【ネタバレあり】「次を目指してる限り、人は終わらない。」涙が、誇り高き笑顔に変わる──『下剋上球児』最終回・第10話レビュー
プロデューサー・新井順子×脚本・奥寺佐渡子×演出・塚原あゆ子の『最愛』チームが送る、感動のヒューマンドラマ『下剋上球児』の魅力を完全収録
高校野球を舞台に、球児たちの夢とさまざまな愛を描くヒューマンエンターテインメント『下剋上球児』第8話が12月3日(日)に放送された。
第7話では、“夏に一勝”を果たすも2回戦負けとなった越山高校。それからの1年間、南雲監督の下で鍛え抜かれたザン高野球部は、34年ぶりとなる三重県大会ベスト8進出を決めた──。
新たに“甲子園”を目標に定め、ついに夏の予選大会でベスト8まで駒を進めたザン高野球部の、どこよりも詳しい第8話レビューを紹介。甲子園まであと3勝、強豪校しか残っていないここからの闘いに、ザン高らしく全員で挑む第8話を、ぜひご覧いただきたい。
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
全日本高等学校野球選手権、三重大会準々決勝当日。
準々決勝の相手が、春の大会で勝利した香良洲高校であることも手伝って、越山高校野球部の選手たちは「勝てる気しかしやん」と調子に乗っていた。
南雲(鈴木亮平)が、「舐めてかかって足元すくわれんなよ!」と激をとばし引き締めるも、試合が始まっても「香良洲敵やない」「楽勝や」と選手たちは高を括った様子で、好調に見える打線も続かない。6回には満塁の絶好のチャンスに楡(生田俊平)が予告ホームランのパフォーマンスをしながら打ち損じ、0点に抑えられるなど、試合は0対0のまま8回を迎えた。
8回表、越山高校の攻撃。南雲が、「あと2回しかないぞ!サインよく見とけ、手堅くいくぞ!」と選手たちに指示を出すと、ようやく地に足をつけ始めた選手たち。根室(兵頭功海)がヒットで出塁するや盗塁で2塁に進み、翔(中沢元紀)の送りバント、久我原(橘優輝)のスクイズと、南雲のサインで正に手堅く1点を奪うことに成功する。
越山高校は、危うい試合展開ながらも2対0で香良洲高校に勝利し、ベスト4進出を決めた。
越山高校の後の試合では、賀門(松平健)率いる星葉高校が準々決勝に臨んでいた。勝った方が次の相手となるため、スタンドで観戦する越山高校の選手たち。2年前は、星葉高校の2軍チームにも大敗していたが、今は手が届く距離にあると自信をのぞかせる。
翔は、因縁ある星葉高校を前に、「このチームで勝ちたいわ」とつぶやき、その言葉にザン高の選手たちは大いに盛り上がった。
一方、星葉高校は、なんと準々決勝にして11対1の5回コールド勝ちで準決勝行きを決めた。準決勝の相手に決まった星葉の圧倒的な強さに、ザン高の面々も不安な表情を浮かべる。
試合後。球場の外で星葉高校とすれ違うと、翔が中学時代のチームメイトで星葉高校の主力メンバーでもある児玉(羽谷勝太)と江戸川(清谷春瑠)に声をかける。
児玉は、「何夢見てんの?入部したら即レギュラーのチームに、負ける気ないわ」と、翔に引導を渡す。翔もひるまず、「俺らやって負ける気ない」と返し、ザン高の選手たちはあらためて闘志を燃やすのだった。
その夜。南雲は、香良洲高校との試合に星葉高校の視察が入っていたことに触れ、越山高校が分析され尽くしていることを危惧して「根室を先発にしようかと思っています」と、山住に告げる。根室は今大会まだ一度も投げておらず、対策を練られていないと考えたのだ。
山住は、1年からすべての公式戦に先発登板してきた翔を、「準決勝で不動のエースを下げて控えにするなんて、リスクが大きすぎませんか?」と反論する。星葉に負けるなら、チーム全体が納得する負け方で、と考えていたのだ。
しかし南雲は、「星葉に負けて、所詮まぐれで勝ち上がったなんて思われたくありません。まぐれなんかじゃないでしょ?あいつらやれるだけの努力はやってきたんです。1日でも多くあいつらに野球やらせてやりたい。勝たせたいんですよ」と、勝つことだけを考えていた。だからこそ、今まで通りでは勝てない相手に勝つため、鬼の采配を振るうことを覚悟したのだ。
そして星葉高校との準決勝前日。南雲が先発メンバーを発表する。先発はやはり、翔ではなく根室だった。さらに、ずっと4番打者を務めてきた楡が3番打者に。加えて、キャプテンの椿谷(伊藤あさひ)が控えスタートとなったのだ。選手たちが「なんで?」と口々に問うが、南雲は「なんでじゃない。そう決めた」と多くを語らない。
「強豪が勝って当然だと誰もが思ってる。そこをひっくり返す戦いだ。今までと同じじゃ勝てない。ベンチ20人全員で戦い抜く。いつでも出れるように準備しといてくれ」。南雲はそう選手たちに伝えるとグラウンドを去っていった。
悔しさをにじませる楡、想いを噛み締める椿谷。放心する翔。決定を聞いた選手たちも動揺を隠せない。
帰り道。南雲の采配について言い合う楡、久我原、壮磨(小林虎之介)に、椿谷は「監督信じよう。俺ら、他に信じるもん何もないやんか。勝つで」と意志を告げ、仲間たちをまとめ上げる。
思いつめた様子の翔の元を、山住が訪れる。翔は、いつか根室が先発するとは思っていたものの、因縁深い星葉戦がその時となったことを悔しがっていた。そんな翔に山住は、「翔君がおったからザン高に来たし、ザン高やったからこんだけ野球と関われた。感謝しとる。そこだけは言うときたい」と伝える。翔は、「明日はどうしても勝ちたい。だから、俺にやれること考えます。そこだけは言うときたいです」と、気迫に満ちた表情で返す。
南雲から選手たちのケアを頼まれ、山住は翔を心配して来ていたが、心配は無用だった。翔は南雲の采配を自ら飲み込み、家に帰るといつもの投球練習ではなく、打撃練習に励むのだった。
根室は、初めての先発の相手が星葉高校で、緊張に食事も進まない。しかし、不安ばかりしか口にしない根室に、姉・柚希(山下美月)が「その大事なとこ任せれんのが、あんたを信じてるいうことやで。今まで南雲先生にしてもろうたこと、試合で倍にして返したらええわ」と不安を吹き飛ばす。
根室は覚悟を決めた表情でストレッチをし、明日に備える。
お参りに出かけ勝利を誓う者、素振りに励む者、グラウンドで居残り練習をする者。
それぞれが試合に向けた準備をしながら、準決勝前日を過ごすのだった。
準決勝当日。
球場に向かうザン高マイクロバスの中では、選手たちが神妙な面持ちでヘッドホンの音に集中している。強豪校の応援に圧倒されないためにと、南雲が星葉高校の応援団の音声を聞かせていたのだ。前日の動揺は誰にも残っておらず、選手たちの顔には闘志が満ち、試合に臨む準備は整った。
しかし、試合直前。選手たちに手作りのお守りを手渡した山住が倒れ、救急車で運ばれてしまう。
SNSでは、「椿谷がスタメン外された後の切り替えと声掛けが最高すぎて椿谷が大好きすぎた」「椿谷くんがキャプテンであることの意義はとてつもなくデカいことを実感する」と、スタメンを外れても南雲を信じチームをまとめる椿谷キャプテンへの感動の言葉が数多く寄せられた。一方で、「監督の決断がどれだけ辛いことか。生徒を信じた采配を生徒自身が信じてくれていることに感動」と、南雲が選手に託した采配で一層絆を強くしたザン高野球部への感動の声が届いている。
日本一の下剋上は目前。甲子園まであと2勝ながら、これまでとはレベルが違う強豪・星葉高校と対峙する越山高校野球部。南雲と賀門。翔と星葉。因縁深い対戦を迎えたザン高の下剋上の行方は?第9話もぜひご注目いただきたい!
第8話はこちらから
第9話予告編はこちらから
公式サイトはこちらから
※アイキャッチのコピーライトは「©TBS 撮影:ENO」です。
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