ひょんなことから謎の男の子・ライオン(佐藤大空)と暮らしはじめた小森洸人(柳楽優弥)・美路人(坂東龍汰)兄弟。橘祥吾(向井理)の正体や、愛生(尾野真千子)の行方、暗躍する週刊誌記者・工藤楓(桜井ユキ)と天音悠真(INI・尾崎匠海)のことなど、まだ引っかかるところも多いが、『ライオンの隠れ家』(TBS系)第4話は、なにより「無償の愛」と「成長」を感じられて涙が止まらなかった回だった。
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
行方不明となっている愛生の可能性が高い遺体が見つかった。そのニュースを見たライオンが寝込んでしまい、洸人は病院へと連れて行くことに。待合室で問診票を書く際、薬のために必要だ、と年齢を聞くと、ようやく6歳であると教えてくれた。
美路人との会話で、ライオンがここ数日で誕生日を迎えたことが発覚。「お誕生日はお誕生日会をします。お母さんとの決まりです」と言う美路人の言葉に納得した洸人は、ライオンに黙ってサプライズ誕生日会を計画。吉見寅吉(でんでん)に準備を手伝ってもらい、貞本洋太(岡崎体育)や牧村美央(齋藤飛鳥)をゲストとして招いた。
誕生日会が開かれるとライオンは大喜び。貞本は笑顔のライオンたちを見て「子供の笑顔って無敵よな。大人が守ってやんないとな」とつぶやく。
笑顔と幸せと温かさで溢れたこのかけがえのない時間は、みんなで作ったものだ。ただ、美路人の思いやりと成長がなければ実現しなかったと思う。彼のひと言がきっかけで開催できたというのはもちろん、「誕生日会用の花を買うために美路人が単身でお店に行った」。これは、とても大きな一歩ではないだろうか。
それだけじゃない。いつも通勤用のバスを一緒に待ってくれていた兄がいなくても(熱を出したライオンにつきっきりで手が離せなかった)一人でバスに乗れたし、帰宅時も、船木真魚(男性ブランコ・平井まさあき)に送ってもらったが、文句は言わなかった。当たり前の日々が壊れてもパニックを起こさず、粛々と毎日を過ごしていたのだ(彼なりに我慢していることもあるだろう)。また、ライオンの母親が亡くなったと察して、不器用ながらも寄り添う姿を洸人は見ている。こうして、少しずつ成長していく弟を見て、兄として任せられる部分があったし、安心して誕生日会を開くことができたと思う。
誕生日会後、洸人がアルバムを見ていると、寝ていたライオンが近くに寄って来た。アルバムには、愛生と洸人の母親・恵美(坂井真紀)のツーショット写真が挟まっていた。それを見たライオンは「ママ……なんで死んじゃったの?」と涙を流す。
ラストには、遺体が別人であることが分かり、愛生が生きている可能性が浮上。洸人が「生きてるってことなのかもしれない」と伝えると、ライオンはぬいぐるみを抱きしめて安堵の笑顔を見せた。
その後、「なんか疲れた」と床に寝転がる洸人。彼の目に光るものを見たライオンは、「洸人、泣いてるから」とお腹をトントンと優しく叩く。あくびだとごまかしていると、美路人がひょっこりと顔を出した。兄が泣いているため、多少動揺したものの、美路人も彼に寄り添って同じくトントンと優しく叩いた。洸人は一筋の涙を流して……。
嗚咽の涙ではなく、じんわりとした温かい涙が溢れる『ライオンの隠れ家』は、観ている自分が「小森家の一員となった」と錯覚するほど、のめりこんでしまう作品である。彼らが笑っているだけで嬉しくて、目頭が熱くなる。もちろんこれから辛いことがあるかもしれないが、どうか幸せな時間が長く続いてほしいと願うばかりだ。
視聴者がライオンの保護者となって、美路人の成長を喜び、洸人を思いやる金曜の夜──。なんだ。最高の週末じゃないか。
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