松坂桃李が主演を務める日曜劇場『御上先生』(TBS系)が1月19日にスタートした。TBSでは、これまでも『3年B組金八先生』、『ドラゴン桜』、『ごめんね青春!』など、数多くの教師ドラマ、学園ドラマが生まれたが、「きっと、『御上先生』は、そんな名作たちと肩を並べるドラマになる」。そんな予感がした第1話だった。
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
「簡単に見えるものを闇とは呼ばない」
「志だけで変えられるならとっくに変わってる。官僚が出世したいと思ったら、手を汚さずに上にはいけない。のらくらした官僚構文を使いこなして答弁を乗り切り、政治家のオーダーには秒で答える。自分の理想なんてものは横に置いて進めていく先で、ようやくこの国の行政とやらに参加する資格ができる……かもしれない」
「エリートはラテン語で『神に選ばれた人』という意味だ。この国の人は、高い学歴を持ち、それにふさわしい社会的地位や収入のある人間のことをエリートだと思っている。でも、そんなものはエリートなんかじゃない。ただの“上級国民予備軍”だ」
「なぜ神に選ばれるのか。それは普通の人間なら負けてしまうような欲やエゴに打ち勝てる人だから。自分の利益のためではなく、他者や物事のために尽くせる人だから。僕はそこに付け加えたい。真のエリートが寄り添うべき他者とは、つまり弱者のことだ」
これは、官僚派遣制度によって高校教師となった文科省官僚・御上孝(松坂桃李)の言葉である。生徒の宮澤涼(豊田裕大)が「パワーワード」と表現するシーンがあったが、御上はまさに胸に残る言葉を多く残す人だった。
ドラマ中、彼の言葉を聞き逃すまい、とするからか、御上が教壇に立つと息苦しいほどの緊張感に包まれた。また、彼が「言ったよね」と口にするたびに胸がキュッとなり、御上の言葉が空間に浮遊してひとつの文章となったとき、大きな黒い刃となって自分の体に突き刺さる感覚にもなった。それほど、御上という人物に圧倒されたのだ。
そもそも、なぜ御上が学校に来たのか──。過去に教師の不倫を学校新聞で暴き、退職まで追い込んだ報道部の神崎拓斗(奥平大兼)は、御上について「天下りあっせん疑惑の責任をとって左遷された」と新聞で報じた。
責任をとってこの学校に赴任したのは事実だが、天下りをあっせんした記憶はない、と記事を否定する御上。彼は、今回の記事を出す際に、確認も取材もしなかった神崎の新聞を「ゴシップ記事だ」と言い放った。
その後、神崎と2人っきりになると、不倫で退職した教師・冴島悠子(常盤貴子)と、国家公務員総合職試験会場で起こった殺人事件を話題に挙げ「もしその事件と君の記事が関係あるとしたら?」、「気づいちゃったんだよね。闇の中で、その事件と僕の不正とこの学校と文科省がつながっているかもしれないことに」と気になるキーワードを残した。御上を通じて新たな知見を得られそうなこと、事件が絡み合うミステリー、そして御上が教師として生徒や権力とどう向き合っていくのか……第1話だけでも、さまざまな要素が盛り込まれていることが分かる。
個人的には、主人公を演じた松坂桃李の“目”がたまらなかった。松坂がこれまで出演してきた映画・ドラマはいくつも見てきたが、いつだって彼の“目”に惚れていたことを思い出す。その役の“目”になるから感情移入ができるし、物語の世界観にも飛び込める。もう、いいかげんにしてほしい。素晴しすぎる。今回も期待したハードルをひょいと飛び越えてしまった!
話を戻そう。謎だらけの御上だが、決して笑顔を見せないわけではない。時折、柔和な表情をしながら教壇に立つことだってある。こうした場合、よく「目が笑っていない」と表現されるが、またそれとは違うような……。御上の目には、やるせなさ、哀しみ、闇など、さまざまな“想い”を感じる。もちろん「日本の教育を変える」という青い炎は宿しており、目的も明確なのだが、どこか光を求めて彷徨っているようにも感じた。
御上孝とは、どんな人物で何を考えているのか。これから約3カ月、彼と一緒に闇に潜っていこうと思う。
第1話はこちらから
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