『じゃあ、あんたが作ってみろよ』第8話、竹内涼真“勝男”が人を変える側に 化石両親のアップデートに反響
勝男の母・陽子が大分から来襲。自分の世話を焼く陽子に、勝男がある思いを伝える。「男は外で稼ぎ、女は家庭を守る」という価値観の下で生きてきた親世代を否定せず、そのアップデートを描いたエピソードが視聴者から大きな反響を呼んだ。

最終回目前の『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS系)第9話では、勝男(竹内涼真)と鮎美(夏帆)に最大の試練が訪れ、互いの存在に救われる。恋人同士だった頃よりも遥かに自然体で、楽しそうな2人の雰囲気に視聴者から感動の声が上がった。
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
太平(楽駆)のバーでメキシカンフェスが開催される。勝男の母・陽子(池津祥子)の料理をヒントに鮎美が作ったメキシカン風春巻きは来場者から大好評。なんと鮎美に有名フードプロデューサーから一緒に店を出さないかという声がかかる。
不安はあったが、自分の心に従ってオファーを受けることにした鮎美。長年働いた会社を辞め、出店に向けて準備を進めていく。良い物件も決まり、いざ入居!というその日、フードプロデューサーと連絡がつかなくなった。大方の予想通り、詐欺だったのである。
そりゃそうだ。飲食店での修行経験も資格もない人間がいきなり自分の店を持てるなんて甘い話はそうそうない。その時点で違和感を持つべきだが、せめて相手の経歴や契約書類は慎重に確認して…!
鮎美がすでに払った契約金は100万ほど。勉強代としては高すぎる金額だ。まさに笑えない状況にいた鮎美を思わず笑顔にしたのが、自動販売機に挟まった勝男だった。
自動販売機の隙間に入ってしまったスマホを取ろうとして腕が抜けなくなった勝男。このまま誰にも気付かれず、一生を終える未来が頭をよぎり、必死に腕を抜こうともがいていた勝男の姿を見て、鮎美の頭からすっかり詐欺の一件が吹き飛ぶ。
鮎美が「どういうこと?」と言いながら手を貸すが、勝男の腕は抜けず、間抜けな姿をスマホで撮られた上に警察に助け出される一連のシーンには思わず笑いがこみ上げた。
しかし、勝男もまた鮎美と同じく笑えない状況にあった。職場で新規案件のプロジェクトリーダーに任命され、事業戦略部の柳沢(濱尾ノリタカ)とタッグを組むことになった勝男。絶対にプロジェクトを成功させようと泥臭く仕事に向き合うが、プライベート重視の柳沢とスタンスの違いから衝突してしまう。
それでも勝男は一生懸命歩み寄ろうとするが、柳沢は投げられた球を一切取ろうとしない。「海老原さん(勝男)には分からないし、もう分かってもらおうとも思っていません」という台詞は、勝男が鮎美にプロポーズを断られた時に言われたことと同じ。明確な断絶宣言だ。
ただ、ここで重要なのは、柳沢は一度だって勝男に分かってもらおうとはしなかったということ。前回、勝男の変化を目の当たりにした鮎美が「ちゃんと話をしてたら、違う選択肢もあったのかな」と陽子に語ったように、お互いに自分がどうしたいかを言葉にして伝え合えていたら衝突は避けられていたかもしれない。勝男の方は話し合おうとしていたが、柳沢はそれを拒否した。
だが、この出来事によって勝男は過去の自分を省みる。かつての勝男はアンコンシャス・バイアスが強く、自分の中の当たり前を人に押し付けてばかりだった。にもかかわらず、これまで人間関係で大きな衝突がなかったのは、周りの人が勝男に歩み寄ってくれていた証拠だ。
それに甘えきっていた勝男は初めて自ら人に歩み寄ることの大変さを味わい、これまた初めて「心が折れそう」と鮎美に弱音を吐く。日本で男性の自殺者が多い背景には、一つに「男が泣くのはかっこ悪い」「男が人に弱みを見せるのはかっこ悪い」といった“男らしさ”の呪縛があるという。そこから解き放たれつつある勝男のように誰もが素直に辛いと言えたら、もう少しこの社会は生きやすいものになるのではないだろうか。
鮎美に励まされた勝男は柳沢に歩み寄る努力を続ける。同僚と親睦を深める方法として人がまず思いつくのは飲み会。かつては”飲みニケーション”としてごく一般的だったが、若者のアルコール離れに加えて、ワークライフバランスを重視する傾向が強まっている現代では廃れつつある文化だ。
ましてや本人が嫌がってるにもかかわらず、飲み会への参加を強要することはパワハラに該当する。勝男もそれは理解しているため、柳沢に飲みの誘いを断られた際にはさっと引いた。ならばと手作りのおにぎりを会社に持参し、柳沢に差し入れした勝男。
後日、勝男は柳沢へのパワハラ疑惑で上司の高田(平原テツ)に呼び出され、出勤停止を命じられる。手作りのおにぎりを無理やり食べさせる=“おにハラ”というワードには一瞬笑ってしまったが、バカにはできない。
他人が握ったおにぎりを食べられない人も世の中には大勢いる。もし柳沢がそうだったとしても勝男とは先輩と後輩というパワーバランスがあるために断りづらく、食べることを強制されたと思ったのだろうか。
だが、当の本人にその意図は全くなかった。もちろん、「そんなつもりじゃなかった」が言い訳になるとは思わない。でも強制もしておらず、相手からも嫌だと言われたこともないのに、一発アウトで出勤停止をくらうのはさすがに不憫な気がしてしまう。変わりゆく価値観についていけなくなった人間は簡単に切り捨てられる社会で本当に良いのだろうか。
そんな中で自動販売機に挟まり、弱り目に祟り目だった勝男だが、鮎美と楽しい時間を過ごして弱っていた心が少し回復する。恋人同士だった頃は一歩後ろに下がって勝男を立てていた鮎美。だが、今やちょっと雑に感じられるほど、自然体で勝男と向き合えていた。一方、勝男も今の鮎美の前なら、かっこ悪い自分も見せられる。
そんな勝男に、鮎美が「超ハイスペック彼氏」に代わって新たにつけたネーミングは「全力不器用男」。不名誉なネーミングにもかかわらず、「でも、今の方がいい」と鮎美に言われた勝男は心から嬉しそうだった。
2人の和やかな雰囲気に、視聴者からは「付き合う前の空気感やん!」「勝男と鮎メロお似合いだよ」「勝男と鮎メロのこのラフな感じが良い!!」「鮎メロちゃんどんどん強くなってって、勝男は人間らしくなってて、付き合っても合わなくてもいい関係性」「勝男と鮎メロ戻って欲しいけど今のこのかんじがいいのかな」という声が上がる。
そして、ついに「もっかい、やり直そう。俺たち」と切り出した勝男。全力不器用男の一世一代の恋は叶うのか。次週、『じゃあ、あんたが作ってみろよ』は最終回を迎える。
第9話の視聴はこちらから
最終回の予告編はこちら
勝男の母・陽子が大分から来襲。自分の世話を焼く陽子に、勝男がある思いを伝える。「男は外で稼ぎ、女は家庭を守る」という価値観の下で生きてきた親世代を否定せず、そのアップデートを描いたエピソードが視聴者から大きな反響を呼んだ。
物語も終盤に差しかかり、勝男と鮎美の復縁に関しては視聴者からもさまざまな意見が上がっている。
勝男に鮎美と復縁するチャンス到来!?と思いきや、また新たな関係で出会い直した2人の心温まるやりとりが反響を呼んだ。
勝男のもとに兄・鷹広(塚本高史)が訪ねてくる。鷹広はかつての勝男とそっくりな“昭和脳”男だった。そんな鷹広の「とり天が食べたい」という言葉をきっかけに、勝男と鮎美が同じ台所に立つことに。
第4話では、鮎美の新しい恋人・ミナトの生態が明らかに。勝男の心配をよそに、鮎美は結婚を見据えてミナトと同棲を始める。幸せな生活が始まるかと思いきや、早くも鮎美とミナトの決定的な違いが浮き彫りになり、暗雲が立ち込めた。
妻夫木聡主演、夢を追い続けた熱き人間と競走馬の20年にわたる壮大なストーリー『ザ・ロイヤルファミリー』第8話をレビュー
波瑠×川栄李奈、正反対の人生を歩んできた2人が「母親なりすまし」で受験に挑む『フェイクマミー』第8話をレビュー
主演映画がクランクインした羽山麻水。しかし、自分自身の感情を役としてぶつける、というところで壁にぶつかっていた。
勝男の母・陽子が大分から来襲。自分の世話を焼く陽子に、勝男がある思いを伝える。「男は外で稼ぎ、女は家庭を守る」という価値観の下で生きてきた親世代を否定せず、そのアップデートを描いたエピソードが視聴者から大きな反響を呼んだ。
妻夫木聡主演、夢を追い続けた熱き人間と競走馬の20年にわたる壮大なストーリー『ザ・ロイヤルファミリー』第7話をレビュー