若き人気政治家・清家一郎(櫻井翔)と有能な政務秘書官・鈴木俊哉(玉山鉄二)。清家の学生時代からの清家と鈴木の不可思議な関係に気付いた新聞記者・道上香苗(水川あさみ)は、清家の成功の裏で、いくつもの不審な死亡事故が起きていたことを知る…。清家を裏で操っているのが彼の母・浩子(高岡早紀)だという疑惑をどんどん深める道上。そんな中、鈴木が仕組んだスキャンダルで官房長官が辞任し、清家が次期官房長官の候補に。このままでは、ヒトラーに肩入れする危険思想の持ち主・浩子が背後にいる清家が、さらなる権力を手にしてしまう!焦った道上は、浩子の行方を探して奔走するが…。衝撃の展開が待ち受ける第6話をレビュー!
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
後半戦に入り、物語は佳境に。清家の背後の黒幕は浩子で間違いなさそう。だが、まだまだ謎は多い。清家の元カノ・亜里沙(田辺桃子)の行方は?また、前回に道上の父が事故死した件の加害者が死んだという事実がわかったが、その顛末は?そして、その時に道上の背後にあった影の正体は?
しかし、今回はそれらの種明かしはおあずけ。
清家が官房長官になることが決まったことから鈴木に去来する積年の思いと、清家に権力をもたせることを阻止しようと黒幕・浩子を追う道上の姿に焦点が当てられることに。
とにかく、鈴木と清家の過去が繰り返し回想シーンで描かれた今回。その1つが、BG株事件の首謀者として逮捕された鈴木の父・宇野耕介が保釈中に自殺し、その葬式に出席していた清家と佐々木の姿だ。
鈴木は、その葬式の場で清家に「生徒会に立候補しろ」と持ちかける。この生徒会長選挙が清家の政治家になる夢への第一歩だったのだ。それは、清家を手中にし、裏でコントロールしようとする鈴木の野望の始まりでもあった。
「俺がお前を政治家にしてやる」と手を差し伸べる鈴木に、ガバッと抱きついて「ありがとう、俊哉くん」と笑顔を浮かべる清家。
一方、取材続行中の道上は、国会議事堂近くの路上で日傘を差す女性の後ろ姿を見かける。それは清家浩子だった!白と黒の柄も大胆なドレスが、悪女感満点である。
浩子を追いかける道上だったが、すんでのところでタクシーで去られてしまう。
愛南町にいたはずの浩子が、なぜ東京に?
そして再び、場面は代わり、首相官邸。「決まったよ」と鈴木に報告する清家に、手を差し伸べる鈴木。清家はその手を取り、ガバッと抱きついて「ありがとう、俊哉くん」とお礼を告げる。これは、ついさっきの回想シーンと全く同じ構図である。
しかし、違うところが1つ。それは清家の表情だ。「やっと2人でここまで来たな」という言葉とは裏腹に、どこか悲しげにも、思い詰めた表情にも見える。長年の思いが叶った嬉しい瞬間のはずなのになぜ?
鈴木の回想シーンでもう1つわかったこと。
それは、清家の巧みなスピーチは実父・和田島を参考にしていたことだ。和田島もまた言葉巧みに人心掌握をするタイプの政治家だった。
生徒会長選挙で清家を手伝った鈴木は、テレビで清家に和田島の演説を見せて、それを学ばせていた。その時に、清家は父からもらった腕時計が宝物だと話し、しかし、和田島には一度も会ったことはなく、彼は自分が息子だとも知らないと寂しそうにつぶやく。
「知らなくたっていいじゃん。お前の体には和田島の血が流れてるんだ。自信持て」と清家を励ます鈴木。ここだけ切り取ると、青春の爽やかな感動シーンにしか見えないが…。
一方、道上チームの取材は続く。イケオジ・山中(丸山智己)と新聞記者でもある鈴木の妻・由紀(真飛 聖)は、鈴木の事故の加害者に接触。そして、道上はタクシーの運転手に接触して、浩子の行く先を辿る。
さらに、道上は帰宅した鈴木を自宅で待ち構え、浩子の連絡先を知らないか詰め寄る。由紀も同調して「本当のこと言って!」と鈴木に迫る。
しかし、鈴木にしてみれば、一番本当のことを話したくない人物が由紀であろう。なにせ過去に浩子と体の関係があったのだから。当然ながら「何も知らない」と突っぱねる鈴木。
浩子を見つけようと奔走する道上だったが、実家の小料理屋のバイトの凛々(咲耶)のなにげない発言から、浩子がタクシーを降りた近くに在留外国人支援機構があることを知る。
常にマイノリティに寄り添い、自国より他国を優先しようとする清家の秘密がそこに?
一方、清家の会見前、鈴木は清家に会見用の原稿を渡し、アドバイスを付け加える。それは、生徒会長選挙の演説の頃から、ずっと変わらない2人のスタイルだった。
生徒会選挙の時、「引く人もいるから泣くな」という鈴木のアドバイスも気にせず、涙を落としてスピーチを締めくくり、会場から万雷の拍手を浴びる高校時代の清家のことを思い出す鈴木。
さて、道上はというと、早速、在留外国人支援機構へ向かい取材を敢行。そこで清家が講演会をしていたこと、そして浩子がここに寄付をしていたことを知る。そこで浩子は「ヘイトスピーチへの対策を政府に本腰を入れてもらいたい」と訴えていたという。
その後、始まった会見。清家は、なんとヘイトスピーチへの厳罰化について言及する。それは浩子が訴えていたことそのもので、もちろん、鈴木の原稿にはないもの。その清家の姿を配信で見て、道上はおののく。
会見後、なぜそんなことを話すのかと詰め寄る鈴木に、清家は意にも介さない。鈴木に頼り切りだと思わせて、いざとなると全くそんなことはなさそうな清家。その真意が気になる!
その頃、浩子は和田島の墓の前にいた。息子が官房長官になったことを報告に来たのだ。手を合わせ、そして墓に向かって「あの子の純粋なところは、あなたにそっくりです」と笑顔を浮かべる浩子。彼女もまた一体何を考えているのか気になる!
いつも回想シーンが多いこのドラマだが、今回は特に時間が戻る、戻る。今度は、清家が政治家として初の選挙でスピーチに立つ姿を思い出す鈴木。
そこへ応援に来たのが和田島だった!
この親子の邂逅シーンは、見る方の感情もやたら忙しい。
実父を見つめる清家に切なくなりつつ、握手をして清家を抱きしめる和田島の仕草がまた、先の清家とまるで同じなことにドキドキ。そうかと思うと、実父に抱きしめられてニッコリと嬉しそうな清家にちょっと感動。しかし、そんな2人を日傘を差して満足気に見つめる浩子、さらにそれをじっと見つめる鈴木を見て不穏な気持ちに…。
と、ここで物語は急転直下!
なんと、鈴木がBG株事件の首謀者の息子であるという過去を暴くスキャンダル記事が週刊誌に掲載されたのだ。
鈴木は道上に「あんたか。売ったのは」と詰め寄るが、道上はそれを否定し、ヘイトスピーチの件を例に、浩子が今でも清家に強い影響を与えていることを突きつける。
「人の言葉を真綿のように吸収して、理想の人物を完璧に演じることができる清家が、あなたよりも先に浩子にコントロールされているとしたら?」と言う道上に、「清家が私を裏切るはずない!」と鈴木は激昂。
ここで場面は執務室へ。鈴木の記事を見て、悲しんでいるような、思い詰めているような、なんとも言えない表情を浮かべる清家。そして、そんな彼のそばに佇むマトリョーシカ。思えば、清家がこの表情になっている時、いつもマトリョーシカがそばにいるような…?
執務室を訪れた鈴木に、清家は人払いをして話を切り出す。
「俊哉くん、君が友だちになってくれたから今の僕があるんだ。それは嘘じゃない。僕には君が必要だ。それも嘘じゃない」「君の言葉に今まで、どれだけ励まされてきたことか」。
淀みなく話す清家に、「清家!」と呼びかける鈴木の声は聞こえていないかのようだ。
そして、ここで清家がある過去の種明かしをする。
生徒会長選で涙した時のことだ。
「あの時、本当は泣くつもりじゃなかった。感極まったら素直に泣いていいって言われたから」と告白する清家。
そして、鈴木との関係について「きっと、俊哉くんなら願いを叶えてくれる。だから仲良くしなさいって言われてきた」と…。その言葉を言ったのは、間違いなく浩子!
大ショックを受ける鈴木に「できれば、僕がこの国のトップに立つところを、君にそばで、見届けてほしかった」と強い目で言い放つ清家。
ここで例の「生者必滅、会者定離」の額を清家は手にする。「生きる者は必ず死に、出会った者は離れることが定め」という意味のこの書は、祖母が親しかった愛南町の書家が書き記したものだった。
「政治の世界も出会いと別れを繰り返すもの。時に心を鬼にして、古いものと決別しなければならない。そういう局面が必ず出てくる」。若き日、鈴木にそう語っていた清家。
まさにそれが今なのか…。
「これは、母にもらったものだよ」と打ち明ける清家に、鈴木はさらなる大ショック!
もちろん、見てるこちらも大ショック!
いらなくなったコマのようにあっさり清家から切られてしまった鈴木。2人で力を合わせてきた過去もすべて、浩子にコントロールされた清家の手のひらの上でのことだったのだ。
恐ろしい親子…!
清家に賭けた鈴木の人生はなんだったのか…。男泣きする鈴木に、見ているこっちももらい泣きである。さらに、道上が鈴木のスマホに連絡をいれるも、連絡がつかなくなる展開も気をもませる。
ラストシーンは、執務室に佇む清家とそれを見つめるマトリョーシカ。清家もまた振り返ってマトリョーシカを見つめる…。暗く空虚な、浮かない顔の清家。一体何を考えてるの?
次回からは、本格的に浩子VS道上の構図になるのか?
そして鈴木はどこに行っちゃったのか?続きが待たれる!
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