思いきってやってみたところでもあります。
――王道中の王道の胸キュンな展開だけでなく、スリリングなサスペンス的展開やいろんなキャラクターの生き方が伝わってくる人間ドラマの部分もあって、そのバランスが素晴らしい作品でもあります。そのバランスの秘密はどこから?
基本的にはラブストーリーだと思っているので、バランスは意識してはいないんですが。ただ、今回は台本の打ち合わせに多くの方が参加しているんですよね。僕が今回ドラマのプロデュースが初めてということもあって、先輩のプロデューサーの方にも参加してもらっていますし、監督と脚本家のお2人にも必ず加わってもらっていますし。
さらに脚本協力の方にも参加してもらっているので、10人弱くらいの人数で打ち合わせをしています。なので、そういった場で出た意見がドラマのいろんな要素として散りばめられたのかなとは思います。
――企画の段階からほこ美役は奈緒さんをイメージしていたそうですね。どういった点が、この物語の主人公に奈緒さんがぴったりだと感じていたんでしょう?
ほこ美は応援される主人公であってほしいし、親しみのあるキャラクターになるといいなと思っていたんですね。そう考えると、奈緒さんが演じられる役って、どれもどこか親しみを持てるキャラクターだなと。普段、私たちが生活する、同じ世界線にいそうな感じがするというか。
また、ちょうどキャスティングを決める時に、奈緒さん主演のドラマ『春になったら』が放送されていて。それを見た時に、芯の強さを感じたんです。そういうところも今回のヒロインに合うなと感じたので、どうしても奈緒さんがいいなと思いました。
――現場からは「奈緒さんは太陽のよう」という声も出ていたそうですね。プロデューサー目線で見た奈緒さんの様子は?
まさに太陽のようでしたよ。ずっと笑っているし、しゃべっているんです。彼女がいるだけで空気が明るくなる。誰とでもフラットにしゃべれる方なので、いい意味で緊張しないんですよ。
今回の現場は、僕自身もそうですが、メイクさんもスタイリストさんも初めてチーフなどのポジションに就くスタッフが結構いたんですよ。ADにも、初めてドラマを担当した人がわりといて。奈緒さんはその一人ひとりの名前をちゃんと覚えて、みんなを巻き込みながら現場の空気感を作ってくださっていて。奈緒さんご自身も「現場が楽しいものだってことを伝えたい」と言ってくださっていたし、実際僕自身もすごくそれを感じました。そういうところが「太陽みたい」と言われる由縁なのかなと。
もちろん、お芝居も素晴らしいです。本当に奈緒さんとご一緒できて、よかったなと思います。
――ボクシングのシーンのために食事制限をしたり、過酷なトレーニングも必要だったそうですが、そういった時にも疲れた表情も見せず?
食事制限も楽しんでされている印象がありました。みんなに、今自分が食べているものを自慢したり、食事制限ネタで笑いを取っていたりして。でも、かなり過酷だったと思いますよ。炭水化物を制限すると頭がボーッとするって笑いながら言っていたりもしたので。辛かったとは思いますが、現場ではそういう部分は一切見せずに臨まれていたので、強い方だなと思いました。
――奈緒さんの演技で印象に残っているところは?
動きのコミカルさが面白いなと。例えば、第6話の冒頭でほこ美がラブホテルに言ったことを母親の明美に茶化されて、「いや、違うんだって!」ってリアクションするシーン。「違うんだけど、そうなんだけど」みたいなところを表現するコミカルなお芝居がとても印象に残っています。ご自身では「ホラー映画みたい」っておっしゃってましたね。特にこの作品は、リアクション芸のように表情で見せるシーンが多いので。
――一方、ほこ美が殴りたい!と決意したクズ男・葛谷海里を演じているのは、玉森裕太さん。そのキャスティングの理由は?
海里という役のキャスティングはすごく難しくて。なんといっても“全女子を沼らせる謎の男”っていうキャラクターですからね。ビジュアルだけじゃなくお芝居のスキルも必要だし、全てを兼ね備えた人じゃないといけないなと。
そういった点を兼ね備えた方ということで、玉森さんにオファーしました。実際、撮影では玉森さんはすでにラブストーリーを経験しているので、魅せるところはキメキメで魅せにいくし、自然なお芝居が必要なところはちゃんとナチュラルにできるし。そういうところが素敵だなと思いました。
あと、今までの彼の役はかわいらしい男性っぽいイメージが僕の中にはあったんですが、Kis-My-Ft2のミュージックビデオなんかを見てると、ちょっとヒールな悪っぽい玉森さんも魅力的なんですよ。そういう部分もぜひ、このドラマで出してもらいたいと思って、玉森さんにお願いしました。
――玉森さんの演技で印象に残るシーンは?
第8話で、大葉と一緒にいたほこ美が海里と半年ぶりに再会するシーンですね。それまでの海里ってほこ美を突き放す展開が多くて、自分勝手なところがあったと思うんです。でも、あそこで初めて人間らしい部分が出てくる。台本もそう思いながら作っていたんですが、玉森さんの演技は想像を超えてきましたね。
僕自身、その玉森さんの表情を見て、初めて海里の人間らしい部分に共感できた気がするほど。海里の役って台本が「…」ばかりで、セリフじゃなく表情で見せるシーンがすごく多いんですよ。しゃべっている分量が、実はすごく少なくて。それなのに表情だけであれだけの感情を伝えられるところがすごく素敵だし、上手だなと思いましたね。
――奈緒さん、玉森さんとも対照的な演技の魅力を発揮されているのでは。
そうですね。お2人とも、これまでのイメージとは違う魅力が発揮できているのかなって思いはあります。
――大葉役を演じた小関裕太さんに期待したことは?
大葉はクズな海里との対比を意識したキャラクターで、基本的にはスーツにメガネということは徹底しました。海里のようなモテる男に共感できる人は少ないだろうなとも思ったので、それに反して大葉は「考えすぎちゃって恋愛に踏み込めない」という誰もが経験したことがあるような部分を役に詰め込みたいなと思って、脚本家さんと相談しながらキャラクターを作ったんです。
そんな中、台本の準備稿が5話くらいまでできあがった段階で、小関さんとお話する機会があったんですね。その時に、素の小関さんから出てくる人のよさ、育ちのよさみたいなものをスタッフ陣みんなが感じて。なので、そこを生かしつつも、いい人としてデフォルメされすぎないようにちゃんとダサかったりする自然さも出せればと。そこは小関さんに期待して、本人とも話し合って役を作っていきました。
――そんな大葉には最終回、救いはある?
救いはあります。きっと、救われてほしいなってみんなが思う役でしょうから。そこは楽しみにしてほしいです。ほこ美との恋愛を経験したからこその救いになっていると思うので、ぜひ、そこにも注目してほしいですね。
――玉井詩織さんが演じる、ほこ美にイジワルな撫。もしかするとほこ美よりも共感する女性が多いかもしれないキャラクターですが…。
撫は、女性スタッフの意見をかなり参考にして作ったキャラクターです。例えば、職場にクッキーを「作りすぎちゃった」って持ってくるシーンなんていうのは、僕自身からは全く出てこないアイデアなので。
撫役を玉井さんにオファーしたのは、ご自身がアイドルだからこそ持っている曲に合わせて表情を変化させるご経験があられるのではないかなと思ったので。しかも、アイドルの中でもすごく色んな顔を持っている人ですからね。カッコいい時もあれば、めっちゃカワイイ時もあって。そういうわかりやすい陰と陽みたいなところは、撫と通じる部分なのかなと。
――撫はほこ美とは険悪な仲になりましたが、その関係性にも救いはあるんですか?
あの関係性の一番の問題は、2人とも上っ面だけで腹を割って話せていなかったこと。お互いに隠すところがなくなってから、最終回でどういう関係になっていくのか。そこは見どころの一つになると思います。
――第7話には、WEST.の濵田崇裕さんが出演されました。撮影時のエピソードは?
濵田さんは、本当に面白い人でしたね。現場には2日間しかいなかったんですけど、僕が現場に入ったら、すでにメイクさんから爆笑をかっさらっていて。この人ってレギュラーだっけ?って思っちゃうほどのなじみ方でした(笑)。
運動神経もすごくよくて、ボクシング監修の松浦慎一郎さんも「あの人は何者なんですか?」って驚いていましたね。濵田さん自身は格闘技の経験はあるけどボクシングの経験はないとのことだったので、色んな意味で天才肌な方なんだなと思いました。
――第6話のほこ美と海里のキスシーンは、SNSで“ロープドンキス”として大きな話題に。胸キュンを意識したポイントは?
“ロープドンキス”は、実は玉森さんのあの体勢はすごくキツくて。ボクシングシーンのために鍛えたからこそ生まれたシーンになっているかもしれません。普通の人なら、ロープを押しながらキスするって、腕がぷるぷる震えちゃうと思います(笑)。「顎のラインを見せたいです」って女性スタッフが言った時に、「わかりました」ってパッとできるのは、本当にすごいなって思いました。
飲み込みが早い!奈緒さんは、ここでもリアクションをすごく大事にされていましたね。見ている人もほこ美と同じ気持ちになって、「海里にこうされたとしたら…」という楽しみ方ができるようにしたいとおっしゃっていて。本番のあとは「あのリアクションで大丈夫だった?」って僕に確かめてこられたのも印象的でした。みんなで作ったシーンだと思います。
――ボクシングのシーンも迫力たっぷりですが、その裏話は?
奈緒さんと玉森さんは、本当にすごく練習をしてくださいました。4カ月はあるドラマの撮影期間、全身全霊で役作りをしてくださって。俳優の方って本当にすごいなって思いましたね。奈緒さんは、松浦さんのトレーニング以外にもご自身でパーソナルジムや整体に通い、さらにキックボクシングのジムにも通っていたそうです。ボクシングを習う場所、見せる筋肉を作る場所、体のバランスを保つ場所と、3つのトレーニング場所を作っていたと。そこまでしていただいたので、やっぱり迫力のあるシーンができているなって。
――香織役の晝田(ひるた)瑞希選手からもアドバイスがあったとか。
晝田さんにも積極的に奈緒さんの練習に参加していただきました。松浦さんはトレーナー目線なんですけど、晝田さんが入ることでプレイヤー目線のアドバイスがもらえるんですよ。そのおかげで奈緒さんも飲み込むスピードがどんどん早くなっていって。実際に奈緒さんが上手くなっていく姿を見れることが現場のチーム感にも繋がったし、実際にほこ美が成長しているかのような雰囲気をドラマの中で作れたのは、そういった要因もあるのかなと思います。
――第6話で、ほこ美がサウスポーだと気づくシーンが描かれましたが、あれは奈緒さんが実際にサウスポーだったから生まれた設定なんですか?
そうなんです。奈緒さんと初めてお会いした時、奈緒さんからの提案で「一度やってみよう」っていうことで一緒にボクシングをしたんですよ。僕らは右だと思って台本を作っていたんですけど、その時に奈緒さんから「実は私、左なんです」って打ち明けられて。で、「途中で左に変わるって面白くないですか?」とアイデアもいただいて。取材を重ねるとそういうことも実際にあるってことだったので、脚本に盛り込みました。奈緒さんは、その分、右左の両方で練習しなきゃならなくなって大変だったと思いますが、おかげで物語として面白い展開が作れたなと思います。
――一般財団法人日本ボクシングコミッション(以下、JBC)の協力もこのドラマには欠かせなかったのでは?
JBCの方たちにはすごく好意的な反応をいただいています。女性の視聴者が多い“火曜ドラマ”の枠で女子ボクシングを扱ったことに感謝の言葉をよくいただきますね。ボクシングとの距離がある層にもボクシングの魅力や、晝田さんや那須川天心さんたちを知ってもらえたところが大きいのかなと。
那須川さんには毎回、いろんな役でちらっとドラマの中に登場していただいていますが、彼自身がいろんなことに挑戦している方なので、「やってみたことがないことをやってみる」という大人の習い事という要素があるこの物語と親和性があるなと思ってオファーしたんです。10月のタイトル戦が控えている中だったのに、「おもしろいっすね」のひと言だけでOKがいただけて。その行動力がすごく素敵だなと思います。お芝居にも真摯に向き合ってくださって。それぞれの役の裏ストーリーもちゃんと確認してから演じてくださるんです。何ごとに対しても真摯に向き合う方なんだなという印象があります。
――第10話で、ついに最終回を迎えます。どんな決着を迎えるのか。見どころを教えてください。
第1話の冒頭でほこ美の試合のシーンがちょっと映ったと思うんですけど、最終回は、その試合に向かっていく流れになっています。そのために奈緒さんが何カ月もかけて鍛えてきた名場面なので、そのほこ美のボクシングの集大成をまず一番に注目していただきたいですね。
もう1つの見どころは、海里の問題。10話をかけて描いてきたその海里の過去を、彼がどうやって乗り越えていくのか。悟という人物とどう決着をつけるのか。やっぱり、この2点に注目していただきたいですね。さらに、ゆいや大葉、スナック明美のメンバーたちにも、ちゃんと面白いシーンが用意されているのでそれぞれがどこに向かっていくのかも見守っていただきたいです。
――プロデューサーがこのドラマで伝えたかったこととは?
例え苦しいことがあっても、長い時間それに向き合うことで培うものはあるんだっていうことですね。ボクシングでも恋愛でも、いろんなことは起こるんだけど、その辛い、苦しい時間も含めて、長い時間をかけて一つのことに向き合うと、しっかり自分に返ってくる。恋愛なら成就するし、ボクシングなら試合に勝利する。嫌なことにもしっかり向き合うことで結果に繋がるんだっていう思いは、僕自身の中にもあるので。そこは伝えられたらいいなと思います。
最後の最後まで、海里に苦しいことが起こったり、2人を引き裂こうとする動きがあったりするんですが、この2人ならきっと乗り越えられる!という最終回になっていると思います。「本当に海里のことが好きだ」っていう、それだけで動くほこ美に心動かされたり、「恋愛っていいな」って思えるような、恋愛の力が伝わってくれたら嬉しいですね。ぜひ、見届けてください!
火曜ドラマ『あのクズを殴ってやりたいんだ』
TBS系毎週火曜よる10:00~10:57
今夜いよいよ最終回を迎える、奈緒主演のドラマ『あのクズを殴ってやりたいんだ』。最終回の放送を目前に控え、 クランクアップコメントが届いた。
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