とうとうこの日がやってきた。視聴者それぞれで胸熱ポイントが違うというほど、すべてのシーンがハイライトだった『ライオンの隠れ家』(TBS系)最終話。これまでの想いが溢れて涙を流しながら観た人も、固唾を飲んで見守っていた人も、一緒に余韻にひたろうではないか。
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
行方不明になっていた小森洸人(柳楽優弥)は東京にいた。街を彷徨いつつ、自分の人生を振り返っていると、いつの間にか大学の校門前に立っていた。その後、東京で工藤楓(桜井ユキ)から「挑戦することに“いまさら”はない」こと、帰宅して愛生(尾野真千子)から「想いを言葉にしてぶつける大切さ」について助言をもらう。
ある日、貞本洋太(岡崎体育)主催の結婚10周年パーティに美路人(坂東龍汰)とライオン(愁人/佐藤大空)と出席した洸人。そこで、急きょスピーチをすることになった。洸人は美路人に向かって愛を伝えつつ「これまで本当にいろいろなことがあって。僕一人ではどうにもできないようなことも、みっくんのおかげで乗り越えることができました。僕にとって弟はこの先もずっとずっと自慢の家族です。ありがとう」と言葉をかけた。
出席者は彼に拍手を送ったが、テレビ越しからでも拍手を送りたいほど素敵なスピーチだったし、胸がじんわりと温かくなった。そして、美路人の嬉しそうな照れたような何かを決意したような……そんな表情にもこみあげるものがあった。このシーンは、心の真空パックに入れて長期保存しておきたいくらいの名場面だったように思う!
その後、海岸の堤防の絵の前に立つ美路人。完成したはずの絵に、ライオンも加わって3人で「ウミネコ」を描いた。洸人は、美路人の絵を見て、ずっと迷っていた東京の大学に行って勉強をし直す決意を固める。
洸人が東京の大学に行く──。美路人は兄の決意をすんなりと受け入れた。もしかしたら彼なりに何かを察していたのかもしれないが、美路人なら受け止めてくれるだろうとも思っていた。なぜなら、彼は人間的にも強くなっているし、そのプロセスが丁寧に描かれている分、受け入れることに何の違和感もなかったからだ。
その後、洸人は無事に大学に合格。美路人は自らの意志でグループホームに住むことを決めた。すると、洸人は大学で勉強をしたあとにやりたいことがある、と美路人に告白する。
「本に関わる仕事をして、いつかみっくんの絵を集めた本を出したいんだ」。そんな洸人の夢に美路人は「いいと思います。僕は、お兄ちゃんのファン1号です!」と返した。
いよいよ出発の日。洸人は玄関を出て送りに来てくれた愛生に「じゃあ、あとはよろしく」と述べた。
この台詞……本作を見ていた人なら分かるだろうが、とても意味のある言葉なのだ。ライオンを託されたときや、子どもの頃に愛生に言われた「あとはよろしく」を、まったく異なる想いで今度は洸人が言うエモさ、そしてこれまですべてを背負っていた彼が、荷物を下ろして愛生に任せられるようになった意味など、いろんな要素が詰まっている。カメラ目線だったのも、何かと背負いがちな洸人を心配していた我々に「もう大丈夫だよ」と言ってくれたみたいで、グッときた。
『ライオンの隠れ家』最終話は、派手な事件がまったく起きなかった。ただただ洸人や美路人たちの“心の機微”と“決意”と“日常”を描いた。駆け足になることもなく、雑になることもなく、じっくりと洸人たちの想いに焦点を当てた。
こうした名作ドラマにはロスがつきものである。もちろん寂しさもあるのだが、丁寧に物語を紡ぎ、心情をより深く描いてくれたおかげで満足感があるのも確か。本当に不思議なドラマだ。最高のドラマだ。愛して愛して愛し続けて良かったドラマだ。幸せな最終話をありがとう。
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