バイエルンからスパーズへ完全移籍 20歳のFWテルが新シーズンの飛躍を誓う「すべて勝ち取りたい」
昨季のレンタル移籍を経て、今夏バイエルンからトッテナム・ホットスパーへ完全移籍したマティス・テル。2022年に17歳でブンデスリーガ初先発&初ゴールを記録したU-21フランス代表は、この6月にスロバキアで開催された『UEFA U-21欧州選手権2025』でも印象に残る活躍を収めている。充実の夏を過ごす若きFWが、プレミアリーグでの飛躍に向けた意欲を語った。
7シーズンにわたり率いたブレントフォードを離れ、ビッグクラブの指揮官へ。トーマス・フランクがこの夏、スパーズの新たな監督に就任した。
次なる挑戦に踏み出した背景には、どのような哲学があるのだろうか。データとディテール、そして人間性を重んじるフランク監督が、新天地で描く未来を語った。
──トッテナム・ホットスパーの監督就任、おめでとうございます。小規模なクラブから世界中にファンを持つクラブへの移籍は、安定から未知への大きな飛躍でもあります。就任初日、ブレントフォードとトッテナムの規模の違いを最も象徴的に感じたのは、どんな点でしたか?
トーマス・フランク: やはり、このトレーニンググラウンドに足を踏み入れた時のインパクトでしょうか。これは些細なことではないかもしれませんが、ここは世界でも最高峰の練習施設です。 あらゆる面で素晴らしく、私が以前いたブレントフォードの環境とは、非常に大きな変化でした。
この環境には感銘を受けましたし、とても満足しています。 ただ、施設は非常に重要ですが、違いを生み出すのは結局“人”です。 その点においては、スパーズにも多くの素晴らしい人々がいることがわかり、それほど大きな違いは感じませんでした。私にとって、それはとても大切なことです。
──真面目な質問ですが、新しく出会う大勢のスタッフの名前を覚える秘訣は何ですか?
トーマス・フランク: もしご存知でしたら、ぜひ教えてください(笑)。不可能ですよ。 今でもたくさん間違えます。「ジョン」だったか「ジョシュ」だったか、というように。
ですから、間違えたら素直に、もう一度名前を尋ねるようにしています。 あるいは、他のスタッフに「名前は何だっけ?」とこっそり聞いて、確認してから「やあ、ダニー」などと声をかけにいくこともあります。そうやって自分に名前を覚えさせていくんです。
──あなたは自他共に認める“ディテールの男”です。以前、ブレントフォードのカフェテリアでスプーンの配置が気に入らず、場所を移動させたと話していましたね。昨季のトッテナムの試合映像を分析した際、プレイスタイルに関して「ここを変えなければならない」と感じた点は何でしたか?
トーマス・フランク: まず何よりも先に言っておきたいのは、アンジェ(・ポステコグルー前監督)と彼のスタッフがヨーロッパリーグのタイトルを獲得したという、とてつもない功績です。 41年ぶりのヨーロッパタイトルというのは、本当に素晴らしい。 ですから、私が活用できる良い部分はたくさんありましたし、その土台の上に築いていけると確信しています。
その上で私が加えたいのは、おそらく“バランス”です。攻撃と守備、その両面でより良いバランスを、と私は考えています。 そしてもちろん、何か大きなことを成し遂げたいのであれば、試合のあらゆる局面で優れていなければなりません。
──スパーズファンは、あなたがロングスローを練習に取り入れたことに興味津々です。ブレントフォードでも活用していました。あなた自身の言葉で、ロングスローの美学を説明していただけますか?
トーマス・フランク: わかりました(笑)。私はチームを向上させ、勝利の可能性を少しでも高めるためなら、どんな些細なことでも探求しようと試みています。 セットプレーもその一つで、改善できるプレーはたくさんあります。
ロングスローもその一つです。これは良い武器になります。 毎試合使うような武器とは思いませんが、様々な形のハイプレスやロープレス、あるいはチームの微調整と同じように、道具箱に入れておきたい選択肢の一つなのです。
──なぜ、あなたがこの状況のトッテナムで成功できる人物だと思いますか?戦術的な洞察力、コミュニケーション能力、それとも人心掌握術でしょうか?あなたの中で、トーマス・フランクがトッテナム・ホットスパーで成功する理由は何ですか?
トーマス・フランク: もちろん、その3つすべてです(笑)。 いや、これは私一人の力でどうにかなるものではありません。 多くの人々が同じ方向を向く必要があります。 私、コーチ、スタッフ、選手、そして役員。全員の足並みが揃っていなければなりません。
私は、明確で率直なコミュニケーションを信念としています。 日々、一貫したメッセージを伝え続けること。なぜなら、道筋から逸れるのはとても簡単だからです。 正しい道を進み続け、そしてもちろん、懸命に努力すること。それが必要です。
──昨季のスパーズは、最高と最悪が同居していました。念願のタイトルを獲得し、チャンピオンズリーグ出場権も得た一方で、リーグ戦は17位に終わりました。チームに必要なものは何だと思いますか?
トーマス・フランク: ブレントフォードであろうとトッテナムであろうと、レアル・マドリードやPSGであろうと、どんなチームにも基本的な土台というものがあります。 その土台とは、“カルチャー”です。クラブに、そしてチームに、選手たちの間に存在するカルチャーが強固であればあるほど、勝利のチャンスは大きくなると信じています。
そして、“ハードワーク”という土台も欠かせません。何かを成し遂げたいのであれば、懸命に働かなければならない。 特に、少し暗くて寒くて辛い11月から3月にかけての時期こそ、ハードワークが絶対に必要です。 それを選手たちに植え付ける必要があります。 それが、私たちが築かなければならない最大の基盤だと考えています。もちろん、その上にプレイスタイルや戦術などが乗ってくるわけですが、まずはこの部分を確固たるものにしなければなりません。
──2018年にブレントフォードの監督に就任した際、最初の10試合で8敗を喫しました。当時は「オーナーや役員が本当に私を信頼しているか試すために、わざと負けたんだ」と冗談を言っていましたね。トッテナムであなたのアイデアが浸透するまで、どれくらいの時間が必要だとお考えですか?
トーマス・フランク: もう少し早いといいですね(笑)。前回と同じような形で周囲を試すような事態は避けたいものです。とはいえ、ご存知の通り、サッカーは世界で最も偶発性の高いゲームです。 非常に多くの要因が試合に影響を与えます。大切なのは、私が持つアイデアを信じて全力で取り組み、それを常に発展させ、修正し、選手たちに伝え続け、正しい道から外れないことです。
そうすれば、時間が経つにつれて成功がもたらされるはずです。幸いなことに、これまでのキャリアでは、どこにいても高いレベルで成功の一部を担うことができました。 あとは、ほんの少しの運があれば、魔法が生まれるかもしれません。正しいことをすべてやっても、ポストの内側に当たって入らないような不運が5試合続けば、解任される可能性だってあるわけですから。
──昨季、ソン・フンミンは在籍10年目にしてスパーズで初のトロフィーを手にしました。彼は間もなく33歳になり、契約は残り1年です。来シーズン、彼の役割をどう見ていますか?
トーマス・フランク: まず第一に、おっしゃる通り、ここでのソンの功績は驚くべきものです。 彼はトッテナムにとってこれまでも、そして今も、素晴らしい選手です。 私は、彼が来シーズンも非常に重要な役割を果たせる選手だと見ています。 彼は素晴らしい心構えでチームに合流し、非常にハードに、そして質の高いトレーニングをこなし、他の選手たちを鼓舞しています。彼の活躍が楽しみです。
──この新しい仕事における、最初のシーズンでの「成功」とは何でしょうか?プレミアリーグですか?チャンピオンズリーグですか?あるいはトッテナムを常勝軍団に変えることでしょうか?
トーマス・フランク: 良い質問ですね。私にとっては、4つの主要大会すべてにおいて、長年にわたって安定して戦えるチームを作り上げ、同時に何かタイトルを勝ち取ることです。
あなたがおっしゃったように、ヨーロッパリーグで優勝したのは素晴らしい功績ですが、リーグ戦は17位でした。 この両方の大会、さらには国内カップ戦でも同時に上位争いができるレベルまで、チームを引き上げられるか。 それが目標であり、トッテナムほどの規模のクラブが目指すべき場所です。
──あなたがスパーズに植え付けるであろうスタイルについて、ヒントをいただけますか?ご自身で表現するとしたら、どのようなサッカーになるでしょう?
トーマス・フランク: 私は試合のあらゆる局面において、明確な原則を持っています。 それが極めて重要だと考えています。その上で、チームが勇敢であること、アグレッシブであること、そして攻撃的であることが重要です。 それが私のゲームに対する見方であり、トッテナムというクラブの在り方とも一致していると思います。
──今シーズンの開幕にあたり、これまでのシーズンとは違う種類のプレッシャーを感じますか?また、そういった疑念や恐怖にどう対処するのでしょうか?
トーマス・フランク: 今のところ、プレッシャーは感じていません。まだプレシーズンで、トレーニングをしている段階ですから、感覚が違います。いざ試合モードに入れば、おそらく感じるかもしれない、どうでしょうね。次にお話しする機会があれば、PSG戦やバーンリー戦の前にどうだったか、お伝えしますよ。
もちろんその2試合は、少し特別な緊張感があるでしょう。PSG戦はUEFAスーパーカップの決勝ですから、特別で、良い意味での緊張感があります。 そしてバーンリー戦はホーム開幕戦であり、プレミアリーグのシーズン初戦です。
ですが、それ以降は通常通りとまでは言いませんが、ご想像の通りです。 私はこの仕事を長年やっていますから。何事も最初は少し特別ですが、それ以降は日常になるのです。
──あなたは「この仕事を引き受けた理由の一つは、人生にもう少しリスクを加えるためだ」ともおっしゃっていました。データ重視のあなたに伺いますが、あなたのフットボールIQとスパーズの組み合わせが成功する確率を、パーセンテージで表すとしたら?
トーマス・フランク: 100%に近い、ですね。ポジティブでなければ、最初から前向きでなければ、物事は難しくなりますから。
──最後の質問です。サッカーは非常にストレスの多いビジネスですが、その見事な髪を維持する秘訣は何ですか?
トーマス・フランク: それは家族、というより父譲りだと思います。遺伝子が良かったのでしょう。秘訣はそれだけですよ(笑)。
昨季のレンタル移籍を経て、今夏バイエルンからトッテナム・ホットスパーへ完全移籍したマティス・テル。2022年に17歳でブンデスリーガ初先発&初ゴールを記録したU-21フランス代表は、この6月にスロバキアで開催された『UEFA U-21欧州選手権2025』でも印象に残る活躍を収めている。充実の夏を過ごす若きFWが、プレミアリーグでの飛躍に向けた意欲を語った。
ドイツでの成功を手に、昨季からプレミアリーグへと足を踏み入れたブライトンの若き指揮官、ファビアン・ヒュルツェラー。1年目となった2024-25シーズンのリーグ戦を16勝13分9敗の勝ち点61、8位の成績で終えた。 あと一歩で欧州カップ戦への切符を逃す結果となった昨季を、ヒュルツェラーはどのように振り返っているのか。そして昨季に得た学びを、新たなシーズンでどう活かそうと考えているのか。リーグ戦開幕が迫る2025年7月末のインタビューで、青年監督がその胸中を丁寧に言葉にしてくれた。
プレミアリーグという変化の激しい世界で、フラムで5季目となる指揮を執るマルコ・シルヴァ監督。昨季はクラブのプレミアリーグ年間最多勝ち点記録を更新するなど、指揮官として確かな成果を収めてきた。 既存の選手たちとさらに絆を深め、チームを磨き上げていくプレシーズン、シルヴァ監督の頭の中にはすでに、青写真が描かれている。2025-26シーズン開幕が迫る中でのインタビューで、手応えと課題を訊いた。
昨シーズン、1972年以来となるヨーロッパリーグのタイトル獲得に大きく貢献した、トッテナム・ホットスパーの守護神グリエルモ・ヴィカーリオ。2023年の加入以来、スパースのゴールマウスを守り続ける同選手は、新監督を迎えたこの夏をどう過ごしているのか。新たなシーズンの幕開けが近づく2025年7月、カメラの前でリラックスした表情で、心境を語ってくれた。
「プレミアリーグでプレーすることは、子どもの頃からの夢だった」。そう語るシモン・アディングラは、2022年6月にブライトンへと加入し、プレミアリーグのピッチに立つ切符を手に入れた。 そして今夏、9シーズンぶりにプレミアリーグに昇格し、積極補強を続けるサンダーランドへと活躍の舞台を移す。スタジアム・オブ・ライトのピッチに立つ日を心待ちに、ファンへの想いを言葉にした。
オランダの名門・アヤックスで頭角を現し、2023年夏に22歳の若さでアーセナルの一員となったユリエン・ティンバー。オランダ代表にも名を連ねる実力者はしかし、憧れのガナーズ移籍を果たした直後に前十字靭帯断裂という大怪我を負った。 その絶望を乗り越え、2024-25シーズンはプレミアリーグで30試合に出場。リーグ最少失点を誇った守備陣の一人として活躍した。逆境を乗り越え、復活を果たした背景には何があったのか。ティンバー自身の言葉から、原点やこれまでの経験、選手としての哲学を紐解いていく。
昨季のレンタル移籍を経て、今夏バイエルンからトッテナム・ホットスパーへ完全移籍したマティス・テル。2022年に17歳でブンデスリーガ初先発&初ゴールを記録したU-21フランス代表は、この6月にスロバキアで開催された『UEFA U-21欧州選手権2025』でも印象に残る活躍を収めている。充実の夏を過ごす若きFWが、プレミアリーグでの飛躍に向けた意欲を語った。
自身5季目を迎えるプレミアリーグの舞台で、デンマーク代表クリスティアン・ノアゴールはこの夏、アーセナルのユニフォームに袖を通した。移籍金は総額約30億円と報じられている。ブレントフォードの主将も務めた、リーグ屈指のミッドフィールダー。ビッグクラブへの移籍という大きな一歩を踏み出した興奮と決意に迫る。
今夏、推定移籍金2,500万ポンド(約50億円)ボーンマスへ完全移籍したセルビア代表GKジョルジェ・ペトロヴィッチ。“チェリーズ”の新守護神はこれまで、チェルシーでプレミアリーグに23試合出場、公式戦約200試合と代表7キャップを経験してきた。 そのペトロヴィッチが、移籍決定後のインタビューでチームを最後尾から支える覚悟を言葉にした。