『雨上がりの僕らについて』第10話 過去の記憶が池田匡志“奏”の心を蝕む
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『雨上がりの僕らについて』第10話 過去の記憶が池田匡志“奏”の心を蝕む

2025.08.28 12:35

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池田匡志&堀夏喜がW主演を務めるドラマNEXT『雨上がりの僕らについて』の第10話が、8月27日にU-NEXTにて独占先行配信された。

初めての同棲生活にウキウキしつつも、すれ違いが発生してしまった奏(池田匡志)と真城(堀夏喜)。ケンカに発展してしまったが、互いを想う気持ちは変わらない。話し合いと、おいしいもので無事に仲直りをする。

そんなふたりのもとに届いたのは、高校の同窓会の案内。当時の友人たちと疎遠になっていた奏は乗り気ではなかったが、真城に強めに誘われて久しぶりに地元に帰ることにする。

※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。

真城の強引さに押される形で帰省することになった奏。真城と一緒だということで笑顔は見えるものの、やはり元気はない。

その原因のひとつは父親。昔ながらの価値観で、奏に対してもすぐに「男のくせに」などと言う。奏が久しぶりに帰ってきても、喜びの色は見せない。「何か言うことがあるんじゃないのか」と詰問口調。確かに、この父親では帰省も気が重くなるのは分かる気がする。

たぶん、父親も素直ではないタイプな気がする。長男が帰ってこなかったことに寂しさもあるはずなのだろうけれど、そんな様子は決して見せようとはしない。「父親たるものそんなことで喜ぶのは恥ずかしい」とか言いそうだ。

奏も「父親のこういうところが嫌なんだよな」というのが態度に出てしまっている。

奏が帰ってきたくなかったことにはもうひとつ理由があるのだろう。

真城と待ち合わせまでの時間、生まれ育った町をのんびりと歩く奏。何年も暮らしていれば、思い出のある場所というのはいくらでもあるだろう。しかし、奏にとって良い思い出は少ないようだ。

小さいころ友だちにいじめられた場所、真城が彼女と仲良くしているのを目撃した場所、いっそ死んでしまおうかと思い詰めた場所……。

帰ってくると、思い出さなくて良いことまで思い出してしまう。これは想像でしかないけれど、きっと奏は思春期に自分のセクシュアリティについてたくさん悩んだのではないか。きっと辛い思いをしたことも多いだろう。日が経つと、薄らぐものだが、ふと当時の場所に行ったりすると、色濃く蘇ってしまうものだ。

そんな奏の鬱屈を吹き飛ばしたのは真城を含めた同窓会だった。高校のときに仲が良かった同級生たちとのやりとりに自然と笑顔になる奏。

「高校のとき、嫌なことばかりじゃなかったんだ」

ちょっとネガティブなところがある奏は、嫌な思い出のほうがつい大きくなってしまったのだろう。その気持ちがわかる、という人も多いのではないだろうか。100のうち99は楽しい思い出でも、1の嫌な思い出に全てが塗りつぶされてしまうことがある。ひとりでこのことに気がつくのは難しい。だからこそ、奏には真城のようなちょっと強引に引っ張ってくれる人が必要なのかもしれない。

良い気分で帰路につく真城と奏。しかし、イチャイチャしているところを運悪く奏の父親に見られてしまう。「すごく酔っ払っちゃって……」と言い訳をする真城だったが、「そんな雰囲気じゃなかった!」と一蹴されてしまう。そういう空気が分かるのなら、普段から息子の空気をもっと読んでほしいのですが!と思わずにはいられない。

そして、当然のことながら、ここでも父親から「男のくせに」と自分の価値観を押し付けられ、とうとう爆発してしまう奏。もう帰ってこない、縁を切る!と啖呵を切ってしまう。

勢いで言っていることなのは見ているだけでもわかる。だからと言ってすぐに引けるはずもない。たぶんこの父と息子は頑固なところは似ていそうだ。そのことにお互い気がつけたら状況は変わるのだろうけれど……。真城親子の関係も大変だったが、奏親子の関係回復もなかなかに難しそうだ。


第10話の視聴はこちらから

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