『ROAD TO UFC Season3 』、レスリングエリートの河名真寿斗「ハートの部分で、“コイツは人の心を動かせる”と思ってもらえたら」──5月18日(土)21時から開催のエピソード2に登場
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『ROAD TO UFC Season3 』、レスリングエリートの河名真寿斗「ハートの部分で、“コイツは人の心を動かせる”と思ってもらえたら」──5月18日(土)21時から開催のエピソード2に登場

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アジアの実力あるMMA選手がUFCの契約権をかけてトーナメントを争う「ROAD TO UFC」。3回目となる『ROAD TO UFC Season3』では、日本人8選手を含む総勢32名の総合格闘家が、男子フェザー級、男子バンタム級、男子フライ級、女子ストロー級の4つの階級で頂点を目指します。

今年2月に第6代GLADIATORフェザー級王座を手にした河名真寿斗選手がUFC契約をかけたた新たな挑戦に舵を切りました。レスリングで実績を残し、MMA転向後も数々の激闘を繰り広げてきた河名選手が、上海での1回戦へ出発する前に日本で意気込みを語ってくれました。

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ドロドロの展開になれば僕が勝つし、そうならなければ1Rでぶっ倒れている

──RTU参戦が決まった瞬間の感想を教えてください。

河名:「マジか!!」みたいな感じで(笑)、安心より驚きが大きかったです。というのは、参戦が決まってからビザを申請する時間のことも考慮すると、このタイミングで連絡が来なかったらもう厳しいのでは?と言われていた目安の時期を過ぎた頃にマネージャーから「もう少し待っていて」と言われて、その時にはもう期待はしていなかったので(笑)、拾われたというような感覚でしょうか。

──エントリーするにあたって、たとえば年齢やキャリアも含めて、どういう選手であれば通るという選考基準が細かく提示されているわけではありません。その点は出場したい選手としてはやはり気がかりですか。

河名:そうですね。そういう意味では、1年前のRTUの時には自分は入れなかったけれども実際に選ばれた選手たちはみんなベルトを持っていました。だから「まずはGLADIATORのベルトを目指そう」と考えて、そこはつまづきながらもなんとかクリアできたので、自分としては人事を尽くして天命を待つという気持ちでした。

──1回戦の対戦相手は韓国のソン・ヨンジェ選手となりました。相手の印象はいかがですか?

河名:きれいなボクシングができて、あとは「殺しを持っている」という感じです。

──戦績が6勝無敗1ドローで、プロの試合すべてフィニッシュ勝利を挙げています。速いラウンドでのKOが多いという点はいかがですか?

河名:僕のほうはどんどん、どんどん引きずりこんで、苦しい試合をできればなと思っていますから、逆に向こうがスカ勝ちできなくて苦しい試合になっていったときの準備をどこまでしているのかというところですよね。

──ドロドロの試合をしてやろうと決めているのですね。

河名:はい。そうなれば僕が勝つし、そうならなければ1Rで僕がぶっ倒れているっていう感じですよね(笑)。

──その点で言うと、ドロドロの試合になってからどういう選手なのかはかなり未知数だと思います。相手の組みに関してはどのような印象ですか?

河名:見ている感じだと、弾き飛ばすバネのような意味での体の力が強いと思うので、力づくで組み技をきってくるような想定はしています。自分は最終的にはやるべきことは変わらないのでそこに向かってとにかく走り続けます。

──先ほど相手選手の印象として殺しを持っているということでした。ワンツーのツーのタイミングが速く、右ストレートから左ボディの対角攻撃でのKOもあり、危険なパンチを持っていると思いますが、どこが鍵になると思っていますか?

河名:立ち合いでのプレッシャーの掛け合いの勝負だと思っていて、相手にとっても僕のテイクダウンは怖い部分だと思うので、もしかしたらあのワンツーは出せないかもしれないし、僕が立ち合いでビビって引いてしまったらもう相手の射程に入ってしまうので、1Rの1番最初の入りが大事だと思っています、最初の1分、2分が重要ですね。

1Rで自分がどう形を作れるのか。型にはめられれば最高ですが、うまくいかずに相手の体の力で切られて、立たれてもまた自分がプレッシャーをかけ続けられるか。そこはもう、ある意味自分との戦い的な部分があると思います。あとはもう僕が自分の形が作れそうな時に、たとえばスタンドでバックが取れそうなときに思い切りアームロック仕掛けてくるといったような、そういう飛び道具の一発を狙ってくる可能性があれば脅威ですが、そういう選手ではないように思います。

──相手選手役を誰かにやってもらうなど対策をしっかりするような練習だったのでしょうか?この試合に向けてどのような取り組みをしてきたかを教えていただくことはできますか?

河名:毎回そんなに相手はこうという意識はせずにやっています。テイクダウンして徹底的に押さえながらずっとコントロールし続けて、相手がバテるまで引きずりこむというベースが自分にはまずありますから、どちらかというとそういう自分のやるべきことを徹底していくための練習をしてきました。最初は押さえるだけになっていたというか、押さえることが目的になっていたのを、押さえながら相手が動いてきたら叩こうとか、萎えたら一本取ろうとか。パンチを振るにしても一本取りに行くにしても、力がいることですし、そこには勇気も必要になるので、そういう怖さと戦いながら、ベースを積み上げてきた感じです。

──理想のフィニッシュは?

河名:一番いいのはパウンドを効かせて、一本を取れるといいですが、そう甘くはないとは思っています。

RTU3_河名真寿斗選手_02

日本人対決になったらスタイルのぶつかりあいになる

──フェザー級トーナメント出場選手で、ほかに注目している選手や戦ってみたい選手はいますか?この階級は日本人選手が3名出場しますが、その点も含めて教えてください。

河名:やっぱり選ばれた3人が全員レスラーなので(笑)、ほかの2選手のことは気になりますよね。

──どういうブラケットになるのか分かりませんが皆が勝ち上がってきたらどこかしらで日本人対決を経験することになりますが……

河名:今のところ、あんまりそこに意識はないですね。結局、僕はUFCと契約がしたい。その契約をかけてここで戦わなくてはいけないので。

──どちらと当たっても専修大学vs.国士舘大学ですね(笑)

河名:そうなりますね(笑)。大学の教えにも特徴はありますけど、どちらかというと僕がグレコローマンで、ほかの2人ともフリースタイルなので、スタイルのぶつかり合いという話になってきますね。

──昨年、RTUも行われたシンガポールの会場で開催されたUFCファイトナイトでの中村倫也選手のセコンドに付かれていましたが、UFCの舞台を体感できたことはよかったですか?

河名:そうですね、やっぱり想像しているものと現地の空気感は違うと思うので、その空気を味わえたのはよかったです。

──オープニングラウンドの会場は上海PI。相手は中国人選手ではないのでアウェーと感じてはいないかもしれませんが、海外での試合について思うところは?

河名:アウェーというのを判定に関して考えれば、どこであろうと勝ち負けを判定に委ねた時点でわからないので、そうならないよう、フィニッシュを求めつつドロドロと引きずりこんでいければと思っています。

──そういう試合をしていれば、その末にもし判定となっても文句なく勝利できているということですね。

河名:はい。

組むためには立ち合いで殴らないといけない

──パン・ジェヒョクとの2戦を経て、打撃の進化が大きく見られました。どのような取り組みをしてきたか教えていただけますか?

河名:最初は組むために組むというか。スタートが組むところからだったから、初戦は結局テイクダウン切られてしまって何もできない状態だったので「組むためには立ち合いで殴らないといけないよね」というところになって、高谷さんのところ、EX FIGHTでミットを持ってもらったり、立ち合いを意識しながら、なおかつ試合で、相手の打撃の距離で向き合いながら、自分も組むために振るし、でもそれだけだと怖さはないので、差しに行く、思い切りブン殴るっていうところは常に意識しながら、試合ごとに積み重ねていったという意識です。

──打撃の練習で特に意識してきたことは?

河名:組みにつなげる意識を持ちながら、始めた頃からミットはめちゃくちゃ硬いと言われていたので、あたれば効く、と言われていた。でも当たらないからわからないじゃん、と(苦笑)。ずっと不安に思っていたのがいざ実践になったら、ジェヒョク戦の初戦の3R目とか、べつにそんなに思い切り振っていないのに、相手の口が切れていたりして「もしかして効いているのかも?」とうのが、だんだんそのあとの2戦を通して自信もついてきて、当たれば効くじゃないかという。自分で殺しに行かなくても当たれば相手が死に近づいているとわかったらより組みにいけるという意識に持っていけました。打撃が伸びたからこそ組みをきられてももう一回いけばいいという心の余裕が生まれました。

──狙われていた左前手をヒットさせました。カウンターを被弾することも厭わずというところですか?

河名:そのせいで脳の資源はだいぶ減り……(笑)、HP減りましたけど、得たものは大きいです。

──打撃が強化されたことで組みやすくなった実感がありますか。背中を着けきれなかった前回に比べていかがでしょうか。

河名:その点で言うと、背中を着けさせる前のところなのですよね、テイクダウンの入りを意識したというか。初戦はハイクラッチ、前に出ている足を掴めば倒せるだろうと思ったら、のこった!のこった!をされて、自分が逆に削られる状況だったのが、思い切ってダブル入ればいいじゃん、と意識転換ができたので、そのまま倒してフォールに持っていけたというのはあります。それを相手によって変えることをしています。上組みのほうが組みやすければ上組みするし、パン・ジェヒョクはハイクラッチに強いんだったらダブルで、ドライブして走って倒しに行くというところですね。

──LFAでの経験についても、UFC挑戦にあたって是非お聞かせください。

河名:あのときは打撃を振ることすら覚えていなかったので、レスリング一本槍でいってそれをはじきかえされたので今とは全然違います。ボコボコにされてこんなものかと思いましたが、逆にこのレベルに辿り着けなくはないと当時思ったことも覚えています。実際対戦相手はチャンピオンになりました。フィダーショーでLFA王者にUFCへのチャンスがあるとして、そのレベルまで持っていく必要があるという見方だと、行けるだろうという見積はあります。

──河名選手の小手の強さについても伺いたいのですが、あの立ち上がりの際で小手勝負で押さえ込む選手はあまり多くないのでは?相手が脇を差してくると小手が効きます。ここでのパウンドでダメージを取り返しました。

河名:僕にとってあのポジションが一番安心できるというか。ただ差されて、小手が弱かったらそのまま後ろ取られちゃうんですけど、僕の場合は逆に小手でこっちがとめていると言う状態になっています。とめて、相手も差しあげられないし動けないから反対の手でバランスをとるしかない。たとえば左でさしていたら右手をマットについてバランスとるしかないですね。そうしたら相手の両手が塞がっているので、僕は右手で巻いていたら左手でぶん殴れる、っていうイメージですね。

レスリングでずっとやってきたことなのでそこには自信があります。MMAというよりは組み技のなかで相手に下を選択されたときに上下入れ替わられないようにつねに上にいるにはどうしたらいいか考えていたら、小手だと。組み技から派生して。僕にとってあそこからがぶりにいったり後ろにまわったりいかに相手の上に乗った状態をキープできるのかの目的のために小手を選択しているという感じです。

RTU3_河名真寿斗選手_03

マスト=帆柱のように、みんなを支えられる人間になってほしいと、父に授けられた名前

──UFCにつながる舞台に出場するにあたって、どんな選手として、世界の人にあるいはUFCに対して、この試合に注目してもらいたいですか?

河名:アメリカで、それこそUFCで勝てるようなレスリング出身選手は、打撃ができて、ボクシングするのかと思ったらタックル入ってくるというようなミックスされた部分が発揮できています。自分も、まだまだ足りていないですが、打撃とレスリングの融合的な部分がちょっとずつ形になってきているので、その発展途上なものを見せられたらいいと思っています。それからテクニックだけじゃなくてハートの部分で「コイツは人の心を動かせる」と思ってもらえたらいいなと。

──ダイヤモンドの原石のような……

河名:僕の場合、自分が光るというよりどちらかというと相手の光を消すような選手になっていけたらとは思っています(笑)。

──UFCがどのような舞台だから、河名選手はそこを目指しているのでしょうか。

河名:そこはアマチュアマインド的な部分があると思いますが、僕はオリンピックをめざしてレスリングという競技で戦ってきて、レスリングはもうオリンピックや世界選手権でチャンピオンになることが「この人が世界で一番強い」とはっきりわかる。MMAという競技においては、現時点で世界中を見た時に、UFCは「UFCチャンピオンが世界で一番強いよね」と誰もが認識するような舞台になっているので、そこに向かって走っていきたという気持ちです。そこに高い山があるなら、じゃあ登ってみたいよねっていう。逆に言えば、世界の頂点を目指していなかったなら、たとえば自分が持つGLADIATORのベルトもそうですけれど、最初からGLADIATORのベルトまでを目指している選手では結局そこには届かないと思うのです。目標を高いところに持っているから、どんどんマイルストーンを置いて、乗り越えていけるという意識はあります。

──そういう考え方はレスリングを始めた頃からずっと持っているのですか?

河名:いえ、全然考えていなかったですよ(笑)。とりあえず練習して、別に自分が強いかもわからないけれど、試合に出たら勝っちゃったということももちろんあるので。

──そういうレスリングに対してどういう経緯で真剣に取り組むように?

河名:中学時代は陸上部で長距離走をやっていたのですが、高校入学にあたって陸上を続けるかレスリングを続けるか、というのが、一番最初に人生の選択をする機会でした。高校1年生の時の陸上のインターハイの会場が、47都道府県をまわりまわっての最後の開催地としての沖縄でした。一方レスリングは、石垣島だったんです。「陸上は3年間やっても多分無理だろうな」という意識もありました。一方でレスリングのほうは、県大会は結局人が集まっているチームが勝てるというか、レスリング人口が少ないから団体競技で7人が集まることだけでもそもそもすごいというのがあって「ここに自分が行けばもし試合に負けても石垣島に行けるぞ」と思って(笑)。アハハハ!だからレスリングが違う開催地だったら陸上を続けていたかもしれない(笑)。結局チーム自体は強くなかったので団体戦も初戦敗退して、顧問の先生が次の日に竹富島に連れて行ってくれたりして(笑)。

──海を渡った話になったところで、U-NEXTでは河名選手の試合をこのRTUで初めて見る方も多いかと思うので、お名前の「真寿斗(マスト)」の由来についても伺えますか?

河名:父親がヨットに乗っていまして、ヨットの「マスト」=「帆柱」のように、みんなを支えられる人間になってほしいという意味でつけられた名前です。

──その名にふさわしい人生を歩んでいると感じていますか?

河名:どちらかというと、僕が支えるというよりは、みんなに支えられて生きていますね。いっぱい周りにマストが立っているかのようです。

──しっかりとマストを立てて悠然と海を渡って行ける人、ということなのかもしれませんね。それでは最後に、U-NEXTのライブ配信を通して応援するみなさんに、メッセージをお願いします。

河名:今回、トーナメント3戦、必ず、とにかく苦しいしんどい試合をやり続けて、ドロドロになってUFC勝ち取ります!


『ROAD TO UFC SEASON3』

RTU3

エピソード1:5月18日(土)日本時間19時開始

  • 【男子フェザー級(65.8kg以下)1回戦】ズー・カンジエ(中国) vs. 安藤達也(日本)

  • 【男子フェザー級(65.8kg以下 )1回戦】原口伸(日本) vs. ホン・ジュニョン(韓国)

  • 【女子ストロー級(52.2kg以下)1回戦】フォン・シャオツァン(中国) vs. キラン・シン(インド)

  • 【女子ストロー級(52.2kg以下)1回戦】ホアン・フェイル(中国) vs. 本野美樹(日本)

  • 【ウェルター級(非トーナメント)1回戦】バテボラティ・バハテボラ(中国) vs. キム・ハンスル(韓国)

配信開始前、または配信終了しています。

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