若き人気政治家・清家一郎(櫻井翔)と有能な政務秘書官・鈴木俊哉(玉山鉄二)。清家の学生時代からの清家と鈴木の不可思議な関係に気付いた新聞記者・道上香苗(水川あさみ)は、クリーンなパブリックイメージを持つ清家の成功の裏で、いくつもの不審な死亡事故が起きていたことを知る…。清家を取り巻く、黒い闇の真相を道上は暴くことができるのか?注目の政治サスペンスは、第一話から謎が謎を呼ぶ展開に目が釘付け!
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
「実は今、調べていることがあって…」。
自家用車の中で電話をしている男性が、そう口にした途端、突っ込んでくる巨大なトラック!
いきなりのショッキングなシーンからスタートしたドラマ『笑うマトリョーシカ』。
観る者の頭は、初手から「どゆこと?」と衝撃を受けたはず。
この事故で亡くなった男性を演じるのは、ベテラン俳優・渡辺いっけい。
この男性はいったい誰?どうしてこんなことに!?
事故現場に散らばった写真に写る人物は…?
さまざまな謎に興味が引かれ、サスペンスの“つかみ”としては申し分なし!
そして場面は、愛媛へ。
水川あさみ演じる主人公の新聞記者・道上香苗の登場シーンだ。
ジェンダーレスのパンツスーツに、さっぱりしたボブカット。後輩男子の青山(曽田陵介)を従えて、なかなかつかまらないタクシーに体ごと突進していって乗り込んでいく。たくましいキャラクターは、水川にぴったり!
実は愛媛は、櫻井翔が演じる次期総理候補と目される人気政治家・清家一郎の故郷。彼女は、清家の自伝「悲願」の取材をするために、その母校を訪れていた。そこで道上は、学生時代からの清家の友達で、今は彼の秘書をしている鈴木俊哉の存在に興味を持つ。
玉山鉄二が扮するこの鈴木は、冒頭の事故現場にちらばっていた写真に写っていた人物。観る者は、さらに「どゆこと?」と謎を深めることに。
そんなタイミングで道上の携帯に着信音が…。それは道上の父・兼高からの電話だった。そこで父が発した言葉は「実は今、調べていることがあって…」。
……そう。ここで冒頭の事故につながるのだ。不審死したのは、道上と同じく記者を務める父だった。
道上は、亡き父が残した取材メモをたどる中で、過去のBG社の株を巡る贈収賄事件で逮捕された社長・宇野耕介が、鈴木の父親であること。そして、その事件を追う父が事故死した現場で、鈴木と待ち合わせしていたことを知る…。
道上の父は殺された?大物政治家が絡む過去の事件と清家、鈴木との関連性は?冒頭10分で早くもさまざまな謎が投げかけられ、「どゆこと?」だらけの展開にドキドキが止まらない。
道上は、鈴木に直撃取材するも知らぬ存ぜぬ。そこで彼女は、社会部記者の先輩・山中(丸山智己)の助けを借りてBG株事件の闇を追うとともに、後輩の青山を焚き付けて清家の著者インタビューを取ることに成功。
青山を「体調不良」ということにして押しのけて、彼女自身が山中をカメラマンに清家のもとに乗り込む!
ここで真打ち登場!とばかりにさっそうと登場した清家。さわやかな笑顔で道上と名刺交換する彼は、見るからに好青年だ。43歳で厚生労働大臣として初入閣したばかり。将来の総理候補で実力も知名度も抜群。昼の情報番組『ひるおび』でも特集されるほど、国民的な人気を誇る政治家だ。
国民的アイドル・嵐として圧倒的な人気を誇り、個人としても頭脳明晰で、どんな仕事もさらりとこなす、エリートのイメージに満ち溢れた櫻井翔。清家は、そんな彼のために用意されたキャラクターと言っても過言ではないような、まさにハマり役である。
しかし、ここで道上は部屋に飾られたマトリョーシカを見て、「笑った顔が先生にそっくり」とつぶやく。本作のタイトルにもかかっているこのセリフが、清家というキャラクターの奥深さを示唆しているかのよう。
さわやかでいながらも本音がまるで見えないその笑顔。そして、まるでAIのように完璧すぎるその言葉。道上は、政治家としてそつのないその姿に、彼自身の本音を見出すことができないでいるのだ。そして、彼のそばに付き従うように存在する、ポーカーフェイスの鈴木。
けれど、「鈴木が宇野耕介の息子だと知っていたか」という質問を突きつけた一瞬、清家は鈴木に助けを求めるように視線を投げる…。
「もしかして、鈴木が清家を裏でコントロールしているのでは?」
そう睨んだ道上は、父の取材メモを頼りに、清家と鈴木との関係をより深く調べようと動き出す。
とある和食店で清家に呼び出された道上は、一対一で清家と対面することに。「どうして記者になったんですか?」と逆インタビューする清家に、道上は「報道の力を信じたいんです」と話す。誠実そのものに見える清家に、自身の息子のことや親族里親の制度の必要性について語る道上。
そして、その帰り際、清家は「これからも僕を見ていてくださいね」と、道上をうるうるした目で見つめる…。
このシーンの櫻井の“わけありげ”な目の演技が秀逸で、またもや「どゆこと?」と、観る者の頭は疑問でいっぱいに。また、そんな2人をのれんの影からこっそり除く板前の正体も気になるばかり。
さらに、後半も怒涛の展開が続く。道上のもとに送り主不明の封書が届き、中には過去に清家の書いたヒトラーを称賛する内容の論文が入っていた!ヒトラーを一時操っていたとされるブレーン、ハヌッセンを肯定しているその論文の内容が、清家と鈴木との関係に似ていると睨む道上。
そんな中、定例会見を開いた清家は、道上が彼に訴えた親族里親の制度の強化について、まるっきり道上が語ったことと同じ言葉で語る。その姿を見て道上は唖然とする。
"強い意思を持たず、他人の意見を真綿のように吸収し、理想の人物を完璧に演じ切る”。そんな才能を持った清家は、まるでマトリョーシカのように開けても開けても彼自身の本音が見えないキャラクター。
その“鉄壁の笑顔”の最奥にある真実とは?
いい人に見えれば見えるほど、「本当にそうなの?」と疑いたくなる。そんな観る者の心理をついた清家のキャラクター像は、櫻井が自身のさわやか好青年イメージを逆手に取って演じるからこそリアルに映る。
そして最後の最後に、またもや驚きの展開が。「どゆこと?」だらけの物語のスタートに、第2話が待ち切れない!
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