『アンチヒーロー』第3話。殺人犯をも無実にする弁護士が、ついに依頼人の罪を暴く?!

2024.04.29 17:00

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長谷川博己が「殺人犯をも無罪にする“アンチ”な弁護士」を演じるTBS日曜劇場『アンチヒーロー』第3話は、明墨が手がける新たな事件が、赤峰の過去の因縁をあぶり出してゆく。果たして明墨は、自らの正義感でひた走っていく赤峰にどう対峙するのだろうか。

※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。

明墨（長谷川博己）が新たに弁護する依頼人は、富田正一郎（田島亮）。クラブで居合わせた常連客・工藤（宮尾俊太郎）と揉め、暴行した罪で傷害事件の被告人となっていた。

担当検事の緑川（木村佳乃）は、暴行された際に工藤自身が正一郎の顔を目視したこと、ふたりが店内で口論をしていたこと、そして第一発見者となった人物の証言から起訴に至ったと冒頭陳述を展開する。

対する明墨は、正一郎の無罪を主張。正一郎は犯行時刻に友人・木田（水野勝）から電話を受け、店外で待つ木田の車に乗って帰ったと陳述した。

明墨は、事件現場となったクラブの店長・三上（小栗基裕）や常連客から、工藤が日頃からトラブルメーカーだったとの証言を得ると、公判でそのトラブルの多さを強調して動機や証言の信憑性を崩していく。その上で、事件当日の様子を再現したVTRを提出。現場の明るさが工藤の証言と異なっていることや、暗闇の中では情報を正しく捉えられないことを明らかにし、「目の錯覚」と「偏見と思い込みによってつくられる記憶」を強調、検察が提示した被害者・工藤の目撃証言を簡単に覆した。

今回も明墨は、検察が提示する証拠をひとつずつ軽やかに潰していく。しかしこれに赤峰は「先生は、また犯罪者を無罪にするんですか？」と噛みつき、明墨が有利な証言を買収しているのではないかと疑う。

実は赤峰は、以前にいた弁護士事務所で正一郎が起こした別の暴行事件の弁護を担当していた。正一郎は国会議員・富田誠司（山崎銀之丞）の息子で、富田誠司は金をばらまいて息子の罪を無実の人物・松永（細田善彦）になすりつけていたのだ。

松永の無実を晴らすことができないばかりか、富田誠司の圧力により担当を外された赤峰は、今回の事件もまた、富田が金を使ってもみ消そうとしていると明墨に訴えたのだ。

しかし明墨は、赤峰の主張をただの妄想と言い捨てると、松永が有罪になったのは、弁護人だった赤峰の責任だと断言した。そして声を張り上げて「裁判の結果こそが依頼人の人生を左右する。だからこそ、我々弁護士は己の人生をかけて裁判に勝たなければならないんだ。君には、その覚悟と力がなかっただけだ」と正論で赤峰を打ちのめす。

やはり明墨は、罪人さえも無実にしてしまうアンチなヒーローなのか──視聴者も困惑する中、赤峰はあきらめず、正一郎の罪の証拠を探そうと奔走し、事件現場に駐車していたトラックにたどり着く。だが、トラックの持ち主であるパイプ製造会社に行くと、なんとドライブレコーダーの映像は既に明墨が回収していた。

赤峰が証拠隠蔽を疑って再び明墨に詰め寄ると、明墨は躊躇なく赤峰に映像を見せる。そしてそこには、犯行時刻に木田の車に乗り込む正一郎の姿が映っていた──。

明墨は、第一発見者の山野辺が正一郎に罪をなすりつけているという仮説を語る。

そして「その可能性を君は一瞬でも考えたか？富田正一郎という特定の人間に執着し、その個人への恨みから、その人間を有罪に持っていこうとする。君がやっていることは犯罪者と何も変わらないんだよ。冤罪を生むのはそういう人間だぞ」。赤峰の胸に手をかざし突き刺すように言い放った。

第三回公判、赤峰は弁護人席ではなく、傍聴席から事態を見守った。すると思わぬ方向に急展開を見せる。なんと緑川検事が、明墨が入手したのと同じトラックのドライブレコーダー映像を証拠として提示。しかも赤峰が見たものと違い、犯行時刻に正一郎が現れない。

さらに緑川検事は新たな映像証拠を提出する。そこには、富田誠司の秘書・小杉（渡辺邦人）がパイプ製造会社に映像を提出しないよう買収を持ちかける姿が映っていた。

2つの映像が、正一郎の罪の隠蔽を明らかにしたのだ。

すると明墨は狼狽し、「まさか被告人が、父親と示し合わせて罪を隠蔽しようとしていたなんて」と、反論もせずに富田誠司の不正を受け入れた。正一郎は有罪が確定し、国会議員・富田誠司の証拠隠蔽も世間が知るところとなった。

裁判が終わると、いつもの落ち着き払った様子に戻っている明墨に、富田誠司が電話越しに「お前が言ったんだろう！」と恫喝する。実は、明墨はパイプ製造会社の映像が正一郎の有罪の証拠になり得ることを富田誠司に仄めかし、証拠隠蔽のための買収に動くように暗に仕掛けていたのだ。

殺人犯でさえ無実にした明墨が、なぜ依頼人の利益に反し、富田親子の罪を暴き出したのか。なぜ赤峰に、あえて編集した嘘のドライブレコーダーの映像を見せたのか。また緑川検事はなぜ、ドライブレコーダーや買収現場の映像を持っていたのか──？

正義を追い求める赤峰に、「個人的な思いだけで、真実を見誤るな」と弁護士の在り方を説きつつも、己の道の突き進み方を教えたようにも見えた明墨の行動。依頼人の利益追求が第一と言いつつ、赤峰の成長を促しているような明墨の言動に、今回もその真意はなんなのだろうと翻弄されてしまう。

1話進むたびに、また、1つの裁判が結審を見るたびに、増え続ける謎。5年前に検事から弁護士になった明墨の過去とは。刑務所で接見する謎の男・清水（緒形直人）との関係は。そして、明墨の私生活を監視する紫ノ宮の目的は──？多くの謎がちりばめられた第3話を経て、第4話ではついに真実が動き出すという。果たして、その“真実”とは真の真実なんなのだろうか。

第3話はこちらから