二宮和也が、世界的天才外科医・天城雪彦を演じるTBS日曜劇場『ブラックペアン シーズン2』第9話。双子の弟・渡海に命を救われた天城が、東城大病院にやってきたもうひとつの目的“ブラックペアンの謎”に迫る!
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
幼少期から心臓に疾患があり、倒れてしまった天城(二宮和也)。佐伯(内野聖陽)が執刀し世良(竹内涼真)とともにオペを進めるが、助かるにはダイレクト・アナストモーシスと佐伯式を同時に行うしかない絶体絶命の状況に陥ってしまった。
そんな中、なんと天城の双子の弟である渡海(二宮和也)がオペ室に現れた。しかし頼みの綱の渡海は、「やりませんよ俺は。あんなギャンブルみたいなこと」と、ダイレクト・アナストモーシスはしないと言い切った。
オペ室にエルカノ・ダーウィンを運び込み、ダイレクト・アナストモーシスは佐伯がエルカノ・ダーウィンを使って行い、渡海が佐伯式手術を担当するというのだ。
エルカノ・ダーウィンの精密性に助けられ、佐伯は見事にダイレクト・アナストモーシスを実行し、渡海は“オペ室の悪魔”と呼ばれた卓越したオペ技術を発揮、佐伯外科の医師たちを驚かせるスピードで佐伯式手術を進めていく。
一度は天城の心臓が停止してしまうが、佐伯が「戻ってこい!天城!」と心臓マッサージを施しながら叫ぶ声に呼応するように、天城の心臓は再び動き出した──。
手術の佳境を超えた後、世良は「6年間、頑張ってきました」と、師と仰ぐ渡海に言葉を求めた。しかし渡海は、「お前1円も振り込まないからもう辞めたのかと思ったよ」と悪態をつくと、閉胸を世良に任せオペ室を去っていってしまう。
その背中に世良は「また教えてください」と、変わらない悪態を懐かしそうにほほ笑み、オペの終幕を引き取った。過去の別れでは、渡海にまだ教わり足りないとすがったが、頼もしく成長した姿を見せた。
術後の病室で、無事に目を覚ました天城は上着のポケットを探っていた。
天城は生家である渡海家を訪れた際、1枚の手術記録を見つけていた。患者名徳永栄一、執刀医天城司(大和田伸也)と記されたその書類を、天城は上着の内ポケットにしまったはずだったが、書類はなくなっていた…。
佐伯が病室を訪れ、「早速やってもらいたいことがある」と術後間もない天城に、国際心臓外科学会で公開オペをするよう指示を出す。スリジエハートセンターの人事選考がいよいよ動き出すため、学会で世界中にアピールし海外から優秀な医師を獲得しようというのだ。
命を救ってくれた佐伯の申し出を快諾した天城だが、おもむろに佐伯に問うた。
「佐伯清剛が僕に気をかけていたのは、天城司の息子だからですか?それとも、渡海一郎の息子だからですか?」
佐伯には、飯沼達次という患者の体の中にペアンを残したまま手術を終えたという過去があった。飯沼の命を救うために行った医療行為だったが、天城の父・渡海一郎が飯沼達次に別の手術を施した際にこのことが発覚し、渡海一郎は医療過誤を疑われて東城大病院を追われてしまった。
渡海一郎はこの頃、病を患い余命幾ばくもないことが分かっており、佐伯の未来を想って自らが医療過誤の罪を背負うと決断したのだ。
一方の佐伯は6年前、この患者の体の中のペアンをカーボン製のブラックペアンに交換する手術に成功した。ブラックペアンならば、レントゲンにも映らず、火葬した際には燃え尽きるため、一度は医療過誤を問われた“体内に残されたペアン”の事実を封印することにも成功したのだ。
天城はこれについて、「客観的にみると、渡海一郎が失脚したおかげであなたは教授というポストにたどり着けたという考えもできる」と佐伯に突きつけると、さらに「うちの父(天城司)がこれを持ってました」と、木箱にしまったブラックペアンを差し出した。
天城は亡くなる間際の育ての父・天城司から「雪彦、ブラックペアンの約束は、破られた」という遺言とともに、このブラックペアンを託されたというのだ。
「佐伯先生、ブラックペアンの約束ってのはなんなんですか?」と迫る天城。
天城には、生い立ちの謎を解く以外にもうひとつ、東城大病院に来た目的があったのだ。それは、ふたりの父親(生みの親・渡海一郎と育ての親・天城司)が、それぞれ佐伯清剛との間に持つ“ブラックペアンの秘密”を探ることだった──。
仕事復帰した天城は、国際心臓外科学会での公開オペの患者を繁野結衣(堀越麗禾)に決定した。結衣は、天城がダイレクト・アナストモーシスで救った患者・繁野(第2話)の孫で、冠動脈瘤を患っていた。
天城は「子どもに対してのダイレクト・アナストモーシスは世界初なので、観衆の皆様にもご満足いただける」と意気揚々と語り、公開オペでの助手に高階(小泉孝太郎)、垣谷(内村遥)、関川(今野浩喜)を指名した。
結衣の担当医である世良は、この人選に「納得がいかない」とかみついたが、天城は「だから留守番にしたんだよ」という意外な返答とともに、手術同意書を差し出した。
“本当の”同意書だという書類では、結衣の手術日がなぜか公開手術の翌日となっていた…。
何かを企んでいる様子の天城は、佐伯を呼び出し、「8年前に天城司が東城大でオペした患者の居場所を教えていただけますか?」と尋ねると、ある論文について語り始めた。
天城司が亡くなる5年前に見つけたその論文は、ダイレクト・アナストモーシスについて書かれたものだった。当時、天城司はダイレクト・アナストモーシスを“危険な術式”と判断し、天城はそれを読むことも許さなかった。
だが、天城司の死後、遺品から出てきた論文を天城が再び目にしたとき、そこには「徳永の手術ができるのは雪彦(=天城)だけだ」と記されていた。
東城大病院に来て以来、天城はずっと“徳永”の手術記録を探していた。そして遂に渡海一郎の家で見つけた。天城の上着ポケットからなくなったあの手術記録だ。
渡海一郎の家で倒れた天城、それを病院に搬送した佐伯。天城は佐伯が記録を隠したことを確信していた。そして隠すということは佐伯にとって都合が悪いという証明だと詰め寄る。
天城は、徳永のオペは失敗し、その失敗を佐伯が天城司ひとりに負わせた結果、「ブラックペアンの約束は破られた」という言葉につながったのだと考察を突きつけ、佐伯に徳永の居場所を問い詰める。
それでも「それだけはできん。徳永さんの管理は、すべて私に任されている」と頑なに拒む佐伯に、天城は宣戦布告するように「なら勝手にやらせてもらいます」と、公開手術後に徳永を探し出しオペをすると宣言した。
国際心臓外科学会での公開オペ当日。
天城は佐伯の控室を訪れると、「今回の患者は来られないことになった」と飄々と笑い、「安心してください。新しい患者さんはもう見つけてあります」と、なんと徳永栄一を公開手術すると告げた。
天城は、佐伯に徳永の話をすれば、必ずや転院させるために入院先に連絡すると考えた。まんまと佐伯は藤原看護師長(神野三鈴)に連絡し、天城の指示でその電話を聞き取った世良が、徳永栄一の入院先に出向き、所在を確認していたのだ。
佐伯は激しく動揺し「徳永さんは無理なんだ。たとえお前でも」と告げ、新病院が完成し、万全の体制が整ってからオペをするつもりだったと言う。下手をすると公開手術の場で術死させてしまうと狼狽するが、天城は「また詭弁を」と取り合わない。
そして、「同意しないならば徳永さんへの医療過誤を告発する」と脅迫にも近い形で、佐伯から徳永のオペの合意を得た。
天城の画策のままに、国際心臓外科学会での公開オペは徳永栄一に対するダイレクト・アナストモーシス手術と決定した──。
オペ室に徳永が運ばれると、徳永の検査結果を前に医師たちは驚きを隠せなかった。メインの3本の冠動脈がほぼ閉塞している状態なのだ。ただひとり、天城は「世界にアピールするのにうってつけだ」と笑う。
高階が「天城先生。まさか3本ともダイレクト・アナストモーシスなんて言わないでくださいよ」と牽制するが、天城は「いけませんか?」と、そのまさかをやってのけようと笑った。そもそも、以前の手術でバイパス手術に使用でき得る動脈静脈は剥離されてしまっていた。
天城は「心配いりませんよ。皆さんは僕の言う通りに動いてくれれば、僕のオペは成功します」と余裕の表情だが、世良でさえその自信に不安を見せていた。
超難解な手術を前に、天城はひとり病院の屋上でコインを投げていた。何かを賭ける様子の天城に、徳永のオペに立ち会いたいと願い出る世良。
だが天城は、これを許可しない。そして、世良を説得するかのように、ダイレクト・アナストモーシスを手掛けるきっかけとなった、自分の育ての母に対する冠動脈バイパス手術について語り始めた。
手術中に心筋梗塞を起こした母の心臓は、バイパス手術を施しても、それが詰まってしまい、もはや死を待つしかない状態に陥ってしまった。天城はその時、父が持っていたダイレクト・アナストモーシスに関する論文を思い出し、咄嗟に仮説として描かれていた手術を施したのだ。これが最初のダイレクト・アナストモーシス手術だった。
この奇跡のような手術があったからこそ、天城はダイレクト・アナストモーシスを「神が僕に与えた産物」と言い切る。
だが、話には続きがあった。「ただそのオペが、僕が最初で最後、唯一経験した術死だった…」。ダイレクト・アナストモーシスは成功した。しかし、母は全身麻酔による悪性高熱を起こしてしまった。さらには、悪性高熱に対応する薬・ダントロレンが病院になく、手術はうまくいったが、事故のような形で天城は母を失ってしまった。
「そんな風な事故に、もう立ち会いたくないからね」。天城はこれを境に、患者の運を問うシャンス・サンプルを行うようになったのだと言う。
涙を浮かべ、ダイレクト・アナストモーシスとシャンス・サンプルに秘められた悲しい過去を語る天城が「早く自分の患者の元に戻りなさい」と世良に優しく告げると、世良はその言葉に従い、東城大病院に戻っていった。
国際心臓外科学会、ダイレクト・アナストモーシス公開手術が始まる。
同時に、東城大病院では病院長選挙が始まろうとしていた。副院長・江尻(大黒摩季)の横には、看護師長として、オペの相棒として佐伯を長年支えてきた藤原が立っていた。
「一番大事なのは、患者様を第一に考え、命を守ること。そのために、東城大を元に戻す」と、病院長の変更が必要だと訴え、なんと病院関係者たちの目の前で、佐伯が緑内障でオペもままならない状態であることを伝えてしまった──。
一方世良には、結衣の容態急変が伝えられ、病室へと走る──。
そして、公開オペの現場。
難解な術野を前にしても天城は「問題ない。続けていくよ」とオペを進めようとするが、その時…。患者の体温が急上昇、悪性高熱の症状が出てしまう。さらには、悪性高熱を下げるための薬、ダントロレンがない──。
天城が母を失ったときと同じ危機が訪れ、トラウマが蘇る──。
SNSでは、「怒涛の展開すぎて語彙力と頭脳が追いつかない」「トラウマをどんな奇跡で乗り越えるのか…」と、次々と起こる危機に翻弄される声とともに、「最終回が待てない」とすべての危機がたどり着くラストを切望する声が溢れている。
最終回の第10話、多くのものを失いながら多くの命を救ってきた天城に、救いがあることを願う!
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