二宮和也が、世界的天才外科医・天城雪彦を演じる『ブラックペアン シーズン2』が、7月7日にスタートした。天城のオペを受けるには、二者択一の賭けに勝つ“神に見放されない運”を持つことが求められる。そしてその賭け金は全財産の半分。人も金をももてあそび“悪魔”と称される天城の芸術的なオペが幕を開ける──。
医療エンターテインメントとしてヒットした前作から、世界観も周辺登場人物たちもほとんどが変わらない中、主演・二宮和也扮する主人公がシーズン1とは別人、という異例のチャレンジに臨む本作は、放送前から「渡海(前作主人公)と天城は同一人物では?」など、主人公の出自を巡って話題が沸騰した。そして1話が放送されると、SNSでは「瓜二つだがまったくの別人物!」「神演技」「声も話し方も全然違う」と、前評判を覆す新たな主人公の誕生と、それを実現した二宮の演技力に絶賛の声が相次いでいる。
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
東城大学医学部付属病院。6年前、“オペ室の悪魔”と呼ばれる天才外科医・渡海征司郎(二宮和也)の元で新人研修医時代を過ごした世良(竹内涼真)は、系列病院で経験を積み、東城大の外科医として活躍していた。
そして、“ブラックペアン”と呼ばれ、唯一無二の“佐伯式”手術を確立した心臓外科医の最高峰・佐伯教授(内野聖陽)は、東城大の病院長に就任し、今も現役の外科医として手術の現場に立っている。
佐伯は目下、日本の研究医療の頂点である全日本医学会の会長のイスを狙っていた。そしてその足掛かりにもなる新たな医療施設として、心臓外科に特化した専門病院・桜宮心臓外科センターの建立を目指している。
佐伯はその計画にとって重要なメッセージが入っているという手紙を、オーストラリアで開催される学会に登壇する医者・天城雪彦に渡してほしいと世良に託した。
世良は、同僚の医師・垣谷(内村遥)とともにゴールドコーストの学会会場に赴くが、天城は自身のプレゼンテーションをドタキャンし、出会うことができなかった。
顔も知らぬ天城を探し求め、勤務先であるゴールドコースト・インターナショナル・ハートセンターを訪れる世良。ここでも「天城は手術日にしか病院に来ない」と居場所も分からないが、同じく天城を訪れていた韓国の研修医、パク・ミンジェ(キム・ムジュン)と出会う。ミンジェは、心臓を患う母の治療を天城に依頼しようとオーストラリアに来ていたのだ。
ミンジェは天城に依頼するために現金で1億円以上を用意していたが、患者である母のパク・ソヒョン(チェ・ジウ)は「大金を積まないといけない医者なんて本当の医者じゃない」と、天城の治療を拒んでおり、会えないなら帰ろうと言い出す。
しかし、興奮して歩き出すソヒョンは不整脈を起こし倒れてしまった。
世良と垣谷の応急処置で事なきを得たが、ソヒョンの病状では飛行機移動の負担に耐えられず、このままでは韓国に戻れないという。やはり天城の治療が必要な状況と悟った世良とミンジェは、受付スタッフから天城がよく競馬場にやってくると情報を得た。しかし同時に「彼には関わらない方がいい。彼はディアブル(悪魔)と呼ばれている」と告げられる。世良は、患者を助ける代わりに執刀医に法外な報酬を要求し“オペ室の悪魔”と呼ばれた渡海を思い出していた。
そして訪れた競馬場で、世良はその渡海と瓜二つの男を見つける。その男こそが探し求めていた天城雪彦(二宮和也)だったのだ…!
天城は世良が手渡した手紙を一読すると「くだらない」と佐伯からのオファーを一蹴した。一方、母のオペを依頼するミンジェの願いは快諾。にこやかに「僕のオペを受けるためには、ひとつだけ条件がある」と、指定する場所に患者も連れてくるようにと指示した。
指定された場所は、なんとカジノだった。特別室のルーレットの前に座るミンジェとソヒョンに、天城がイベントの司会者のように楽し気に話し始める。
「これからあなたには、黒か赤かの二者択一の賭けをしていただきます。僕のオペを乗り越える運を持っているかどうか、まずはそれを確認したい」。この賭けに勝てば天城は無料でオペをするが、負ければオペは受けられない。そして、この賭けに応じるには全財産の半分をチップとする必要がある。天城は「それがこの儀式のルールです」と飄々と語る。
世良は「狂ってます!」と憤り割って入ろうとするが、天城は「じゃあやれよ自分で。できないんでしょ?」と目を見開いた。
ソヒョンも「守銭奴のヤブ医者め」と怒り、カジノを後にしようとするが、天城は「あなた死にますよ」と言い放つ。そして、再発の可能性が高いことを告げ、完全に治せるのは、天城のオペ術“ダイレクト・アナストモーシス”しかないと言い切った。
成す術なく、ソヒョンは2億円の掛け金を積んで天城の儀式に挑んだが、結果は失敗…。
ミンジェはすかさず土下座して再挑戦を希望、世良も「見殺しにするんですか⁈」と詰め寄るが、天城は「彼女が神に見捨てられたんだ。僕のせいじゃない」と突き返すと、カジノを去ろうとするのだった。
それでも食い下がる世良に、天城は「僕のダイレクト・アナストモーシスは、何億何十億にも値するオペなんだ。だって、君には一生かかってもできないんだから」と圧倒する。
言い返す言葉もない世良は「あなた医者じゃないよ!あなたは悪魔だ」と捨て台詞を叫ぶが、振り返った天城は、なおも笑顔で「僕は悪魔だよ。神に愛されたね」と軽やかに告げて踵を返し去っていくのだった。
世良は、天城なしでもソヒョンを助けようと、東城大・佐伯外科の医師たちの協力を仰ぎ治療法を探すことにした。
しかし、やっと見つけた過去の症例の手術方法は、やはり天城にしかできないものだった…。
世良は、いま一度天城に掛け合い、「あの心臓を治せるのは天城先生しかいません。どうしてなんでしょう?」と、素直に疑問をぶつける。
すると天城は、「君たちはさ、オペを職人技か何かと勘違いしてるんじゃないの?その考えだから無理なんだ。だって、オペは芸術だもん」と次元の違う回答を返すと、世良を手術室に招いた。
患者としてベッドに横たわっていたのは、なんとソヒョンだった。
前夜、ソヒョンは再びカジノを訪れ、ルーレットをもう一度したいと、亡き夫が残した遺産の入った金庫の鍵を掛け金として天城に渡したのだという。もう一度チャンスをくれればすべてを渡すと覚悟を決めたソヒョンは、夫とともに経営してきたプルコギ店の全店舗の権利書も持参していた。
そうして挑んだ賭けに勝ち、見事オペを受けられることになったのだ。
天城は世良に、「彼女の執念が、一度自分を見捨てた神を振り向かすことができた」と説くと、「全能の神に愛された者こそ、オペ室の悪魔に会う権利を得ることができる。今このオペ室では、神と悪魔は共同作業する。それを人々は、奇跡と呼ぶらしい」と自身のオペの腕を誇示した。
それでも猜疑心に満ちた様子の世良を、天城はオペの助手に指名する。
ついに始まる天城のダイレクト・アナストモーシス手術を真横に立ち助手として体感した世良は、まったく体験したことのない鮮やかなオペに言葉を失っていた。
ダイレクト・アナストモーシスは、詰まった冠動脈を除去し、新しい血管に換えるというまったく新しい術式。冠動脈の周囲には脆い心筋があり、一歩間違えれば心筋は容易に裂けて心臓が破裂してしまう。髪の毛よりも細い糸で2㎜にも満たない血管を5分間で吻合する。その作業を素手で行っていく天城のオペはまさに芸術だった。
それを目の当たりにした世良は思わず、「これは現実なんですか?」と天城に問う。そして天城は「現実に起きた、奇跡だ」と答える。世良は天城の“奇跡”という言葉を受け入れざるを得なかった──。
手術を終えた天城は、ミンジェに成功を告げると、ソヒョンが掛け金として投げうった店の経営権もすべて売却したと伝えた。
だが、天城はさらに続けた。「1店舗だけ、赤字のため売却することができなかったので」と、1号店のみ戻すと言い、「神のご加護があらんことを」と去っていったのだ。
ミンジェは、母の命と、両親が初めてオープンさせた“始まりの店”を取り戻した感謝に深々と頭を下げ、涙を流した。
術後の天城に、世良は素直な気持ちをぶつけた。「僕の指導医も悪魔と呼ばれてました。でも、腕は超一流で、何度も何度も患者の命を救ったんです。僕は天城先生のことも信じてみたい。あなたは将来、東城大の患者の命を何度も救ってくれる人だと」。日本に来てくださいと頭を下げた。
指導医の名を問う天城に、世良が「渡海先生です。渡海征司郎」と答えると、天城はなぜか懐かしそうに目を細める。そして笑うと、「ではこうしよう」と世良にも賭けの儀式を要求するのだった。
「赤か黒か?」世良が勝てば天城はスカウトを受ける。二者択一の問いかけに、世良は色だけでなく“黒の10”にチップを置いた。そしてルーレットの球は、赤でも黒でもなく、たったひとつ緑色に塗られたゼロの枠に止まる。
世良の無謀な心意気と、初めて起きた奇跡に天城は、「もしかして君はまだ神に見放されてない?」と嬉しそうに笑うと、「なんだかおもしろそうだな。よし、僕も日本に行こう」と東城大のオファーを受けることを決めたのだった。
「ただし、日本に行っても僕は自分のスタイルを変えない」と天城が条件を付けると、世良は「僕も自分のスタイルを変えません。僕はどんなことがあっても、目の前の患者を救いたいんです」と宣言。
正反対のスタイルを表明するふたりのバディが完成したかのように見えたが、天城は「決めたよ。今日から君の呼び名はジュノだ。青二才って意味だよ」と、新しいおもちゃでも手に入れたように笑った。
そして天城はジュノこと世良に、東城大・佐伯教授からのオファー内容を明かした。
なんと、東城大の外科医としてのスカウトではなく、天城を桜宮心臓外科センターのセンター長として迎え入れるというものだった──。
東城大では、佐伯の右腕として佐伯外科を支えてきた心臓血管外科グループのトップ・黒崎(橋本さとし)と、僧帽弁手術用の手術機器・スナイプを日本に広めるなど数多くの実績を積んできた高階(小泉孝太郎)、佐伯教授がどちらを新病院の初代センター長に指名するのか、病院中が注目していた。
しかし、2人の候補者の野心を飛び越えて、天城が桜宮心臓外科センターのセンター長に決まり来日することになった。
天城が東城大にもたらすのは、世良が期待する通り、多くの患者の命を救う“神の福音”か。それとも、一枚岩の佐伯外科をかき乱し、佐伯の全日本医学会・会長就任を阻む“悪魔の厄災”か──。
第1話の神演技で、天城が渡海とは別人なのだということは、自然に、しかも一瞬で腑に落ちてしまった。一方で、渡海の名前に反応した天城の真相に淡い期待を抱きながら、まずは“神に愛された悪魔”が東城大病院で何を引き起こしてくれるのか、期待して第2話を待ちたい。
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