『五十嵐夫妻は偽装他人』 新川優愛"真尋”と田辺桃子"美羽"が直接対決!それぞれの想いが交錯する第8話
直人への執着を増してきた美羽&真尋のことが心配な低体温男子・翠との関係にも変化はあるのか?物語も終盤を迎え、それぞれの想いが交錯する第8話をレビュー!
秘密の社内恋愛を描くラブコメは数あれど、職場では他人を装う夫婦が主人公という逆転の発想がユニークなドラマ『五十嵐夫妻は偽装他人』。U-NEXTで配信中の海石ともえによる同名漫画を原作に、お互いが気になりながらも反発し合う夫婦の“もだもだ”した関係を描き出す。
家出中の妻・会沢真尋を演じるのは、テレ東ドラマ初主演となる新川優愛。夫の五十嵐直人役は、昨年の大河ドラマ『光る君へ』で一条天皇役に扮して注目の塩野瑛久が扮する。別居中の夫婦の直人と真尋は、お互いに相手に告げずに転職。すると2人の転職先は偶然一緒で、しかも同じ部署で働くことに。
コンペに向けた部署の温泉試泊旅行は大波乱!真尋と直人は美羽(田辺桃子)に2人が夫婦であることを打ち明けるが、美羽は大激怒!さらに翠(兵頭功海)は、低低温のはずが真尋への想いを抱えつつ、直人に「はっきりしろ」とガツンと言い放つ。旅行後のオフィスでも美羽はピリピリ、真尋と直人の間にも気まずい空気が流れるが…。そんな折、美羽の認知症の祖母が行方不明になってしまう!このピンチがどう転ぶのか?美羽を取り巻く環境の切なさも胸を打つ、ドキドキの第9話をレビュー
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
翠(兵頭功海)の真尋への想いがついに夫婦に明かされた前回ラスト。それを受けた今回の幕開けは、物憂げな表情を浮かべる真尋のどアップのカットから。
真尋は何を思う?
波乱の温泉旅行が終わり、いつもの風景を取り戻したコントラクト事業部だが…。仲直りしたはずの真尋と直人の仲は、どこかよそよそしく(特に真尋が)、美羽(田辺桃子)はあからさまに真尋に反抗的だ。
職場に恋愛ごとが絡むと実に面倒である…。これは共感する人も多いかも!?
そんな中、美羽が傷ついていないかと心配して声を掛ける翠は、どこまでもいい人すぎる!低体温男子に見えて、中身はあったかポカポカ男ですね!(わかってたけど)
美羽はそんな翠にイライラをぶつけつつ、どこか心が動かされた様子。
このシーンも顕著だが、ほんの少しの心の動きをさりげなく表現するのが巧みな田辺&兵頭の力で、翠と美羽といういわば”当て馬”の役割も、紋切り型ではない一人の人間として惹きつけられるキャラクターに映る。そんなところもこのドラマから目を離せない要素の一つだろう。
さて、ここから場面は温泉旅行の回想シーンへ。実は、翠の告白には続きがあった。
なぜ美羽は翠と組もうとしたのかと直人に聞かれた翠が、「会沢さんに惚れてるって思ったから」と正直に答えたにもかかわらず、なんと直人はそれに「冗談に付き合っている暇はない」と斜め上の返事を返したのだ。
さすがの低体温・翠も「俺は、あなたたちの嘘に散々つきあわされてきましたけどね」とキレ気味に。さらに「いっそ別れたらどうですか?社内で痴話喧嘩する夫婦、マジでめんどくさい」とド正論をぶちかます。
掴みかかろうとする直人に、翠は「冗談ですよ」とは言うものの、「夫婦なら、堂々としててくれませんか!」と食って掛かる。もはや内心が沸々燃えたぎる高体温男子である!
それでも、言いたいことを言って部屋を出たあと、「めんどくさいのは俺か…」と独りごちる翠のいじらしさよ…。愛…。
そして、ここで合点がいくのがオープニングの真尋の憂い顔だ。あれだけ翠にガツンと言われては、考え込んでしまうのも無理はない。
優等生・真尋にしてみたら、自分たちの勝手な嘘で美羽を傷つけたことが耐えられない。あれだけ美羽に悪さをされたというのに、だ。
この辺りの「私の中の正義がそれを許さない」系の善性が、同じ属性の翠を引き寄せてしまうのかも?見てる側は、逆にそんな真尋に「いい子ぶってても解決せんのでは?」とモヤモヤしてしまうのだが…。
そして、そんな真尋の心持ちには全く気づかない直人。もちろん、悪い人ではないし、優しさの無駄撃ちはめっちゃするのだが、揉め事を丸く納めたいタイプの優しさであるがゆえ、「また、一緒に暮らそう」と、モヤる真尋に持ちかけて、あっさり断られてしまう。
真尋にしてみれば、そりゃそうでしかない。そんな2人の、なんとも表現し切れない、根本的なすれ違いっぷりが哀しい…。このドラマ、深いっす…。
そして直人は、とにかく美羽に謝り続けるのであった。
さて、一方でコントラクト事業者では、温泉ホテルのコンペに向けて部内会議を開催。竹橋(水橋研二)部長もやる気満々である。
もちろん、真尋、直人、翠もそれぞれの持ち場できっちり発言。しかし、美羽だけは家族の問題もあってか気もそぞろ。そんな美羽に、まずは上司としてきちんと向き合おうと、真尋は美羽の営業先との打ち合わせに同席する。
しかし、その打ち合わせの相手は、例の不倫捏造事件の時に美和が“女を使って″利用していた男であった。美羽を対等な仕事相手としては全く見ずに、かわいい女の子扱いでまるで仕事の話ができないのである。
それをよしとして「これが私の仕事のやり方」と割り切る美羽のしたたかさの裏には、相当にデカい心の傷がありそう。同じ女性として、切なくもやりきれないシーンでもある。
そんな、とりつく島もない美羽に、事件が勃発!認知症の祖母が行方不明になったというのだ。
真尋は翠も巻き込んで、祖母の捜索に奔走する。普段は家族に冷たく当たる美羽も、本当は家族思い。必死で「おばあちゃん!」と呼ぶ姿は、もはや“恐ろしい子”の影もない。
きっと、美羽もなんやかんやがあってこうなっただけで、幼少期はいい孫だったのかな?と想像すると涙がホロリ…。
そして、ついに翠がコンビニで保護されていたおばあちゃんを発見!
祖母が徘徊した理由が、家出した息子=美和の父にアイスを買ってあげたかったからというのがまた、しんどい。それを知って「無理だよ。お父さん、もう帰ってこないから」と諦め切っている美羽の姿には、胸が締め付けられる。
この日は、その父の誕生日だというのも一層切ないのである。
祖母と美羽を彼女の家まで送り届けた真尋と翠は、ここで美羽の母の毒親ぶりを目の当たりにすることに。
1人介護で祖母を持て余し、危険な目に合わせているのは、美羽の母のせいだったのだ。いわく「お父さんが帰ってきた時、おばあちゃんがいないと文句言われるのは私」という理由で、美羽の母は祖母を介護施設に入れることを拒んでいた。
そんな母に「目を覚ましなよ!お父さん、もう10年も帰ってきてないの。今頃どっかで女でも作って、よろしくやってるよ!」と怒りをぶつける美羽。
しかし、この毒母は、美羽が結婚して仕事を減らして手伝わないせいだと、すべてを美羽のせいにするのである。酷い…。
この”現実見れない感”満載の母を名優・中島ひろ子がリアルに体現していて、その生々しさも心に刺さる。
「勝手な理想を押し付けないで」と母に言い返す美羽に、さらに「あなたみたいなダメな子は、ちゃんとした旦那さんを捕まえて幸せにしてもらわないと一生不幸になるのよ!」と、自己肯定感をぶった斬る呪いの言葉を吐く母。
しんどーい!
しかし、ここで立ち向かったのは、正義の人・真尋だ。
あれだけ仕事上で嫌なところを見せられたというのに、「優秀で強い女性」だと美羽をかばい、「人を見る目があるし、どんな相手にも柔軟に対応できる」と長所をちゃんと見つけて毒母に対抗するのである。
「いい子ぶりっ子」と思われがちな真尋も、ここまで優等生だとさすがに天晴れである。
「強いってのは、俺も賛成です」と翠も助け船。やっぱ真尋と翠は、似た者同士?
美羽が侮辱されるのは許せない真尋は、「娘のことは私が一番理解してます!」と怒鳴り返されても怯まない。「だったら、もっと林さんのこと、見てあげてください!」と涙ながらに言い募る。
「一番近くにいる家族に認められないって、すごく苦しいから…」
そう言って毒母を説得する真尋の言葉には、自身の夫婦関係に思うところもにじんでいるところがまた趣深い。真尋のそんな複雑な心理が伝わる新川優愛の名演技である。
こうまでされては、さすがの美羽も真尋を無視できず。母が、父との唯一のつながりである祖母の存在にすがっていること。そして、そんな母のようにはなりたくないという自分の思いを打ち明ける。
「だから、相手選びを間違えたくないんです!」と叫ぶように訴える美羽。
その相手として、直人がふさわしいと思い込んだがゆえの執着なので根が深い。
「でも、会沢さんみたいなのが隣にいたんじゃ、どうしようもない」と嘆く美羽に、真尋は「でも、結婚ってそんなに簡単じゃないよ。相手に求めてばかりじゃ、うまくいかなくて」と、経験者ゆえの反論をする。
しかし、美羽は被せるように「わかってますよ!相手に求めるなら、自分もそれなりに犠牲を払うのは当然でしょ!」と言ってのけるのである。
「そんな覚悟もなくて結婚したんですか?」と攻撃の手をゆるめない美羽に、真尋は抗わず、「ちょっとうらやましいかも」と意外な反応。
「林さんみたいに思ったことを素直に言えれば、夫婦もうまくいくのかも」
そんな真尋に、美羽は「わかってんなら、はっきり言いたいこと言えばいい」と美羽は憤る。
「自分の欲しいものは自分の手で奪いにいかなきゃ、なんにも手に入らない」という美羽の環境が、美羽を″恐ろしい子″たらしめていたというわけなのだ。切ない。
自分の状況から抜け出すために、いい結婚相手を探すしかないという美羽に、真尋は「どうしてそんなに結婚したいの?」と素直に質問。すると美羽は、「だったら、会沢さんはどうして結婚したんですか?」と質問に質問返し。
グズグズと答えられない真尋に、美羽は「答えられないから、別居するんですよ!」とぐさっと刺さる言葉を投げつける。
しかし、そのあとに美羽は「人の世話してる暇あったら、さっさと幸せになってください」とぽそっと言うのだ。
なんだかんだ、美羽は真尋にほだされて改心した様子である。根っこまで悪いのではないのよね〜!
そんなこんなで直人のいぬ間に美和との確執はどうにかなったものの、今度は真尋の家族に問題勃発の気配。父・雪人(相島一之)がそっと見つめる写真には、幼き日の真尋と父、そして母の姿が…。
この母の姿、どこかで見たことある…てか、大女優・黒木瞳ではありませんか!これはもう絶対に只者ではない!
さらに、どうも雪人の体調に異変が起こる予兆。後半戦もまだまだ物語は動きそう!次回も見逃せません!
第9話の視聴はこちらから
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