渡海と天城の秘密とは?二宮和也だからこそ踏み出せた『ブラックペアン シーズン2』後半前にプロデューサーにインタビュー
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渡海と天城の秘密とは?二宮和也だからこそ踏み出せた『ブラックペアン シーズン2』後半前にプロデューサーにインタビュー

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いよいよ後半戦に突入するTBS日曜劇場『ブラックペアン シーズン2』。2018年に放送された前作『ブラックペアン』で、“オペ室の悪魔”と呼ばれた主人公・渡海征司郎を演じた二宮和也さんが、その続編となる『ブラックペアン シーズン2』では、渡海と瓜二つの外見ながらまったく別人の新たな主人公、世界的天才外科医・天城雪彦を演じていることも話題となっています。終盤に向けてさらに盛り上がりを見せる中、同シリーズのすべてを知る伊與田英徳プロデューサーが、改めて今回の『ブラックペアン シーズン2』の製作経緯や撮影現場の様子、今回ならではの見どころなどを明かしてくれました。

原作者から提案された、二宮和也ならではの面白いチャレンジ

──『ブラックペアン』が2018年の放送から6年を経て、シーズン2が実現するまでの経緯を教えてください。

伊與田:前作『ブラックペアン』(シーズン1)の打ち上げで原作者の海堂(尊)先生から、ドラマを「すごくよかった」と褒めていただき、「ぜひ続編を作ってほしいので提案がある」と伺ったんです。でも今回のシーズン2の原作となった『ブレイズメス1990』と『スリジエセンター1991』には、舞台は同じでも、シーズン1の主人公の渡海征司郎は登場しないので、新たに渡海の話を書いてくださるのかなと思ったら、海堂先生がその2作の原作に登場する天城雪彦を二宮さんが演じるのはどうだろうとおっしゃって。そんなことできるのかと一瞬思ったけど、面白そうだなと。

これが二宮さんじゃなかったら踏み出せなかったかもしれないけれど、彼だったらまったく別人の新しいキャラクターを上手く演じてもらえる気がしたんです。原作者の先生から今回のような面白い提案をいただけたのはすごく光栄なことだし、チャレンジさせていただきたいと思いました。

──海堂先生は脚本作りにも関わっていらっしゃるのでしょうか?

伊與田:しっかり監修していただいています。最初の大筋のアイデアは海堂先生からいただいた上で、そのアイデアに沿って脚本を作らせていただいていますね。

──今回のシーズン2で特にこだわったポイントとは?

伊與田:前作のキャストの皆さんがほとんどそのまま出演していただいていて、演じる各キャラクターたちも6年の月日を経た中に、容姿は渡海と似ているけれど全く別人の天城という新しいキャラクターが入ってくる。昔からの馴染みのものに新しいものが入るような、続編の懐かしさと全く新しいものが同居することで、面白い科学反応が起きるといいなと思いました。

──劇中でも前作から6年後を描いたことで、各キャラクターの成長した姿が見られるのも面白いですね。

伊與田:前作と近い時期にシーズン2をやっていたら、前作の勢いでそのまま見られる良さもあっただろうけど、やっぱり同じようなことが繰り返されている印象だったかもしれない。でも6年経って劇中でも間が空いたことで、それぞれのキャラクターが前作とは違った見方や感じ方をできるようになった姿を描くことができた。

竹内涼真くんが演じる世良先生は、研修医から医師になって手術も自分でできるようになったからこそわかることがあるし、葵わかなさんが演じる看護師の花房美和も、手術でちゃんと器械出しができるオペ看になったからこそわかることがある。内野聖陽さんが演じる佐伯先生も院長になって、全体を見据えなきゃいけない役割になったとか、描き方のグレードが変わって見方が変わったのは、逆に6年空いて良かったのかなと思います。医療モノなので、命の大切さのような普遍的テーマは変わりませんが、フェーズが一段違うというか、少し味付けが変わっているところがあることは、今回の見どころのひとつだと思います。

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©TBS

竹内くん、わかなさんから感じる“この間しっかりと生きてきた”風格

──劇中の登場人物に成長や進化がありましたが、二宮さんをはじめとした演者の方々はいかがですか?

伊與田:二宮さんは前作の時点で元々進化していましたからね(笑)。元からトップスターで芝居は上手いから、それをしっかりと維持し続けているというか、熟練味を帯びているとでもいうのか。今回の現場で彼の芝居を見ていても、渡海という感じはまったくしなくて、天城にしか見えない。別人格を飄々と演じているのは、改めてすごいと思っています。

また世良役の竹内くんとか花房役のわかなさんなどは、明らかにシーズン1の頃とは違いますね。以前からしっかりしていたけれど、前作の時は勢いで演じているところもあってかわいいなと思って見ていたのが、成長した大人の役者さんとしての風格がでてきて、しっかり生きている感じが見受けられておもしろい。その成長もすごいなと思いました。

──続編ということもあり、キャスト陣の皆さんは仲がいいようですが、今回の現場の雰囲気やチームワークの良さをどのように見ていますか?

伊與田:本当に久々に会ったという感じはなく、ずっとみんな一緒に東城大にいたんじゃないかと思わされるようなチーム感がありますね。例えば二宮さんや小泉(孝太郎)さんや竹内くんなどは、バラエティ番組などで会う機会もあったようですが、内野さんは本当にひさしぶりに会ったようで、「あれ(前作)以来ですね」と言いあいながらも、役としての関係性も、役者の先輩後輩としての関係性も変わらず、それが微笑ましかった。私もそのメンバーの一員として、いい空気感の中で、居心地良く過ごさせていただいています。

──二宮さんが、「台本を覚えるのは当たり前で、現場では誰も台本を見ている感じがない」ともおっしゃっていましたが、役者さんからもアイデアを出し合ったり、アドリブが多い現場なのでしょうか?

伊與田:お芝居をする上で、「自分はこう思う」とか、脚本に書かれていることを「こういうアプローチにした方がより面白いんじゃないか」とか、「それならこういうのもあるよね」など、みんなが意見やアイデアを自発的に出し合えるチームなので、監督も含めたみんなで、いろんなアプローチを楽しみながらやっている感じはしますね。お芝居として自然に出てくるアドリブはありますし、それを気軽に受け入れて楽しんで演じているような感じだと思います。

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©TBS

第6話で明かされる主任看護師・猫田の秘密と渡海とのエピソード

──新キャストである韓国人研修医のパク・ミンジェ役のキム・ムジュンさんの様子はいかがですか?

伊與田:ムジュンくんは人懐っこくて、二宮さんも竹内さんも本当に弟ができたみたいな感じで楽しそうにお話しているのは、見ていて微笑ましいですね。ムジュンくんは私と初めて会ったオーディションの時にも、日本語を勉強してきていていましたけど、その後も日本のことを学ぼうと勉強してくれているし、他のお仕事で韓国に戻ったあと、またこの現場に帰ってくると、韓国のお土産を買ってきてくれたりなど、この現場を愛している気持ちが伝わってきますね。

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©TBS

──後半戦に突入する第6話は、第5話の予告編を見た視聴者の方々が、「渡海さんが登場するのか?」と、SNSでも大きな反響を呼びましたね。

伊與田:第6話では、趣里さん演じる主任看護師の猫田が、ずっと仮眠室にいるけど腕はいい彼女の秘密みたいなことを描きました。彼女のいろんな側面が見えるし、なぜあんなキャラクターになったのか、その理由がわかる回です。それに、やっぱり東城大の仮眠室といえば渡海なので、そこには彼とのエピソードがしっかりと散りばめられていて、「なるほど」と思っていただける形にもなっているかなと。渡海と天城は全く別人なんだけど、きっと猫田を通して2人の共通点を感じ取ることができるはず。その上で、最終回に向けて渡海と天城の秘密が明らかになっていくと思います。

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©TBS


(プロフィール)

伊與田英徳(いよだ・ひでのり)

1967年5月6日生まれ、愛知県出身。近年、制作に関わった携わったドラマは『クロサギ』『新参者』『半沢直樹』など 。

ブラックペアン シーズン2
(C)TBS (C)海堂 尊/講談社

日曜劇場『ブラックペアン シーズン2』

毎週日曜よる9:00~9:54

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