徳重晃(松本潤)が夏休みを利用して師匠・赤池登(田中泯)の診療所へ。
いつもと雰囲気が異なり、離島のシーンも多かった『19番目のカルテ』第7話。ただ、物語を通して抱え続けた“不安”が最後に的中してしまった。
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
徳重不在の魚虎総合病院。東郷康二郎(新田真剣佑)は、ひとりで総合診療科を守る滝野みずき(小芝風花)のもとを訪れ、手術に不安を抱える患者・小田井(マギー)の精神的ケアを依頼した。また、本来ならば茶屋坂心(ファーストサマーウイカ)が執刀するのだが、これも康二郎の提案で、滝野の同期・戸田勝久(羽谷勝太)が担当することになった。
初めて執刀医となった戸田や、小田井の心をケアする滝野はとても頼もしかった。表情は凛々しく、不安感もまったくない。そして、康二郎をはじめ、茶屋坂、総合診療科を遠くから見ていた大須哲雄(岡崎体育)など、他の医師たちにも変化が見られた。徳重が病院に来たことで、ポジティブな連鎖が生まれているらしい。
その頃、徳重は、診療所を閉めようとする赤池と穏やかな時間を過ごしていた。
畑仕事のシーン、2人でかき氷を食べるシーン、久しぶりに再会した島民とのシーンなど、徳重と赤池のツーショットはのどかで心安らぐ場面が多かった。物語の冒頭には、初めて出会った7年前のことも描かれた。今と変わらず「患者さんのこれまでもこれからもすべてを診たい」という徳重に対し、赤池は「きれいな顔してるな。だが目が怖い。眉間に山できてるぞ」と返す。考えてみれば、徳重と出会ったころの滝野も同じような顔をしていた。スーパーマンのように見える徳重にも“そんな時代があったのだ”と改めて気づいた場面だった。
特に印象的だったのは、2人が夕方の海を眺めるシーンだ。肺炎で亡くなった患者のことを思い出した徳重は「もっと話を聞けばよかった。もっと話がしたかった」と後悔を口にする。続けて「先生が言ってくれた言葉を今でも思い出します。医者は求められなければ何もできない。でも、自分を訪ねてくれる人がいたら誰が相手でも否定をせず、じっと話を聞き、寄り添い、優しく包む。『徳重!この広い海のような、なんでも受け止められる医者になれよ』」と。すると、赤池が「こうして海を前に立つ。ザーン、ザーンっと。波の音でな〜んにも聞こえなくなる……」と語りはじめた。
松本の台詞回し、そして田中の語り口と大きな身振りを見ていると、まるで舞台を観ているかのような不思議な感覚に陥った。夕日に照らされた赤池から人間のパワーやすべてを包む優しさを感じる。これは、世界的なダンサーとして活躍する田中泯だからこそ成立する表現だ。彼らのパフォーマンスに胸が高鳴り、一つひとつの美しい所作に目を奪われた。たった数分間だが、実に濃厚な時間だった。
ラストシーン。幸せなひとときが、音を立てて崩れる展開を迎えた。
徳重が帰る日、弟子が自身の異変に気づいたと察知したのだろうか。赤池は「もうお前と話すことはない」とそそくさと別れを告げた。だが、徳重は引き下がらない。「診療所を閉める」という名目で大量の本を病院に送ってきたこと、滝野へノートを授けたこと、さらに、右助骨下をかばう動き、呼吸や腹部の異変など、赤池と過ごすなかで抱えていた違和感をぶつけた。
徳重が「バッド・キアリ症候群……」と病名を口にした瞬間、赤池は「帰れ!」と声を荒げた。「死ぬかもしれないんですよ。だから先生、本当のことを聞かせてください」と訴えても「お前には話さない」と徳重の手を払いのけた。その後、ばたりと倒れ、物語は幕を閉じた。
次回最終話。『19番目のカルテ』最後の患者は、徳重の師匠だった。これまで対話で患者の心を開いてきた彼が、何も話そうとしない赤池とどう対峙するのか。徳重が出す答えとは?
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同棲を始め、プライベートは絶好調なふたり。そんな中、白崎は憧れの演出家が手掛ける舞台「雨と懺悔」のオーディションを受けることになる。
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