【ネタバレあり】「次を目指してる限り、人は終わらない。」涙が、誇り高き笑顔に変わる──『下剋上球児』最終回・第10話レビュー
プロデューサー・新井順子×脚本・奥寺佐渡子×演出・塚原あゆ子の『最愛』チームが送る、感動のヒューマンドラマ『下剋上球児』の魅力を完全収録
高校野球を舞台に、球児たちの夢とさまざまな愛を描くヒューマンエンターテインメント『下剋上球児』の第2話が10月22日(日)に放送された。
第1話では、社会科教師・南雲が、野球の楽しさを見出しはじめた生徒たちに感化され、3ヶ月限定で野球部監督を務めることを決意。しかし同時に、今年度で教師を辞める意志を固め──。
予想外の展開に注目が集まった第1話を経て、ここでは、どこよりも詳しい第2話レビューをご紹介。球児たちと南雲とのやりとりに涙していた途端、衝撃の告白が待っている第2話を、是非ご覧いただきたい。
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
3年生が引退するまでの3ヶ月間、期間限定で監督に就任した南雲脩司(鈴木亮平)。山住香南子(黒木華)は「全国約4000校が目指す甲子園優勝を目標に掲げましょう」とはりきるが、南雲は「夏に一勝。10年続く1回戦負けの歴史を塗り替えましょう」と、チーム育成の方針で対立していた。
そこで、生徒たちの実力を把握するためにフィジカルテストを実施。すると、時速136kmの速球を投げる翔(中沢元紀)をのぞいては、身体能力が全国高校球児の平均に満たない選手が多いことが判明した。元幽霊部員の2年生・野原(奥野壮)は、遠方に帰宅するため練習を早退する根室(兵頭功海)に「なめとんのか1年」と突っかかるなど、チームワークも前途多難だ。しかし南雲は「ピッチャーがもう1人欲しい」と、今いる戦力でチームを作りあげることを考えていた。
その頃美香(井川遥)は、会社員時代の友人のウエディング・パーティで、元夫・小柳(大倉孝二)と会っていた。小学4年生の息子・青空(番家天嵩)の父親でもある小柳は、青空への誕生日プレゼントを美香に手渡す。簡単な会話を交わしただけだったが、「大事なんだね家族が。でもそれで自分自身の仕事を犠牲にするんだ」──美香は小柳が電話で話した言葉を思い出し、ため息をつくのだった。
数日後。連絡もなく学校を休んでいる根室を心配した南雲は、離島に住む根室の家を訪れていた。
根室は、祖母と姉との3人暮らしで、祖母が入院しているため学校を休んでいたのだ。年金と姉の仕事で賄う家計を助けるために、根室は漁港のアルバイトへ。南雲も人手不足の漁の仕事を手伝い、根室と共に汗をかいた。
アルバイトの後、南雲は「ピッチャーやってくれないか」と根室にたずねる。軟式野球で投手経験もある根室を第二投手にと考えていたのだ。根室は自信なさげだったものの、「犬塚を助けるんやったら」と、野手兼投手となることを決意した。
「なんか困ったことあったら言ってくれよ。どんなことにだって解決策はあるんだよ。一緒に考えてやっていこう」。南雲が向ける言葉と眼差しに、いつも自信がなさそうな根室が顔をほころばせて見つめ返した。
山住は賀門と話し、星葉高校の1年生チームとの練習試合を決めていた。「1年生だけのチームなんてなめてる。断って」と怒る犬塚樹生(小日向文世)だったが、夏の大会まで60日、実戦経験をつむ必要もあり、南雲は試合を受けることにする。
山住が、練習試合の先発選手を発表する。越山高校の野球部員は現在10名。試合に出られない1人は、初心者の椿谷(伊藤あさひ)ではなく、なんと野原だった。
「なんで俺が控えなんすか?椿谷は打てんし捕れんやん」と抗議するが、決定は揺るがない。試合の展開次第でどんどん代えるという南雲の言葉に、「善人ぽいことばかり言いやがって」と言い捨てると、野原は出て行ってしまった。
試合当日。球場に野原の姿はなく、越山高校は9名で試合に挑むことに。
「守りは当てにならん。バットに当てさせなきゃいいんや」翔は、因縁のある星葉高校を相手に気負い、硬い表情でマウンドに上がっていたが、得意の変化球で勝気に攻め、3回までを見事0点に打ち取った。
しかし4回、翔のかつてのチームメイトでもある4番打者・江戸川(清谷春瑠)に打席が回った1球目。翔の渾身のストレートがホームランを打たれてしまう。
「野球なら負けへん。野球だけは・・・」。学力不足で星葉高校に入れなかった翔は、野球でも実力差を見せつけられ、心が折れかけていた。
その時、南雲は翔を下ろし、根室をマウンドに上げる。翔の速球の後ということもあり、根室のサイドスローからくる遅い球に翻弄され、無事星葉高校を打ち取ることに成功した。
ベンチに戻ると、打ち崩されたことを謝る翔。
「翔。周り見てみろ。こんだけいるぞ」。南雲の言葉でベンチを見渡した翔は、笑顔で見守る仲間たちの姿に安堵の表情を浮かべ、気合を取り戻すのだった。
活気を取り戻した越山高校の攻撃。初心者の椿谷がガッツを見せ、ヘッドスライディングで塁に出るが、椿谷は顔面から滑ってしまい鼻血で試合に出続けられそうもない。9名しかいないため、椿谷が退場となれば没収試合となってしまう。
すると山住が、「久我原君、ピンチを救って。その足で」。見学にきていた久我原(橘優輝)に声をかける。実は久我原は100mを11秒で走るスプリンターで、山住はずっと野球部に誘っていたのだ。
代走・久我原の激走と、いつもフルスイングの楡(生田俊平)にバントをさせるという南雲の奇襲作戦が上手くいき、1点を返す越山高校!と思ったが、久我原が3塁ベースを踏んでおらず、結果はまさかのアウト!
越山高校は点を取ることはできなかったが、まるで試合に勝ったかのような盛り上がりで、選手たちはからだいっぱいに喜びを爆発させた。
結局、試合は18対0。越山高校の大敗に終わった。だが、敵将・賀門監督(松平健)は「強くなるぞ、あいつら」と、越山の選手たちに賛辞を送った。
帰り際、「翔!がんばれよ!」と、星葉にいる元チームメイトたちが翔に声をかけた。星葉に行けなかった自分をずっと恨めしく思っていた翔だが、「またな!」と笑顔で返す。越山で野球をすることを喜びに変えた翔の変化を、犬塚も静かに見守っていた。
興奮冷めやらず練習を始める越山高校の選手たち。久我原が加わり、こっそり試合を観ていた野原も戻ってきた。
「今年の夏こそ、一勝や」。主将の日沖(菅生新樹)が宣言し、越山高校野球部はチームが完成する瞬間を迎えていた。
しかし、その傍らで、なぜか南雲は寂し気な表情を浮かべていた。
南雲は、根室をフェリー乗り場まで送ると、硬式野球用のグローブを買えず、ずっと軟式用を使っていた根室に、かつて自分が使っていたグローブを手渡す。
「何もお返しできやんです」と恐縮する根室を、「こういうのはな、大人になってから誰かに何か返せばいいんだよ」と送り出す南雲。
「先生あの、野球部に入ってよかったです。大切にします!ありがとうございました!」出航するフェリーから叫び、深々と頭を下げる根室を、南雲は照れくさそうに手を振り見送った。
その夜、南雲は山住を呼び出していた。新たに練習試合を決め、意気揚々とやってきた山住に、南雲は「僕は、監督をやるわけにいきません」と告げる。
「僕は本物の教師じゃありません。教員免許を持っていません」。実は南雲は、教員採用試験には受かったものの、単位が足りず大学を卒業していなかった。美香が娘・なぎさを身籠っていた当時、安定した仕事に就くために卒業証明書を偽造したというのだ。
「それは、犯罪では…?」山住は絶句する。
南雲は、誰にも話さず今年度で教師を辞めるつもりだったが、今日の試合で越山高校野球部が強くなる可能性を秘めていると確信し、山住に野球部を託そうと、罪を告白したのだった──。
SNSでは、「グローブのやりとりに泣いちゃう」と南雲が根室に贈る言葉に感動するコメントが寄せられる一方、南雲の衝撃の告白に「ショックが大きすぎる…」「ウルウルしながら見てた55分が最後の5分でひっくり返った」と驚きの声が多数。こんなにいい先生はいない、という確信とともに、南雲がこの犯罪行為からどうやって立ち上がっていくのか、次の展開を待ちきれないという声が寄せられている。
日本一の下剋上まであと780日。南雲は罪とどう向き合うのか?そして、その罪を知った山住はどう動くのか──?第3話もぜひご注目いただきたい!
第2話はこちらから
第3話予告編
公式サイト
※アイキャッチのコピーライトは「©TBS/撮影:Len」です。
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