「最高に幸せです」。この夏、マンチェスター・Cからエヴァートンへと活躍の場を移したジャック・グリーリッシュは、笑みとともにそう語った。
「自分のリズムを取り戻したい」と本人が口にするように、ここ2シーズンは満足のいくパフォーマンスとはいかなかった。だからこそ、新天地での再起にかける想いはひとしおだ。
新スタジアムでの歴史的なシーズンを迎える“トフィーズ”の一員となり、どんな青写真を描いているのか。移籍を決めた背景と、直前に迫った開幕への意気込みを語った
「監督と初めて話した時、ここに来たいと思った」
──ジャック、エヴァートンへようこそ。すべての手続きが完了した今のお気持ちはいかがですか?
グリーリッシュ:最高に幸せです。最近、多くの人にエヴァートンがいかにビッグクラブであるかを話してきました。それは誰もが知っていることだと思いますし、本当に歴史あるクラブです。監督やここにいる何人かの選手、さらにはOB選手と話をした後では、僕が来たい場所はここしかないと確信しました。
──心機一転、新たなキャリアのチャプターが始まることについてはどう感じていますか?
グリーリッシュ:ええ、それが一番大切なことだと思っています。新たなスタートを切ること、前進して新しい挑戦をするのに、まさに適切なタイミングだと感じました。このクラブが進んでいる方向性も素晴らしいです。昨シーズン後半は監督のもとで本当に良い結果を残していましたし、新しいスタジアムも完成しました。すべてが完璧なタイミングだったと思います。
──これまでのキャリアで多くのことを成し遂げてきましたが、この移籍が何か新しいこと、違うことを成し遂げたいという新たな渇望を与えてくれると思いますか?
グリーリッシュ:もちろんです。アストン・ヴィラやマンチェスター・Cにいた頃の僕は、他の選手たちと比べて経験が浅かったように感じます。でも今は29歳になり、シティで多くのタイトルも獲得しました。イングランド代表としても39キャップを記録しています。
だからこそ、今の自分はより経験豊富な選手になったと感じています。このクラブの力になりたいし、チームを助けたい。このチームには才能ある選手がたくさんいるので、共に良いことを成し遂げられると期待しています。
──ここは新しいホームスタジアム、ヒル・ディッキンソン・スタジアムです。世界中の素晴らしいスタジアムでプレーしてきましたが、このスタジアムの印象はいかがですか?
グリーリッシュ:お世辞ではなく、本当に信じられないほど素晴らしいです。車で入ってきただけでも、象徴的なスタジアムの一つだと感じました。初めて中に入ってこの光景を見た今も、その想いは変わりません。
ここ2日間、契約をまとめるためにクラブの周りをいろいろ見て回ったのですが、誰もが「週末のASローマ戦を見るべきだった」と言っていました。もちろんチケットは完売だったと聞いていますし、自分自身がここでプレーするのが本当に待ちきれないです。
──あの南スタンドの前でゴールを決めるのを楽しみにしていますか?
グリーリッシュ:そうなれば嬉しいですね、それが目標です。でも、何よりもこのクラブの成功を助けたい。それが僕の最大の目標です。ゴールやアシストといった形で貢献できることは何でもしたいと思っています。個人的な想いとしては、ただクラブが成功し、試合に勝つ手助けをしたい。その先に何が待っているのか、楽しみです。
──あなたの強みやプレースタイルは誰もが知るところですが、このチームに何をもたらせると思いますか?
グリーリッシュ:経験については、先ほどお話しした通りです。監督からも、ファイナルサードで創造性を発揮してほしいと言われています。
以前のように、恐れることなくプレーしていた自分を取り戻したい。時にはボールを失ったり、チャンスを逃したりすることもあるでしょう。でも、決定的なパスを出したり、結果を残したりするプレーヤーでありたいのです。それが最大の目標ですし、それができれば、このクラブの大きな助けになれると信じています。
──何度か名前が挙がっているデイヴィッド・モイーズ監督についてですが、プレミアリーグで豊富な経験を持つ彼の元でプレーすることに、どれほど興奮していますか?
グリーリッシュ:今朝、シェイマス(コールマン)とターキー(ターコウスキー)に言ったんです。「監督と初めて話した時、それがここに来たいと思った一番の理由になった」と。彼と話した後、僕は代理人にも「もう他のどこにも行きたくない。この話をまとめられるなら、エヴァートンでプレーしたい」と伝えました。
もちろん、以前からこのクラブがどれほど大きいかは知っていました。特に長年(アウェイチームの選手として)プレーしてきたグディソン・パークは、本当にタフな場所でしたから。ここのファンは信じられないほど素晴らしく、だからこそ、ようやくホームチームの選手として同じサイドに立てることが嬉しいです。
──そのファンについてですが、近年の彼らのサポートをどう見ていましたか?クラブは厳しい時期を経験しましたが、ファンは大きな役割を果たしてきました。その点は移籍の大きな理由になりましたか?
グリーリッシュ:多くのクラブがそうであるように、このクラブもここ数年、困難な時期がありました。でも選手、スタッフ、そしてファンが一体となっている姿を見ると、このフットボールクラブの一員になりたいと思わされるんです。
ここ数週間、SNSを通じて彼らからたくさんの愛情を感じてきました。それも、僕がここに来てこのクラブ、監督、そしてファンのためにプレーしたいと思ったもう一つの理由です。特別なものになるでしょう。
“18番”を選んだ理由
──契約前にはウェイン・ルーニーとも話をしたそうですね。どのような会話だったのでしょうか?
グリーリッシュ:ええ、つい先日のことでした。日曜日に食事へ行ったら彼がいたんです。そこで移籍の可能性があることを話したら、このクラブについて良いことしか言いませんでした。
その時に、彼が背番号18番について少し話してくれて。信じられないかもしれませんが、僕もその番号をすでに頭に描いていたので、その場で彼にそう伝えたんです。ガスコインも着けていましたし、もちろんウェイン・ルーニーも。僕が最も好きなイングランド人選手2人です。8番か18番かで迷いましたが、その2人の存在が決め手で18番を選びました。
──そのルーニーとガスコイン、2人の選手のどこにそれほど惹かれるのでしょうか?彼らはあなたにとってどのような存在ですか?
グリーリッシュ:彼らが非常に大胆不敵だったところです。ガスコインはよりダイレクトなプレーヤーで、腕を使いながらドリブルする姿は昔ながらのスタイルでした。ウェイン・ルーニーもそういった側面がありましたね。2人とも信じられないほどテクニックに優れていました。
そして何より、彼らはまったく恐怖心を持っていなかった。ただひたすら前を向いて、何かを起こそうとしていたんです。彼らが成し遂げたことを少しでも再現できたら、僕は幸せです。
──現在のチームでは、イングランド代表で旧知の仲であるジョーダン・ピックフォードがいます。彼とは話をしましたか?
グリーリッシュ:ええ、たくさん話をしました。ここ1ヶ月ほど、ここに来るようにずっと誘われていましたよ。先日の朝もゴルフコースからFaceTimeで電話してきて、「どうだ、もう決まったか?」なんて言っていました(笑)。
ジョーダンとはイングランド代表で一緒にプレーしてきましたが、信じられないほど素晴らしいゴールキーパーです。間違いなく、僕が一緒にプレーした中で最高の1人ですよ。彼のようなキーパーが後ろにいてくれるのは、常に心強いです。
そして彼もまた、このクラブについて良い言葉しか口にしませんでした。彼と同じチームでプレーできることを嬉しく思います。
──プレミアリーグの開幕までもう間もなくです。楽しみにしていますか?
グリーリッシュ:もちろんです。プレミアリーグで再びプレーするのが待ちきれません。ここ2シーズンは、自分が望んでいたほどプレーできませんでしたから。だからここでプレー時間を得て、自分のリズムを取り戻し、僕がどんな選手であるかを示したいです。
ファンの方々は、僕が何をもたらせるかを以前から知ってくれていると思います。ピッチに出て、それを証明したいです。
──最後に、エヴァトニアンへメッセージをお願いします。
グリーリッシュ:とにかく感謝を伝えたいです。契約する前から、ここ数週間にわたって示してくれたすべての愛情とサポートに感謝しています。その気持ちに応えられるよう、全力を尽くします。きっと応えてみせます。皆さんの前でプレーするのが待ちきれません。