『ライオンの隠れ家』(TBS系)第7話は、主人公・小森洸人(柳楽優弥)の弟である美路人(坂東龍汰)に心を奪われた回だった。厳密に言えば、毎回彼には魅了されているのだが、特に今回は目が離せなかった。サスペンス要素も色濃くなり、胸がザワザワすることも増えてきた本作だが、ここでは美路人にスポットを当て、俳優・坂東龍汰の魅力にも迫る。
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
小森家でライオン(佐藤大空)を匿っていることが、週刊誌記者・工藤楓(桜井ユキ)に突き止められてしまった。他の週刊誌記者も嗅ぎ回っているらしく、早急に家を出なければならない。洸人は、貞本洋太(岡崎体育)が紹介してくれたペンションに3人で行く決意を固めるも、それには美路人の了承を得なければならなかった。
「旅行」と称して、それとなく美路人に話をする洸人。当初は、はぐらかされてしまったが、これまでの思い出と共に優しく問いかける兄の想いが通じたのか「旅行行きます。お兄ちゃんとライオンと……旅行行きます」と言ってくれた。日常にルーティンがある美路人にとって、これはかなり大きな決断だったと思う。もちろん、事情を把握しているわけではないだろうが、言葉の端々から感じる洸人の想いを彼なりに汲み取ったのだろう。美路人の葛藤と決断が垣間見えたシーンだった。
ペンションでは、バーベキューをすることに。買い物を任された美路人は「買い物行きます」、「一人で行きます」と宣言。特にトラブルもなく、しっかり牛肉を買ってきた美路人に、洸人は「おお〜。初めてのところでも余裕だったじゃん。ナイス!」と褒め称え、ハイタッチ。「1kg3750円です」とこぼす美路人の顔が、どこか誇らしげなのが印象的だった。
夜、みんなでバーベキューをしていると、ライオンが「みっくん(美路人)、一緒に寝よう」と誘ってきた。一度は断った美路人だったが、すっくと立ち上がって「僕が寝る時間22時です。ライオンが寝る時間21時です。寝ます」と手を引っ張り、今回のためにたてたテントに2人で入っていった。これは、生まれてからずっと「弟」だった美路人が「お兄ちゃん」になった瞬間だったように思う。自分のやりたいことを投げても、弟(のような存在)のために動くなんて……愛しかない。泣ける。
また、柚留木・X(岡山天音)から3人の居場所を教えてもらった楓がペンションにやって来て、記者を辞めたことを洸人に報告。その様子を窓越しで美路人とライオンが見ているシーンがあった。そこで彼女が笑顔で会釈をしたのだが、視聴者も楓と同じ顔をしていたのではないかと思う。それほどほっこりとした気分になった一幕だった。
坂東龍汰という俳優になぜこんなにも魅了されるのか。なぜ見るたびにどんどん好きになっていくのか。繊細な感情表現を持って視聴者を『ライオンの隠れ家』の世界観に違和感なく招き、どっぷりと浸からせてくれる坂東。もちろん柳楽をはじめ、他のキャストもそうなのだが、今回は坂東がその扉を開いてくれたように感じる。言葉のトーン、一挙手一投足、美路人のすべてが愛おしい。もはや、美路人を演じる坂東は「名シーン製造機」だ。ドラマを見ていると時折「このドラマを見続けて良かった」と思う瞬間に出会うが、まさに、彼のおかげでそう思えた第7話だった。
ただ、今後の展開が不安でならない。バーベキュー中、洸人が「ライオンのお母さんが戻るまで、3人で笑って暮らすこと」と約束したことを思い出し、笑顔を見せた。そしてラストには、空を見上げた洸人が「雨、降るのかな?」と暗に「物語的にも雨が降る」という意味も込められているのでは?と勘繰ってしまうシーンもあった。
……もうゾワゾワ展開のフリにしか見えない。ドラマなので「そんなわけにはいかない」のは分かるが、このまま何も起こらないでほしい。3人が笑っている生活をずっと見ていたいのが本音である。
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