『じゃあ、あんたが作ってみろよ』竹内涼真“勝男”、一方的なプロポーズからの成長に涙 最終回で夏帆“鮎美”に告げた最上級の愛とは
忍耐女と化石男の別れから始まった物語がついに完結。勝男が鮎美に告げた最上級の愛の言葉に、切なさと温かさが胸に迫った。

勝男(竹内涼真)のもとに兄・鷹広(塚本高史)が訪ねてくる。鷹広はかつての勝男とそっくりな“昭和脳”男だった。そんな鷹広の「とり天が食べたい」という言葉をきっかけに、勝男と鮎美(夏帆)が同じ台所に立つことに。人々を「男らしさ」「女らしさ」の呪縛から解放する『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS系)第5話。視聴者を号泣させたポイントを解説する。
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
父・勝(菅原大吉)の会社を継ぐことになり、その挨拶回りで地元の大分から東京にやってきた鷹広と勝男は居酒屋へ。料理が出てくるなり、鷹広は「全体的に彩りが足りんな」「アドバイスや」と、どこかで聞いたような文句を垂れる。
だが、自分は料理をするわけではなく、大分名物・とり天の話題になった際、「鮎美ちゃんに作ってもらえばいいやん」という言葉が咄嗟に出てくる鷹広は「料理は女がして当たり前」と思っているのだろう。同じ家で同じ両親に育てられたのだから、自然といえば自然だが、鷹広も勝男に負けじと、いや、より強化された亭主関白男のようだ。
当初、そんな兄からの電話をスルーしていた勝男。南川(杏花)は白崎(前原瑞樹)に「嫌いなんですかね?」とこぼしていたが、そういうわけではなさそうだ。地方は未だ家父長が根強く、家では父、次いで長男が強く、他の兄弟よりも優遇されるケースが多い。実際に勝男は最初から跡取り候補には入っておらず、特に期待もされていなかった。
加えて鷹広は父の理想の息子に育ち、勝男より勉強も運動もできて、弱音も一切吐かない。そんな兄を勝男は尊敬する一方でコンプレックスに感じていたのではないだろうか。
だから、妻・百合香(知花くらら)の機嫌が悪く、「とり天どころじゃない」と話す鷹広が頭の片隅で気になりつつも、自分にできることなんてないと端から諦めてしまう。しかし、椿(中条あやみ)に「強いって思われる人って、本当はただそういう風にしか生きられなかっただけなのかもしれない」と言われたことをきっかけに、勝男は鷹広のためにとり天を作り始める。
何度作っても衣がベチャベチャになってしまい、成功しないまま鷹広が大分に戻る日を迎えた勝男は後輩たちを頼ることに。さらには買い出しの途中、偶然にも鮎美に遭遇し、「とり天を作るコツを教えてほしい」と頼む。
そんなこんなで一緒に料理をすることになった2人。今までは鮎美が一人で立っていた台所に並び、不器用な勝男に鮎美が厳しくも優しくアドバイスをする。少し気まずそうにしながらも、付き合っていた頃よりずっと自然な姿で向き合えている2人のバックで流れる主題歌「シェイプシフター」(This is LAST)の〈どこで間違えたんだろう〉というフレーズに涙腺が崩壊した。
間違えていたのは、勝男でも鮎美でもない。今なお、社会に鎮座し続ける「女はこうあるべき」「男はこうあるべき」という価値観。2人はいつの間にかその価値観を刷り込まれ、無意識のうちに自分を縛っていただけなのだ。
鷹広も同じではないだろうか。父から「男は泣くな」「弱音を吐くな」と言い聞かされ、知らぬ間にかたくなってしまった涙腺と口。そんな兄に勝男はとり天を届け、「俺は兄さんが心配なんだ。だから一人で悩まれてるのは寂しい」「自分が感じたこととか、心に閉じ込めないでほしい」と訴えかける。
人目を憚らずに号泣する姿は、ちっともかっこ悪くなんかなかった。むしろ困った時に周りを頼れるようになり、誰かのために涙を流せる勝男はかっこいい。それこそが、本当の“強さ”と言えるのではないだろうか。
人々を「男らしさ」の呪縛から解き放つような勝男の号泣シーンに、視聴者からは「勝男の涙にもらい泣き」「竹内涼真の泣きの演技にうっかり泣かされてしまった」「勝男の泣き方が弟のそれでしかなくてすごいな竹内涼真」「勝男いい涙ながすね、成長したね…」「そうだよ男の人も泣いていいんだよ」という声が上がった。
また個人的に泣けたのは、空港へと向かうタクシーの中で交わされた勝男と白崎の彼女・青子(夏目透羽)のやりとりだ。実は妻・百合香との間に長らく子供ができず、自分に問題があるのではと悩んでいた鷹広。そうとは知らず、「父さんたちにそろそろ孫の顔も見せてあげられるんじゃないの?」と無神経に言ってしまったことを反省する勝男に、青子が自身の体験を語る。
幼い頃、体の弱い叔母に青子は「なんで子供がいないの?」と聞いてしまったそうだ。子供だからこその純粋な疑問であり、南川は「子供だから仕方ない」とフォローするが、青子は「大人になって改めて叔母の気持ちを考えてみると、私はあの時の私を一生許せないな」とした上で、「だから、そんなことがもうないように色んな人の立場を知る努力をしたり想像したりしたいな」と心情を吐露した。
無意識のうちに誰かを傷つけてしまったことを自覚した時、人はつい恥ずかしさから開き直ってしまったり、あるいは「傷つけるつもりはなかった」と言い訳してしまったりする。でも、それは免罪符にはならない。青子のようにちゃんと傷つけてしまった事実を受け止め、己を省みることができたら、もっとこの社会は大勢の人にとって生きやすいものとなるのではないだろうか。理想論かもしれないけれど、その理想論をしっかり表明してくれる本作は大人のドラマだ。
鷹広は後日、百合香と不妊治療について話し合うことができたそうだ。夫婦の危機を救った勝男もかつては人前で弱音を吐くことも泣くこともできなかった。そんな勝男が号泣する姿を目撃した鮎美は、自分も変わらなきゃと思ったのかもしれない。
自分と付き合い始めてからも、元カノ・関田(芋生悠)と何の罪悪感もなく会い続けるミナト(青木柚)にようやく本音を伝えることができた。ミナトは鮎美が嫌がることはしないと誓い、2人は上手くいくと思われたが……。鮎美が結婚というワードを出した途端、別れを告げるミナト。勝男にとっては絶好のチャンスと言えるが、鮎美の気持ちは果たして。
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忍耐女と化石男の別れから始まった物語がついに完結。勝男が鮎美に告げた最上級の愛の言葉に、切なさと温かさが胸に迫った。
大成功の初日を終え、俳優としての想いをぶつけ合う白崎と羽山。その後ふたりは、白崎の誕生日を祝うために羽山が予約していたホテルへと向かう。
第9話では、勝男と鮎美に最大の試練が訪れ、互いの存在に救われる。恋人同士だった頃よりも遥かに自然体で、楽しそうな2人の雰囲気に視聴者から感動の声が上がった。
勝男の母・陽子が大分から来襲。自分の世話を焼く陽子に、勝男がある思いを伝える。「男は外で稼ぎ、女は家庭を守る」という価値観の下で生きてきた親世代を否定せず、そのアップデートを描いたエピソードが視聴者から大きな反響を呼んだ。
物語も終盤に差しかかり、勝男と鮎美の復縁に関しては視聴者からもさまざまな意見が上がっている。
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