【ネタバレあり】「次を目指してる限り、人は終わらない。」涙が、誇り高き笑顔に変わる──『下剋上球児』最終回・第10話レビュー
プロデューサー・新井順子×脚本・奥寺佐渡子×演出・塚原あゆ子の『最愛』チームが送る、感動のヒューマンドラマ『下剋上球児』の魅力を完全収録
高校野球を舞台に、球児たちの夢とさまざまな愛を描くヒューマンエンターテインメント『下剋上球児』第4話が11月5日(日)に放送された。
第3話では、生徒たちの強い想いを受けとり、南雲は教員免許を持っていないことを隠したまま、甲子園予選に副部長としてベンチ入りすることを決意。そして同時に、越山高校野球部の夏が終わったら、自分の罪と向き合うことを誓った──。
生徒たちが南雲を信頼し切望する想いと、南雲の悲しい決意が錯綜する第3話を経て、ここでは、どこよりも詳しい第4話レビューをご紹介。越山高校野球部は、目標に掲げた“夏の一勝”を果たすことができるのか──それぞれの想いがつまった甲子園予選1回戦が始まる第4話を、是非ご覧いただきたい。
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
全日本高等学校野球選手権、三重大会1回戦。越山高校対多気高校。
1回表、越山高校の攻撃。監督の横田(生瀬勝久)がベンチの最前列から選手たちにサインを送るが、すべての指示はすぐ後ろに控えた南雲(鈴木亮平)からの指示によるものだ。1番バッター・俊足の久我原(橘優輝)がセーフティバントで出塁し、すぐさま盗塁して2塁に進むと、南雲は2番・キャッチャーの富嶋(福松凛)にヒットエンドランを指示。
南雲の采配が見事にハマり、久我原がホームに生還する!なんと越山高校は、試合開始からたった3球で1点をもぎ取ることに成功した。
その裏の多気高校の攻撃。山住(黒木華)と富嶋を中心に、徹底的に多気高校の分析を行っていた甲斐もあり、翔(中沢元紀)は見事にアウトを重ねていき、越山高校は絶好のスタートを切った。
同じ頃、南雲や翔を気にかけ、テレビで試合を見ていた賀門(松平健)に電話が入る。声の主は、開会式で南雲に疑惑の目を向けていた男だった。「やっぱり南雲君、卒業してません。となると教員免許も…」。愕然とする賀門だったが、「今は南雲にも俺にも、やらなきゃいけないことがあるんだ」と、真偽を確認しようとする男を制止した。
試合中盤、多気高校を率いるベテラン監督・葛西(浅野和之)が老獪なゆさぶり作戦をしかけてくるが、南雲は守備位置を大胆に動かし、このピンチも乗り切った。葛西はエース・翔の体力を奪おうと考えていたが、持ち直した翔は7回までを0点に抑える好投を続ける。
しかし8回裏、翔の疲労が濃くなってきたと思った矢先、ヒットとホームランを連打され、越山高校は2点を失い、逆転を許してしまった。
南雲は、翔に代えて根室(兵頭功海)をマウンドに送るが、根室は公式戦の緊張感に気圧されてしまう。
その時、「根室!いつも通りいけ!」南雲が、満面の笑顔で根室にゲキを飛ばす。根室は我に返り、南雲から譲り受けたグローブに刻まれた“乾坤一擲”の言葉を見て落ち着きを取り戻し、見事後続を抑えて追加点を許さなかった。
最終回。越山高校最後の攻撃。ここでも南雲の采配が光り、根室が塁に出る。しかしその後が続かず2アウト。翔が疲れ切った体で打席に向かう。
その時、スタンドで試合を観ていた壮磨(小林虎之介)が「なんでうちの兄貴は出やんのですか」と、同じくスタンドで応援していた校長の丹羽(小泉孝太郎)に噛みつく。壮磨は試合中ずっと、兄・日沖(菅生新樹)が試合に出ないことに苛立っていたが、最後の打席になっても代打にも送られないことに、怒りを爆発させたのだ。
丹羽は「自分から試合には出ないと言ったそうです。人にケガをさせてしまい、仲間に迷惑をかけたと、深く反省してる」と日沖の想いを語るが、壮磨は「兄貴は悪ないです。悪いのは俺や」と、苦悶の表情を浮かべ涙が込み上げてきた。
一方、日沖は精一杯声をふりしぼり、打席の翔を応援している。いつも無口な楡(生田俊平)も「翔!打てー!」と声を張り上げる。チーム全員の声援を受け、疲労困憊の翔の目に闘志が戻る。そして、翔がフルスイングした打球がレフト方向に大きく飛んでいき──。
だが、打球はスタンドに届かず…試合終了。越山高校は1対2で敗退となった。
“夏の一勝”には手が届かず、3年生たちの最後の夏も終わった。しかし、選手たちに悲壮感はない。練習試合ではいつも7回コールド負けを喫していたからだ。
「最後まで試合できた!」「9回までいけた!ありがとう!」日沖、長谷川(財津優太郎)、藤本(鈴木敦也)の3年生トリオは肩をたたき合い喜び、共に戦った1・2年生に感謝した。
南雲も「よく戦いました」と、選手たちを誇らしげに眺めていた。
試合終了後、日沖はキャプテンとして応援してくれた人たちに挨拶をした。
「部員が俺一人の時もあったんやけど、南雲先生と山住先生と、横田監督に面倒みてもろて、新しいグラウンドできて、1年生も入ってきてくれて、ほんまに嬉しかったです。これからも、ザン高野球部、応援してください」。日沖は、言葉を選びながら、涙をかみしめて野球部への想いと感謝を伝えた。
離れた場所から兄の挨拶を聞く壮磨は、晴れやかな兄とは裏腹に、悔し涙を浮かべていた。
ザン高生が通うコンビニで、野球部の面々はささやかな打ち上げを開催した。
「この先も、君らを見てたかったなぁ。学校もこの夏で辞めることになった。本当に、本当にありがとう」。越山高校野球部の夏が終わり、南雲は約束通り野球部を去ることを伝えた。
日沖が家に帰ると、さっきまで赤い髪だった壮磨が、真っ黒い坊主頭で待っていた。
「なんやその頭」と驚く日沖に、壮磨は「兄ちゃん、俺野球部入るわ」とおもむろに告げる。
最後の試合に出ないのになんでにやにやしてるんだ、ピッチャーを活かせてない、あの展開でなぜ勝てない、日沖や野球部への悪態をつきながら、顔をくしゃくしゃにして涙する壮磨は、「俺がザン高勝たしたるわ」と日沖に宣言する。
その夜、南雲は青空(番家天嵩)と2人で話していた。
実は、南雲が学校を辞めるタイミングで、美香(井川遥)は青空となぎさ(倉田瑛茉)を連れて東京に行くことに決めていた。南雲が罪と向き合うことになれば、街の人やマスコミはきっと南雲の罪を責めるだろう。その声が子どもたちにも届いてしまうことを危惧して、南雲と美香が下した決断だった。
青空はそんな事情を知らず、「東京行きたくないなぁ」とこぼすのだった。
後日。職員室で荷物をまとめる南雲を、丹羽が連れ出した。丹羽は、「今回の件、教育職員免許法違反に加え、有印公文書偽造、同行使の罪に当たることは分かってますね?最大23日間身柄を拘束されて、捜査機関の取り調べを受けることになります」と、南雲に罪の重さを突きつける。南雲は生徒や保護者に直接謝りたいと願い出るが、丹羽は「処分が決まるまで、生徒とも保護者とも一切接触しないでください」と厳しく言い渡した。
接触禁止を言い渡された南雲だったが、犬塚(小日向文世)から「大変だから来て!」と連絡を受け、犬塚の家に赴いた。その日、街は祭で、犬塚家では大勢の客が押し寄せ宴会を開いていた。退職を決めてからの南雲は、送別会も慰労会もすべて断っており、犬塚はそんな南雲を招待するために嘘をついて呼び出したのだった。
犬塚は、野球部に戻ってこいと譲らない。金持ちのバカ息子と揶揄されて生きてきた犬塚が、「ひとつぐらい何か成し遂げたい。一緒にザン高勝たせよう!もう勝手に試合組んだりしないし、負けても文句言わない。ちゃんと野球部支える。私も変わるから、南雲先生も変わって!」と必死に訴える。しかし、南雲はただ、謝ることしかできない。
翌日。東京に旅立つ列車に乗り込む美香と青空、なぎさ。だが、発車寸前で、青空が飛び出し、一人家に帰ってしまう。南雲と一緒に暮らしたいと青空は家に戻るが、家はもぬけの殻。「なんでいないの…」と立ち尽くす。
その頃南雲は、丹羽の同伴で警察署に出頭していた。「不正を働きました。罪を償いたいと思い、伺いました」。
SNSでは、「熱い戦い、最後まで戦い抜いた選手たちに感動した」と越山高校野球部を称える声が集まり、中でも「日沖兄弟のバトンタッチはそりゃあ泣いちゃうよね」「『俺野球部入るわ』泣けたなぁ」「男兄弟ってうらやましい」と日沖兄弟に涙したというコメントが多数見られた。一方、「4話にして最終回の1話前みたいな状況」など、激動する物語に興奮と困惑が入り混じる感想が集まり、「もう先生に戻れないのでは?」「南雲家どうなっちゃうの?」と南雲の去就を心配する声も相次いだ。
日本一の下剋上まであと731日。出頭した南雲は、新たに加わった壮磨が引っ張る越山高校野球部の下剋上に、戻ってこられるのか?第5話もぜひご注目いただきたい!
第4話はこちらから
第5話予告編
公式サイトはこちら
プロデューサー・新井順子×脚本・奥寺佐渡子×演出・塚原あゆ子の『最愛』チームが送る、感動のヒューマンドラマ『下剋上球児』の魅力を完全収録
U-NEXTは、2023年12月17日(日)より『下剋上セレクション 完全版』を全話独占配信しております。
プロデューサー・新井順子×脚本・奥寺佐渡子×演出・塚原あゆ子の『最愛』チームが送る、感動のヒューマンドラマ『下剋上球児』の魅力を完全収録
ドラマ『下剋上球児』のオーディションを追った『下剋上セレクション~ドラマ出演を懸けた熱き予選大会~』から、各選手のエピソードを深堀りして紹介!
プロデューサー・新井順子×脚本・奥寺佐渡子×演出・塚原あゆ子の『最愛』チームが送る、感動のヒューマンドラマの魅力を完全収録
ほこ美の決死の告白を「付き合う必要ある?」と曖昧にごまかしていた海里だったが、その心境にも変化が訪れて…。2人の恋がついに動き出す、ドキドキの第6話をレビュー!