4団体で世界ランク入りの最軽量級のホープ、小林豪己選手インタビュー。 世界を見据えた現在のキャリアは「うまく行っているんじゃないかな、とは思えています。ここからが本番」
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4団体で世界ランク入りの最軽量級のホープ、小林豪己選手インタビュー。 世界を見据えた現在のキャリアは「うまく行っているんじゃないかな、とは思えています。ここからが本番」

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プロデビュー以来6戦無敗!うち4KO/TKOという強打が魅力の24歳・小林豪己選手(真正ジム)。きたる8月5日開催の「WHO'S NEXT DYNAMIC GLOVE BOXING on U-NEXT vol.5」のメインで2度目のWBOアジアパシフィック ミニマム級王座防衛戦に臨む意気込みと、近い将来に世界王座獲得を目指すご自身の現在地について語ってくれました。

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KOにそこまでこだわってはいないけど、当たれば勝手に倒れる

━━ファイトウィークに入り、いよいよ今週末は2度目の防衛戦です。追い込みなどを終えてこれから試合に向けての最終調整ですか?

小林:はい。先週で上がって、今週は体重調整をしていきます。

━━現在のコンディションはいかがですか。

小林:あとはもう体重落とすだけなので、いい感じです。

━━減量を苦にはしていないというお話を以前目にしましたが、変わらずですか。

小林:そうですね、ミニマム級は適正階級というか、むしろちょっと軽いくらいなので。

━━今回の防衛戦で想定している展開と、それを踏まえて取り組んできたことなどはありますか?

小林:展開としては、1、2ラウンドと距離をはかってみて、そこから『なるようになる』っていう感じですね。多分僕が追っかける展開になると思うので、前に行く練習をしてきました、頭を振ったりという。

━━対戦相手のジェイク・アンパロ選手の印象を教えてください。

小林:軽量級にフィリピン人の選手が多いというのもありますが、自分はプロになってから直近のWBOアジアパシフィック王座防衛戦やその前の王座決定戦も含めて、4戦連続でフィリピンの選手と戦っていて……いや本当に勘弁してほしいですよね、フィリピンの選手、強いから(笑)。それで、今回の相手については実はあまりフィリピンのボクサーっぽくないなという印象を持っています。違いとしては、これまで対戦したフィリピンの選手はパンチが強くて、振ってくる感じの選手ばかりだったのですが、今回はそうじゃなくて、どちらかというと “うまい系” かなと思っています。動画を見た感じでは、僕に似たタイプなのではないでしょうか。それから13勝中3KOという数字からすると、倒す力はそんなにないのかな?と思っています。

━━冷静で器用にこなせるという点では似たタイプかもしれませんが、おっしゃる通り相手のKO率に比べて小林選手は現在6戦6勝4KO、試合を終わらせるだけの強打があります。

小林:ただ、自分としても顔を一撃で、相手が失神するような倒し方はまだしたことがないですからね。基本、みんなボディが効いちゃうんで。だから今回はその辺を意識して、パンチ力の強化をしてきました。

━━では、KO勝利にもこだわりたいですか?

小林:うーん。そこまでKOにはこだわってはいないですけど、当たれば勝手に倒れるんじゃないかと思います(笑)。

どんな相手でも、自分のボクシングをすれば勝てる

━━ボディを効かせての勝利はもちろんですが、右ストレートに磨きがかかっていて、竹田宙戦などは1Rに3回ダウンを奪って 2分38秒でTKOという圧倒的な勝利でしたが、武器として自信をつけていますか?

小林:右ストレートは、井上トレーナーに代わってから強化するようになりました。竹田戦で言うと、あれは多分ボディを効かせて倒してきた僕の過去の試合を見て相手がボディに警戒しすぎていたのはありますね。それから相手の癖を1R目で掴むことができました。効きはしないけれども、当てられる、そういうストレートだったと思っています。だから相手も2回立ち上がったので。そういうこともあって自信を持っているかと聞かれると、まだ感触としてはないですね。実際それで倒し切って試合を決めているということはないので。スパーでは前より感触をつかめてきてはいます。

━━地元での大会で、今大会では所属する真正ジムの選手の3大タイトル戦というなかでご自身初のメインですが、意識する部分はありますか?

小林:たくさんの人が見にきてくれるので、モチベーションが上がったりはしますが、それ以外は、自分のやることはいつもと変わりませんから。メインというのも、まあ意識していないですね。試合順がどこでもチャンスはいつもと同じですし、やることも変わらないですし。

━━ベルトを防衛するということに対してのプレッシャーも?

小林:それも、特にはないですね。

━━いたってクールと言う感じですね!ボクシングの試合に限らず、気分にアップダウンが少ないタイプなのですか?

小林:そうですね、試合当日にアガッたりすることもありませんし、こんな感じです。もともとの性格だと思います。小さい頃から競技をやってきているけどずっとそうで、周りから「格闘技に向いていない」とずっと言われてきました。

━━それは、ガッとアツくなるものが時として勝負には必要だということなのでしょうか。逆に言えば、アツくなって急にラッシュかけてしまうというようなこともなく試合運びも冷静でいられるということですよね。

小林:そうです、逆に今はそこが自分の良いところだと思っています。(相手がガンガンくるタイプだったとして)アツくなって打ち合ったら、もしかしたら倒されるかもしれないリスクがあるということもだし、だから焦らずにいこうということも自分の頭の中で思いながら戦うことができています。どんな相手でも、自分のボクシングをすれば勝てると言うふうに思っているので。


ボクシングを始めた頃は、自分自身ここまで伸びると思っていなかった

━━先ほど少し子どもの頃のお話も出ましたが、もともとフルコンタクト空手を習っていたそうですね。

小林:そうです、幼稚園から小6まで週4回くらい通っていました。妹(キックボクサーの小林愛理奈選手)はやりたいといって始めたんですけど、僕自身は妹と喧嘩していたのが理由で放り込まれた感じだったからまったくやりたくなくて。長くやっている中では波があって、楽しい時期もあれば、そうでない時期もあるという感じでした。

━━それでも長く続けたことは、現在の自分にも活きていますか。

小林:やっぱり、父親から受けた教育がボクシングに活きていると思っていて。空手をやっていなかったら、絶対にボクシングでここまで来れなかったと思っているんです。

━━ちなみにお父様は空手をやられていた方なのですか?

小林:いえ、まったくやっていなくて、今やっています。

━━子供たちよりも後から始めたのですか!

小林:僕や妹が空手で負けた時めちゃくちゃ怒られていたんですよ。オカンは「それだけ怒るんだったら自分もやってみなさい」と言っていました。それで父親も始めたのだと思います(笑)。そういった部分でも、親として手本を見せてくれている感じですね。

━━習い事で空手をやる以外に、部活などで何かスポーツをやっていたのですか?

小林:学校のクラブなどで陸上を、中・長距離を主にやっていました。あとはソフトボールです。

━━長距離走っていたのであれば持久力にかなり自信があるのでは?

小林:それが、陸上やっていたころは持久力があったんですけど、ボクシングを始めて長い距離を走るのは遅くなりましたね。その代わり短距離がめちゃくちゃ速くなって。

━━もともと、ボクシングを始めようと思ったのはどのようなきっかけがあったのですか?

小林:中学2年の終わりに、将来の進路をどうするか考えるようになったときに、テレビに出るだとか、表舞台に出たいなと思ったんです。それだったらキックボクシングやボクシングをやったほうがいいんじゃないかと。それで、父の知り合いがボクシングをやっていたので、1回そのジム(高砂ジム)に行ってみようかと体験してみました。ただ、行ってみた時には、これでやって行ける!というふうには思わなくて、ここまで自分が伸びるとも思わなかったんです。高校の時も試合に勝っていたわけでもないですし。それが、高校3年生の最後、運良くインターハイに出場することができて、1回戦で、重岡兄弟の弟(で現在IBF世界暫定王者)の銀次朗選手に負けました。それで監督がたまたま「大学、行ってみるか?」と言ってくれたから推薦をもらって芦屋大学に進学することができたんです。だから、たとえば16歳でプロデビューとかしていたらもう負け続けて辞めていたかもしれないですよね。大学に行けたことで実際に伸びました。

━━大学の時には全日本選手権ライトフライ級8強入りしていますね。

小林:はい。それで重岡兄弟の兄の優大(現WBC暫定王者)選手に、負けました。大学に進学する時には「プロになる!」と心に決めて覚悟をしていましたし、実際、自分でもプロ向きだなとは思っていました。

小林豪己選手_02

小林兄妹の強さは、倒せること。

━━その結果として、プロデビュー以来6戦無敗、4KOという結果につながりました。

小林:うまいこといっているんじゃないかな、とは思えています。マッチメイクのおかげもありますけど、これからが本番だと思っています。

━━タイトルを持っているので負けることが許されない状況なのは当然かもしれませんが、やはり無敗記録を保持したいという気持ちも強いですか。

小林:はい。そこは、相当意識しています。(無敗のまま世界の頂点に立つために)色々と考えてやっていかなくてはいけないと思っています。

━━先ほど重岡兄弟の名前が挙がりました。現在世界のトップにいる2人はやはり意識していますか。

小林:ミニマム級だったら誰もが意識しているはずです。一番強い2人ですから。

━━2人と今対戦したら?という点で、ご自身の現在地をどれくらいで見ていますか。

小林:毎回聞かれるんですけど……、本当に、良く言って7:3(重岡:小林)。悪く言ったら8:2(重岡:小林)で、僕が不利だと思っています。

━━そこで冷静に8割近く相手が有利だと思える要因や、自分が足りていない部分をどういうところに感じていますか?

小林:体のデカさはありますね。だからこそ今の自分としては、体づくりというのは一番意識しているところでもあります。正直言うと、技術やパンチ力などは別にそこまで劣っているとは思えないですし、どちらでも倒せるとは思っているんです。でもここぞと言う時に、7、8ラウンドとかに入ってからの勝負どころで、体のデカさ(の違い)が出るかなと考えています。だからもし今勝つとしたら勝ち筋は倒して勝つことしかなくて、判定までいくような状況だと厳しいと思っています。どちらとも対戦しているからこそ、力の差は自分がわかっていますよ。あとはキャリアの差がありますね。

━━重岡兄弟のように、ご自身が対戦経験もある同世代の2人が活躍しているのはリアルな刺激になっていることと思いますが、小林選手がもともと好きな選手だったり、憧れてきたのはどんな選手ですか?

小林:昔から父からも意識的に見るように言われていたのは(同ジムの先輩の)長谷川穂積さんです。父から薦められていたのは、メンタル面でなんですけど。

━━長谷川さんの著書のタイトルにもある「意志道拓」の精神ということですね。

小林:あとは個人的に好きなのは、亀田和毅選手です。かっこいいんですよね。ボクシングスタイルがかっこいい、ただそれだけですね。めちゃくちゃ華があると思っています。

━━やはり「華がある」というのはご自身が目指すようなテレビに出たりするようなスター選手には欠かせないですか? ご自身もKO勝利を重ねていてもまだ足りないでしょうか。

小林:そうですね、必要ですし、自分は全然ダメですね、まだ。

━━ともに空手を習い、現在キックボクサーとして活躍する妹の愛理奈選手とは、練習も一緒にしたりするのですか? お互いのミットを持ったり。

小林:今は一緒に暮らしていなくて家も遠かったりして、そんなに時間も合わないので、ほぼほぼそういうことはありません。ただ妹がたまに真正ジムに来て、トレーニングついでに教えたりしています。技術面に関しては僕が教えるだけで、向こうから特にアドバイスなどはありませんが、試合の時に「そこはいるぞ!行け!」みたいな声はもらったりします。妹は自分の試合には来てくれているので。僕は妹の試合が東京のことも多いので行けない時もあるのですが。

━━ずばり、小林兄妹の強さとは?

小林:うーん、タイプも違うのでそういう共通したものはないとは思いますが、ふたりとも「倒せる」っていうところですかね。妹は本当にすごいですよ、女子で倒せますから。間違いなく世界チャンピオンになれます、正直に言って。兄妹で世界王者としてベルトを掲げるというのは、ひとつの目標です!

━━では、最後にU-NEXTで試合を視聴するみなさんにメッセージをお願いします。

小林:初のメインイベント、絶対勝って、次に試合が控えている穴口(一輝)につないでいきたいと思います、絶対勝ちます!応援よろしくお願いします。



WHO'S NEXT DYNAMIC GLOVE BOXING on U-NEXT vol.5

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