ホストの玲央(神木隆之介)が出会った謎の女性、いづみ(宮本信子)の過去は端島の朝子だった。日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』第6話(TBS系)で物語は新たな段階に突入。劇中の人々の人生は、序盤では予想もしなかった方向に転回していく。
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
2018年、いづみは不動産会社のIKEGAYA株式会社の社長としてバリバリに働いていた。1950年代に成人しているのならかなりの高齢と思われるが、お飾りの社長ではないリーダーシップを発揮しているところに玲央も驚く。そして玲央に「朝子ちゃん」と呼ばれると「その顔で朝子だなんて」と話すいづみは、やはり玲央とそっくりの鉄平(神木の1人二役)が忘れられない様子。
1963年の端島では、進平(斎藤工)とリナ(池田エライザ)は事実上の夫婦になっている。前回、リナの過去を知る鉱員を射殺してまで彼女を守ることを選んだ進平。かつて無表情でふさぎこんでいた進平は、新しい家庭を築けてよく笑うようになった。
一方、鉄平と相思相愛かと思われた朝子は何だか煮え切らない。家族から結婚の“圧”をかけられても意に介さない。意中の鉄平に対してもまだモジモジしている様子が、寺での百合子(土屋太鳳)とのシーンからうかがえる。
百合子は銀座食堂を営む朝子の両親へ、朝子のストライキを宣言。暇になったので他に働き口を探そうとする朝子に「そんな急に生き方変えられないよね」とリナが言葉をかける。裏社会を渡り歩いて、伴侶も諦めていたリナが今や母になろうとし、朝子は55年後の東京で社長になっていることを思うと、シニカルでクスっとなる一言だ。
その朝子が、リーダーの才覚をのぞかせるのもこの回。埋め立ててできた島ゆえに、植物が乏しい端島に緑を生やそうと屋上庭園を作っていく。鉄平と二人三脚で炭鉱長(沢村一樹)の辰雄にアイデアを通し、水漏れに苦戦し業者の男たちとも交渉。朝子の熱意と行動に、賢将(清水尋也)と百合子も協力して本土から土を持ち込むことに成功した。「(鉄平に振られたら)今度こそ、この島で生きていけん」と百合子に言っていたのとはまるで別人だ。
途中、4人の若者は賢将の家で一緒に計画を練り、食事も共にする。寂しい家庭で育ち、荒木家に暖かい家族像を求めていた賢将の家に初めてだんらんの時間が流れたのも、朝子のおかげだろう。前回、現場の鉱員から冷ややかな目線を浴びていた賢将と辰雄も島民と一緒に庭園作りに参加。食堂の娘から、島じゅうを巻き込んだ運動のリーダーへと、朝子の変身ぶりに驚くばかりだ。
一連の庭園作りの前から、百合子といい感じになっていた賢将はようやくプロポーズを果たし、2人は結婚する。かつては「職業婦人になる」と快活に仕事をしていた百合子が結婚を選び、「この島で生きてけん」と言っていた朝子が経営者になって花と緑をライフワークにするのだから、人生何が起こるか分からない。朝子=いづみが花を好きなのも、中之島での花見など、花にまつわる記憶にいつも鉄平がいたからかもしれない。
賢将と百合子の結婚式の場で、鉄平はようやく朝子に思いを伝える。もっともいづみによれば、島で孤立していた賢将のことを思って鉄平は(恋心を)言い出せずにいたとのこと。鉄平のいつまでも友達思いなところも、いづみの心にはいい思い出になっている。
前回の第5話のタイトルは「一島一家」。この言葉通り鉄平は、端島のためなら何にでも身を粉にして行動してきた。その献身ぶりが次回、鉄平自身に取り返しのつかないことをもたらすのでは──?と不安になるエンディング。史実での端島の閉山(1974年)も近づき、また鉄平の日記がどうやって2018年のいづみに渡ったのか?といった謎も残る。2つの時代がつながるラストに向けて、物語は動いていく。
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