『じゃあ、あんたが作ってみろよ』第7話、竹内涼真“勝男”と夏帆“鮎美”が正式に破局…ここから復縁はある?ない?
物語も終盤に差しかかり、勝男と鮎美の復縁に関しては視聴者からもさまざまな意見が上がっている。

『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS系)第8話では、勝男(竹内涼真)の母・陽子(池津祥子)が大分から来襲。自分の世話を焼く陽子に、勝男がある思いを伝える。「男は外で稼ぎ、女は家庭を守る」という価値観の下で生きてきた親世代を否定せず、そのアップデートを描いたエピソードが視聴者から大きな反響を呼んだ。
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
陽子が勝男の家に上がり込んでから、早一週間が経とうとしていた。料理や掃除はもちろん、スーツをクリーニングに出したり、古くなった調理器具を新調したりと、陽子は甲斐甲斐しく勝男の世話を焼く。
そんな陽子にいちいちイラついてしまう勝男に大きな成長を感じた。おそらく以前の勝男なら何も疑問を持たず、ただ感謝していたはず。鮎美(夏帆)と付き合っていた頃だって、そういったことは「やってもらって当たり前」だと思っている節があった。
しかし、鮎美と別れてからは何でも自分一人でやらざるを得ない状況に。最初こそ大変だったものの、今までは全くしてこなかった料理にも少しずつ楽しさを見出せるようになったからこそ、何もできない子供のように世話を焼かれ、頼んでないことまで勝手にされるのが我慢ならないのではないだろうか。
そんな勝男の空気を感じ取り、家を出た陽子は偶然にも鮎美(夏帆)と再会を果たす。一緒に過ごす中で陽子の話に深く聞き入る鮎美の表情が印象的だった。夫・勝(菅原大吉)と付き合い始めた頃は「王子様にぴったりなお姫様になるために頑張った」という陽子。幸せな瞬間は確かにあって、勝と結婚したことも、勝男たちを産んだこともきっと後悔はしていない。
ただ想像以上に過酷な子育てや義母の介護、心ない勝の言葉にどんどん心を削られ、「私の人生は本当にこれで良かったのか」という虚しさがついに頂点に達して家を飛び出したのだろう。”熟年離婚”という言葉も一瞬頭を過ぎるような今の勝と陽子の関係は、勝男と鮎美のあったかもしれない未来なのではないか。
一人で外食しようにも勇気が出ず、「しないんやなくていつの間にかできなくなっちょったわ」と語った陽子が、テキーラさえも飲むのに躊躇っていた少し前の鮎美と重なった。
ただ、ここで重要なのは、鮎美も陽子も誰かから一方的にあるべき姿を押し付けられたわけではないということだ。陽子から「彼女ができたら出ていく」と言われ、椿(中条あやみ)に恋人のふりをしてもらった勝男。
そこで、陽子は椿に対して「家事は女がやって当たり前」「早いうちに結婚して出産した方がいい」といった旧来の価値観に基づくデリカシーのない発言を連発する。しかし、それは陽子自身が若い頃に姑から散々刷り込まれた価値観だった。人間は誰しも人に嫌なことをされた時、自分は絶対に同じことをしないと心に誓う。だが、嫌なことに服従していると次第に、それが“当たり前”になって、無意識のうちに自分も同じことをしてしまいがちだ。
加えて陽子が何でもやってあげていたせいで、勝は電話機の充電の仕方も分からず、わざわざ大分から勝男のもとを訪ねてくる。自分が嫌なこと、違和感を持ったこと、間違っていると思っていることに抵抗せず、受け入れることは自分を奴隷化して意志を奪うこと。かつ、相手から変わる機会、成長する機会を奪うことでもあり、結局は誰も得をしないのだ。
本作はいつも私たちに自分の価値観や意志を「伝えること」の大切さを教えてくれるが、その上で大切なのは相手の人格や生き方を否定しないことなのではないだろうか。
困っている椿に助け舟を出せず、「母さんが自分を犠牲にして俺たちのことを育ててくれたんだなって思うと、なんかね」と語る勝男に、「何も気にせんでいいんよ。好きで育てたんやけん」と返す陽子。彼女はどれだけ苦しくとも、心の中にある些細な逃げ道だけを頼りに勝男たちを一生懸命育ててきた。
一方、勝は勝で、父の会社を継いで毎日働き詰めだった頃のことをあっけらかんと「当たり前や。家族に何不自由なく生活させることが俺の責任なんやけん」と振り返る。2人とも「男は外で稼ぎ、女は家庭を守る」という価値観の中で必死にもがいてきたのだ。
それを否定する権利は誰にもない。ただ、その苦しみを次の世代が受け継ぐ必要もない。勝男たちは今、人々が男らしさ、女らしさの呪縛から少しずつ解き放たれつつある時代を生きている。
それでも上の世代から旧来の価値観を押し付けられた時、否定するでも受け入れるでもなく、誠実に自分の思いを伝えられたら、無用な対立は避けられるのではないか。もしかしたらそこで、陽子の春巻きをヒントに鮎美が作ったメキシカン風春巻きのように、温故知新なものが生まれるかもしれない。
「一人で大丈夫になりたい」という勝男の意志を、陽子は「私ももう勝男の世話を焼きすぎん。勝男も私に困ったらちゃんと言う」と受け止め、勝も小さいけれど大きな変化を見せる。自分の間違いに気づいた時、すぐに反省して変わろうと思える勝男の柔軟さは、きっと両親譲りだ。
いつの間にか時代遅れになっていた化石一家のアップデートに、視聴者からは「勝男を含めお父さんお母さん、お兄ちゃん達海老原家全員が変わっていこうと成長してるの本当に素晴らしい」「化石のままでないところがさすが勝男の両親」「母親を否定せず、変わりたい気持ちを言葉にする勝男がとても良い」という声が上がった。
第8話の視聴はこちらから
第9話の予告編はこちら
物語も終盤に差しかかり、勝男と鮎美の復縁に関しては視聴者からもさまざまな意見が上がっている。
勝男に鮎美と復縁するチャンス到来!?と思いきや、また新たな関係で出会い直した2人の心温まるやりとりが反響を呼んだ。
勝男のもとに兄・鷹広(塚本高史)が訪ねてくる。鷹広はかつての勝男とそっくりな“昭和脳”男だった。そんな鷹広の「とり天が食べたい」という言葉をきっかけに、勝男と鮎美が同じ台所に立つことに。
第4話では、鮎美の新しい恋人・ミナトの生態が明らかに。勝男の心配をよそに、鮎美は結婚を見据えてミナトと同棲を始める。幸せな生活が始まるかと思いきや、早くも鮎美とミナトの決定的な違いが浮き彫りになり、暗雲が立ち込めた。
勝男はマッチングアプリで、“肉食系女子”の椿(中条あやみ)と出会う。『君と世界が終わる日に』(通称、『きみせか』/日本テレビ系)シリーズで恋人役を演じた竹内と中条の抜群のコンビネーションが大きな反響を呼んだ。
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