神木隆之介が1人二役を演じ、過去と現代を行き来する壮大なドラマ『海に眠るダイヤモンド』の第2話が11月3日に放送された。伏線だらけの第1話から少しずつ劇中の人々の距離が縮まり、心の内面が掘り下げられていく。
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
第2話のスタートは現代から。神木隆之介のホスト・玲央が暮らすマンションに“太客”の老女いずみ(宮本信子)が訪ねてくる。「俺って誰かに似てるんだっけ?」と聞く玲央に、「鉄平…」とつぶやくいずみ。ここでいずみと過去の端島がはっきりとつながった。いずみは「あれは何角関係だろう?」と昔の恋に思いをはせる。
その“鉄平”こと荒木鉄平は、神木の1人二役で1955年長崎県・端島の炭鉱で働く青年。島にやってきた謎の美女草笛リナ(池田エライザ)ともすっかり打ち解けている。第1話に続いて炭鉱華やかなりし時代の端島は活気にあふれ、少ない真水をやりくりする住民の様子や、長崎から海底の水道を掘って端島とつなぐ計画が動いていることも描かれる(もちろん歴史の中ではこの後、10年と経たずしてエネルギー革命が始まり炭鉱の衰退が始まるのだが)。
狭い島内で、人間関係は複雑。鉄平の幼馴染の賢将(清水尋也)は朝子(杉咲花)と百合子(土屋太鳳)のどちらにも気があるようなそぶりを見せ、ずっと島で育った朝子は鉄平のことを思うも、華やかな百合子やリナが近くにいるせいか態度に出せないでいる。
もっとも、女たちの感情は敏感であり、百合子は長崎で覚えたスクエアダンスをきっかけに、リナと鉄平の仲を近づけようとする。リナはリナで百合子に「賢将さんと付き合ってるのよね?朝子と鉄平がデキたっていいじゃない」と返し、ここに女同士の奇妙な共同戦線が生まれる。スクエアダンスのシーンでのわずかなしぐさに、それぞれの本音が見え隠れするする様は圧巻だ。
今回バックグラウンドが掘り下げられるのは百合子。原爆で姉を亡くし、母はショックでずっと信仰にすがって生きているような描写がある。人前では勝ち気を装っている彼女と、過去に囚われてばかりの母の寿美子(山本未来)との対比が痛々しく同情をさそう。
そんな百合子が、台風に襲われて電気も停まった夜に鉄平に本音を明かす。「島出たら、私はただの島の娘。端島だから好き勝手していられるのよ」と口にするように、島外の大学に進学したゆえに見える景色がもどかしい。なのに一番身近な母親は過去にばかり拘泥して閉じこもっている。鉄平から「大学の時、ずっと好きだったよ。やさぐれてる百合子が」と打ち明けられても、「知ってた」から続く百合子のモノローグは、単なる強がりではない。
もう1人、過去に囚われているのは鉄平の兄の進平(斎藤工)。嵐で妻を亡くしたことを認められずにいる彼は、いまだに妻帯者用の部屋に住み続けて住民のひんしゅくを買っている。彼も台風の夜にリナを助けたことで人生を再始動させていく予感がする。亡き妻の英子もリナも、島外からやってきたバガボンド(放浪者)的な女性という共通点がある。本音を言い出しづらかった賢将と朝子の距離も近づき、6人の男女の関係に変化が出てきた台風の夜だった。
端島の映画館のオーナー大森(片桐はいり)や、現代で玲央の口説きにも動じないキャバクラ嬢アイリ(安斉星来)ら、脇役の人生も見てみたくなるドラマは始まったばかり。鉄平たちが嵐の一夜を乗り越えてほっとした後、現代に戻ってのラストシーンで「ARAKI TEPPEI」と書かれたノートがクローズアップされるワンカットが。次回もまたひと波乱がありそうだ。
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脚本・野木亜紀子×監督・塚原あゆ子× プロデューサー・新井順子によるヒューマンラブエンターテインメント
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