金曜ドラマ『イグナイト –法の無法者–』最終話。ついに最後の戦いの火蓋が切られた。宇崎凌（間宮祥太朗）と轟謙二郎（仲村トオル）は、このときのために、5年間、事件と向き合い、苦しみ、準備をしてきた。

改めて、になるが「イグナイト」とは「火をつける」、「燃え上がらせる」という意味である。原告になりそうな人の心に火をつけ、訴訟を起こさせ、あらゆる手段で勝つ。これまで、ピース法律事務所はそうやって戦ってきた。今回は、彼らの心が燃えたぎる「自分たちの戦い」である。暗闇のなか、光に向かって走り続けた宇崎たちがたどり着いたゴールとは──？

※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。

宇崎の父・裕生（宮川一朗太）が起こしたとされるバス事故は「自動運転システムによる暴走である」という記録を探すため、GIテクノロジーズの元社員に接触したピース法律事務所。

着々と準備を進めていた矢先、宇崎の母・純子（藤田朋子）が営む弁当屋に「いま、提起しているGIテクノロジーズへの訴えを取り下げてもらえませんか？」と、内閣官房長官の石倉庄司（杉本哲太）がやって来た。宇崎や純子がそれを拒否すると、脅しのように「本当にそれでいいんですね？」と念押しし、その場を後に。帰りの車中で石倉は何を思うのか。

純子が何者かに刺されたのは、それからすぐのことだった。一命をとりとめたものの、石倉たちの仕業という証拠は何もない。やりきれない思いを抱えた宇崎は「俺が悪いんです」、「大切なものを守るために弁護士になったのに、結局、母ちゃんをこんな目に遭わせてる」とふさぎこんでしまう。

再び、目の前の世界が灰色になった宇崎を救いあげたのは、彼が「弁護士になる」と決めたあのときと同じ、轟だった。ピース法律事務所を立ち上げて知ったこと、宇崎が事務所に入ったことで、メンバーたちが変わったことを述べつつ「お前が、俺たちを焚きつけたんだよ」、「最後はお前がやるんだ」と宇崎の背中を押す。そして、宇崎は再び立ち上がった──。

裁判では、伊野尾麻里（上白石萌歌）、高井戸斗真（三山凌輝）、弁護士の桐石拓磨（及川光博）、刑事の浅見涼子（りょう）たちの協力もあって、優位に進めることができた。宇崎と出会って“変わった”仲間が、彼のために奔走したのだ。

母に代わって原告になった宇崎は証言台に立つ。轟から「裕生さんが亡くなった当時の真実が、いま、こうして明らかになって、あなたはどんなことを思いますか？」と問われ、こう述べた。

「たった一人の親父を、母ちゃんのもとに返してあげてほしいです。でも、それがかなわないことは分かっています。だからせめて、親父が仕事に真っすぐで、立派な人間だったことを証明したいです」

宇崎の根底には、常にこの想いがあった。今回、宇崎の願いがようやく叶ったのだ。本当に良かった。

振り返れば『イグナイト』は、宇崎の感情に魅了されたドラマだった。事件と向き合う彼は、何事にも本気で取り組み、本気で悲しみ、本気で怒っていた。そして、今回の裁判で自分の願い、想いを述べて本気で泣いていた。人間の本気にはやっぱり心を動かされる。だから宇崎に見惚れていたのか……。

そんな弁護士・宇崎凌を演じられるのは、間宮祥太朗しかいない。宇崎の持つ“本気”を体現できる彼だからこそ、視聴者も最終話まで熱を持って駆け抜けられたのだと思う。

裁判後、石倉は辞任を表明。ピース法律事務所の連中は、相変わらず、ターゲットになりそうな人たちに近づき「争いは起こせばいいんです」と、消えかかった心に火をつける。

またいつか彼らに会えるだろうか。またいつか宇崎の本気に触れられる日が来るだろうか。大きな事件を終えたあと、新たな一歩を踏み始めたピース法律事務所がどうなっていくのか。続編を楽しみに待ちたい。

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イグナイト -法の無法者-

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2025年

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