【ネタバレあり】「次を目指してる限り、人は終わらない。」涙が、誇り高き笑顔に変わる──『下剋上球児』最終回・第10話レビュー
プロデューサー・新井順子×脚本・奥寺佐渡子×演出・塚原あゆ子の『最愛』チームが送る、感動のヒューマンドラマ『下剋上球児』の魅力を完全収録
高校野球を舞台に、球児たちの夢とさまざまな愛を描くヒューマンエンターテインメント『下剋上球児』第5話が11月12日(日)に放送された。
第4話では、副部長として参加した南雲の采配の下、甲子園予選1回戦に臨んだ越山高校野球部。初めて9回まで戦い抜いたものの、結果は1対2の惜敗となった。南雲は、決意していた通り野球部を辞め、教職も辞し、自分の罪を償うために警察署に出頭する──。
“夏の一勝”の夢は断たれ、南雲がついに罪と向き合う決心を固めた第4話を経て、ここでは、どこよりも詳しい第5話レビューをご紹介。野球部や学校を離れただけでなく、家族もバラバラになった南雲はどうやって罪と向き合っていくのか。信頼する指導者を失った越山高校野球部の下剋上の先行きは──?混迷の新章が始まる第5話を、ぜひご覧いただきたい。
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
警察署に出頭し、南雲(鈴木亮平)はすべての罪を告白した。当然、出頭はもちろん、教職免許を持っていなかったこともすぐに街中に広がり、越山高校野球部の選手たちは困惑していた。
越山高校では、校長の丹羽(小泉孝太郎)による説明会が開かれ、保護者はもちろん、南雲と共に野球部を盛り立てていた犬塚(小日向文世)までもが「私らを裏切ったんだよ、あの人は!」と怒りの声を上げる。
一方南雲家では、青空(番家天嵩)が「脩ちゃん、闇の先生なの?」と南雲に問いかける。南雲や美香(井川遥)が危惧した通り、噂は青空の耳にも届いてしまったのだ。青空は、東京に行く理由が南雲の罪のためだったと知り、「なんで俺に話してくれなかったの?」と涙をこぼした。
その時、南雲の担当弁護士・榊原(伊勢志摩)が南雲家を訪れる。榊原は、情状酌量の余地を探るべく南雲の話を聞きたいのだが、南雲は罪を背負って償うために多くを語らず、痺れを切らしていたのだ。
南雲は、「僕が大人になれたのは、今まで出会った先生たちのおかげなんです」と、重い口を開いて自分の過去を語り始めた。父が借金を苦に夜逃げし、母も去り、天涯孤独となった小学生時代の南雲。それを救い上げたのが、小学校の担任教師・寿(渋川清彦)だった。
寿は、南雲を一人暮らしの自宅に引き取り、日常生活の細かなことから、遅れていた勉強まで、一つ一つを丁寧に教えてくれた。中卒で働こうと思っていた南雲を高校に進学させてくれたのも寿だった。
そして、南雲は進学した静岡一高で野球部監督の賀門(松平健)と出会い、野球を始めた。弱小野球部だったが、朝早くから夜遅くまできつい練習に耐え、チームは強くなっていった。
「お前らがやってきたこと、考えたこと、悩んだこと、無駄なことなんてひとつもないぞ。これからもそうだ。無駄なことなんて、ひとつもない」。賀門の愛情に溢れる指導を受け、いつしか南雲は「もしなれるなら、教師になりたい」と思うようになっていた。
そうして南雲は、その夢を諦めず、身重の美香がいながらも大学に通い、教師を目指したのだ。
「学校に何度か辞めたいと申し出ていたそうですね?最初に辞めよう思ったのはいつですか?」榊原の助手・蓮見(向里祐香)の問いに、南雲は「赴任してすぐです」。
赴任直後、南雲は越前(新井美羽)という女子生徒の生徒指導を任された。越前はパパ活をしており、度々注意を受けている問題児だった。南雲は越前と話をしようと、連日街に繰り出して越前を追いかけた。しかし、何度パパ活の現場を止めても繰り返す越前に、南雲は接し方を変えた方がよいかと逡巡していた。
しかしある日、「あげる。バイト先でもろた」と、越前が南雲にお菓子を差し出した。「スーパーで働いとる。ええ感じやわ。今までありがとう」。悩む南雲をよそに笑顔を見せる越前はパパ活をやめて、アルバイトを始めていたのだ。
「大げさかもしれませんが、奇跡かと思いました。生徒はある日、突然変わる。どんな生徒にも可能性がある。それを目の当たりにして、すぐには学校を辞めにくくなっていました」。南雲の吐露を、榊原は神妙な面持ちで聴いていた。隣の部屋では義父・七彦(中村シユン)が、階段では青空が、静かに南雲の告白を聞きながら物思うのだった。
南雲は、「本物の教師だったらどんなに良かったか。後悔しきれません」と、肩を落とす。
一方、越山高校野球部では、犬塚がスカウトした塩尻(町田啓太)が新監督に就任した。
私立の強豪校でコーチと監督を務めたという塩尻は、今の選手たちには見切りをつけて、スカウトでチームを強化しようと山住(黒木華)に提案する。
山住は「高校生は未知数だって、南雲先生言ってました」と、まずは練習を見るよう依頼するものの、塩尻は「ニセ先生の言うことをきいてもな」と聞く耳を持たない。
南雲の処分が決まらないまま、新体制となった越山高校野球部は秋季大会に臨み、結果は1回戦敗退。塩尻も「勝てるとは思ってなかった」と冷めている。元幽霊部員の野原(奥野壮)と紅岡(絃瀬聡一)は再び練習に出なくなり、夏には一つになっていた野球部はまた、元の“残念なザン高野球部”に戻りつつあった…。
ある日、今の選手たちで野球部を強くしたいと願う山住は、南雲家を訪れた。
「山住先生は、なんで怒ってないんですか?」と尋ねる南雲に、山住は「がっかりはしましたよ。でも、怒る理由は思いつかんのです」きっぱりと言う。山住はそれよりも、共に野球部のことを考えてきた南雲を信頼し、ザン高野球部が強くなる方法を相談したかったのだ。
すると南雲は、ためらいながら、1冊のノートを持ってくる。「やることなかったんで、つい考えてしまって」。ノートには、選手一人ひとりの課題と練習メニューが細かく書かれていた。
試合のない冬の期間、練習には来ない塩尻をよそに、山住はこの南雲のノートを糧にして野球部を指揮していた。山住を通して、南雲の指導が選手たちを強く育てていた。
2017年、春。日沖(菅生新樹)ら3年生が卒業し、野球部には大勢の仮入部員がやってきていた。その中には、山住が何度もスカウトに通ったスラッガー・中世古(柳谷参助)の姿もあった。
学校近くのコンビニで、山住は新入生の仮入部状況を報告するが、塩尻は中世古のことを「代打要員だね」と言い捨てる。続けて「根室は外野に専念させましょう。夏は勝てて一勝、まぐれで二勝。翔(中沢元紀)一人で十分」と、短期決戦になるから翔に完投させるという方針を告げる。
振り向くと、そこには根室の姿があった。塩尻の話をすべて聞いていた根室は、「俺も、翔が完投した方が、勝てると思います」と力ない声で伝えると、山住が呼び止める声も聞かずコンビニを出ていってしまった。
根室は、その足で南雲の家を訪れていた。南雲にもらったグローブを玄関に置いて去ろうとするが、気づいた南雲が声をかけると「バイトの時間も増やしたいし、野球部の練習減らすことにしました」と取り繕う。
「あきらめんなよ。きつくなったら誰でも良いから周りに頼れ」と鼓舞する南雲に、「先生にそう言われると、なんや頑張れる気がしますよ」と根室は笑顔を返す。
「もう先生じゃないよ」。南雲がグローブを差し出すと、根室は「俺ん中ではずっと先生です」と真剣な面持ちで受け取るが、悲しげな笑顔を浮かべ、とぼとぼと帰っていくのだった。
その夜、山住と根室の姉・柚希(山下美月)が南雲の家を訪れる。根室が家に帰ってこないと言うのだ。野球部の面々も心配して情報収集し、手分けして探す一同。そして深夜2時を過ぎた頃、目撃情報を頼りについに列車の車庫で根室を見つけ出した。実は根室は、練習とアルバイトで睡眠時間が取れず、電車で眠ってしまい、そのまま車庫に閉じ込められてしまっていたのだ。南雲は安堵して、寝ぼける根室を強く抱きしめた。
朝方。南雲家で、晩ごはんを食べていなかった根室が焼きそばを頬張っている。根室の元気な様子に安堵する南雲は、「しんどいなって日は、よかったらうちに泊まってくれ」と提案する。遠慮する柚希に、「僕と関わると、弟さんが非難を受けるかもしれませんけど」と自嘲気味に笑う南雲。柚希は弟・根室を見やると、「私は、弟が信じる人のことを、信じとります」と南雲に伝える。
南雲家に泊まれることになった根室は、「学校通う時間も、練習できる」と笑顔で、また焼きそばを頬張るのだった。
後日。練習後の根室が、早速南雲家を訪れる。
自然に迎え入れる南雲だったが、なんと根室の後に続き、久我原(橘優輝)、壮磨(小林虎之介)、富嶋(福松凛)、翔、椿谷(伊藤あさひ)、そして卒業した日沖までもがぞろぞろと入ってくる。
南雲ははじめこそ「合宿所じゃないぞ、うち!」と叫んでいたが、日沖が勤め先のスーパーで買ってきた肉を囲んで、結局合宿所のような食事が始まった。練習試合で勝ち始めているというザン高野球部の面々は自信を持ちはじめ、「今年こそ夏に一勝や!」と盛り上がる。
成長した生徒たちを誇らしげに眺める南雲は、かつて寿と2人で食卓を囲んでいた頃を思い出していた。少年時代、寿に「なんで、こどもは学校で勉強するに?」と問う南雲。寿は「そりゃあ、憲法で決まっとるけん。けど、僕が思うに、“なりたい大人”になるためだわ」と答える。
今、生徒たちと食卓を囲む南雲。“なりたい大人”になれていないことを自戒する南雲は、唇を震わせ、涙を流す。心配する選手たちに「なんでもない」と言いながらも、南雲は涙を堪えられなかった。
その時、榊原からの電話が鳴る。
「南雲さん、ようやっと、事件が検察に送致されました。起訴か不起訴か、ハッキリします。心の準備、しといてください」。一向に捜査が進まなかった南雲の事件が、ついに裁かれるときを迎えた──。
SNSでは、「今回爆泣きで、もう次の展開、第6話が気になります…」「泣きまくり回だった!」「とてつもなく泣いた」「しれっと上がり込む部員たちと、合宿所じゃないぞと言いながら嬉しそうな南雲先生に笑い泣きしてしまう」「号泣の神回」と、とにかく泣いたというコメントが押し寄せた。そして、「南雲先生の涙と、それを良い意味で放っておくみんなの優しさ」と、南雲と野球部の信頼関係に感動する声が多く見られた。
日本一の下剋上まであと445日。南雲の罪は、起訴されるのか不起訴になるのか。どちらの結果でも、南雲は野球部に戻ることはできるのか?第6話もぜひご注目いただきたい!
第5話はこちらから
第6話予告編
公式サイトはこちら
※アイキャッチのコピーライトは「©TBS 撮影:ENO」です。
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