心が揺れ動いて、揺れ動いて、どうにかなりそうだった『ライオンの隠れ家』(TBS系)第9話。クライマックスに向けて物語が転がるなか、胸をグサグサと刺されたような苦しい展開が待っていた。ただみんなに幸せになってほしいだけなのに、どうしてこうなったのだろう?そしてラストには、あの兄弟に泣かされた……。
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
小森洸人(柳楽優弥)、美路人(坂東龍汰)がいないあいだに、樺島(後藤剛範)がペンションにやって来た。橘愛生(尾野真千子)は、ライオン(橘愁人/佐藤大空)を守りつつ抵抗しようとするが、彼曰く、祥吾(向井理)が離婚の手続きをしたいので戻ってきてほしい、と言っているのだという。彼の言葉を信じた愛生たちは、洸人たちと言葉を交わすことなく、祥吾のもとへと戻った。
祥吾から「離婚届を出すまで、家族で過ごす時間がほしい」と言われた愛生は、一時的に橘家にいることに。その期間は、ライオンと3人でアスレチック広場に行ったり、お弁当を一緒に食べたり、普通の家族のように過ごしていた。
もちろん愛生やライオンは彼に心を開いていない。ただ、祥吾も反省しているのか、自分がやってしまったことへの申し訳なさはもちろん、息子を見る目に愛情がこもっているようにも感じる……彼も変わったのか?
一方、洸人、美路人、工藤楓(桜井ユキ)、天音悠真(INI・尾崎匠海)は、スナックのママ・須賀野かすみ(入山法子)から祥吾の壮絶な人生を聞かされる。祥吾は幼い頃から児童養護施設で育ち、会社のあとを継ぐため橘家に養子へ。橘家の息子・春一(黒田大輔)はもともと病弱で、祥吾は彼の代わりだったが、結果的に春一が回復し、どこにも居場所がなくなったという。
離婚届を出す日。突然、祥吾が「愁人は僕が育てる」と言い始めた。もちろん愛生は拒否するが、「離婚しても君には弟たちがいる。家族がいるじゃないか。でも僕には……。血のつながった家族は愁人しかいない。僕はずっと一人だったんだ。僕から全部を奪わないでくれ」と土下座。「無理よ」と出て行こうとする愛生の手をとり「親権を僕に譲るなら離婚する。その条件が飲めないなら離婚はできない」とぶつけた。
視聴者ながらに「なんて狂気的な表情をするんだ向井理!」と怯えていた矢先、柚留木(X/岡山天音)の元に愛生から電話がかかってくるシーンがあった。すぐに電話は切れたが、そこには拘束され、顔が傷だらけの愛生が映し出されていた……。一瞬でも祥吾を信じた自分を説教したい。結局、暴力を振るって幸せを壊しているのは祥吾じゃないか。
その後、愛生&ライオンを奪還するべく、洸人と柚留木は橘家へ。彼のいない隙に洸人が合鍵を使って入ろうとしたが、そこには祥吾がいた。話をするなか、洸人が「僕はただふたりに安全に暮らしてほしい」と訴えるも、「これ以上口をはさむのはやめてもらえませんか?」、「あなたがどんな大層な人間かは知りませんが、何の覚悟があって言っているんですか?」と祥吾。洸人は言葉が出なくなってしまう。
傷心しつつ家に戻ると、美路人が部屋にいなかった。ライオンと別れて以降、まったく絵が描けなくなっていた美路人。海岸沿いの堤防に絵を描く依頼もあったが、それも断ろうとしていた。
洸人は、海岸沿いにいる美路人を見つける。ライオンを連れて帰れなかったことを報告し、「みっくんごめん。ダメなお兄ちゃんでごめん」と座り込んで号泣した。美路人は兄の背中に触れ「し、深呼吸します。吸って、吐いて……」と言葉をかける。これは、いつも洸人にやってもらっていることだ。ここで美路人の表情が変わり、「描きます」と海岸沿いの壁を指でなぞりはじめた。
自分の無力さに押しつぶされて涙する洸人。そこで何かを感じ取った美路人が、これまで兄にやってもらったことを返すかたちで慰めた──。
洸人くんはダメなお兄ちゃんじゃないよ。これまで注いだ愛が、全部みっくんに伝わっているじゃないか。絶望の連続のなかでわずかな救いがあった『ライオンの隠れ家』第9話。苦しんだり、心が温かくなったり、感情がグチャグチャになった回だった。
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